~EGO本部・長官室~
バン!
勢いよく開かれる長官室の扉。
ツバメ「
オウリギン!チェックメイトよ!」
その扉を開いたのはツバメ、十也、ウルズ、昴の4人だ。
十也「EGOの暴走は俺たちが止める!」
4人の眼前には長官室の椅子に腰掛け、彼らを待ち受ける人物。
オウリギン「来たか…世界への反逆者たちよ」
ウルズ「お前の…EGOの暴走もここで終わりだ!」
昴「私利私欲による世界の掌握を認めるわけにはいかないね」
オウリギン「私利私欲?お前たちは理解していないようだな」
十也「多くの国を武力による制圧をしておいて何を!」
ツバメ「この期に及んで言い訳かしら?」
オウリギン「制圧ではない。これは調停だ」
ウルズ「調停だと?」
オウリギン「そうだ。EGOが世界全てを守るための力となる。そのために各国の戦力を抑え、世界全ての守護を行うための力としてその威光を掲げる必要があった。そのための武力による制圧だ。」
昴「そんなものだれも望んじゃいないさ!」
オウリギン「本当にそうかな?」
昴「なに?」
オウリギン「世界は戦いであふれている。隣り合う隣国同士でさえ表面上は友好的であれ、その裏では如何に隣国を自国の都合のいいように転がそうかと考えている。それが必然の世界だ。」
ツバメ「…そうね。だからこそ争いはなくならない。」
オウリギン「そうだ。人は争う生き物。それは醜く汚い」
ウルズ「だがそれが世界の在り方だ!今までもこれからも人はそうして生きていくんだ」
十也「争うことで人は分かり合える。そうして平和への道を築いていくんだ!」
オウリギン「それはおろかな行為だとは思わないのか?」
十也「なんだと?」
オウリギン「争いのないのない世界を私は作ろうというのだ。世界警察を自称するEGOですらその内部では醜い派閥争いが起きていた。人間は所詮分かり合うことのできない生物。ならばなすべき道は限られている」
ツバメ「…これがあなたの選んだ道というわけね」
オウリギン「そうだ。力による掌握。絶対的な力による制御こそが人類を幸福へと導くのだ。」
ウルズ「それがお前の考えか。だがお前の力の象徴ガーディアンも俺たちを止められはしなかった。」
昴「EGOによる世界統一など夢でしかなかったんだよ。身の程をわきまえな!」
オウリギン「…そうだな。だがまだ終わりではない。ここでお前たちを倒せばEGOの力は誇示される。天十也、今寄崎ツバメ、
コード・ウルズ、
葵夜昴。お前たちはEGOが世界の守護者となるための礎となるのだ」
椅子から立ち上がる
オウリギン。
ツバメ「前に戦った時は後れを取ったけれど今度はそうはいかないわ」
十也「お前を倒してこの戦いを終わらせる!『ブラスト・リンカー』!!」
バシュン!
鎧を纏う十也。
ウルズ「EGOによる世界支配なんて認めるわけにはいかないぜ!」
昴「そんなディストピアを完成させる気はないよ!」
オウリギン「その威勢は買ってやろう。だがお前たちの敗北はゆるぎないものだ!」
ファサ!!
十也たちの前に何かが舞う。
十也「羽?」
白い羽毛のようなものが十也たちの前に舞っている。
ツバメ「これは…みんな避けて!」
ジャキ!
羽毛が一瞬にして白い剣へと姿を変える。十也たちへと迫る剣。
ドン!
地面へと突き刺さる剣。剣は地面に刺さると無数の羽となり、羽は消滅した。ツバメのとっさの反応でかわすことができた。
ツバメ「あの時…」
EGOミストラルシティ支部での
オウリギンとの闘い。突如出現した剣により不意打ちをくらったツバメは自身の周囲に羽が浮いていたのを思い出す。
ツバメ「あの時は羽なんて気にも留めなかったけれどこれがあなたの能力ね」
オウリギン「『天衣(てんい)』。これが私の能力だ」
ファサ!
オウリギンが右手を開くとその手の周辺に無数の羽が舞う。
ジャキ!
無数の羽は白い剣へと姿を変える。白い剣を握る
オウリギン。
オウリギン「『天衣断剣(てんいだんけん)』。断罪の剣。その力を身をもって受けよ」
十也「ブレオナク!」
バシュン!
十也の手に四つの刃を持つ槍ブレオナクが出現する。
ガキン!
衝突する断剣とブレオナク。
十也「ウルズ!」
ウルズ「あぁ!わかってる!」
バッ!
ウルズが鍔釣り合う十也と
オウリギン間に割って入るように右手を構える。
ウルズ「もらった!『御雷(ミカヅチ)』!」
右手を開き掌底を
オウリギンへと打つウルズ。
オウリギン「『天衣あまごろも』」
ファサ!
バシュシュシュ!!
その羽は
オウリギンの体を覆っていく。そして白いローブへと姿を変える。
バギョォォン!!
ウルズの右手から放たれる衝撃波を受け止める白いローブ。
ウルズ「なっ!」
ツバメ「ウルズの攻撃が効いていない!?」
昴「なんていう防御力だい…」
オウリギン「いい連携だ。だが詰めが甘かったな」
ジャキ!
ブン!
左手に持つ白い剣をウルズへと振り下ろす
オウリギン。
昴「やらせないよ!」
ドン!
ウルズへと体当たりし、ウルズを突き飛ばす昴。それにより
オウリギンの断剣は空を切る。
ウルズ「助かった昴」
昴「感謝しなさいよウルズ」
オウリギン「まずは1人と思ったが済んでのところで躱したか」
右腕一つで十也のブレオナクを受け止めながら涼しい顔でウルズたちと戦う
オウリギン。
ツバメ「あなた…何者なの?」
オウリギン「なんのことだ?」
ツバメ「EGO本部副長官のミゲル・ジリオの秘書であったあなたがこんな強力な能力者だったならその話は少なくとも誰かの耳に入っていてもおかしくはないはず。だけどそんな話は少しも聞いたことがないわ」
昴「能力者であることを今まで隠していたとでもいうのかい?」
オウリギン「隠していたつもりはない。使う機会がなかったにすぎん」
ウルズ「実戦経験も大してないのにこの強さってわけか…」
十也「くっ!ブレオナク!」
ジャキン!
ブレオナクの刃が開く。
十也「『ブレオナクホールド!』」
ガッ!
開いた刃が
オウリギンの両腕と胴体を挟み込むように掴む。
十也「よし!これで身動きはとれない!」
オウリギン「…」
カラン!
ファサ!
剣は地面に落ちると同時に白い羽根となり空中に舞い上がる。
十也「なんだ…」
ツバメ「気をつけなさい十也!何かするつもりよ!」
オウリギン「もう遅い」
グサッ!!
十也「つぅ…」
痛みを感じる十也。自身の右肩を見るとそこには
オウリギンの断剣が突き刺さっていた。
十也「ぐっ!」
ブレオナクから手を放す十也。それとともにブレオナクが消えてしまう。
オウリギン「突然のダメージに槍の実体化を保てなくなったか」
ツバメ「十也!大丈夫?」
十也「あ、あぁ。なんとかな」
そういいながらも十也は突然の攻撃に戸惑いを隠せない。右肩に刺さった剣は再び羽となり消滅する。
ツバメ「あれは私が受けた攻撃…あの羽…想像以上に厄介な能力ね」
昴「羽が舞っている空間で即座に剣に変換する。そうすることで対象の体を貫きながら、剣となることも可能なのね」
ウルズ「こいつはうかつに近づけないか…それとも一気に仕留めるか」
十也「あのローブもウルズの攻撃を通さないほどの防御力を持っていた。どうすれば
オウリギンの隙をつけるんだ…」
バン!
十也の背中をたたくウルズ。
ウルズ「細かく悩むのはお前らしくないぜ十也!」
十也「そうだな!相手が硬いならそれを上回る力で砕く!『AS(アクセラレート・シフト)』!」
赤熱化する十也の鎧。
ウルズ「そういうこった!昇華機構解除!」
金色に輝くウルズの体。
十也「いくぞ
オウリギン!『ブレオナク・ツヴァイ』!」
ガキン!
ドン!
ブレオナク・ツヴァイを2本の断剣で受け止める
オウリギン。
オウリギン「さきほどよりも力が強い…」
ウルズ「これでお前の両腕はふさがった!」
バッ!
左手を広げ
オウリギンへと構えるウルズ。
ツバメ「左手?ウルズの建御雷は右手のはずじゃ…」
昴「あれは…
シュウの言っていた…」
ツバメ「なにか知っているの昴?」
昴は
シュウから聞いたことがあった。ウルズの四肢は義肢だ。その各々の義肢にはそれぞれ特殊な装置を搭載していると。その内左腕に搭載されているのは…。
昴「確か…」
ウルズ「一点昇華機構!」
ガシュン!!
ウルズの左腕の装甲が変形し、左手を囲うように10本の刃が展開される。
キュィィン!!
金色に輝くウルズの体の光が左腕へと集中していく。金色に激しく輝く左腕。
昴「大蛇をも切り裂く一撃。その名は…」
ウルズ「天羽々斬(アマノハバキリ)!!」
10本の刃から粒子の刃が展開される。
ザシュン!!
次の瞬間、
オウリギンのローブに10個の太刀筋が刻まれる。だが…
オウリギン「無駄だったようだな。私にダメージはない」
ウルズ「それはどうかな?」
オウリギン「なに?」
キュイン!
ローブに刻まれた太刀筋が光を放つ。
オウリギン「なんだ?」
キュイン!キュイン!
次々に光を放つ太刀筋。10個の太刀筋から放たれる光。
ボロボロボロ…
ローブが徐々に朽ちていく。
オウリギン「馬鹿な…」
ウルズ「これが天羽々斬。未元粒子の粒子結合を破壊する一撃。対能力者、特にお前のような物質生成系の能力者にはクリティカルが入る一撃だ」
崩れ落ち消滅するローブ。
オウリギン「『天衣あまごろも』が…」
十也「おまえの余裕も崩れたな!たぁ!」
ガキン!
ガキン!
だがそれは何かに阻まれる。
十也「なんだ!?」
何もなかったはずの二人の間に白い盾が出現していた。盾に受け止められる十也の槍。
ウルズ「盾だと…」
オウリギン「やはりお前たちは危険だ。こちらの想像を超えてくる。その存在は排除しなければならない。絶対的な力で!『天衣無縫(てんいむほう)』!!」
to be continued
最終更新:2020年02月13日 22:47