~EGO本部・地下研究室~
ゲイン「ティスシス。どうだ?」
シュン!
ゲインの隣に突如として白髪の少女が現れる。
ティスシス「はい。間違えありませんの。あれから私と同じ…レーヴェンズの気配を感じますの」
ゲイン「グリフ支部を襲撃した駆動鎧の本元がこいつということか」
ガドゥ「…
ゲイン・ブレイズ。アサルトシャドーの生き残り。なぜおまえがここに?」
ゲイン「EGOを倒すため…というのもあるが一番はそいつを始末するためだ」
AISを指さすゲイン。
ティスシス「それはいったいなんですの?私の同胞の気も感じるけれど、それとはまったく違う…何かが混ざっているような感じですの」
ガドゥ「おまえもみたことがあるな。レーヴェンズの人型か。まだ生きていたとはな。人語を理解し話すレーヴェンズ…捕獲すればさらに研究が…」
一人でぶつぶつと何かをたくらむ
ガドゥ。
ゲイン「答えろ
ガドゥ!その球体はなんだ?」
ガドゥ「この子はAIS。私の開発した人工知能AIにレーヴェンズと未元獣の細胞を掛け合わせた生体コアを付与した。それがこの子」
ティスシス「その子は苦しんでいますの!今すぐ開放するべきですの!」
レーヴェンズであったティスシスにはその一部を取り込んでいるAISの気持ちがわかるようだ。彼女にはなんらかの感情として伝わるのかもしれない。
ガドゥ「苦しんでいる?何を言っている!そんなはずはない!私の子は最強のAIとなるのだ!」
ゲイン「ティスシス、こいつに何を言っても無駄だ」
ティスシス「そのようですの」
ゲイン「ならばなすべきことは一つだ」
ジャキン!
ゲインの両腕に装着された駆動鎧腕部の肘部分から粒子の刃が展開される。
ゲイン「そいつを破壊する!粒子ブレード!」
粒子ブレードでAISへと斬りかかるゲイン。
ガドゥ「AIS!」
ザシュ!
粒子ブレードが切り裂く。だがそれはAISではなく割って入った
ガドゥだ。
ゲイン「なっ…」
ガドゥ「ぐふっ…」
ドサッ!
その場に倒れる
ガドゥ。その腹部は粒子ブレードにより大きく切り裂かれ、出血はすさまじい。その口からも吐血し、もう助からないであろうことは明白だ。
ガドゥ「わた…しの子AISは…やらせは…し…ない」
ズリズリ…
スッ
右手をAISへと添える
ガドゥ。
ガドゥ「あぁ…AIS…完璧な…存在…。そう…All In Special(オール イン スペシャル)…あなたは…」
ドクン!ドクン!
AISが激しく脈打つ。
シュルルル!!
AISから無数の触手が生える。
ティスシス「なんですの…」
ズン!
無数の触手は
ガドゥの体を貫く。
ガドゥ「ごふっ…」
AISは触手を
ガドゥの体に固定し
ガドゥの右胸へと自身を移動していく。
ズブズブズブ…
ガドゥの心臓へと同化していくAIS。
ゲイン「これは…」
バシュルルル!!
ガドゥの体を貫いた触手が増殖し、
ガドゥの体を覆っていく。
ティスシス「何が起きているんですの!?」
ドクン!ドクン!
触手の中で何かが脈打つ。
ボン!
ガドゥを覆っていた触手がはじけ飛ぶ。その触手の中から姿を現したのは…
ガドゥ「…」
ガドゥだ。右腕が触手と化し、心臓があるであろう右胸部にはAISが怪しく脈打っている。その顔は血管が今にも皮膚を突き破るかのように浮き出ている。
ゲイン「同化したのか!」
ティスシス「人間を取り込んだんですの」
ガドゥ「ふっ…はははは!!」
高笑いを上げる
ガドゥ。
ガドゥ「す…素晴らしい!体から力が湧き出てくるようだ!これがAIS…私の子の力!」
ティスシス「あなたわかっているんですの?人間の体でそんなものと混じり合えば…」
ガドゥ「だまれ!」
ティスシスの言葉を遮るように言葉を発する
ガドゥはその右手をティスシスへと向ける。
シュルル!!
ガキン!
だがその触手はティスシスの眼前に壁でもあるかのように阻まれる。
ティスシス「危険な存在ですの…それは」
ガドゥ「危険だと?私の子は危険ではない!最強で完璧なのだ!はははは!!」
焦点が合っていない
ガドゥの眼。その眼はティスシスの方を見ているわけでもなくどこを見ているかもわからない。
ゲイン「狂ったか…」
ティスシス「同化したものの末路ですの」
ガドゥ「All In Special!あいつらを取り込むのよ!そしてさらなる高みへ!」
右腕の触手がゲインへ向け襲い掛かる。
ゲイン「くらいはせん!粒子光弾!!」
ババババ!!
腕部ユニットから放たれる無数の粒子の弾。
ボン!ボン!
それにより
ガドゥの触手は徐々に破壊されていく。
ガドゥ「私の…右腕が…」
ゲイン「一気にケリをつける」
バッ!
間合いを詰め、両手を合わせ
ガドゥの右胸のAISへとつけるゲイン。
ゲイン「轟覇砲!!」
ドゴォン!!
粒子を圧縮した衝撃がAISへと撃ち込まれた…はずだった。
ゲイン「なに!?」
AISを覆うように無数の触手が攻撃を受け止めていた。
ガドゥ「ムダムダ。あなたたちにAISは止められはしないわ!!」
シュルル!ガッ!
右腕の触手がその場にあった駆動鎧ヴォルケインを掴む。
ボゴ!ベキ!バキ!
ヴォルケインが破壊されながら触手に取り込まれていく。
ガドゥ「もう駆動鎧は必要ない。人間とAIの融合がコレほどの力を発揮するとは思ってもいなかった。早くお前たちを片付けてこの研究成果を論文として纏めなケレバ!!」
ティスシス「まずいですのゲイン。あの女がこれほどにレーヴェンズと未元獣の細胞との融合係数が高いとは思っていませんでしたの」
ゲイン「暴走しながらもその力を振るえる程度の制御はできているわけか。質(たち)が悪いな」
ティスシス「どうしますのゲイン?このままでは私たちも本当にあれに取り込まれてしまうかもしれませんの…」
ゲイン「相手が砕けぬならば断ち切るか」
ティスシス「何をする気ですの?」
バッ!
両拳を握り、肘を突き出すゲイン。
ヴン!
両肘から展開される粒子ブレード。
ゲイン「こいつを使う!リミット解除!」
キュィィン!
腕部ユニットの球体が赤く輝く。
ゲイン「粒子ブレード!」
バシュン!
両肘から展開されている粒子ブレードが巨大なエネルギーの刃となる。
ゲイン「はぁぁ!!」
肘から展開される巨大な刃で
ガドゥへと攻撃を仕掛けるゲイン。
ザシュン!
ウジュウジュ
触手は斬られた直後から再生を始める。
ゲイン「おぉぉぉ!!」
ザシュ!ザシュ!
巨大な刃で再生を上回る速度で攻撃を放つゲイン。その攻撃は
ガドゥをも切り刻む。
ガドゥ「ぐっ…だがムダだ!」
ガドゥの体も攻撃を受けた先から再生していく。
ゲイン「まだ奴の再生能力のほうが上か…ならばこの一撃で!」
バッ!
両腕を交差するゲイン。
ゲイン「粒子ブレード!最大出力!!」
ヴン!
粒子ブレードが先ほどまでよりもさらに大きな刃へとなる。粒子を絞り出すように形成された刃は、刃の先々から粒子が羽のように放出している。その姿はまるで巨大な翼のようだ。
ゲイン「これで!」
強大な粒子の刃を
ガドゥの左右から挟み込むように打ち込む。
ザシュン!!
ガドゥ「ば…かな…」
交差する粒子の刃。それは
ガドゥの体を軽々と両断する。
ゲイン「轟翼鳳(ごうよくほう)!!」
バシュ!
粒子の刃が消滅する。
ゲイン「これで終わりだ
ガドゥ」
ガドゥ「そんなはずは…」
ボドボド…
ガドゥの体が朽ちていく。
ガドゥ「私は…認めない!私の子…AISが!負けるなど…ありえ…」
ガドゥが言い終えるよりも先にその体は消滅する。
ボト!
その場に落ちるAIS。ゲインの攻撃により大きなダメージを負ったようで球体にはヒビのような模様が入っている。
ゲイン「あとはこいつを壊せば…」
ティスシス「その役目は私に任せてもらいますの」
チャキ!
長刀を構えるティスシス。
ティスシス「同胞の首を討つのは私の役目ですの」
ティスシスの眼はどこか悲しい雰囲気を醸し出している。成れ果ての存在とはいえ、かつての仲間。それを手にかけるというのは思うところもあるであろう。
ゲイン「…そうか。ならばお前に任せる」
ティスシス「任されますの」
長剣を構え、息を整えるティスシス。
ティスシス「では行きますの!」
ブン!
to be continued
最終更新:2020年02月15日 23:17