~EGO本部・長官室~
オウリギン「『天衣無縫』!!」
バサッ!
ジャキン!
オウリギンの右手に出現する白い剣。
ウルズ「全身を覆う鎧…これがこいつの切り札ってことか」
十也「どんな力だろうと負けるわけにはいかない!」
オウリギン「私の目指す崇高なる世界には天十也とその仲間たち、お前たちは不要な存在だ。排除する」
バサッ!
十也、ウルズ、昴、ツバメの周囲に無数の羽が舞い散る。
昴「なに…?」
オウリギン「天剣による裁きを受けよ」
ジャキ!
無数の羽が剣へと姿を変える。十也たちを囲むように無数の剣が宙に浮いている。
オウリギン「天剣よ、我が敵を貫け」
バッ!
左手を上げる
オウリギン。それに呼応するように無数の剣が十也たちへと飛んでくる。
ツバメ「秘密の箱庭『シークレット・ベース』!」
ヴン!
十也たちを囲むように展開されるツバメの閉鎖空間。
キン!キン!
無数の剣は閉鎖空間を形成する壁に阻まれ弾かれる。弾かれた剣は羽となり消滅する。
オウリギン「今寄崎ツバメの能力。空間を遮断した隔離空間を形成する能力か」
ヴン!
秘密の箱庭『シークレット・ベース』が解除される。
ツバメ「今よ!十也、ウルズ!」
十也「あぁ!ブレオナク!」
ウルズ「いくぜ!」
右手を構えるウルズ。
十也「くらえ!」
ウルズ「『御雷(ミカヅチ)』!」
ブレオナクとウルズの御雷が
オウリギンに放たれる。
オウリギン「無駄だ」
ファサ!
オウリギンの前方に十也とウルズを遮るように舞う羽。
ビキキ!
羽が白い盾へと姿を変える。
ガキン!
盾により防がれる二人の攻撃。
十也「ブレオナク・ツヴァイ!」
ジャキン!
二つに分かれるブレオナク。
十也「はぁ!」
ブン!
ガキン!
オウリギンは右手に持つ断剣でブレオナクを受け止める。
十也「ウルズ!」
ウルズ「あぁ!」
左手に展開されている天羽々斬(アマノハバキリ)で白い盾を切断するウルズ。
バシュン!
白い盾は羽となり消滅する。
バッ!
そのままウルズは右手を
オウリギンへと向ける。
オウリギン「おまえの攻撃は至近距離でしか使えん。この距離でどうする気だ」
ウルズ「ふっ!」
にやりと笑うウルズ。
ウルズ「こうするのさ!」
バシュン!
ウルズの右腕が肘の部分から勢いよく射出される。右腕と肘の部分はワイヤーでつながっている。
オウリギン「なに?」
ウルズ「『御雷・天鳥(ミカヅチ・アマトリ)』!」
バン!
射出された右手は
オウリギンの身を包む鎧へとそのまま御雷を打ち込む。
バギョォォン!!
バシュン!
十也の攻撃を受け止めていた盾が消滅する。
ウルズ「いまだ!十也!」
十也「おぅ!」
バッ!
オウリギンに弾き飛ばされていたブレオナクの片方を拾う十也。
ジャキン!
2本のブレオナクが合体し、再び一つの槍となる。
十也「
オウリギン!これで!」
ダン!
地面をけり飛び上がる十也。ブレオナクを両手で持ち、自身の頭上へと掲げる。
十也「うぉぉぉ!!」
そのまま落下しながら、
オウリギンの頭上から勢いよくブレオナクを振り下ろす。
ザシュン!
斬られた断面から無数の羽が周囲に舞い散る。
ウルズ「決着だ」
ガコン!
ウルズの右腕がワイヤーで引っ張られ装着される。
昴「やったね。これで…」
ツバメ「
オウリギン。あなたの負けよ」
十也「おまえの描く世界は敗れた。力による統治など世界は望んでいないんだ!」
オウリギン「それが世界の答えというのならば…その結果を受け入れよう…」
ツバメ「
オウリギン、あなたの罪は重いわ。世界各国を危機に陥れた制圧行為と
ミゲル・ジリオの殺害…そのた諸々の罪を一生をもって償うのね」
オウリギン「そうだな…」
ドシュ!!
昴「なに!?」
突然の出来事だった。その場にいた全員があまりに一瞬の出来事に驚く。
オウリギンの体を貫く触手。それは地面からつまり下の階から突如姿を現した。
ズッ!
オウリギンの体を貫いた触手は再び下の階へと姿を消した。
ツバメ「今のはなに!?」
オウリギン「……」
ドサッ!
ゴゴゴゴゴ!!
建物全体が激しく揺れる。
ウルズ「なんだ地震!?」
ボゴン!ボゴン!
地面から再び触手が飛び出てくる。先ほどまでとは違いその数はどんどんと増え続ける。
十也「なんだよこれ!?」
昴「このままじゃあ全員生き埋めになっちまう!」
ツバメ「
オウリギンは…」
ツバメが
オウリギンのほうを見るとそこには無数の羽が彼の体を覆い、羽に覆われた棺桶のようになっていた。
ツバメ「
オウリギン…」
罪を償うと決めた人物が今目の前で死を迎えた。だが今はそんな感傷に浸っている場合ではない。気持ちを切り替えるツバメ。
ツバメ「いくわよみんな!急いで脱出よ!」
~EGO本部3階~
ゴゴゴゴ!!
結利「な、なに!?」
にろく「これはいったい…」
周囲の壁が崩壊していく。
ボゴン!ボゴン!
直後地面から無数の触手が出現する。
きゅっぱ「やばいね。この建物から早くでるよ!」
エミス「はい!」
~EGO本部・入口前~
ヒルデ「なにがおこっているんですの…」
EGO本部ビルが激しく振動している。まるで巨大な地震でも起きているかのようだ。
ビルの中からはEGOの隊員たちが次々と脱出してくる。
先ほどまで戦っていたヒルデとカミナ工業の社員、EGOの隊員たちは突然の出来事にあっけにとられただただその事態を見つめるのみだ。
ブォォン!!
本部の中から巨大なトレーラーが出てくる。グリフ大陸支部のモニカたちだ。
ガチャ!
トレーラーから降りてくるモニカたち。
モニカ「あなたはヒルデ・カミナ…なぜあなたがここに」
ヒルデ「今はそれどころじゃなさそうですよ」
リヴァーレ「EGO本部が…」
バゴン!バゴン!
本部のビルが徐々に倒壊していく。
ボルドー「なにがおきているんじゃ…」
タタタタタ!!
何者かがビルの中から出てくる。それは…
十也「はぁ…はぁ…」
ウルズ「なんとか間に合ったな」
にろく「
オウリギンは?」
ツバメ「倒したわ。でもいまはもうそれどころじゃないみたいね」
3階にいた
エミス達と合流した十也たちだ。
ヒルデ(あれは…ハウリングユニット。あの少年が呼び寄せたというの…。特殊な能力の持ち主のようね)
エミスのほうを見るヒルデ。
モニカ「ツバメさん!無事でしたか」
ツバメ「えぇ。でもこれはいったい…」
ボゴン!
建物から直径2mはあろうかという巨大な触手が生える。
ボゴン!ボゴン!
次々と生えてくる触手。
十也「なんだよこれ!?」
ツバメ「なにがおきているの…っ!」
ふと横に目をやるツバメ。そこにいたのは彼女が今一番見たくない相手だった。
ヒルデ「あら今寄崎社長。ご無沙汰していますわ」
ツバメ「なんだあなたがここにいるのかしら?…いろいろききたいところだけれど今は休戦ね」
ヒルデ「さすが物分かりがいいですわね。それどころではありませんから」
ウジュウジュ!!
EGO本部ビルから生える無数の触手。それは彼らをそこにたたずませるには十分なほどの異様な光景だ。
エミス「だれか出てきます!」
本部の入り口からまた何者かが出てくる。
十也「あいつは…」
ヴァイス「アサルト・シャドーの!」
ゲイン「くっ…なんとか脱出できたか」
なにかと戦い負傷した様子のゲイン。
モニカ「ゲインさん!」
ボルドー「大丈夫かゲイン!」
レイジ「
ゲイン・ブレイズ…なぜこいつがここに」
リヴァーレ「彼は陰ながら我々に協力してくれていたのだ。EGOの手が及ばない存在としてな」
レイジ「そんなことが…たしかにこいつなら適任だな。だがまさかこいつが生きていたとは驚きだ」
十也「ゲイン!生きていたのか!」
ゲイン「久しぶりだなへレティス2、へレティス1」
十也「こんな形で再開するとは驚いた」
ウルズ「まさか生きていたとは…」
ゲイン「お前たちの兄弟のおかげだ」
十也「兄弟?」
兄弟という言葉に身に覚えのない十也。
ゲイン「…気にするな。いずれわかる。それよりも今は…」
ゴゴゴゴ!!
崩壊していくEGO本部。その中から見える触手の数は次第に増えていく。
結利「なんなのこれ!?」
ゲイン「AISだ」
ヴァイス「AIS!それって
ガドゥの…」
ゲイン「そうだ。あれが暴走した。奴を破壊しようした瞬間突如暴れだし、このような姿へと変貌した」
ボゴン!ボゴン!
EGOの本部が倒壊し、AISの姿があらわになる。
昴「巨大な触手の群れ…」
ドクン!ドクン!
その各々が不気味身に脈打つ触手。
ヒルデ「これが
ガドゥが開発しようとしていたAIの末路ね」
ウルズ「こいつを放っておいたらどうなるかわからないぞ!」
十也「わかっている!ここでなんとしてもこいつを食い止めないと!」
十也たちの前にたちはだかる暴走したAIS。すべてを喰らわんと暴走を続けるAISを止めなければレムリア大陸すべてがAISにより食い尽くされてしまう。
それを阻止するための十也たちとAISとの最終決戦が今始まる。
to be continued
最終更新:2020年02月24日 16:13