SIDE:7

メルト「いきますよ!」
フォウ「どうぞ」
フォウと対峙するメルト。宝剣をフォウへと向ける。
メルト「閃光弾(シャングァンダム)」

ボッ!

光の弾がフォウに向け放たれる。
フォウ「魔導ってやつか。だけど!」
軽々と光の弾を避けるフォウ。
メルト「当たらないですか…」
フォウ「今度はこっちの番だ。『リモートオン』」

フォン!

閃光弾により破壊されたフォウの周囲の瓦礫が宙に浮かぶ。フォウの手にはリモコンのような操作装置がある。それのボタンを押すフォウ。
フォウ「いけ!」

ドドド!!

瓦礫がメルトに向かって放たれる。
メルト「わわわ!」

ボッ!

メルトの体を貫通する瓦礫。
フォウ「私の能力『リモートオン』。このコントローラーで無機物を思いのままに操ることができる能力。といってももうあなたには聞こえてないか」

ジジジ…

メルトの体がかすんでいく。姿を消すメルト。
メルト「危ないところでした」
メルトがフォウの背後に姿を現す。
フォウ「なに?」
メルト「『蜃気楼(シェンズィン)』魔導で造り出した幻影です!」
フォウ「おもったよりやるみたいだね。でも『リモートオン』!」

フッ!

メルト「あっ!」
メルトの持つ宝剣がその手を離れフォウの手に握られる。
フォウ「あなたの剣はもらったわ」
メルト「宝剣が!」
フォウ「この剣がなければ魔導は使えないんでしょう。おしまいね」
メルト「私の宝剣を返してください!」
フォウ「返せと言われて返すと思うのか。魔導が使えない魔導士なんて襲るるに足らない」
メルト「ふっ!」
にやりと笑うメルト。
メルト「だれが宝剣がなければ魔導が使えないなんて言いましたか」

バッ!

腰に携えた袋から書物を取り出し、両手に書物を持つメルト。

パラパラパラ!!

書物のページがめくられていく。
メルト「魔導士の力をあまり舐めないほうがいいですよ」

ボゥ!!

メルトとフォウを取り囲むように炎が巻き起こる。
フォゥ「炎?なんのつもり?」
メルト「あなたを倒すつもりです!」

ボッ!

地面から湧き上がる炎。それと共にメルトの姿が炎に隠れ見えなくなる。
フォウ「どこにいった?」
メルト「ここです!」
炎の中から姿を現すメルト。
メルト「はぁ!」
メルトの拳がフォウに撃ち込まれる。
フォウ「ぐっ!」
その一撃は想像よりもはるかに重い一撃だ。
メルト「高鳴(ガオミン)様のために鍛え上げてきた力。その身で受けてください!」

ゴゥゥ!!

空高く舞い上がった炎がフォウを取り囲む。
メルト「無機物でも流体は操作できないようですね」
フォウ「くっ…」
メルト「炎の檻。獄炎があなたを焼き尽くす!『炎熱大牢(ヒュオインジャンユゥ)』!」

ボッ!

炎がフォウの体を包み込む。
フォウ「なに!!」

ゴゴゴゴ!!

四方を囲む炎にその体を焼かれるフォウ。

バシュゥゥ…

フォゥ「か…はっ…」

バタン!

全身黒焦げになり倒れるフォウ。フォウの手から落ちる宝剣。

ジャキ!

宝剣を手に取るメルト。
メルト「魔導士の力。舐めないでください!」

~~

ゴッ!ゴッ!

激しく衝突するサンとウルズの拳。
サン「俺と殴り合えるとはやるな!」
ウルズ「こいつ…なんて力だ」
ウルズの拳は機械の拳。それと殴り合えるほどの力を持つサンの力は異常だ。
サン「なかなか楽しめそうだな!」
ウルズ「こっちは楽しむ気はないんでな。悪いが殴り合いは終了だ。」

バッ!

右手を開くウルズ。
ウルズ「御雷(ミカヅチ)」

バギョォォン!!

ウルズの右手から放たれる高周波がサンの拳を止める。
サン「なんだ…これは?」
ウルズ「弾けろ!」

ボコボコ!!

高周波に触れたサンの右腕が沸騰し、膨張していく。
サン「俺の腕が!」
ウルズ「終わりだ!」
サン「くそがっ!『バイスオン』!」

バッ!

右手を開くサン。

ガキン!

それと同時にウルズの右腕に何かが触れる感触がする。
ウルズ「なんだ?」
ウルズの右腕を挟むように万力が出現する。
サン「握りつぶす!」
サンが右手の指を握るように閉じる。その動きに合わせ万力が勢いよくウルズの右腕を締め付ける。

ボゴンッ!

万力により締め付けられ吹き飛ぶウルズの右腕。
ウルズ「なんだと!?」
サン「汚ねぇ手をつかうんじゃねぇよ。せっかく楽しく戦えると思ったのによ」
ウルズ「くっ…。これがお前の能力か」
サン「『バイスオン』。俺の万力はどんなものでも破壊する。お前の腕は義手でよかったな。もっとパァッと赤い花火が浮かぶのを期待していたんだがな」
ウルズ「…それは残念だったな」
サン「左手じゃさっきの技は撃てなさそうだな。これで心置きなく殴り合いといけるか!」

ゴゥ!

ウルズへと拳を構え殴り掛かるサン。
ウルズ「くっ!」
左手でサンの拳を受け止めるウルズ。

ガン!

サン「でもよぉ。よく考えたらお前と殴り合いするよりも優先することがあったな。今はEGOミストラルシティ支部を制圧しなきゃなんねぇんだ」

ガキン!

ウルズの左手を挟み込む万力。
サン「『バイスオン』」

ボゴンッ!

万力により吹き飛ばされるウルズの左腕。
ウルズ「腕が!」
サン「やっぱりおまえと殴り合いしている時間はないみたいだ。つっても両腕がないおまえと殴り合いはできないか」


ガッ!

ウルズ「ぐっ…」
ウルズの仮面を掴むサンの右腕。

ガキン!

ウルズの仮面の両側に出現する万力。
サン「脳漿(のうしょう)を飛び散らせ!」
ウルズ「やられるかよ!『八咫烏(ヤタガラス)』!」

バッ!

ウルズの右足の大腿部から展開するブレードアーム。

ザシュ!

ブレードにより斬られるサンの右腕。右腕に斬傷を負い、その手の力が緩む。
サン「ぐっ!」
ウルズを掴んでいた右腕が手を放す。
ウルズ「はぁ…はぁ…」
息も絶え絶えのウルズ。
サン「隠し腕とは…やってくれたな。だが一時しのぎだ。ほかに打つ手はない!両腕がないだけにな!がははは!!」
ウルズ「ちっ…」
サン「隠し腕があるとわかっていれば恐れるものもない」

バッ!

両手を開くサン。

ガキン!

ウルズ「うっ!」

ウルズの全長ほどの巨大な万力が出現し、ウルズを挟み込む。
サン「つぶれろ!『バイスオン』!」

ギギギギ!!

ウルズの体をしめつける万力。
ウルズ「ぐぁぁぁ!!」
サン「がはは!潰れ消えろ!」
ウルズ「ま…だだ」
サン「あん?」
ウルズ「昇華機構…解除!」

バシュン!

ウルズの体が金色に輝く。
ウルズ「こいつはとっておきだ…だれにも言うなよ」

ガキン!ガキン!

ウルズの右足が変形していく。巨大な3本爪を思わせる姿へと形を変える右足。
サン「なっ!」

ガッ!

ウルズの右足が変形した三本爪がサンの体を拘束する。
サン「こんなもの!」

グッ!

サンは力を入れるがウルズの右足の拘束を振りほどくことができない。
ウルズ「さぁ。根競べと行こうぜ。お前の万力と俺の右足。どっちがさきに相手をくたばらせることができるか」
サン「いいだろう!やってやる!」
ウルズ「ふっ」ニヤリ
サン「何がおかしい?」
ウルズ「いや…すまないな。もう決着はついているのにこんな茶番をするのが可笑しくてな」
サン「何をいって…」

ボドボド…

三本爪に触れているサンの体が解けるように崩れていく。
サン「なんだこれは!?」
ウルズ「触れたすべてのものを溶解する特殊な毒液だ。毒液のストックはわずかしかない。使えて数回。だからとっておきってわけだ」
サン「か、からだが…」

ジュゥゥ…

3本爪から垂れる毒液によりサンの体がどんどん崩れていく。
ウルズ「『八咫烏身命(ヤタガラスミノミコト)』。お前の命を身ごと崩す」
サン「そ…んな…」

シュゥゥ…

液体のように体が崩壊し消滅するサン。
ウルズ「切り札っていうのは最後まで取っておくもんだぜ。ちょっとだすのが遅すぎたかもしれないがな」

~~

昴「はぁ…はぁ…」
全身に斬傷を負い膝をつく昴。
ツゥ「威勢がいいのは最初だけやったな」

クルクル!

手にもつナイフを回すツゥ。
昴「こいつの攻撃が…全く見えない…」
ツゥ「見えないまま終わりやで!」

シュッ!

ツゥの姿が消える。

ザシュッ!

昴の体を何かが斬りつける。
昴「ぐっ!」

バッ!

昴の背後に現れるツゥ。膝をつく昴の頭の上にナイフの刃を向ける。
ツゥ「もう終いにしようや」

パッ!

ナイフを手から離すツゥ。ツゥの手から離れたナイフは昴の頭に向け落下する。
ツゥ「終わりや」
昴「ニッ!」
不敵に笑う昴。手を眼帯に翳すと…

バッ!

そのまま左目の眼帯を外す。
昴「『プレアデス』!」

キュィィン!

昴の左目が金色に輝く。
昴「『モード・閃光(アステロペー)』!」

ガッ!

昴の頭上に刺さるはずだったナイフが地面に突き刺さる。先ほどまでそこにいた昴の姿は消滅したかのように消えてしまった。
ツゥ「どこにいったん…」

ゴッ!

言葉を言い終わるよりも先に、ツゥの頭の後ろに強烈な痛みが走る。
ツゥ「がっ…!」
いつの間にかツゥの背後から頭に蹴りを放つ昴。蹴りの速さは目にもとまらぬ速さだ。その一撃がツゥを吹き飛ばす。

ドゴン!

その衝撃で近くの建物の壁へと吹き飛ばされ叩きつけられるツゥ。
ツゥ「な…なんやそれは…」
昴「私に託された私の能力『プレアデス』。やっとモノになって来たね」
フリアーデスに与えられた自身の能力について不明な点が多かった昴はミストラルシティ支部に居候してから、マードックに頼み自身の能力の力を研究していた。その結果ある程度力を引き出せるようになったのだ。
昴(といってもまだここ一番という時しか能力を発動できないってのは欠点だね)
『プレアデス』は自身が窮地に陥らないと発動できないというのが現在での検証結果だ。
昴(ずいぶんと使い勝手は悪いけど…その分こっから挽回させてもらうさ!)

バッ!

姿を消しツゥの目の前に一瞬で現れる昴。
昴「『プレアデスモード・閃光(アステロペー)』。閃光のように飛び回る私をとらえることはできやしないよ!」
ツゥ「えらい隠し玉やなぁ…まさかこんな技を隠し持っとったとは思いもせぇへんかったわ。だけど」
昴「?」
ツゥ「ツメが甘いんとちゃいます?」

グッ!

昴の両手足が何かに引っ張られる。
昴「なに!?」
昴が自身の両手足をよく見るとものすごく細いワイヤーが纏わりついている。
ツゥ「『ワイヤーオン』」

パン!

指を鳴らすツゥ。それを合図にワイヤーが昴の両手足を引っ張る。
昴「ぐぅ!」
両手足を引っ張られ大の字のように空中に捕われる昴。

ギリギリ!!

昴の両手足を捕えるワイヤーが締め付ける。
ツゥ「肉を切らせてなんとやらってね」
先ほど昴の攻撃をうけたにもかかわらず平気な様子で立ち上がるツゥ。
昴「このワイヤーがあんたの能力か!」
ツゥ「種明かしは最後にするのが定石ってやつやね。そう、あんさんの言う通りや。これがワイの能力『ワイヤーオン』。極小の超硬質ワイヤーを生成する。ただそれだけの能力や」
昴「能力は使いようってわけかい…」
ツゥ「ようわかってまんな。ワイのワイヤーは利口な奴やねん。柔軟に変化してくれるんや」
超硬質でありながらも状況に応じてネットのように柔らかくも変化し、あるいは空気のごとく触れたものがそこにワイヤーがあるのに気付かないほどにも柔らかくもなる。昴から攻撃を受けた際、ツゥはワイヤーを複数重ねネットのように使いその衝撃を限りなく緩和していたのだ。
ツゥ「もともとこの場所にはワイヤーを張り巡らせておいた。敵の奇襲が来るなら、ここいらやと思ったからなぁ」
昴「そこまで読んでいたのか…なんて奴」
ツゥ「だてに諜報部№2やあらへんってことやね。さ~てこれでほんまに終わりや!」

ピン!

ツゥの手から伸びるワイヤー。それを力強く引っ張るツゥ。

グググ!

次の瞬間ワイヤーを放すツゥ。

シュッ!

ツゥの姿が消える。ツゥはワイヤーをゴムチューブのように柔らかくし、それを引っ張った反動を利用して高速で移動していたのだ。

バッ!

昴の眼前に現れるツゥ。その両手にはナイフが握られている。そのナイフの刃を昴の首へ向けるツゥ。
ツゥ「なかなかおもしろかったで。でもお別れや」
昴「私は死ぬ気はないよ!『モード・暗黒(ケライノー)』」

キュィィン!

昴の左目が黒く輝く。と同時に全身が墨で塗りつぶしたかのように黒くなる。

スカッ!

昴の首に刺さったはずのナイフが空を切る。いや違う。昴の体には刺さっているように見える。変わったのは昴の体だ。
ツゥ「なんやと!?」
昴「体を一時的に気体化させた。使えるのはほんのひと時。でもそれで十分!」

バッ!

肉体が気体化したことによりその体を捕えていたワイヤーの拘束が解ける。
ツゥ「気体なら攻撃もできへん!拘束を解いたところで…」
昴「ふっ」
ツゥ「なんや?何が可笑しい」
昴「罠を張っていたのはあんただけじゃないのさ」
ツゥ「ん?」
地面から何かを感じるツゥ。地面のほうを見るとそこには昴の鞭が巨大な円を描くように置かれていた。その円の中では電磁波が渦巻くように帯電している。

ジジジジ!

昴「超電磁鞭(レールウィップ)。マードックが開発してくれた私用の武器だ。その一撃を受けな!」
昴とツゥの居る位置はちょうど円のど真ん中の上空。ここからでは逃げようにも間に合わない。
ツゥ「まさかワイの策を上回るやと…!」
昴「超電磁崩壊(レールブレイクダウン)!!」

カッ!

鞭の円の中から放たれる光。次の瞬間!

ドゴォン!!

巨大な電磁のレーザーが上空に放たれる。電磁レーザーに飲まれる昴とツゥ。
昴「くらいやがれ!」
ツゥ「あががが!!」

バリバリバリ!!

ツゥの体が焼けただれていく。昴は肉体が気体化していることで超電磁崩壊の影響を受けない。

バシュン!

超電磁鞭のエネルギーがつき、レーザーが消える。
昴「ふぅ…」
肉体が元に戻る昴。彼女の目に写るのは…
ツゥ「……」

シュゥゥゥ…

肉体が焼け焦げているツゥ。意識を失いツゥはその場に倒れている。
昴「え~と…なんだっけ。あんたがいっていた…」
少し考えながらもひらめく昴。
昴「あぁ!そうそう!」

パチン!

指を鳴らす昴。
昴「骨を切らせて肉を焼く!ってね!」

カチャッ!

眼帯をはめる昴。
昴「フリアーデス…この勝利はあんたのおかげだよ」

~~

ファウスト「どうしたその程度か?」
ナル「想像以上だね…」
ファウストに対峙するナル。ナルは全力で戦っているにも関わらずファウストは依然余裕が見える。
ファウスト「君もその程度か。期待した僕が悪かった」
ナル「まだ期待していてくれて構わないよ。必ずあなたの期待を超えて見せるから」
ファウスト「おもしろいな。ならばみせてもらおうじゃないか。君を倒し7分以内にここの支部を制圧する」

熾烈を極めるシングルナンバーとの戦い。ナルは元諜報部ナンバー1に勝つことはできるのか。そしてにろくときゅっぱの戦いの行方は…

SIDE 7 (Limit7(崩壊までの7分))   Fin

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最終更新:2020年05月21日 22:42