極めて近く限りなく遠い世界で

???「うぉぉぉ!!!」

鎧に身を包んだ1人の男がけたたましく咆哮をあげ、突撃する。
その男の眼前には無数の軍勢が待ち構える。

???「くらえー!ガイアズ・ランス!」

男は手に構えた槍を眼前の敵に振りかざす。振りかざされた槍は大地を砕き、周辺の軍勢を吹き飛ばす。
男のすさまじい一撃で多数の軍勢がやられた。しかし軍勢の数は圧倒的であった。男1人が立ち向かうには絶望的な数
それはだれが見ても一目瞭然であった。

???「くそっ!!きりがない!はぁはぁ……」

息を切らす男。男の鎧はそこらじゅう傷だらけになっている。男の様子から見るにこれだけの数の軍勢を相手に男は
何時間も戦い続けているのであろう。男の体力は限界に近いように見える。

???「おいおい?そろそろ限界が近いようだな?ヘレティス2?」

軍勢の中から1人の男が姿を現す。その男は鎧の男をヘレティス2と呼んだ。

???「ヘレティス2。お前を殺し、俺はさらなる高みへと上る!覚悟しろ!」

ヘレティス2「へっ!俺はこんなところでまだ死ぬ気はないぜ!お前がわざわざ出てきたってことはお前を倒すチャンスって
       ことだぜ!ヘレティス1!」

ヘレティス1と呼ばれる男。彼は圧倒的不利な状況に追い込まれているヘレティス2に向けて言い放つ。

ヘレティス1「ほざけぇ!ヘレティス2!!この状況で貴様になにができる!やれ!わが眷属どもよ!
       ヘレティス1を殺せぇ!」

ヘレティス1の号令とともに多数の軍勢がヘレティス2に襲い掛かる。

ヘレティス2「ぐぅぅ!!」

手にもった槍を使い、軍勢の攻撃を防ごうとするヘレティス2。しかし、1対多、多勢に無勢、圧倒的な
戦力差の前にひざをつくヘレティス2。

ヘレティス1「ははは!どうした?威勢がいいのは口だけのようだな、ヘレティス2!!」

ヘレティス2「くそ!こんなところでおれは…」

ヘレティス2が絶望的な状況にあきらめかけたその時…

ヘレティス1「なんだ?やつの腕が…」

ヘレティス2の右腕に紋様が浮かびあがり光を放つ。

ヘレティス2「これは!?」

ヘレティス1「ええぃ!なんだかわからんが、いけ我が眷属たちよ!奴を殺せ!」

ヘレティス1の号令により、再び軍勢がヘレティス2に牙をむく。

ヘレティス2「うおぁ!」

ヘレティス2が咆哮とともに槍を振るう。その一撃により吹き飛ばされるヘレティス1の軍勢。

ヘレティス1「何!?貴様のどこにこんな力が?ならば俺が直々にお前の相手をしてやる!いくぞ、ヘレティス2!」

ヘレティス1は剣を手に取り構えると、ヘレティス2めがけて振り下ろす。

ヘレティス2「うぉぉ!」

手に持った槍でヘレティス1の攻撃を受け止めるヘレティス2。

ヘレティス1「俺はこの戦いに勝って!奴の…」

ヘレティス2「俺は!まだ!」

激しくぶつかり合う二人の攻撃。だがヘレティス2の攻撃に徐々に押されていくヘレティス1。

ヘレティス1「くっ!なぜだ!俺が貴様よりも劣っているというのか!ヘレティス2!」

ヘレティス2「こんなところで俺は死ぬわけにはいかないんだぁ!!」

ヘレティス2の腕の紋様がさらに強い光を放つ。それに合わせるかのようにヘレティス2の力が
増していく。徐々に追い詰められていくヘレティス1。

ヘレティス1「俺は…俺はぁ…!!」

ヘレティス1「貴様なんぞにぃぃぃ!!」

ヘレティス2「な、なんだ!?」

ヘレティス1の左腕に紋様が浮かび上がり光を放つ。

ヘレティス1「くそがぁぁ!!」

先ほどまで優勢だったヘレティス2を押し返すヘレティス1。

ヘレティス2「くっ!!」

ヘレティス1「俺が勝者だーー!!」

ヘレティス2「やられてたまるかー!!」

ぶつかり合う二人。次第に二人の腕の紋様の輝きが増していく。

ヘレティス1「こ、これは!?」

ヘレティス2「な、なんだ!?」

紋様の輝きが光となって辺り一体を包み込む。

ヘレティス1「うぉお!?」

ヘレティス2「うわぁぁ!!」

光り輝く大地。その輝きが終わったとき、そこに2人の姿はなかった。
光の中へと消えた2人。ヘレティス1とヘレティス2。
彼らの戦いは2人の消失という形で終結を迎えたのであった。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2016年08月30日 20:00