???「はぁ~。今日も天気がいいなぁ~。」
公園のベンチで空を眺める青年。彼の眼前には見渡す限りの青空が広がっている。
子供「おーい!まて~」
子供「やだよー!べーだ!」
公園で追いかけっこをする子供たち。
子供「はぁはぁ。」
追いかけている少年が息を切らしている。
子供「へっへー!なんだ!もう降参?」
追いかけられている少年は勝ち誇った表情で台詞をはく。
子供「くっそー!てーい!」
追いかけている少年がもう1人の少年に手をかざす。
子供「うわぁ!?」
ゴォォォという音とともに追いかけられている少年に向かって風が吹く。
急な突風に足をとられる少年。
子供「ずるいぞ~!能力を使うなんて!」
子供「タッチ!僕の勝ち~!」
そんな光景を見ながら青年はふと思う。
青年「今日も平和だな~」
ここはミストラルシティ。いたって平凡な普通の町である。
青年「ん~。今日の晩飯は何にするかな~」
のんきに夜の献立を考えているこの青年。先ほどの公園にいた青年である。
彼の名は天 十也(あまつ とおや)。ミストラルシティに住む普通の青年である。ちょっと普通の人と違うことがあるとすれば
それは彼がこの町に来る前の記憶がないことである。だが彼はなんやかんやで生活していけてるし、たいしてそのことは
気にしていないみたいだ。
十也「んっ?」
十也が自分が住んでいるアパートの近くのスーパー[YASUINデス!!](通称ヤス)に向かっている途中、小さな路地裏でなにやら
いざこざがおきているようだ。
???「おいおい!おまえさんよぉ!どぉ落とし前つけてくれんだ?あぁん!!」
???「ひぃぃ!す、すいません!」
チンピラ風の男に軟弱そうな男が絡まれている。
チンピラ「俺の服が汚れちまったじゃねぇか!」
軟弱そうな男「す、すいません!」
チンピラ「すいませんで済んだら警察はいらねえんだよ!おい、お前!俺のこの服を弁償しやがれ!」
軟弱そうな男「お、おいくらですか?」
チンピラ「そうだな~。ざっと100万円ってとこか!」
軟弱そうな男「ひゃっ、100万!?本当ですか?」
チンピラ「あ~ん?おれが嘘ついてるっていうのか?」
軟弱そうな男「い、いえ…。しかしそんな金額はらえませんよ!」
チンピラ「はらえないだと~?だったらテメーの命で払ってもらおうか!」
チンピラがナイフを取り出す。
軟弱そうな男「ひ、ひぃい!!」
チンピラ「金にならねぇんだったら死にやがれ!」
ナイフを振り下ろすチンピラ。
軟弱そうな男「ひゃぁぁ!」
軟弱そうな男が死を覚悟したその時!
ガキィィイン!!
チンピラ「あぁん?」
チンピラと軟弱そうな男の間に1人の男が割って入っていた。男は手に持った単管(そこらへんで拾った)でチンピラの
ナイフを受け止める。
チンピラ「なんだてめぇ!!」
十也「いや~。どうも目の前で理不尽なことが起こってると見過ごせないたちでね!」
チンピラの前に立って出る十也。
十也「今のうちに逃げろ!」
軟弱そうな男「は、はい!ありがとうございます!」
軟弱そうな男は一目散に逃げ出した。
チンピラ「テ、テメー!俺のカモを逃がしやがって!この落とし前つけてもらうぜ!」
十也「いいぜ!望むところだ!」
チンピラ「威勢がいいあんちゃんだな!だがよぉ!これをみてもその威勢を保てるかな?」
チンピラ「ぬぅぅん!!」
掛け声と共にチンピラの体から無数のとげのような突起物が現れる。
十也「これは!?」
チンピラ「くっくっくっ!!言い忘れていたが俺は‘能力者’なんだぜ!俺の能力は体から無数の棘(とげ)
をだす!この棘でお前を串刺しにしてやるぜ!」
十也「さながら棘人間ってとこか!だけどお前の見た目すげーかっこわるいぜ」
チンピラ「テ、テメー!俺が一番気にしていることを!!絶対許さねぇ!くらいやがれ!」
チンピラが十也に襲い掛かる。体中が棘に覆われたその体に触れれば生身の人間はひとたまりもない。
そう、生身の人間なら。
チンピラ「しねぇー!!」
十也「我が身を覆え!疾風の鎧!コート・オブ・ブラスト!」
チンピラ「な、なんだ!?」
十也の体が風の膜(まく)に包まれる。
ガキィィン!!
チンピラ「うぉぉ!?」
風の膜の中から振り下ろされた槍にはじかれるチンピラ。
チンピラ「まさか!?お前も!」
十也「これが俺の能力。疾風の鎧コート・オブ・ブラスト!」
風の膜が吹き飛びその中から十也が現れる。その姿は鎧に身を包んだ中世の騎士のようだ。
その手には槍が握られている。
十也「さぁ!いくぜ!チンピラ野郎!」
天 十也、彼は普通の人間である。そうこの世界では。
to be continued
最終更新:2016年08月30日 22:09