コード・ウルズは小さな部屋にいた。まるで独房のような味気のない部屋だ。
コード・ウルズ「次の任務か…」
ウルズは自分の仮面に装着された端末に送られてきたメッセージを確認する。
『EGOの支部を未元獣を率いて襲撃せよ』
ウルズ「俺は…」
なにやらウルズは気が乗らないようだ。その表情は仮面を被っているためうかがえないが、いやいや指令を聞いているように見える。
ウルズ「…」
首元のチョーカーを確認するウルズ。それはにろくが付けているものと似ているように見える。
ウルズ(これがある限り俺は奴の指令には逆らえない…)
ウルズはしぶしぶ部屋を出ていこうとする。
ガチャ!
ウルズが部屋の扉を開くより先に外から扉が開かれる。
???「おやおやこんなところにいましたか」
部屋の中に入ってきた人物は見たことがない奴だ。
ウルズ「なんだ?侵入者か?」
???「ふふふ。そうですね。あなたたちから見れば侵入者となるでしょうね」
ウルズ「どうやってここまで入ってきやがった!」
???「今は主が不在の用でしたので楽に侵入できましたよ」
ウルズ「なに?」
俺に指令を出しているあいつが居なかったとはいえ、ここには未元獣や監視カメラなどの防犯設備は万全のはず。それをかいくぐってきたというのか…。
ウルズ「ちっ!」
戦闘態勢をとるウルズ。
???「勘違いしないでください。私はあなたと戦いに来たのではありません」
ウルズ「なんだと?」
???「あなたを救いに来たのです」
男はウルズに近づく。
ウルズ「何を…」
ウルズのチョーカ―に手を伸ばす男。そのままチョーカーをいとも簡単に外してしまう。
ウルズ「なっ!?」
???「これであなたは自由です」
ウルズ「嘘だろ!?このチョーカーはそんな易々と外せるもんじゃないはずだ…」
EGOの秘密諜報部の人間たちに付けられているチョーカー。それがこんな簡単に外れるなんてありえない。
???「この時代の科学技術で作られたものなど私からしたら子供のおもちゃ同然です。解除することなど造作もありません」
この技術で男はここまでの防犯設備を突破してきたのだろうか。
ウルズ「…確かにこれで俺はあいつの指示に従う必要はなくなった…だが外にでれば…」
今まで未元獣を率いてEGOの各支部を襲撃してきた彼はお尋ね者だ。外の世界に出たところで自由はない。
???「でしたらわたしと共に来ませんか?」
ウルズ「おまえと?」
得体の知れない目の前の男は話を続ける。
???「えぇ、そうです。この戦いを終結させるために私と共に来ませんか」
ウルズ「……」
素性がわからない男だ。だが今の状況でとれる手は他にはない。ならば…
ウルズ「わかった。」
???「感謝します。では…」
ウルズ「そういえばお前の名は…」
???「そういえば自己紹介をしていませんでしたね。私の名は
シュウ。よろしくお願いします」
ウルズ「お前が怪しい行動をすれば俺はすぐにお前の仲間からは抜けさせてもらう」
シュウ「えぇ。あなたの目で判断していただいて結構です。では行きましょうか。こんなところにいつまでもいるわけにはいきませんからね」
ウルズとシュウは部屋を後にした。
~火の国アルバンダム~
男性「いい加減はけ!」
ボルク「俺は何も知らない!」
取調室で尋問を受けるボルク。現在行方不明となっている
アポロンだが、EGOの報告では仮面の男がアポロンだという報告もあった。そのためここ火の国ではアポロンと共に旅をしていたボルクがその情報を何か知っているはずと日夜尋問を受けているのであった。
男性「お前と共に旅をしていたアポロン、キノは行方不明。アポロンは未元獣を率いて各都市を襲っているという情報まである」
ボルク「そんなはずがない!あいつがそんなことをするはず!」
男性「ちっ!また独房に入れておけ!」
ガチャン!
独房のカギが閉められる。
ボルク「くそっ!いったい何が起きているんだ…」
真実を確かめるには外に出るしかない。だが自分の力だけではここから脱出するのは不可能だ。能力者専用の独房はそのカギを開けない限り脱出できない。
ボルク「アポロン…キノ…」
???「真実を知りたいか?」
ボルク「なんだ!?」
突如部屋の前に仮面をつけた人物が現れる。
コード・スクード「真実を知りたければ己の足で調べることだな」
スクードは部屋のカギを開ける。
ボルク「なっ!」
スクード「あとはお前の好きにするがいい」
姿を消すスクード。
ボルク「あいつは…いったい…」
部屋から出るボルク。
ボルク「なんだ!?」
部屋の外の警備員たちは全員倒れていた。先ほどの仮面の女性がやったのだろうか。
ボルク(このチャンスを逃したら、真実を確かめる機会はもうない!アポロン、キノ!待ってろよ!)
駆けだすボルク。彼は闇夜に紛れ火の国を後にするのであった。
コード・スクード「うまくいったな。これでますます奴らに対する疑惑は大きくなる。くくく」
~EGOミストラルシティ支部~
十也「…というわけなんだ」
ラウズレイ王国で出会ったコード・スクードのことを説明する十也。
ネオ「カレン君が…」
ネルティア「何故彼女が…」
まさかあのカレンが未元獣たちを率いて破壊活動を行っているなんて。その事実に驚くネオとネルティア。
ネオ「ネルティア君!至急クリュセルス支部に連絡を取ってくれ!」
ネルティア「はい!」
部屋を飛び出し通信室へと向かうネルティア。ネルティアは通信を終えると部屋へと戻ってきた。
ネルティア「クリュセルス支部と連絡が取れません!もしかしたらなにかあったのかもしれないです」
ネオ「くっ!いったいなにが…」
ネルティア「ネオ長官。私はクリュセルス支部へと行ってみます。」
ネオ「そんな!危険だ!」
ネルティア「危険なのは百も承知です。ですが十也さんがみたカレンさんの件もあります。あそこに行けばなにか掴めるかもしれません」
ネオ「…わかった。本部にも連絡を入れておこう。すぐに応援を向かわせるよ」
ネルティア「はい。よろしくお願いします」
十也「お気をつけて!ネルティアさん!」
ネルティア「ありがとうございます」
こうしてネルティアはクリュセルス支部へと向かうのであった。
動き出す状況。それぞれの思惑と想いを胸に彼らは動き出す。求める未来へと…
to be continued
最終更新:2017年09月11日 20:43