十也「キリがないな…」
未元獣は倒しても次から次へとわいてくる。
十也「んっ?」
結利「どうしたの、十也?」
十也「あれは…」
十也が目をやる先には子供らしき人物がうずくまっていた。
十也「逃げ遅れたのか!急いで助けないと!」
子供に駆け寄る十也。
十也「大丈夫か?けがはないか?」
少年「…うん。」
十也「今すぐ安全なところに連れて行ってやるからな」
十也は少年をおんぶしようと背を向ける。
少年「ニヤリ」
少年は不敵に笑う。
少年「死ね天十也!」
少年はいつのまにか手にしていた剣を十也の背中に向かって突き刺そうとする。
結利「危ない!十也!」
ザシュ!
十也「ぐっ!」
少年「ちっ!」
少年の剣は十也の急所を外した。かろうじで少年の攻撃に反応できた十也は回避行動をとったのだ。
十也(急所は外したが…これじゃあ…)
十也は剣で刺された部分を手で押さえる。急所は外れているが深々と刺されたその傷からは出血が止まらない。この状態ではまともに戦うこともできない。
結利「大変!早く処置をしないと!」
十也「あぁ…そうだな。だがこいつは何者だ?ただの少年じゃないな…」
それにこの少年、さっき十也を攻撃したはずの剣を握っていない。剣はいったいどこへ消えたのだろうか。
少年「作戦失敗だな。お前らはだいぶお人よしだと聞いていたからこの方法なら楽に倒せるとおもったんだけどな」
十也「お前は…」
少年「僕かい?僕は
トリス・アレジェーネ。お前たち旧人類の上に立つ存在だよ」
結利「旧人類?」
トリス「そうさ。僕らはお前たち旧人類とは違う。新たな人類、ハイ・ヒューマンだ」
十也「ハイ・ヒューマン…」
旧人類にハイ・ヒューマン。トリスの口から飛び出す聞いたことがない単語。いったいそれは何を意味するのだろうか。
トリス「天十也。今の弱ったお前ならこいつらでも始末するには十分だな」
未元獣「がぉぉぉ!」
突如現れる未元獣たち。
十也「なに!?」
結利「この子、未元獣を操っているの!?」
トリス「いけ未元獣たち!天十也を噛み殺せ!」
未元獣「がぉぉぉ!」
トリスの命令に従うように未元獣たちは十也と結利に襲い掛かる。
十也「くっ!」
先ほどの不意打ちで大きなダメージを負った十也。この状態では未元獣の相手をするのは不可能だ。かといって結利1人ではその相手は厳しいだろう。
結利「ど、どうしよう!」
十也「万事休す…か」
トリス「ハハハ!終わりだね天十也!」
パン!パン!パン!
突如銃声が鳴り響く。
未元獣「が…」
ズン!
倒れる未元獣たち。その頭部には銃弾が撃ち込まれている。何者かが放った銃弾により未元獣たちは倒れたのだ。
トリス「なんだ!?」
レイジ「こちらR1。未元獣対策チームの天十也と
来未結利を発見。状況から見て対峙している少年が敵の指揮官クラスだと思われる」
レイジは耳に付けたインカムで
アルバドと通信をとる。
アルバド『了解した。R1、そのまま指揮官クラスの対処をしろ』
レイジ「了解!」
十也「あいつは…」
以前ミストラルシティに未元獣が襲撃してきたときに十也は1度あったことがある。
十也「レイジ!」
レイジ「久しぶりだな。こいつの相手は俺がする。お前たちは安全なところへ」
十也「すまない。」
結利「ありがとう」
レイジ「気にすることはない。これが俺の仕事だ。」
レイジに助けられた十也と結利はその場から退避した。その場に残ったレイジはトリスと対峙する。
トリス「あ~あ。もうちょっとだったのに。邪魔しやがって!」
怒りをあらわにするトリス。
レイジ「お前が未元獣たちの指揮官か?」
トリス「指揮官?あいつらはただの駒さ。旧人類を滅ぼすためのね」
レイジ「そうか」
パン!
レイジの持つハンドガンから銃弾が放たれる。それはトリスの左胸を撃ち抜く。
トリス「なっ…子供相手に…いきなり…」
レイジ「子供だろうが自らの意思で戦場に出れば兵士だ。手加減はしない。それにこの状況。未元獣を従える指揮官クラスのお前を倒せば戦況は大きく動く」
トリス「なる…ほど…ね。だったら…」
レイジ「なんだ?」
トリス「僕も手加減なしだ!」
トリスの左胸の傷がみるみる治っていく。
レイジ「なに!?」
トリス「D・Eブレード!」
トリスの手から剣が出現する。
レイジ「なんだ…あの剣?」
トリスが手に持っている剣は普通の剣とは様子が違う。その剣は紫色の光を集めたような、まるでエネルギーを固めたような形状をしている。
トリス「くらえ!」
剣を振り下ろすトリス。
レイジ「遅い!(どんな効果がある剣かわからないが当たらなければ問題ない)」
トリスの攻撃をかわすレイジ。
トリス「くくく!まだだよ!!」
トリスが振り下ろした剣の刀身のがぐにゃりと曲がりレイジの方に伸びてくる。
レイジ「曲がる剣か」
レイジはその攻撃もするりと避ける。
トリス「なっ!今の攻撃を避けただって!」
いくら反応速度が速くても不意に起きた予想外の攻撃にここまで反応できるはずがない。
レイジ「おまえの能力は肉体の自己回復とその軌道の読めない剣を持ちいた攻撃か。ならば!」
レイジは腰のホルダーから2丁のハンドガンを取り出す。
バン!バン!バン!
トリス「ぐっ!」
トリスの体に打ち込まれる銃弾。レイジはハンドガンを投げ捨てる。そして体に付けたホルダーから手りゅう弾を取り出す。
ピン!
手りゅう弾のピンを取りトリスに投げるレイジ。
ボン!
爆発した手りゅう弾の破片はトリスの体に突き刺さる。
トリス「ぐあぁ!」
レイジ「反撃の隙は与えん!このまま押し切る!」
胸のホルダーからアーミーナイフを取り出し、トリスに向けて構えるレイジ。
レイジ「いくぞ!」
レイジは構えたアーミーナイフをトリスの頭に目がけて突き刺そうとする。
ザシュ!
レイジのアーミーナイフはトリスの頭には刺さっていない。レイジの体からは血が流れている。
レイジ「ぐっ…なに…?」
???「こいつ、攻撃を喰らった瞬間に急所を避けたか」
???「不意打ちへの対処。実践慣れしているってとこか」
レイジの後ろにはトリスと同じ顔の少年2人が立っていた。そのうちの一人はトリスと同じエネルギーの剣を所持している。その剣による不意打ちでレイジは傷を負ったのだ。
トリス「ふ~。」
トリスの負った傷が治っていく。
トリス「遅かったね、
アージ、ドーヴァ」
アージ「ここの奴らが思ったより抵抗するからね」
ドーヴァ「トリスも苦戦しているんじゃないの?」
トリスと同じ顔の少年。2人はアージとドーヴァというらしい。
レイジ(こいつら3ツ子の能力者なのか?…だがなんにしてもこの状況はまずい…)
ドーヴァの不意打ちにより軽傷とはいえダメージを負った状態で敵の指揮官クラス3人を相手にするのは無謀だ。
トリス「さーて。形勢逆転だね。」
レイジ「くっ…(どうする…)」
ドーヴァ「さっさとやっちゃおうよ!」
アージ「そうだね。」
トリス「とっととこの街を制圧しようか!」
3人は紫色の光を放つエネルギーの剣を構える。
レイジ「くっ…やらせるわけには!」
ドーヴァ「はぁぁ!」
ドーヴァは剣をレイジに向かって振り下ろす。レイジはその攻撃を避け、ドーヴァにハンドガンを撃ち込む。
ドーヴァ「…いたいなぁ、もう。」
ドーヴァの傷は瞬時に治る。
レイジ「こいつも自己治癒を!」
アージ「驚いている暇はないよ!」
アージがレイジに斬りかかる。
レイジ「ちっ!」
アーミーナイフでアージの剣を受け止めハンドガンによる反撃を行う。
アージ「無駄無駄ァ!」
ドーヴァとトリスと同じくアージも受けたダメージを回復していく。
トリス「僕たちに勝てるわけないだろ!」
ドーヴァ「旧人類ごときが!」
レイジ(このままでは…)
3人は1人がレイジと正面から対峙し、残り2人が常にレイジの死角に来るような動きで襲ってくる。
レイジ(これでは…対処しきれない…)
アージ「いつまでもつかな?」
自己治癒能力によりダメージを回復し、攻撃の軌道が変わる謎のエネルギーの剣を使う3人を相手に次第に押されていくレイジ。
トリス「しつこいなぁ!いい加減倒れろ!」
トリスの剣がレイジに振り下ろされる。
レイジ「ぐっ!」
ドーヴァの不意打ちにやられた傷により反応が一歩遅れる。
ドーヴァ「終わりだよ!」
レイジ「間に合わない!」
トリスの攻撃だけなら何とかかわせるかもしれないがこの状況で残り2人の攻撃まではかわし切れない。
バン!バン!
2発の銃声が鳴り響く。
ドーヴァ「ぐっ!」
アージ「ちっ!」
ドーヴァとアージの手には銃弾が撃ち込まれた穴が開いている。
トリス「なんだ?」
突然の銃撃に驚きあたりを見回すトリス。しかし銃を撃った相手の姿は見つからない。
レイジ「これは…」
レイジに通信が入る。
ヴァイス『は~い!おまたせ、レイジ!』
レイジ「遅いぞR2」
ヴァイス『ごめんね。なかなかいい狙撃ポイントが見つからなくてね。でも遅れた分の仕事はきっちりさせてもらうわよ!』
レイジ「了解した。ではいくぞ!」
ヴァイス『おっけ~!!』
未元獣を操る謎の少年たち。レイジとヴァイス、R部隊の2人は彼等を倒しミストラルシティを守ることができるのだろうか。
to be continued
最終更新:2016年12月09日 22:36