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e のない e 本




Wikipedia の「竹内結子」さんのページを見ると、エッセイが2冊、フォトエッセイが2冊ある。意外にも写真集は1冊。

CMのせいか、スレンダーでまっしろな素肌や、ノースリーブからしなやかに伸びる腕や肩の印象がある。しかし、実力派女優によくある映画などでの“濡れ場”、ヌードシーンは記憶にない。グラビアなど水着の姿もあまり見かけない。

周知のとおり、比較的若くに二十五才で第一子を妊娠・出産しているから、露出の多い仕事は極力ひかえたのかもしれない。

はじめて見たのは、2008年フジの『薔薇のない花屋』。朴訥(ぼくとつ)な香取慎吾に、愛らしい子役のしずくちゃん。かなり作り込まれた複雑な設定は、野島伸司氏の脚本。そして嫌われ役が三浦友和。エンディングの山下達郎にも魅入られ、すっかり心をうばわれた思い出がある。ガシガシ。。。


腹部を切り裂く意味...


web 上の動画を見返すなかで、ふと気になったことがある。ドラマ『ストロベリーナイト』のポスター。紺色のスーツ姿の主人公の腹部から、ザクロのようなイチゴがボロボロとこぼれ落ちている。

同作品は、竹内以外みごとに汗くさい中年男だらけで構成されている。勝ち気で男まさりな主人公は、警視庁で殺人犯捜査の刑事。くわしい内容はひかえるが、主人公は学生時代に夜の公園で襲われた過去がある。腹部をナイフで刺されたうえ、どうやらレイプされたらしい。

とある回の冒頭で、公園に遺棄された死体を確認しながら、主人公がつぶやく場面がある。「腹部を切り裂く意味とは……」

じつはこの腹を割くというグロいモチーフが、のちの主演作『ミス・シャーロック』でもくりかえされている。爆殺された死体の腹部を、主人公はかきまぜるようにして手がかりを探る。


偶然? それとも...


男性にとって腹を割くといえば、忠臣蔵のような切腹や、 三島由紀夫の割腹自殺、あとはせいぜい盲腸や悪性腫瘍の摘出手術くらいだろう。

ところが、これが女性となるといろいろな意味が輻輳(ふくそう)する。ゲスの勘ぐりといわれればそれまでだが、脚本家・演出家、そしておそらく竹内さん自身がそこに込めた真意を、視聴者、とりわけわたしを含めた男たちはどれだけ受け取れただろうか。。。


身体にメスを入れる意味...


乳がん手術、帝王切開、自然分娩
性交、レイプ、破瓜月経、子宮がん、子宮頸がん。
タトゥーピアス、リストカット、人工中絶整形手術豊胸手術

どこまでも想像するしかないのだけれど、たぶん、女性にとって、月経も性交も、そして出産も「腹部を切り裂く」行為なんだろうと思う。意に関わらず腹部から流れ出る血、異物を体内へ受け入れる行為、自分の分身をみごもり生み落とす痛み。


帝王切開...


カイザー、cesarean section。
妊娠や出産をモチーフにした映像作品や文学作品はあまたあるし、死産流産、出産にともなう母体の死も神話時代から登場する。医療がテーマのテレビドラマも無数にある。それにくらべて、ずばり帝王切開にスポットをあてた作品はどのくらいあるだろう?

Wikipedia「帝王切開」の項を見ると、「出産数全体における帝王切開の比率は日本の一般病院で24.8%」という数字が出てくる。

さらに「厚生労働省」でアンド検索すると、「帝王切開で出産する人の割合は1990年には病院で11.2%、診療所で8.3%でしたが、2017年ではそれぞれ25.8%、14%となり、27年間で倍増」という日経DUAL の記事がある。

「実は4分の1が帝王切開 緊急時に慌てない基礎知識」(日経DUAL、2019.09.30)
https://dual.nikkei.com/atcl/column/17/101900009/091800104/

解説によると、帝王切開が増えた理由は「医療的に無理をしなくなったこと」「予期せぬ事故が起こるリスクを可能な限り回避するため」「母体年齢が上がっていること」が考えられるという。

出産の四分の一ということは、二人の子どもを出産するとしたばあい、五〇%の確率で妊婦は帝王切開を経験していることになる。帝王切開じたいがニュースになることがほぼ皆無のせいか、正直、おどろきました。

男性はもとより、女性のどのくらいがこの数値を承知しているのだろう? 高齢出産少子化や人工妊娠が連日報道されるのにくらべ、話題の影に隠れてインビジブルになっているということか。。。

出産そのものが未体験なのに、それに加えて生涯、身体に傷あとが残ることを余儀なくされる。出産後うつ、育児ノイローゼ、マタニティブルー。。。意のままにならない、そもそも意中になかったことを選択の余地なく突きつけられれば、わが子を得る代償とはいえ、いっさい悩まないでいられるのは難しいだろう。

若い女性のあいだで温泉めぐりがブームなのも、ここに遠因のひとつがあるのかもしれない。

乳がん手術の傷跡を持つ女性は、高齢であっても、同性どうしであっても、温泉や公衆浴場へ行くのをためらうという。奇異の容姿は好意・悪意にかかわらず耳目をひきやすい。そもそも温泉は快楽・楽しみを求めて集うところ。そこに目立つ術痕の残る姿を見せれば、無邪気な快楽に水をさすことにもなる。

ふたたび Wikipedia から。
帝王切開は「「縦切開(正中切開)」と「横切開」がある。旧来は「縦切開」が多かったが、現在では美容的観点及び回復時の負担軽減を見込み「横切開」が多くなっている」「緊急帝王切開においては通常、縦切開」であるという。

帝王切開痕のほかにも、妊娠線黒線(正中線)、乳首の色素沈着、ボディラインなど出産にともなう女性の身体の変化は少なくない。

出産そのものは、一般人であっても芸能人であっても多くは祝い事なので公表されるが、そのさい帝王切開であるかどうかを公表することは、そう多くない。

出産にともなう身体の変化が目立つことは、芸能人にとって、演技できる役柄、衣装、シーンがせばめられてしまうとこは想像に難(かた)くない。。。が、一個人にそう思わせて、責任を負わせてしまっているとするならば、それは芸能界の、ひいては社会全体の未成熟のせいの気もする。


Pretender/プリテンダー...


『薔薇のない…』のなりすまし視覚障害者、『チーム・バチスタ…』のタートルネックのおとぼけ白衣、『ストロベリー…』の激情をあらわに黒髪を振りみだす紺スーツ、あどけなさに悲壮を押し込めた『真田丸』の淀殿。

演技の真髄は、いつわること。
だれを? じぶんを。
仮面とペルソナと、詐欺(さぎ)師。
あの微笑みも。。。?


振り返れば彼女がいる...


フラジャイルでない人、生きるのに不器用でない人なんてたぶんいないだろうし、そういう人たちがこの世に存在してはいけない、なんてこともない。絶対。

三谷幸喜さんの連載エッセイ「ありふれた生活」(朝日新聞、2020.9)を読みました「彼女のエッセーを読みたいと思った」という意見に同感です。

承知のように昨今の映画やテレビドラマは、撮影から放映までの時間がやたら長い。出演者は、仮にトーク番組やエッセイを書ける場を持っていたとしても、撮影中の細かな内容にふれることはできないし、逆に放映時には相当の時間がすぎている。フリートークできるころには、すでに別の作品に入っている。言いたくてもいえないアクトレス/アクターの孤独。

まったく屈託のない彼女の笑顔。
コンフィデンシャル=俳優。
人をあざむく仕事。じぶんの心をあざむく虚構の仕事。
あの微笑みは。。。



2020年12月31日:初稿
2021年1月3日:公開
2021年1月14日:更新
しだひろし/PoorBook G3'99
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  • 本文中、Wikipedia へのリンクを追加しました。 -- しだ (2021-01-04 17:26:49)
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最終更新:2021年01月14日 17:52