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MT*2_6-新羅人の武士的精神について 池内宏 - (2009/09/02 (水) 21:57:05) の編集履歴(バックアップ)


特集 花郎(ファラン)

2009.8.29 第二巻 第六号

新羅人の武士的精神について
池内宏

月末最終号:無料  p.91 / *99 出版
付録:別冊ミルクティー*Wikipedia(43項目)p.259


(略)そうして新羅の地理上の位置は、他の諸国に比してすこぶる遜色(そんしょく)がある。半島の東方に偏在して、海岸線が短かく、山岳が多くて肥沃(ひよく)なる大平野がない。のみならず直接に大陸と交通する便宜(べんぎ)を欠いていたから、文化の発達もおくれていた。だからこの国が周囲の圧迫にたえてゆくには、是非ともおのずからたのみとする力強い何ものかを持たねばならぬ。そういうものがなければ、国家の存立すら危(あや)うくなる。いわんや進んで国力を振張(しんちょう)せんとするにおいてをやである。祖国の擁護(ようご)のためには身命をかえりみない武士的精神、——忠と勇とを基調とする愛国的精神は、かような関係から自然に涵養(かんよう)せられたであろう。のみならずそれがまた奨励(しょうれい)せられたであろう。そうしてことに真興王(しんこうおう)の領域拡張の結果、百済・高句麗二国の共同の圧迫が、いっそう強く加わるようになると、それに正比例して、こういう精神はますます強烈の度を加えたにちがいない。それは上に目(もく)をかかげた忠臣義士の伝が、いずれもこの時代に属するのを見てもあきらかである。かくのごとき国家多難の時代において、特にその衝(しょう)にあたった偉大なる政治家には金(きん)春秋(しゅんじゅう)があり、抜群(ばつぐん)なる武将には金(きん)�信(ゆしん)があった。これら二人の努力の結果は、ついに新羅をして半島全体の主人たることに成功せしめた。しかも彼らの背後には、彼らを支持する有形無形の民衆的の強い力のはたらいていたことを認めなければならないのである。
2_6.rm
(朗読:RealMedia 形式 360KB、2'54'')


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(492KB)

池内宏 いけうち ひろし
1878-1952(明治11.9.28-昭和27.11.1)
東洋史学者。東京生れ。東大教授。朝鮮・満州史を研究。著「満鮮史研究」「元寇の新研究」など。祖父は儒学者の池内大学。朝鮮総督の依頼で満鉄調査部歴史調査部にて実証主義的(考証的)な満蒙・朝鮮の東洋古代史研究の基礎を確立した。朝鮮古代史の乏しい資料の中で花郎の研究、また慶長の役などの全体像を描き出すことに尽力したことでも知られている。

◇参照:Wikipedia、『広辞苑』。


底本

底本:『滿鮮史研究 上世第二册』吉川弘文館
   1960(昭和35)年6月15日発行
初出:『史学雑誌』第40編、第8号
   1929(昭和4)年6月稿
NDC 分類:221(アジア史.東洋史:朝鮮)



2009.9.2:公開
目くそ鼻くそ/PoorBook G3'99
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