M-Tea*3_20-光をかかぐる人々 続『世界文化』連載分 三 徳永 直
2010.12.11 第三巻 第二〇号
光をかかぐる人々[続]
『世界文化』連載分(三)
徳永 直
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定価:200円 p.175 / *99 出版
付録:別冊ミルクティー*Wikipedia(62項目)p.452
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飛び出せ! 週刊ミルクティー*
第一に、ダイアはアルファベット活字製法の流儀にしたがって鋼鉄パンチをつくった。凹型銅字母から凸型活字の再生まで嘉平や昌造と同様であるが、字画の複雑な漢字を「流しこみ」による鋳造では、やさしくないということを自覚していること。自覚していること自体が、アルファベット活字製法の伝統でそれがすぐわかるほど、逆にいえば自信がある。
第二は、ダイアはたとえば嘉平などにくらべると、後に見るように活字製法では「素人」である。嘉平も昌造も自分でパンチを彫ったが、そのダイアは「労働者を使用し」た。(略)
第三に、ダイアの苦心は活字つくりの実際にもあるが、もっと大きなことは、漢字の世界を分析し、システムをつくろうとしていることである。アルファベット人のダイアは、漢字活字をつくる前に漢字を習得しなければならなかった。(略)
さて、ペナンで発生したダイア活字は、これから先、どう発展し成功していったかは、のちに見るところだけれど、いまやパンチによる漢字活字が実際的に誕生したことはあきらかであった。そして、嘉平や昌造よりも三十年早く。日本では昌造・嘉平の苦心にかかわらず、パンチでは成功しなかった漢字活字が、ダイアによっては成功したということ。それが、アルファベット人におけるアルファベット活字製法の伝統と技術とが成功させたものであるということもあきらかであった。そして、それなら、この眼玉の青い連中は、なんで世界でいちばん難しい漢字をおぼえ、活字までつくろうとするのか? いったい、サミュエル・ダイアなる人物は何者か? 世界の同志によびかけて拠金をつのり、世界三分の一の人類の幸福のために、と、彼らは、なんでさけぶのか? 私はそれを知らねばならない。それを知らねば、ダイア活字の、世界で最初の漢字鉛活字の誕生したその根拠がわからぬ、と考えた。
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(朗読:RealMedia 形式 448KB、3'37'')
徳永 直 とくなが すなお
1899-1958(明治32.1.20-昭和33.2.15)
熊本県飽託郡(現熊本市)生まれ。1922年上京、博文館印刷所(後の共同印刷所)に植字工として勤務。1925年に「無産者の恋」「馬」などを発表。翌年共同印刷争議に敗れ、同僚1700人とともに解雇。1929年この時の体験を基にした長編「太陽のない街」を『戦旗』に連載。『新日本文学』に長編「一つの歴史」を完結させないまま世田谷の自宅で病没。享年59。
◇参照:Wikipedia
徳永直、『広辞苑 第六版』(岩波書店、2008)。
底本
難字、求めよ
アレン・フリトン 東インド会社員。
リンゼイ 東インド会社員。
島谷政一 著『印刷文明史』。
拒けられ しりぞけられ?
『華字日報』
『遐迩貫珍』
セラムボール、セラムポー → セラム島か
セラム島 Seram (Ceram) Pulau マルク州(インドネシア共和国)の島。モルッカ諸島の一部であり、バンダ海とセラム海に挟まれた位置にある。東西に長い島。
むしとりホイホイ
土佐の高杉 【長州か】
独立した。近代 → 独立した、近代 【、か?】
まだ、極度に → また、極度に 【た、か?】
が、ここで判斷 → か、ここで判斷 【「か」か?】
上海新聞 → 上海新報 【報、か?】
英之助 → 栄之助 【栄、か】 森山栄之助(多吉郎)。
底本は左辺のとおり。
スリーパーズ日記
二〇日(月)晴れ。一六日に降った初雪はすっかり消える。『松岡正剛の書棚』(中央公論新社、2010.7)読了。『マガジン航』がテキストを連打。読むほうが追いつかない。
おぼえがき。つづき。「電子化したファイルを、インターネットで公開しているのは、呼びかけ人です。著作権侵害等の問題があった際、責任を問われるのは、その者達です」と富田さんからの返答。その心づもり・責任感には、ひたすら頭がさがるばかりなのは世辞ではない。が、はたしてその理屈、将来にわたって破綻をおこさないものだろうか。
(1) 該当テキストは『龍馬——』以外にも今後増加することになる。
(2) レセプションメンバーが完全代替わりした後にも問題化はありうる。
言わずもなか、食わずもなか。杞憂、杞憂。
2010.12.21:公開
ちょろーん。コックリ坂からゲゲゲ伝。
はなくそがかりの、はなくそばかり。PoorBook G3'99
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