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MT*2_1-奇巌城 モーリス・ルブラン - (2009/07/29 (水) 09:14:36) のソース

*2009.7.23 Vol.2 No.1
奇巌城(一)
モーリス・ルブラン 菊池寛(訳)
|COLOR(red):月末最終号:無料| p.195 / *99 出版|
付録:別冊ミルクティー*Wikipedia(6項目)p.59

※ オリジナル版に加えて、ミルクティー*現代表記版を同時収録。
※ JIS X 0213・ttz 形式。
※ この作品は青空文庫にて公開中です。翻訳・朗読・転載は自由です。
(c) Copyright is public domain.

「十分わかりました。第一、レイモンド嬢が塀の外の小路で君を見たという時間に、君はたしかにブールレローズにおられた。君はまちがいなくジャンソン中学の学生で、しかも優等生であることがわかりました。」
「では、放免してくださいますか?」
「もちろんします。しかし、先日話しかけてやめてしまった話のつづきを、ぜひしていただきたい。二日間も飛びまわったことだから、だいぶ調べは進んだでしょう。」
(略)「ガニマールさん、いけない、いけない、ここにいらっしゃい。ボートルレ君の話は十分聞くだけの値があります。ボートルレ君の、するどい頭を持っていることはなかなかの評判で、英国の名探偵エルロック・ショルムス氏のいい対手(あいて)とさえいわれているのですよ。」(略)
 伯爵が室を出ていったあとで、判事は今度は、犯人のかくれている宿屋のことのついてたずねた。ボートルレの答えは、また、ちがっていた。ボートルレの答えによると、犯人は宿屋などにはいないというのである。宿屋へ運んだように見せかけたのは警察をたぶらかす陥穽(わな)であった。犯人はたしかにまだ、あの僧院の中にかくれている。死にそうになっている病人をそんなに運び出せるものではない。あの火事さわぎをやっている間に、医学博士を僧院の中へ案内した。医学博士が宿屋だといったのは、犯人たちが博士をおどかして、あのようにいわせたのだとボートルレは語った。
「しかし、僧院の中は円柱が五、六本あるばかりで……」
 判事は不思議がった。
「そこに、もぐりこんでいるのです。」とボートルレは力をこめてさけんだ。「判事さん、そこを探さなければ、アルセーヌ・ルパンを見つけだすことはできません。」

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(朗読:RealMedia 形式 368KB、2'57'')


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[[週刊ミルクティー*Vol.2 No.1>http://www33.atwiki.jp/asterisk99?cmd=upload&act=open&pageid=120&file=milk_tea_2_1.zip]] ※ ダウンロードを開始します。
(392KB) 

モーリス・ルブラン Maurice Leblanc
1864-1941(1864.11.11-1941.11.6)
フランスの小説家。ノルマンディーの都市ルーアン生まれ。40代のときに友人の編集者に依頼されて「ルパン逮捕される」を書いて評判を博す。以来、1905年から1939年まで四半世紀以上にわたって「アルセーヌ・ルパンシリーズ」を執筆。『奇巌城』(原題:L'aiguille Creuse(空洞の針)は1909年の発表。訳題「奇巌城」は日本で最初にルパン全集を訳した保篠龍緒による。

菊池寛 きくち かん
1888-1948(明治21.12.26-昭和23.3.6)
香川県高松市生まれ。小説家、劇作家、ジャーナリスト。芥川竜之介・久米正雄らと第3次・第4次「新思潮」を発刊。京大英文科卒業後、時事新報社会部記者を経て小説家となる。私費で雑誌『文藝春秋』を創刊、成功を収める。「無名作家の日記」「忠直卿行状記」「恩讐の彼方に」、戯曲「父帰る」「藤十郎の恋」などを発表。日本文藝家協会・芥川賞・直木賞を設立。大映初代社長を務める。作家の育成、文芸の普及に貢献。
◇参照:Wikipedia、『広辞苑』。


*底本
http://www.aozora.gr.jp/cards/001121/card46187.html
底本:「小学生全集第四十五巻 少年探偵はなし」興文社、文藝春秋社
   1928(昭和3)年12月25日発行
NDC 分類:023

 
2009.7.29:公開
目くそ鼻くそ/PoorBook G3'99
翻訳・朗読・転載は自由です。
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