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高校三年――4月EX

【高校三年 ―― 4月EX】

京太郎「(と言ってみたものの…だ)」

京太郎「(アレからレジェンドの顔色は悪くなる一方だった)」

京太郎「(まぁ…悪くなると言っても、他の部員たちは気づいていない)」

京太郎「(レジェンドが疲れているのがわかってるのは俺やしず、憧くらいなものだろう)」

京太郎「(それ以外に分かりそうな奴はもう皆卒業してしまったし…)」

京太郎「(だからこそ、気を配ってやらないといけないんだけど…)」

京太郎「(でも…社会人…かぁ)」

京太郎「(まぁ、確かに…俺にはまだその重圧は分かんないよ)」

京太郎「(バイトはしてるけど…でも、それだけだしな)」

京太郎「(だけど…だからってそれを理由に疲れてるあいつを見て何もしないってのは…な)」

京太郎「(ただ、まだ学生である俺がレジェンドの為にしてやれる事ってのは本当に少なくて…)」

京太郎「(…俺、思った以上にあいつに何も返せてないんだな…)」

















宥「…あれ?きょーくん?」

京太郎「あ、姉さん…」

宥「きょーくんもお散歩?」

京太郎「あぁ、ちょっと気晴らしにな」

宥「…何かあったの?」

京太郎「んー…まぁ、社会人ってのは難しいなぁって…さ」

宥「…え?きょーくん就職するの?」

京太郎「あ、いや、そっちじゃなくて…えっと、ほら、レジェンドの事で…」

宥「先生の事…?何かあったの?」

京太郎「実は…あいつ最近、頑張りすぎてるみたいで…さ」

京太郎「最近は少しずつ顔色も悪くなってきて…若干心配なんだけど」

京太郎「それを口にしたら社会人だから仕方ないって聞かなくて…」

宥「ぅーん…」















宥「それできょーくんは何とかしてあげたいって思ってるの?」

京太郎「あぁ…ま、相手はレジェンドだけどさ」

京太郎「でも、何もしないで倒れられたりしたら目覚めも悪いし…」

京太郎「それに今、インターハイ前の大事な時期だから…」

宥「…ふふ」

京太郎「ぅ…」

宥「そういう時は素直に先生が心配だって言っても良いんだよ?」クスッ

京太郎「べ、別にあいつの事なんて心配じゃねぇって」

宥「もう…変なところで素直じゃないんだから」

京太郎「ぅ…いや、でもさー…」

宥「そうやって意地ばっかり張ってたら…大人になれないよ?」

京太郎「うぐ…」

宥「だから、ほら、大人になる為に…ね?」

京太郎「あー…姉さんには本当勝てないな…」

京太郎「ま…ちょっと心配ではあるかも…しれない…ことも無きにしもあらず的な…」

宥「…もぉ。ダメだよ?そういうの」

京太郎「か、勘弁してくれよ…」カァ















京太郎「そ、それより姉さんは買い物か何かか?」

宥「ううん。今日は天気も良いからお散歩しようと思って」

京太郎「なんだ。誘ってくれればよかったのに」

宥「だって…きょーくんもインターハイ前で忙しいだろうし…」

宥「あ、それと…もうメール送ったけど、優勝おめでとう」ニコッ

京太郎「おう。姉さんが応援してくれたお陰だよ」

宥「ううん。そんな事ない…きょーくんの実力だよ」クスッ

宥「結局、玄ちゃんとは違って…私は本当に応援しかしてあげられなかったから…」

京太郎「それでも十分、力になったよ。ありがとうな」

宥「うん。えへへ…♪」

京太郎「で、お礼として姉さんさえ良ければ散歩に付き合いたいんだけど…」

宥「…良いの?」

京太郎「あぁ。どうせ今日は何の予定もなかったしな」

京太郎「たまにはのんびりしたいし…良いか?」

宥「…うん。勿論だよ」ニコッ
















宥「最近、麻雀部の方はどう?」

宥「男子の方にも後輩が出来たのは聞いたけど…」

京太郎「あぁ、そこそこ順調だぞ」

京太郎「新しく出来た後輩二人もインターミドルで活躍してた奴だからな」

京太郎「チーム戦のやり方はわかってるし…今年も良いところまで行けそうだ」

宥「ふふ…優勝出来る…とは言わないんだ」

京太郎「…ま、そう容易く優勝させてくれない奴が男子にはいるからな」

京太郎「そいつさえ抑えられれば優勝は夢じゃない…だけど…」

宥「不安?」

京太郎「…ま、その気持ちがないとはやっぱり言えないよな」

京太郎「三年間殆ど前に進めてなかった俺と違って、あっちは現役バリバリだ」

京太郎「そのブランク差を今から埋めようとするのはかなり厳しい」

宥「…そうなんだ…」
















宥「でも、大丈夫だよ」

京太郎「え?」

宥「だって、きょーくんは何時だって頑張って…そして結果を出してきたんだもの」ナデナデ

京太郎「…今回だってそうなるとは限らないぞ」

宥「でも、きょーくんはその為に努力しているんでしょう?」

京太郎「…あぁ」

宥「その努力はきっと…ううん、間違いなく無駄にならないよ」

宥「別に…負けたらそこで終わりって訳じゃないんだもの」

宥「そんなに思いつめずに…やっていこう…?」

京太郎「…でも」

宥「それでも出来ないって言うんだったら…私が胸を貸してあげる」

京太郎「え?」

宥「だって私おねーちゃんだもん」クスッ

宥「きょーくんが泣きたい時は…何時だって受け止めてあげるよ」

宥「弱音も不安も…全部、おねーちゃんが溶かしてあげるから…ね」ナデナデ

京太郎「…姉さん」
















ポツ

京太郎「…あれ?」

宥「…ふぇ?どうかした?」

京太郎「いや…今、なんか冷たいのが…」

宥「え…?嘘…今日、晴れだって…」ポツ

京太郎「ってやば…!これ本格的に…!」

宥「ふぇ、ふぇええ…!ど、どうしよう…!?」ブル

京太郎「と、とりあえず…雨宿り出来るところ…!」キョロキョロ

京太郎「(って…ねぇよ…!)」

京太郎「(やばい…適当に歩いてたのが完全に裏目に出た…!)」

京太郎「(この辺りには民家もないし…店もないし…!)」ポツポツポツポツ

京太郎「(く…!や、やばい…!本格的に降り出してきた…!)」

京太郎「と、とりあえず…姉さん!これ被って…!」

宥「え?でも、これ…きょーくんの上着…」

京太郎「良いから!後…ちょっと走るぞ」

宥「ぅ…ぅん…!!」


















京太郎「(その時の俺にとってそれは最善の行動だったと思う)」

京太郎「(俺の上着はびしょびしょになったけれど…でも数分後には雨宿り出来る場所を見つけた)」

京太郎「(だけど…その僅かな間ににわか雨はその雨脚を強くして…)」

京太郎「(姉さんもまた俺の上着ごとびしょ濡れになってしまった)」

宥「ぅ…ぅぅ」ブルブル

京太郎「…大丈夫か?」

宥「だ…ぃじょぶ…」ブルブル

京太郎「(…そして春先とは言え、びしょぬれになった姉さんが無事でいられるはずがない)」

京太郎「(その言葉そのものは強がっているけれど、でも、その顔はもう真っ白になっていた)」

京太郎「(ただでさえ美白だった宥さんから血の気が失せていくその顔は正直、見ていられない)」

京太郎「(このままじゃ風邪を引いてしまうのが分かりきっていただけに尚更だった)」
















京太郎「(だけど…俺にどうすれば良いのか)」

京太郎「(一番は旅館の人に連絡して姉さんを迎えに来てもらう事なんだろう)」

京太郎「(でも、この辺りは電波が悪い所為か、中々、松実館に電話が繋がらない)」

京太郎「(お陰で姉さんがどんどん凍えていって…あぁ、くそ…)」

京太郎「(ドラマとかならこういう時にお互いを温めあったりするんだろうけど…)」

京太郎「(でも、野晒しになったバス停の中でそんな事出来るはずもないし…)」

京太郎「(…だけど、このままじゃ姉さんはどんどんと体調を悪くして…)」

京太郎「(くそ…せめて近くに服を乾かせるような場所でもあれば…)」

京太郎「(…ん?服を乾かせる場所…)」

京太郎「(そういや…この辺りって学校の近くだよな…)」

京太郎「(ここからなら走れば五分くらいで着くし…)」

京太郎「(や…今の姉さんが走れる訳ないからもっと時間は掛かるだろうけれど…)」

京太郎「(…でも、ここでこうして姉さんが凍えていくのを見ているよりはマシかな…)」

京太郎「…あの、姉さん…提案があるんだけど?」

宥「な…何…?」ガチガチ

京太郎「ここでこうしてても…寒いだけだからさ。学校に行かないか?」

宥「が…がっこ…ぅ?」

京太郎「あぁ。学校に行けばシャワーも浴びられるし…風も防げるから少しはマシだと思う」

宥「ぅ…ん。行く…よ」ガタガタ

宥「でも…私、もうあんまり…動けない…から…」

京太郎「わかってる。最悪、俺がおぶさっていくから…安心してくれ」










【阿知賀学院】

京太郎「ふぅ…大丈夫か?」

宥「ぅ…ご、ごめ…ん…ね」ブルブル

京太郎「良いよ。姉さん軽いしさ」

京太郎「(それに…こんな状況だけど背中に当たるおもちがふにふにって…)」

京太郎「(やっぱりブラ越しでもはっきり分かるくらい…すげー柔らかいんだな…姉さんの身体…)」

京太郎「(って…そうじゃない。それより…)」

京太郎「ま、まずシャワーを浴びよう」

京太郎「着替えは無いけど…俺のシャツギリギリまで絞れば簡易のタオルになるし…」

京太郎「髪の水気はドライヤーで消せるから、今よりはマシになるはずだ」

宥「う…ん」

宥「私…もう分かんない…から…」ガタガタ

宥「きょ…きょーくんの好きに…して…」

京太郎「ぅ…お、おう…」ドキッ

京太郎「じゃ、とりあえず背負った状態で悪いけど…このままシャワー室に行くぞ」

宥「ぅん…」ギュッ













【シャワー室】

宥「ぅ…ぅぅぅ…っ」ブルブル

京太郎「(えーっと…とりあえずシャワーコックひねって…水はお湯になるのを待って…)」

京太郎「(後は…姉さんの服を脱がせれば良いんだけど…)」

京太郎「…姉さん、自分で服脱げそう?」

宥「ご、ごめ…無…理ぃ」プルプル

京太郎「…だよなぁ…」

京太郎「…ごめん。また今回も裸にするけど…」

宥「…う…ん。良い…よ」

宥「きょーくん…には…もう一杯…見られて…るから…」

京太郎「あぁ…うん。そうだよな…もう何回目だって話だよな…」

京太郎「…ごめん。もうこんなことないように気をつけるから…」スッ

宥「くぅ…」

京太郎「よいしょっと…やっぱ重い…なこれ…」

宥「はぅ…ぅ…」

京太郎「ね、姉さん…もうちょっと力抜いて…」

宥「ぅ…頑張る…けど…」

京太郎「大丈夫。俺に任せてくれれば…すぐ終わるから」

宥「ほん…とう?」

京太郎「あぁ。すぐ暖かくしてあげるから…」

宥「わ、わかった…でも…」

京太郎「おう。痛くしないって約束するから」













宥「ふあ…ぁ…♪」ポワァ

京太郎「どうだ?少しはマシになったか?」

宥「う…ん♥とっても暖かぁい…♪」

京太郎「そっか。じゃ、俺はこっちで乾かしてるから…」

宥「…ダメだよ」ギュッ

京太郎「ちょ…!ね、姉さん…!」

宥「きょーくんの身体だってこんなに冷えてるよ…?」スッ

京太郎「い、いや…だけど、姉さん今、下着姿だし…」

宥「…でも、もう私、きょーくんに裸見られちゃってるよ…?」

京太郎「そ、それは…だけど…」

宥「だから…ここで一緒に暖まっていこ…?」

京太郎「つ、つっても…ここ男子シャワー室だぞ…」

京太郎「もし、誰か来たらやばいし…誰かが外で見張ってないと…」

宥「その時は…きょーくんがおねーちゃんの事隠してくれるでしょ…?」スッ

宥「その為にも…一緒にシャワー浴びてくれないと…おねーちゃんやっぱり不安だよ…」

京太郎「あー…あー…くそ…わかった…わかったよ…もう…」













宥「ふふ…なんだか…ドキドキするね…♥」

京太郎「そりゃ…お互い下着姿だしなぁ…」

京太郎「それに…敷居あるお陰でスペース狭いし…」

宥「あ、ごめん…私が太ってるから…」シュン

京太郎「いや、姉さんは大分小柄な方だよ」

京太郎「寧ろ、俺の方こそ肩幅とか無駄にでかくてごめんな」

宥「ううん…大丈夫だよ」

宥「それに…そっちの方が…ドキドキしちゃう…から」

京太郎「ぅ」

宥「…と、時々…ね。肩が触れちゃうと…ドキンってして…」

宥「お、おねーちゃん…胸の中熱くなっちゃうの…」ソッ

京太郎「そ、それは…えっと…あの…」

宥「だ、だから…ね。私…嫌じゃない…よ」

宥「あ、暖かいの…好きだから…きょーくんと触れるの…も…大好き…だか…ら」カァァ

京太郎「そ、そっか…う、うん…何より…だ」

宥「ぅ…ん…」
















京太郎「で、でも俺、そろそろ良いから」スッ

宥「え…で、でも…」

京太郎「だ、大丈夫。俺はもう暖まったしさ」

京太郎「先に出てタオル作っとくから宥さんはもうちょっとゆっくりしといてよ」

宥「あっ…」

京太郎「(…危ねー危ねぇ…)」

京太郎「(あのままギュって来られたら…ムスコが本気でスタンダップしちゃうところだった…)」

京太郎「(それはな…幾ら何でも洒落にならないっていうか…社会的に死ぬって言うか…)」

京太郎「(一回姉さんは許してくれたけど…でも、二回目は流石にないだろうし…)」

京太郎「(ちょっと名残惜しいけど…やる事は沢山あるし…先にそっちを片付けていかないとな…)」

















京太郎「(とりあえずシャツ絞って…)」ギュゥゥ

京太郎「(あー…布地が痛むな…)」

京太郎「(折角、憧に選んでもらったお気に入りだったけど…でも、ま、仕方ないか)」

京太郎「(姉さんが凍えるよりはマシだろうし、思いっきり硬く絞って…っと)」ギュウゥ

京太郎「(後はドライヤーで服を乾かして…ってまぁ、これはそのままやろうとすると数時間掛かるだろうけどさ…)」

京太郎「(ま、ここまでくれば電波は届くだろうし、後で松実館に電話して玄にでも着替えを持ってきてもらえば良い)」

京太郎「(問題は俺の方だけど…ま、その辺はきっとなんとか…)」


ガヤガヤ


京太郎「っ!?」

京太郎「(え…ちょ…マジかよ…!?)」

京太郎「(なんでこのタイミングでシャワー室に人が近づいて…!)」

京太郎「(雨がふりだしたのはもうかなり前で水泳部だって休みのはずなのに…!!)」

京太郎「(い、いや…ともかく…姉さんの服は俺の脱衣カゴの下に入れて…!)」

京太郎「(宥さんを隠さないと…)」ガララッ

宥「…ふぇ?」マッパ












京太郎「…ぇ?」

京太郎「(姉さんって乳輪思ったよりでかいんだな…)」

京太郎「(後、下の毛も結構濃くって…水が滴っていくのがすげーエロい)」

京太郎「(その上、お尻もプリンって大きくてむしゃぶりつきたい形をしてるっていうか…)」

宥「あ…あ…あ…っ」カァァ

京太郎「(ってガン見してる場合じゃない!!)」

京太郎「ご、ごめん!姉さん…人が…!」

宥「ひ、人…!?嘘…!」

京太郎「と、とにかく…ごめん。また一緒に…」

宥「ぅ…ん…わ、わかった…!じゃ…あの…こっちに…!」

京太郎「ごめん。ホント…ごめん!」

ガララッ

「あれ?もう誰かいるのか?」

「ま、土砂降りだったからなぁ…」

「それより早くシャワー浴びようぜ…寒いって」














宥「…ん…ぅ」モジモジ

京太郎「うぁ…」

京太郎「ね、姉さん…そんなモジモジしたら…」コゴエ

宥「ご、ごめん…でも…ドキドキしちゃって…」コゴエ

宥「ま、また…こんな密着して…私…」ギュッ

京太郎「ごめん…でも、ちゃんと隠さないと…見つかったら大変な事になるし…」

京太郎「そ、それに…男のシャワーなんてすぐ済むから…」

「あー…でも、着替えどーするべ」

「適当にそこらに干して乾かしとけば良いだろ」

「時間潰すのは携帯弄ってりゃ良いしなぁ」

京太郎「え?」

宥「ひぅ…」












京太郎「(って事はこいつらこのままここに居座るつもりか…!?)」

京太郎「(まずい…そうなったら幾ら何でも不審がられる…)」

京太郎「(そうなったら…終わりだ…)」

京太郎「(くそっ…どうする…?どうするべきだ…?)」

宥「き…きょーくん…」ブルッ

京太郎「(…あー…そうだな)」

京太郎「(不安なのは俺よりも…敵地に一人取り残された状態の姉さんなんだ)」

京太郎「(ここで俺が焦ったら余計に姉さんが不安になる)」

京太郎「(俺も不安だし…どうしたら良いのか分からないけれど…)」

京太郎「(でも…このままじゃジリ貧って事が分かっているのなら…!)」

京太郎「…大丈夫。俺に任せて」

京太郎「今の間に…ゆっくり…ゆっくり脱衣所の方に行こう」

宥「で、でも…」

京太郎「大丈夫。俺がちゃんと護ってやる」

京太郎「絶対にあいつらに姉さんを見つけさせる事なんてしない」

宥「…ぅ…ん。わかった…」

宥「…私、きょーくんの事…信じてるから…」ギュッ

宥「だから…絶対…護って…ね」

京太郎「あぁ。お任せあれってね」















京太郎「(結果から言えば、逃避行は上手くいった)」

京太郎「(シャワーの音が良い感じに気配を消してくれたのだろう)」

京太郎「(俺達はそのまま濡れた服を掴んで、麻雀部室へと逃走した)」

京太郎「(でも、ろくに服を着る暇もなかった俺たちにとって以前、状況は最悪なままだ)」

京太郎「(特に姉さんの身体は今はまだしも、後々、冷えてくる事は分かりきっている)」

京太郎「(先に絞ったシャツである程度水気を落とせはしたものの、それは次善策ですらないんだから)」

京太郎「(ついでにかっぱらってきたドライヤーで温風を当てればいくらかマシになるだろうけど…)」

京太郎「(でも、それは下手をすれば低温やけどしかねない行為だ)」

京太郎「(そもそもそうやって暖められる部分が一部分だって事を考えれば、それはあまりにも効果が薄い対策だろう)」

京太郎「(あーくそ…せめて麻雀部に暖房でもついてたら話は別なんだけどな…)」

京太郎「(ここは昔ながらのストーブだし…燃料もついこの間使いきってしまった)」

京太郎「(お陰で暖まるものなんて何処にもないし…)」














宥「きょーくん…」

京太郎「あ、着替え終わったか?」

宥「うん…ごめんね」

京太郎「いや、どうして謝るんだよ」

宥「だって…私がこんな体質じゃなかったら…」

宥「こんな大変な思いなんてしなくて済んだのに…」シュン

京太郎「…いいんだよ」

宥「でも…」

京太郎「大変だったのは確かだけど、スリル満点のかくれんみたいで楽しかったしさ」

京太郎「って…見つかったらアウトだった姉さんに言う事じゃないか。ごめんな」

宥「ううん…」

京太郎「あー…」

宥「…」

京太郎「(下着姿の姉さんを見るのが気まずくて…背中を向けたままだけど)」

京太郎「(凄いシュンとしてる気配がこっちにありありと伝わってきている)」

京太郎「(俺は正直…無事で終わってよかった、で済んでいるんだけれど)」

京太郎「(自身の体質で迷惑をかけたって思い込んでいる姉さんにとってはそうじゃないんだろう)」

京太郎「(でも…そんな姉さんに何を言ってあげれば良いのか…)」

京太郎「(俺にはどうしてもそれが分からなくて…)」














宥「くしゅん…っ」

京太郎「あ…大丈夫か?」

宥「う…ぅん…」

京太郎「(…いや、大丈夫じゃないよな)」

京太郎「(水気を拭き取った分、身体は今、急速に冷えているはずだ)」

京太郎「(そもそもシャワーでちゃんと身体が温まるはずもないし…)」

京太郎「(せめて何か寒さをしのげるものがあれば良いんだけど…)」キョロキョロ

京太郎「…あ」

宥「どうかした…?」

京太郎「…ちょっとまってくれ…よいしょっと…」ガタッ

宥「…え?」

京太郎「ほら、カーテンって結構厚手だろ?」

京太郎「だから…少しは寒さもしのげるんじゃないかって思って…」カチャカチャ

京太郎「よし…外れた」

京太郎「とりあえず…姉さんはこれを着ておいてくれ、その間に俺は玄に連絡しておくから」

宥「うん…ごめんね」

京太郎「大丈夫大丈夫。何とかなるって」














京太郎「んー…」プルル

京太郎「(誰も出ないなー…)」

京太郎「(電話の近くに誰もいないのか?)」

京太郎「(仕方ない…また後でかけ直すか)」ピッ

京太郎「(ま、折角ドライヤーもある事だし…姉さんの服でも乾かしておこう)」ゴー

京太郎「(って…そういえば姉さんはどうしてるんだろう?)」

京太郎「(さっきから何も聞こえないけれど…)」チラッ

京太郎「って…あれ?」
最終更新:2014年01月31日 22:42