【高校三年 ―― 5月EX】
京太郎「(って事でサプライズの準備はばっちり)」
京太郎「(移動時間なんかも頭に入れて…完璧だ)」
京太郎「(これで勝利条件はクリアされた)」
京太郎「(俺の勝ちは揺るがない…)」
京太郎「(…ま、だからと言って慢心していられる訳じゃないけどさ)」
京太郎「(サプライズなんてねじ込んだ以上、予定通りに事が進むはずねぇし)」
京太郎「(また世の中、予期せぬトラブルが起こるなんて日常茶飯事だからな)」
京太郎「(荷物も出来るだけそれに備えられるものにしてるとは言え…)」
京太郎「(油断していられるほどデート経験豊富な訳じゃないし)」
京太郎「(ま、格好良いところ見せられなくても玄たちが楽しんでくれたらそれで勝ちだから気分は楽だけどさ…)」
宥「京太郎君」
京太郎「っと…宥さん…ってあれ?玄は…」
玄「…ぅ」チョコ
京太郎「…なんでお前、宥さんの背中に隠れてるんだ?」
玄「え、えっと…それは…」
宥「…ほら、玄ちゃん。大丈夫だから」
玄「で、でも…」
京太郎「…なんか具合でも悪いのか?」
玄「う、ううん!そんな事ないよ!」
京太郎「そうか…?それなら良いんだけど…」
玄「…ぅ」モジモジ
京太郎「…ま、出てこないなら仕方ないか」
京太郎「それより…宥さん似合ってるよ」
京太郎「マフラーも新しく卸してくれてるんだな」
宥「うん…私…あんまりオシャレ出来ないから」
宥「せめて…ここだけはって…」
京太郎「んな事ねぇよ。コートだってよそ行き用の上等なやつ着てくれてるじゃないか」
京太郎「そのコート、宥さんが着ると凄い大人っぽく見えるからさ」
宥「えへへ…っ♪」テレ
京太郎「それに…コートだけじゃなくて中もすげー…綺麗だ。大人っぽい」
京太郎「(…実際、黒地にファーが沢山のそれは宥さんをとても大人っぽく見せていた)」
京太郎「(多分、この姿を見て宥さんがまだ成人すらしてない女性だとは思わないだろう)」
京太郎「(大人の女性としての落ち着きや色気、それらがシックで上品なコート一つで何倍にも強調されている)」
京太郎「(それだけならまだしも…その中に着てるのは白黒でラインを作っているニットワンピなんだ)」
京太郎「(横縞のそれは宥さんのかなりなおもちに押し上げられている)」
京太郎「(横縞は太って見える効果がある所為か…普段よりも一回りくらい宥さんのおもちが大きく見えて…)」ゴクッ
京太郎「(あ、いや…まぁ…それはともかく…スカートもフレアの入ったミニだ)」
京太郎「(勿論、そんなもの寒がりな宥さんが好んで着るはずがない)」
京太郎「(だって、そこからのびる黒タイツに包まれたむっちりとした足は今にも震えそうになっているんだから)」
京太郎「(靴も普段は履かないようなベージュ色のロングブーツだし…)」
京太郎「(自分に出来る範囲でかなり気合を入れて…オシャレしてくれているのが伝わってくる)」
宥「ふふ…だっておねーちゃんだもん」
宥「たまには大人っぽいところ見せておかないとって…そう思って」
京太郎「あぁ。すげー大人っぽいよ」
宥「…ドキドキしてくれた?」
京太郎「あぁ。色っぽ過ぎて抱きしめちゃおうかと思った」
宥「ふふ…してくれても良いんだよ?」スッ
京太郎「…ま、俺もしたいのは山々なんだけどさ」
京太郎「ここで宥さんに負けちゃうと、背中のおねーちゃんっ子に拗ねられちゃいそうだし」
玄「…ぅ」ギュッ
宥「…ほら、大丈夫だよ」
宥「きょーくん…おねーちゃんだって褒めてくれたんだから」
宥「玄ちゃんが頑張ったの…ちゃんと評価してくれるよ」
玄「ぅ…京太郎君」チラッ
京太郎「おう。どうした?」
玄「わ、笑わないで…ね…?」スッ
京太郎「(そう言って出てきた玄は何時もよりも大分、活動的な格好だった)」
京太郎「(桜色のニットソーはドルマンスリーブのゆったりとしたデザインだ)」
京太郎「(首元についているリボンが可愛さをアピールするそれは微かにラメが入っていてキラキラとしている)」
京太郎「(七分袖から伸びる手はスラリと細長く、女性らしさをアピールしていた)」
京太郎「(下はデニムのショートパンツ)」
京太郎「(太ももの辺りが微かに色落ちしてはいるけれど、それはそういう加工だからだろう)」
京太郎「(ぴっちりと玄の太ももを締め付けるそれはストレッチが効いているのかあまり窮屈そうではなかった)」
京太郎「(その下のブーツも活動的なもので、玄さんとは違って全体的にカジュアルに纏まっている)」
京太郎「(…ただ、それで済ませるつもりがなかったのは普段はみにつけない各所のアクセサリーが証明していた)」
京太郎「(その頭に小さなラピットファーのベレー帽を被っているし…手首には銀色のブレスレットがある)」
京太郎「(首からぶら下げた金色のネックレスと同じロゴが入っている辺り、何かのブランド品かセット売りだったのか)」
京太郎「(どちらにせよ、全体的にカジュアルに纏まってはいるけれど、それは本当のカジュアルじゃなくって…)」
京太郎「(いわゆる、デート向けの…オシャレ系カジュアルな格好だった)」
玄「え、えっと…ね。これでも…い、色々考えたんだけど…」
玄「食べ歩きなんだから…や、やっぱり歩きやすい方が良いかなって…」
玄「い、色々迷って…だから…あの…」
玄「で、デートとか…初めてだったから…あの…えっと…」モジモジ
京太郎「……カワイイよ」
玄「ふぇっ!?」カァァ
京太郎「なんだよ。思った以上に気合入れてくれるんじゃねぇか」
玄「は…ぅぅ…」
京太郎「つーか、お前、そんな帽子持ってたんだな…結構似合ってるぞ」
玄「ほ、ホント!?」
京太郎「あぁ。それに迷子になった時も見つけやすくて良いな、これ」
玄「こ、子どもじゃないんだから迷子になったりしないよ」カァァ
京太郎「ま、普段は行かないところに行く訳だしな。なった時の話だよ」
京太郎「でも…この帽子、宥さんも持ってなかったっけ?」
玄「うん!おねーちゃんとお揃いなんだよ!」エヘヘ
宥「ふふ…私もかぶってきた方が良かったかな…?」
京太郎「いや、それはそれで見てみたかったけど…まぁ、目標にするよ」
宥「目標?」
京太郎「あぁ。二人が次も俺とデートしてそれを被ってきてくれても良いように…さ」
宥「…じゃあ、ずっと帽子は封印しとかなきゃだね」ネー
玄「ねー」ネー
京太郎「ちょ、なんで!?」
玄「ふふ…秘密なのです。それよりほら…早く行こう?」
玄「そろそろ電車来ちゃうよ!」
京太郎「あっ」
京太郎「…ったく、急に元気になりやがって…」
宥「ふふ…許してあげて」
宥「アレでも玄ちゃん夜中までずぅっと服装悩んでたから…」
京太郎「そうなのか?」
宥「うん。私がもう寝かせてーって言っても寝かせてくれなかったくらいだもん」クスッ
宥「…それだけ玄ちゃんは今日の事楽しみにしてたんだよ?」
京太郎「…んじゃ、それだけ楽しめるようにしてやらないとな」
宥「…ちなみに…ね」ギュッ
京太郎「ん」
宥「…私も同じだよ」
宥「私も…今日の事すっごい楽しみにしたんだから…ね?」
京太郎「…あぁ。解ってる」
京太郎「『姉さん』もちゃんと楽しめるようにするから」ギュッ
宥「ふふ…期待してるからね♪」
玄「あっ!二人だけ手を繋いでずるい!」
玄「京太郎君!私も私も!」
京太郎「はいはい。んじゃ、玄はこっちな」スッ
玄「はーい。えへへー♪」
【某駅】
玄「…わぁぁ…」
京太郎「噂には聞いてたけど…すげーなこれ」
宥「大きいねー」コナミカン
玄「でも、あんまり古都らしさがないのです」
京太郎「どっちかっていうと最近のデザインって感じだもんなぁ…」
玄「それは奈良も似たようなものだからあんまり人のこと言えないかも…」
京太郎「ま、確かに…でも、これはちょっとなぁ…」
宥「ガラス張り…暖かそう」ホワァ
京太郎「実際はあんまり暖かい訳じゃないらしいぞアレ」
宥「そうなの?」
京太郎「あぁ。外見からは想像出来ないくらい日光が入ってこないらしい」
玄「まぁ、取り入れすぎると夏場とか大変な事になるもんね」
京太郎「そうそう。ま、見栄えだけのものって訳だな」
宥「なんだか勿体無いなぁ…」
玄「で、ここから目的地までバスでどれくらいなの?」
京太郎「45分ってところかな」
宥「結構、掛かっちゃうね…」
京太郎「まぁ、景色見て駄弁ってれば割りとすぐだろ」
宥「そうだね。ここまでもお話ばっかりですぐだったし…」
玄「それにまだまだ話したいこといっぱいあるからね!」
京太郎「はは。楽しみにしてる…と、まぁ、その前に市バスの一日乗車券買っとくか」
玄「一日乗車券?」
京太郎「今日は食べ歩きって事で色々バスに乗る事になるからさ」
京太郎「区間がある程度決められてるとは言え、一日乗り放題のパスがあった方が安くつくし」
宥「おさいふが寒くなったら大変だもんね…」ブルッ
京太郎「そうそう。ま、一人500円だし色々観光とかしてたらすぐに元は取れるさ」
【市バス内】
玄「…でもね」
京太郎「うん?」
玄「…建物とか見てるとあんまり古都っぽくないよね」
京太郎「どっちかっていうと駅周辺はかなり発展してるからなぁ…」
玄「阿知賀もこれくらい発展すれば良いのに…」
宥「そうなると…お客様いっぱい来てくれるかな?」
玄「きっと来てくれるよ。毎日予約でいっぱいになるくらい!」
宥「えへへ…大変だけどとっても暖かそう…♪」
京太郎「つーか今でさえオフシーズンはかなり忙しいと思うんだけど…」
玄「そう?でも、一応、ちゃんと回せるよ」
京太郎「お前はな。バイトはひぃひぃ言ってるっての」
玄「…京太郎君は?」
京太郎「俺?俺はまぁ…流石に慣れたけどさ」
玄「えへへ…良かった♪」
【○山】
京太郎「…で、ここが噂の嵐○かー…」
玄「人いっぱいだねー」
京太郎「ま、休みだしな。外国人の人も結構いるし」
玄「えへへ…でもいい匂い一杯してくるね!」
宥「暖かそうな匂い…」
京太郎「この通りは観光客も多いだけあって激戦区らしいからなー」
京太郎「ま、とりあえず適当に立ち寄って食べていこうぜ」
玄「うん!」
宥「あ…あそこ美味しそう…」スッ
玄「…赤にぬき?」
京太郎「あぁ。京都では昔からゆでたまごの事をそう呼ぶらしい」
京太郎「今の人がそれを普通に使ってるかどうかはすげー疑問だけどな」
宥「私達がコテコテの奈良言葉使わないのと同じだね」
京太郎「ま、そういう感じだ」
京太郎「とりあえず気になるなら食べてみようか」
玄「あ、プリンもあるみたい」
京太郎「どっちでもいいぞー」
宥「…じゃ、私が赤にぬき食べる」
玄「じゃあ私はプリンだね。後ではんぶんずっこしよっか」
宥「うん」ニコッ
京太郎「んじゃとりあえず1つずつ買ってみるか」
京太郎「すみませーん」
京太郎「…どうだ?」
宥「…うん。茹で卵だよ」
京太郎「まぁ、幾ら何でも茹でただけじゃそう変わらないだろうし」
京太郎「とは言え、ここ卵屋さんでもあるから新鮮なのは確かだろうけどな」
宥「うん。でもね…初めてくる所だからかな」
宥「こうして座ってると…ほっこりして凄い落ち着く」ニコッ
京太郎「それは何より」
京太郎「ま、これから結構歩く事になるからさ。今のうちにゆっくりしようぜ」
宥「うん」ニコッ
玄「はふぅ…」
京太郎「プリンの方も大分、気に入ってるみたいだな」
玄「うん!プリプリして甘くって美味しいよ!」
京太郎「…もうちょっと分かりやすく」
玄「え、えぇっと…うーんっと…」
玄「あっ!ケーキ屋さんで売ってるプリンみたい!」
京太郎「まぁ、確かにコレ以上ないくらい分かりやすいけど」
玄「え?」
京太郎「ま、でも、こうして堂々と売ってるだけあって卵美味しいよな」
玄「うん。幾らでも食べられそう」
京太郎「ダメだぞ。これから一杯美味しいもの食べるんだからな」
玄「はーい…」
宥「ふふ…じゃあ…そろそろ行く?」
京太郎「そうだな…とりあえず適当に○山向けて歩いていって…」
玄「あ、駄菓子屋さんだ」
宥「京都にもまだ残ってるんだねー…」
京太郎「阿知賀でも絶滅危惧種だからな…」
玄「後継者不足って何処も深刻だから…」
宥「経営的には問題なくても…足腰が追いつかないからって閉めるお店結構あるからね…」
京太郎「まぁ、松実館は玄たちがいるからまだ大丈夫だろうけど」
玄「……え、えぇと…」
京太郎「…ん?どうしたんだ玄」
玄「い、いや…その…京太郎君も…」
宥「…ふふ。すとっぷ」
玄「はぅ」
宥「焦るのは分かるけど…ダメだよ」
玄「…うん」
京太郎「ん?どうかしたのか?」
宥「なんでもないよ。…ただ」
京太郎「ん?」
宥「私達は松実館に愛着のある人じゃなかったら…結婚とかそういうの嫌だなって…」
京太郎「あー・…確かにほぼ確実に婿入りする訳だしな」
京太郎「松実館は収入の殆どが常連客な訳だし…相手の事が好きだけじゃ確かに厳しいかも…」
玄「で、でも…ね」
京太郎「ん?」
玄「京太郎君は…松実館の事…すきだよね?」
京太郎「当たり前だろ。何年もバイトしてる訳だし」
京太郎「殆ど従業員と変わらない年数働いてるし…愛着だって他のバイトよりは遥かに強いって」
玄「えへへ…♪」
宥「ふふ…良かったね、玄ちゃん」
京太郎「…ん?あれ?」
京太郎「…なぁ、今のってどういう…」
玄「あ、今度はコロッケ屋さんだって」
宥「できたて…暖かそう…」ホワァ
玄「あ、80円か。観光地だから高いと思ったけど、思ったよりも低いね」
宥「買っちゃおう。一杯買っちゃおう」ググッ
京太郎「ダメだって」
宥「あぅ…」
京太郎「でも、サイズはそれほどでもないし一人一個くらいなら全然行けるかもな」
宥「…私は二個くらい…」
京太郎「だーめ」
宥「きょーくん…いじわるしないで…」ジィ
京太郎「う…そ、そんな目で見てもダメだっての…」
京太郎「つか、まだ序盤も序盤なのに二個はまずいって」
京太郎「最後の方食べられなくなるぞ」
宥「だけど…」
京太郎「…んじゃ俺の分、半分分けてやるから」
宥「本当…!?」パァァ
玄「えへへ…買って来たよー」
宥「…きょーくん…あの…」
京太郎「解ってるって。ほら、あーん」
宥「…えへ…♪あーん…」パクッ
玄「あ、良いな、おねーちゃん…」
京太郎「玄も欲しいか?」
玄「良いの?」
京太郎「おう。ほら、あーんしろ」
玄「えへへ…あーん…♪」
京太郎「…やっぱなし」スッ
玄「ふぇぇ…な、なんでぇ!?」
京太郎「いや、お前にまでやったら俺の分なくなるし…」
玄「じゃ、じゃあ私の分分けてあげるから…!」
京太郎「そこまでして俺に食べさせて欲しいのかお前は」
玄「ぅ…だ、だってぇ…」
京太郎「じゃ、ほら…あーんしろ」
玄「…今度は意地悪しない?」
京太郎「しないって」
玄「じゃ、じゃあ…あーん…」
京太郎「あーん…」
玄「…」パクッ
玄「…んふふ…♪」
京太郎「満足したか?」
玄「うん!…あ、いや、ダメだよ。全然満足出来てない」
玄「だから…また今度、あーんしてね」
京太郎「はいはい…ん?」グイッ
宥「…きょーくん…私ももっとぉ…♥」
京太郎「あー…ごめんな。ほら、あーん」
宥「あーん…♪んふ…ぅ♥」
京太郎「しっかし…何時も疑問なんだけどさ」
宥「え?」
京太郎「宥さんって暖かいものはガンガン食べるけど中々、太らないよな」
宥「そ、そんな事ないよ。体重はまた増えちゃってるもん」
玄「でも、その分、おねーちゃんはおもちが大きくなっているのです」ドヤァ
宥「な、なんで知ってるの…ぉ」カァァ
玄「ふふーん。日課のおもちマッサージの際にバッチリ把握済みですのだ」ドヤヤァ
京太郎「お前そんな事してたのか…」
玄「おもちマイスターとしての私の使命は国宝級おもちのおねーちゃんを最高のおもちに育て上げる事だからね!」グッ
京太郎「まだ言ってるのかそれ…」
京太郎「ま、でも、確かに宥さんのは大きくなって来たよな」
宥「…ん…も、もぉ…きょーくんまで…知らない…っ」プイッ
京太郎「あ、怒らせちゃった…」
玄「…あれ?でも、なんで京太郎君、おねーちゃんのサイズ知ってるの?」
京太郎「え゛っ!?あ、いや…その…」
玄「はっ…もしかして…」
京太郎「あ…い、いや…それはだな…えっと」
玄「京太郎君もおもちマイスターとしての使命についに目覚めたんだね!」キラキラ
京太郎「…え?」
玄「苦節数年…ようやく自分の気持ちに素直になってくれたなんて嬉しいよ!」グッ
京太郎「あ、あぁ…まぁ…その」チラッ
宥「……」ジィ
京太郎「そ、そうだなー。そう…なのかなぁ…?」
玄「えへへ…じゃあ、これからも二人でおねーちゃんのおもちを育てていこうね!」
宥「えっ」
玄「あれ?どうかしたおねーちゃん」
宥「な、なんでそこで二人で育てるって結論に…」
玄「それは勿論、私と京太郎君が今や魂の絆で結ばれた仲間だからだよ!」ドヤァ
京太郎「…その、ごめんな、宥さん…」
宥「ううん…私の方こそ…こんな玄ちゃんにしてごめんなさい」
玄「え?二人共どうしたの?」
玄「おっもちおもち~♪」
京太郎「上機嫌だなぁ…」
玄「それは勿論!」
玄「だって…私の昔からの夢が一つ叶ったんだから」ギュッ
京太郎「何ともまぁ後ろ向きというかある種切実というか」
玄「…え?」
京太郎「…まぁ、でも…それならもうちょっと素直になってやればよかったかな」
玄「ふふーん。私は最初から全部見抜いていたのです」ドヤァ
京太郎「っていうか寧ろ、お前の影響で嗜好が傾いた気さえするけどな…」
玄「…えーそんな事ないよ。京太郎君には私が仲間と認めるほどの秘めたる素質がずっとあったんだから」
京太郎「それはそれで複雑なんだけど…ってあれ?宥さん?」
宥「…は、はわわ…」
宥「き、きょーくんが玄ちゃんの仲間に…」
宥「きょーくんのご両親になんてお詫びすれば…」
京太郎「…いや、何もそこまで深刻に考えなくても…」
宥「だ、だって…お、おもちマイスターって…アレ…だよね」
宥「毎日、おっぱい揉まなきゃ息が詰まりそうになって…人と会った時は一発でサイズ見破らなきゃいけなくて…」
宥「普通にしている時もおっぱいの事考えてるような…そんな人たちなんでしょ…?」フルフル
宥「そ、そんな変態さんにきょーくんがなってしまったなんて…私…私、なんて責任を取れば良いか…」
京太郎「…お前、何時も宥さんに何してるんだ」
玄「さ、流石にそこまで酷くはないよ…?」
京太郎「でも、毎日、宥さんのおもち揉んでるんだろ?」
玄「うん」
京太郎「はい。ギルティ」ムニー
玄「ふにゃぁー」ノビー
京太郎「…で、宥さんは…立ち直ってくれ」
京太郎「俺はそこまでアレじゃないから」
宥「ほ、本当…?」
京太郎「あぁ。つか…そこまでアレなのは玄くらいなもんだし…」
京太郎「俺はその…あくまでそういうのが好きってだけで玄ほど滅茶苦茶じゃ…」
宥「…じゃあ、私のおっぱい揉んだりしなくても大丈夫…?」
京太郎「え?」
宥「だ、だって…そんな変態さんになったら…普通に生活する事だって出来ないし…」
宥「それならきょーくんが治るまで…責任取って私がおっぱい揉ませてあげなきゃって…」
京太郎「……」
京太郎「……」
京太郎「……」
宥「…きょーくん?」
京太郎「あ、いや、大丈夫!大丈夫だから!そういうの要らないからな!うん!」
宥「本当?」
京太郎「あぁ!本当本当!大丈夫大丈夫…あぁ…大丈夫…だから…」スッ
玄「…京太郎君、素直になっても良いんだよ?」
京太郎「誰のせいだと思ってるんだ、このバカ玄」ムニー
玄「ふやぁぁ…」ノビー
京太郎「さて…もう大体食べ終わったかな」
宥「うん…思ったよりお腹いっぱいになっちゃった」
玄「おもちとかそういうお腹に溜まるものばっかりだったもんね」
宥「うん…だけど、あんまり私が食べられないものもあって…」
京太郎「あー…その辺はごめんな」
宥「ううん。冷たいのが食べられない私が悪いの」
宥「それに…もんじゃまん美味しかったから」
宥「あげたての天ぷらとかも普通にあって満足したよ」ニコッ
玄「個人的には焼き煎餅が一番美味しかったかなぁ…」
玄「京太郎君は?」
京太郎「俺か?俺は…まぁ、結構、和菓子好きだからな」
京太郎「あの中だとお抹茶マンジュウってのが一押しだと思う」
宥「あれも美味しかったよね、表面のあずきがまた美味しくて」
玄「中もしっとりもちもちで幾らでも食べられそうだったよ」
京太郎「だよなー…って」
玄「ん?どうしたの」
京太郎「…お豆腐…ソフト…」
玄「お豆腐のソフトクリームって事…?ちょっと気になるかも…」
京太郎「あー…でも、まぁ、そろそろバスの時間だしさ」
宥「…大丈夫だよ」
京太郎「宥さん」
宥「私は食べられないけど…二人で行ってきて」
玄「ううん。私が買ってくるよ」
玄「おねーちゃんたちはここで待ってて」スッ
宥「あ…っ」
京太郎「あー…もう行っちまったか」
京太郎「仕方ない。ここは玄に任せよう」
宥「…うん。そうだけど…」
京太郎「…ん?」
宥「…ごめんね。私、本当はもっと気を遣わなきゃいけないのに…」
宥「私、おじゃま虫で…二人が食べたいもの遠慮させてしまってるのに」
京太郎「…良いんだよ。そんなの」
宥「でも…」
京太郎「そうやって俺たちが宥さんの事気にするのは…宥さんの事が好きだからだしさ」
宥「…ふきゅっ」カァァ
京太郎「俺も玄も宥さんが好きで…一緒に楽しく過ごしたいから」
京太郎「宥さんにも楽しいってそう思って欲しいから気にしてるんだ」
京太郎「だから、その事でそんな風に落ち込んだりしないでくれ」
京太郎「それは俺達が勝手にやっている事だしさ」
宥「…は…はぅぅ…」マッカ
京太郎「…って、あれ…?宥さん?」
宥「い、いきなりは…反則だよ…」モジモジ
宥「お、お陰で…すっごいドキドキしちゃった…ぁ♥」
京太郎「あー…えっと…ごめんな」
宥「ううん…良いよ。暖かかった…から♪」ギュッ
京太郎「…っと、姉さん…」
宥「ふふ…でも…何年ぶりだろうね…きょーくんに好きって言って貰えたの」
京太郎「あー…どうだろ。もう覚えてないや」
宥「…でも、嬉しいな。すっごく…心の中ポカポカしちゃった…♥」
宥「昔とはちょっと違う…ドキドキ…とっても素敵だよ…♪」ニコッ
京太郎「…ぅ。ま、まぁ…俺もドキドキしてるけどさ」
宥「…えへ…♪じゃあ…お揃いだね。私達」クスッ
玄「お待たせーって…あれ?なんで京太郎君、そんなに顔赤いの?」
京太郎「い、いや…なんでもねぇよ」
玄「そう?あ、はい。これ」スッ
京太郎「おう。悪いな。後で金は返すから」
玄「ううん。良いよ。私もいっぱい、奢ってもらってるから」
玄「それより…早く一緒に食べよ?」
玄「実はさっきから味が気になってドキドキしてるんだよね」エヘヘ
京太郎「そうだな…じゃあ…宥さんには悪いけど」
宥「うん。大丈夫だよ。私の事は気にせずに…食べちゃって」
玄「ありがと。それじゃ…いただきまーす」
京太郎「あぁ。頂きますっと…」
玄「…どう?」
京太郎「まぁ…ソフトクリームだな」
玄「ソフトクリームだよね…」
京太郎「甘さはかなり抑えてあって男の俺でも軽く一本食べられそうだけど…」
玄「お豆腐の匂いが軽くする感じ…だもんね」
京太郎「いや…悪くはない。寧ろ美味しい方なんだけどさ」
玄「でも…なんか期待してたのとは違うよね」
京太郎「あぁ…なんかこうネタにもガチにもなりきれていないというか」
玄「風味づけってレベルじゃ…ちょっとねぇ…」
京太郎「そもそも豆腐の風味ってそんなに強いもんじゃないしな」
京太郎「外れって訳じゃないけど…でも、なんかこう物足りないというか…」
宥「…そう…なんだ」
京太郎「…ん?宥さん?」
宥「あ…私も一口…くれる?」
玄「…えっ!?」
京太郎「その…大丈夫なのか?」
宥「うん。今はきょーくんのお陰でとってもポカポカしてるから…」
玄「ポカポカ?」キョトン
宥「うん。あのね、さっききょーくんがとっても暖かい事言ってくれて…」
玄「えー…良いなぁ」
玄「…ね、京太郎君、それ私にも…」
京太郎「だ、誰が言うか」
玄「えー…意地悪…」ムスー
玄「ってそうじゃない。それよりおねーちゃん…本当に良いの?」
玄「これソフトクリームだよ!?暖かくないよ!?」
宥「それは勿論、解ってるよ。…でも…」
宥「私も…ね。二人と同じ気持ちになりたくて…」
宥「がんばろうかなって…そう思ったから…」
玄「…おねーちゃん」
宥「…ね、だから…京太郎君、お願い…出来る?」
京太郎「…あぁ。分かった。じゃあ…あーん」
宥「うん。…あーん…」パクッ
玄「ど、どう…!?大丈夫?」アセアセ
京太郎「む、無理するなよ。嫌だったらペッして良いからな」ワタワタ
宥「…ううん。大丈夫だよ」
宥「冷たいけれど…とっても暖かい・・♥」
玄「お…おねーちゃん…」ジィン
宥「…でも、二人の言うとおり…ちょっと微妙だね、これ」クスッ
宥「これだったら普通のソフトクリームの方が美味しいかも…なんて」
玄「あ、普通のもあったよ。食べる?」
宥「あぅ…さ、流石に一口だけで良いかなーって」
京太郎「はは。やっぱ無理してたんじゃないか」
宥「む、無理なんて…」カァァ
玄「…でも、おねーちゃんが自分から冷たいもの食べたいっていうなんて…」
玄「私、なんだか感動しちゃった」
宥「玄ちゃんときょーくんのお陰だよ」
宥「私一人じゃ…絶対に食べたいなんて思わなかったもん」
京太郎「ま…でも、無理はするなよ」
京太郎「俺たちはこうして一緒にいるだけでも十分なんだしさ」
玄「そうだよ。そこでおねーちゃんに無理されちゃったらその方が悲しいんだからね」
宥「…うん。ありがとう」ニコッ
玄「それじゃこれ食べ終わったら…そろそろ戻ろうか」
京太郎「あ、それなんだけどさ…ちょっと予定変更して良いか?」
宥「予定変更…?」
京太郎「あぁ、ついでだしさ…見せたいものあるんだよ」
【上○茂神社】
玄「って今日、お祭りだったんだ」
京太郎「おう。一応、三大祭の一種らしいぞ」
玄「へー…確かに人多いもんね」
京太郎「それだけ有名って事だろ」
京太郎「ま、はぐれたらアレだしさ、腕を組むんじゃなくて手をつなぐ方が良いかもな」
宥「うん。流石に腕を組んでたら他の人の邪魔になっちゃうもんね」
玄「でも、ちょっと残念…」
京太郎「ま、帰りになったら幾らでもその機会はあるしさ」
玄「…帰りもしてくれる?」
京太郎「今更ダメなんて言えないしな」
京太郎「ま、それに…美人姉妹に挟まれて役得ではあるし」
玄「えへへ…♪」テレテレ
宥「はわぁ…♪」ポワァ
玄「もう…そんな風にお世辞言っても何も出ないよ」テレテレ
京太郎「そう言いながら顔がにやけてるぞ」
玄「だって…お世辞でも嬉しかったんだもん」ニヘラ
京太郎「別にお世辞って訳じゃないんだけどなぁ…」
玄「…じゃあ…本気で言ってくれてる…の?」
京太郎「当然だろ。宥さんは勿論の事、玄も…その…なんだ」カァ
宥「ふふ…今更照れちゃって…」クスッ
京太郎「ぅ…仕方ないだろ。面と向かってそう言うのなんて何時まで経っても慣れないし…」
京太郎「…でも、まぁ、玄も…可愛いし美人だってそう思ってるよ」
玄「…はきゅぅん…♪」ボンッ
宥「…あ、玄ちゃんはじけちゃった…」
京太郎「相変わらず免疫ない奴だなー…」
宥「ふふ…どっちかって言うときょーくんが原因な気がするけどね」
京太郎「…俺?」
宥「理由は秘密だけど…玄ちゃんも京太郎君にそうやって言われるのが一番うれしいんだよ…?」
京太郎「…そうなのか?」
宥「うん。だから…一杯、玄ちゃんにそういうの言ってあげてね」
京太郎「…正直、冗句の一種ならともかく、こうやってマジで伝えるのは恥ずかしいんだけど…」
宥「私にはあんなに言ってくれるのに」クスッ
京太郎「あ、アレは宥さんが言えって言ったから…」
宥「じゃあ、私が言っているんだし…玄ちゃんにも言ってあげられる…でしょ?」
宥「それとも私には言えて…玄ちゃんには言えない理由がある?」
京太郎「…ぅ…いや…まぁ…ないけどさ」
宥「…じゃあ決まり…ね」ニコッ
京太郎「うぅ…宥さんにはどうしても勝てない気がする…」
宥「ふふ…でも、そうやって負けてくれるきょーくんが私は好きだよ…♥」ナデナデ
玄「はっ…え、えっと…アレ?」
京太郎「お、帰ってきたか」
玄「あ、京太郎く…はきゅぅ」カァァ
京太郎「…大丈夫か?」
玄「う、うん。大丈夫…だけど…」カァ
玄「そ、その…あんまり今は顔見ないで欲しい…かも」モジモジ
京太郎「あー…じゃあ、宥さんと手をつなぐか?」
玄「そ、それはイヤ!」
京太郎「え?」
玄「…あっ」マッカ
宥「ふふ…きょーくん、玄ちゃんは今のままが一番良いんだよ」
宥「察してあげて?」
京太郎「いや…玄が良いなら…それで構わないけどさ」
玄「う、うん。私は構わない…と言うか…離しちゃヤ…かも…」ギュッ
京太郎「お、おう…じゃあ…ちゃんと握っとけよ」
玄「うん。京太郎君も離しちゃダメだよ…?」
宥「それで…このお祭りってどういうのなんだっけ?」
京太郎「色々薀蓄あるルートと適当に概要だけ話すのとどっちが良い?」
玄「えっと…とりあえず概要だけでお願い」
京太郎「オッケ。ま、早い話がずっと続いてきた京都の祭りって訳だな」
京太郎「昔、気候が荒れてた頃に盛大に祭りをやったら収まった」
京太郎「そんな故事にあやかって毎年5月にやってる古都の中でも有数の祭りだ」
京太郎「その性格上、昔の伝統が数多く残されていて、割りと厳格な方でもある」
京太郎「三大祭りなんて言いながら屋台の数が比較的少ないのもその所為だな」
宥「へー…でも、この両脇にある席はなんなの?」
京太郎「あぁ、そっちは有料席だよ」
京太郎「この祭りは御所から盛大に行列率いて市内を回って、最終的にはこの神社に来るんだけど」
京太郎「それを間近で見られるように有料席が設けられてるって訳だ」
玄「あ、その行列見た事あるかも。牛さんとか馬さんが車引くんだよね」
京太郎「そうそう。俺も見たことはないけど、結構、盛大らしいぜ」
宥「…でも、今からじゃ予約なんて無理だよね」
玄「うん…ちょっと残念かも」
京太郎「あーそれなんだけど」
宥「え?」
京太郎「実は知り合いの知り合いがこの祭りの関係者らしくてさ」
京太郎「実は席3つ確保して貰ってる」
玄「ほ、本当!?」
京太郎「あぁ。ま、サプライズの一種って事で黙ってたけどさ」
宥「やったね、玄ちゃん」
玄「うん!すっごく楽しみ!」
京太郎「(…なーんて自慢気に言ってるけど…これも絹恵さんに譲ってもらったんだけどさ)」
京太郎「(この祭りの事を教えてもらったのも絹恵さんだし…本当に頭が上がらない)」
京太郎「(今度菓子折りでも~なんて思ってたけど…下手すりゃ菓子折りじゃ失礼なレベルかもな…)」
京太郎「まぁ、行列がこっち来るまで時間はもうちょっとあるし適当に散策でもしてようぜ」
玄「うんっ。あ、あっちに屋台があるね」
宥「あ、本当だ。行ってみる?」
京太郎「そうだな。腹ごなしにもなるだろうし…」
玄「金魚すくいとかあるかなぁ…」
京太郎「んー…どうだろうな」
京太郎「結構、審査とか厳しくて屋台とかあんまり入れないみたいだし」
宥「うん。ここから見える分だけでもかなり少ないもんね」
宥「それに金魚すくいをしてもここから阿知賀まで遠すぎるよ」
玄「それもそうだよね…ちょっと残念」
宥「私は型抜きとかやってみたいかな…」
京太郎「型抜きかー…アレも最近、見なくなったよな」
宥「大きいお祭りだとあんまり…ね」
宥「スペースが必要だから仕方ない事なんだろうけど…ちょっと寂しい」
京太郎「宥さんは型抜き得意だからな」
宥「えへへ…細かい作業はお任せ…だよ」ニコッ
玄「あ、射的屋さんだ」
京太郎「お、本当だ。って結構色々あるなー」
宥「あ、エトペンちゃんのぬいぐるみ…」
京太郎「あれ、宥さん欲しいのか?」
宥「あ…え、えっと…その…」
宥「抱き心地が良いって聞いたから…ちょっと気になって…」
玄「よーし!じゃあ、おねーちゃん、私が取ってあげる!」
宥「え…でも…」
玄「お兄さん、一回やらせてくださーい」
「はいよ。300円ね」スッ
玄「よーし。狙い撃つよ…!」グッ
京太郎「…で、ぐらりともしなかったな」
玄「はぅ…おかしいなぁ…」
宥「あ、あの…ごめんね。あのぬいぐるみ結構重いみたいだから…」
宥「射的で落とすのは大分、難しいと思う…」
京太郎「でも、宥さん欲しいんだろ」
宥「…うん。でも、それなら買えば良いだけの話だし…」
京太郎「ま、こういうのも祭りの醍醐味だしな」
宥「…え?」
京太郎「お兄さん。俺も一回頼みます」
「あいよ。彼女に良いところ見せてやりなよ」
京太郎「じゃあ、ちょっと後ろの方にズラして貰ったりとか…」
「しゃあねぇな。ほら、これでどうだ?」スッ
京太郎「って1cmも動いてないじゃないですか…」
「こっちもこれが商売なもんでね。で…どうする?」
京太郎「ま、やりますけどね」
京太郎「(玄の為にも宥さんの為にも…ここは…全力で狙っていく…!)」
>>+1
00~60 失敗
61~99 成功
※ゾロ目でも成功するよ
京太郎「(射的で必要なのは正確さと角度だ)」
京太郎「(特に大型のものになればなるほど角度が重視される)」
京太郎「(普通、真ん中の上辺りを狙いがちだけど、それじゃ大型は滅多に取れない)」
京太郎「(基本的にこういった射的のマスケット銃は賞品の自重を浮かせるようなパワーはないからな)」
京太郎「(どれだけコルクを置くまで詰め込んでも、パワー不足で揺らぐ程度だ)」
京太郎「(故に…狙うのは真ん中じゃなくて右や左の角…)」
京太郎「(それも下から上へと斜めに貫くような角度が望ましい)」
京太郎「(そして勿論、大事なのは距離…)」
京太郎「(腕を伸ばして出来るだけ的に接近させる)」
京太郎「(勿論、この状態で角度や精度を維持するのはかなり辛い)」スーゥゥ
京太郎「(だけど…以上の点さえ守っていれば…目玉賞品以外は…)」フッピタッ
京太郎「(…いける…!)」ターン
グラックルッ…ヨロヨロ…コロッ
「うぉ…やられたぁ…」
京太郎「…よっし!」グッ
玄「わぁ…すっごぉい…!」
京太郎「ま、三発外してようやく…だけどな」
京太郎「屋台の人もカス当たりでズレた分直さないでくれたし」
「ま、あんまりその辺しっかりやりすぎると客が来ないからな」
「ほら、賞品だ」スッ
京太郎「ありがとうございます。…ほら、宥さん」
宥「あ…きょーくん…ありがとう」
宥「…私、これ宝物にするね…♪」
京太郎「はは。大げさだよ」
宥「そんな事ない…よ」
宥「だって、さっきのきょーくん…すっごく格好良かったから…♪」ニコッ
京太郎「はは。まぁ…玄の敵も取らなきゃいけなかったしな」
玄「えへへ…私の分の敵も取ってくれてありがとうね」
京太郎「おう。…でも、これどうしよう」
宥「…後先考えずに取っちゃったけど、これ大きいもんね」
京太郎「やっぱ俺が持とうか?」
玄「ダメ。京太郎君は真ん中じゃないと」
京太郎「いや、でも、これかなりのサイズだし女の子に持たせるのはかなりきつくないか?」
京太郎「それに二人とも今日はカバン持ってきてる訳だし…」
宥「じゃ、私がぬいぐるみ持つから…」
玄「うん。じゃあ、私がおねーちゃんの分のカバンも持つね」
京太郎「そんなにお前ら俺から離れたくないのか」
玄「そんなの当然だよ」フンス
宥「うん。だってこれデートなんだもん。きょーくんと一緒じゃないと意味ないよ」クスッ
京太郎「まぁ、重かったら言ってくれよ。何時でも交代するしさ」
宥「うん。その時はお願いね」ギュッ
京太郎「玄も遠慮すんなよ。こういうところでの荷物持ちは男の仕事みたいなもんだしさ」
玄「えへへ…うん。でも、また後でね」
宥「あ、あっちにベビーカステラがある…」
京太郎「そうだな。ちょっと歩いて小腹も空いてきたし」
玄「屋台も一杯あるし食べちゃう?」
京太郎「俺はそれでも構わないけど…二人は?」
玄「実は私もちょっとお腹すいちゃって」エヘヘ
宥「私は…私もちょっと…」カァ
京太郎「はは。まぁ、ここまで人混みで結構大変だったしな」
京太郎「時間までは結構あるし…色々と買ってみようか」
玄「うん」
宥「あ、じゃあ、私、たこ焼きも欲しいかも…」
玄「私はたい焼きかな、あ、アレも美味しそう…」
京太郎「…で、結局さ」
玄「…うん」
京太郎「…りんご飴に焼きそばに唐揚げにたこ焼きにたい焼きにベビーカステラに…」
宥「…わたあめにかき氷にたこせんにお好み焼き…」
玄「飴にやきもち…焼き鳥にフランクフルト…クレープまで…」
京太郎「…なんでこんなに買っちゃったんだろうな」
玄「…お、お祭りの所為だよ…」
宥「ごめんね…私もまったく気づかなくて…」
京太郎「いや、いいんだよ。俺も迂闊だった」
京太郎「買っている時は全然普通に行けた気がしたんだけどな……」
玄「…結構きついよね」
宥「もうお腹一杯かも…」
京太郎「仕方ない。俺が何とか残りを処理するよ」
玄「あぅ…ごめんね」
宥「ごめんなさい…」
京太郎「気にするなって…あ、そろそろ始まるぞ」
玄「わぁ…」
京太郎「(それからの行列は凄いものだった)」
京太郎「(迫力あるというか…独特の雰囲気があるというか)」
京太郎「(衣装の一つ一つから歴史を感じるあの感覚は何とも言えないものだった)」
京太郎「(あの瞬間、あの道だけが1000年以上前に戻ってしまったような独特の感覚)」
京太郎「(ある種ロマンチックなものさえ感じるそれに俺たちは完全に飲まれていた)」
京太郎「(行列がやってきて最後まで去っていくのに一時間近く掛かったけれど)」
京太郎「(そんな事が気にならないくらいに俺たちはその光景に飲まれ、そして楽しんでいた)」
京太郎「(特に最後に行われた白馬の疾走は車とも電車とも違う疾走感があって)」
京太郎「(祭りの最後を綺麗に締めくくってくれた)」
京太郎「(けれど、なんとなくすぐさまその場を去るのが惜しくなった俺達は)」
京太郎「(そのまま神社の中で適当にダラダラとしていて…そして…)」
玄「…はぅん…」Zzzz
宥「ふふ…玄ちゃん気持ち良さそう…♪」
京太郎「あー…ごめんな。荷物全部持たせてしまって」
宥「ううん、良いよ」
宥「きょーくんは玄ちゃんの事おんぶしてあげなきゃいけないし…」
宥「寧ろ…私達の方こそごめんね。重くない?」
京太郎「大丈夫だよ。玄くらいなら軽いもんだ」
宥「ふふ…逞しいんだね」
京太郎「ま、それくらいじゃないとしずの相手は務まらないしな」
京太郎「それに…子どもみたいに途中まではしゃいでぷっつり眠ったって事は」
京太郎「それだけ玄が楽しんでくれた証みたいなもんだろ」
宥「うん。そうだね」
宥「多分、玄ちゃんすっごい楽しんでいたと思う」
京太郎「そっか。それなら嬉しいな」
京太郎「時間分からなかったし出来るだけ余裕持ったスケジュールは組んでたけど…」
京太郎「サプライズ外れたら痛いってレベルじゃなかったしな」
宥「ふふ…そんな事気にしてたの?」
京太郎「そりゃ気にするって」
京太郎「宥さんたちに楽しんでもらう為のデートだったのに俺が余計な事した所為でダメになったらどうしようってさ」
宥「そんな事ないよ」
京太郎「ん?」
宥「私…今日のデートすっごい楽しかった♪」ニコッ
宥「一杯食べて…遊んで、はしゃいで」
宥「玄ちゃんときょーくんと…一杯、気持ちを共有して…思い出作って…」
宥「素敵なものも一杯見れたから…最高のデートだったよ」
京太郎「…そっか」
宥「…でもね」
宥「私にとってそのデートは…決して特別じゃないんだよ?」
京太郎「え?それってどういう意味だ?」
宥「きょーくんと一緒だったら私は何時でも最高の気持ちになれるって事」ニコッ
京太郎「…宥さん」
宥「…ダメ」
京太郎「え?」
宥「今は玄ちゃんが眠っているんだし…」
京太郎「…分かったよ、姉さん」
宥「ふふ…♪きょーくんは良い子だね」ナデナデ
京太郎「そりゃ姉さんの弟だからな」
宥「そうだね。私の自慢の弟君だから…♥」
宥「…だから…今日は頑張ってくれたご褒美あげたいんだけど…」
京太郎「ご、ご褒美って…」
宥「お家帰ったら…私の部屋に来てくれる?」
京太郎「…ぅ」カアァ
宥「…ふふ。それだけで期待しちゃった…?」クスッ
京太郎「…ごめん」
宥「良いんだよ。だって…その…そういう意味…だし」カァァ
京太郎「え…?」
宥「…デートの最後は…やっぱり…あの…ね」
宥「お互いに…気持ち良くなるのが一番だと…思う…から」モジモジ
宥「それに…私、このぬいぐるみの御礼もちゃんと出来てないし…それに…」
宥「…私…きょーくんを玄ちゃんに独占されて…ちょっと寒いの…♥」
宥「だから…私…またきょーくんに暖かくして欲しい…な♪」
宥「私のお腹の中で…一番、暖かいのびゅくびゅくって…思いっきり…♥」
玄「ぅ…うぅ…ん…」モゾッ
宥「ふきゅっ」ビクッ
玄「ん…あぁ…」
京太郎「お、おぉ…玄。起きたか?」
玄「きょぉたろぉ君…?」
玄「えへへ…京太郎君だぁ…♥」ギュッ
京太郎「あぁ。俺ですよ」
玄「なんで私をおんぶしてるの…?」
京太郎「お前が電車の中で寝たからだよ」
玄「寝てないよぉ…私…そんなのしてない…もん」モゾモゾ
京太郎「いや、現にさっきまで寝てただろ」
玄「そんな事…ない…もん」
玄「私…今日、すっごく…楽しかったんだから…」
京太郎「ん?」
玄「最後まで…京太郎君と…おねーちゃんと楽しみたいから…」
玄「寝てなんか…ないぃ…」モゾモゾ
宥「…ふふ」
京太郎「…ったく…」
京太郎「…そうだな。お前は寝てなかったよ」
京太郎「ちょっとぼーっとしてただけだよな」
玄「うん…そうら…よぉ…♪」
玄「…でも、京太郎君の背中…あったかぁい…♥」
京太郎「寝たいなら寝ても良いんだぞ。心配しないでも松実館まで後少しだしな」
玄「う…ん。だけど…」
玄「帰ったら…京太郎君も…帰っちゃう…よね…?」
京太郎「あー…それは…その…」チラッ
宥「……」ジィ
京太郎「…帰らないよ。もうちょっといるから…」
玄「…じゃあ…側に…いてくれる…?」
京太郎「ん?」
玄「私と…おねーちゃんと…添い寝…して…くりぇる…?」
京太郎「なんで添い寝なんだよ」
玄「だって…この暖かいの…なくなっちゃうの…やだ…もん…」ギュッ
京太郎「…宥さんみたいな事言いやがって」
宥「ふふ…だって姉妹だから…」クスッ
京太郎「…でも、宥さん的にはどうなんだ?」
宥「え?」
京太郎「あー…その…そういうの出来なくなるけど…」メソラシ
宥「ふふ…♪でも、今日の主役は玄ちゃんだから…ね」
宥「私はあくまでオマケだし…それに玄ちゃんが私も一緒にって言ってくれるなら」
宥「私は皆で添い寝しても構わないよ…?」
京太郎「了解。…んじゃ、玄」
玄「ふぁいぃ…」
京太郎「…帰ったら帰ったで添い寝してやるよ」
玄「ほん…とぉ…?」
京太郎「ホントホント。だから、もうちょっと休んどけ」
玄「う…みゅ…しょぉするぅ…♥」スー
京太郎「…寝たか?」
宥「うん。もう寝ちゃったみたい」
京太郎「ったく…こいつこんなに甘えん坊だったっけか」
宥「玄ちゃんはあんまり寝起き良い子じゃないから…」
宥「私にも結構、朝は甘えてくるよ?」
宥「…たまーに甘えてくるだけじゃなくって…服の中に手を入れてくるけど…」カァァ
京太郎「…まるでセクハラオヤジだな、コイツ」
玄「はみゅぅん…♪」ニヘラー
宥「でも、玄ちゃんはそれだけ普段頑張ってるから…」
京太郎「あぁ。分かってるよ」
京太郎「それに…まぁ、こうして甘えられるの嫌いじゃねぇし」
京太郎「普段、頑張ってる分の拠り所くらいにはなってやるよ」
宥「…じゃあ…私は?」
京太郎「ん?」
宥「普段、頼ってばっかりな私も…支えてくれる?」
京太郎「…当たり前だろ」
京太郎「今更、宥さんの事放っておけないしさ」
京太郎「俺自身、宥さんの事は気になってるし、イヤと言われても世話を焼くよ」
宥「…きょーくん」
京太郎「そ、それに…まぁ、ご褒美もある…訳だし…さ」
宥「…きょーくんのエッチ」カァァ
京太郎「は、はは。うん。まぁ、エロいんだよ俺は」
京太郎「だ、だから、まぁ…添い寝の時は出来るだけ俺に触れないようにした方が良いって言うか…」
宥「…ダメ…だよ」
京太郎「え゛っ」
宥「そんなエッチなきょーくんが玄ちゃんと密着するんだよ…?」
京太郎「いや、別に密着すると決まった訳じゃ…」
宥「でも、前は三人でぎゅうぎゅうだったよね?」
京太郎「いや、それはそうだけど…でも…」
宥「だから…きょーくんが玄ちゃんを襲ったりしないように…♪」
宥「私がちゃぁんと面倒をみてあげないと…♥」ニコー
京太郎「いや…さ、流石にそれはバレるって…」
京太郎「つか、妹のベッドでそれは流石にやばいというかあり得ないって言うか…」
宥「…大丈夫だよ。玄ちゃんならきっと許してくれるし」
京太郎「いや、許すってそういうレベルじゃないような気が…!」
宥「それがダメなら…私のベッドで三人並べば良いよ」
京太郎「だ、だけど…」
宥「…ね、きょーくんはしたく…ない?」
京太郎「ぅ」
宥「…玄ちゃんの前で…そういう事するのって凄い暖かくて…興奮すると思うんだけど…」
宥「そういう事…したくない…かな?」
京太郎「い、いや…そういう問題じゃ…」
京太郎「そもそも…もしバレたら俺次からきまずいってレベルじゃ…」
宥「…大丈夫だよ」
京太郎「大丈夫って…何を根拠に…」
宥「玄ちゃんは私が説得してあげるし…それに私だけじゃ不公平だもん」
京太郎「…姉さんだけ??」
宥「…ううん。なんでもない」
宥「…あ、ほら、そろそろお家が見えてきたよ」
京太郎「ぅ…なんだか凄い行きたくないんだけど…」
宥「…そんなに嫌ならきょーくんが我慢すれば良いよ」
宥「私が勝手にして…きょーくんをその気にさせちゃうから」
宥「悪いのは私で…きょーくんじゃないから…ね?」
京太郎「…姉さんってドキドキ凄い卑怯な女になるよな」
宥「ふふ…だって、大好きな玄ちゃんと…そしてきょーくんの為だもん♪」
宥「おねーちゃんは幾らだって…卑怯にもはしたなくもなっちゃう…よ♥」クスッ
京太郎「…玄の為?」
宥「うん。玄ちゃんの為」
宥「…だから、きょーくんも…玄ちゃんの為に…♪」
宥「私に身を委ねて…気持ち良くなって…ね♥」
宥「そうしたら…きっと皆幸せになれるから…♥」
京太郎「…本当にそんなもんで幸せになれるのか?」
宥「うん。必ず…私が玄ちゃんも…きょーくんも幸せにしてあげる♥」
宥「これはそのための第一歩…皆で幸せになる為に…必要な事だから…」
宥「だから…逃げないで…受け入れて…欲しいな…♪」
>>+10までの間にゾロ目出せよオラァ
最終更新:2014年01月31日 23:16