このSSには過激な暴力表現が含まれています。
正月―――――
いつもの6人が集まって餅つきをする事になった。場所は美浜家である。
「皆さん、準備できましたよ~」
ちよが声をかける。その言葉通り臼と杵と餅が用意されていた。まず、歩とちよ
が初め、次に榊とよみがやった。で智と神楽の番になるのだが・・・
「普通についてたんじゃつまんねーよな。神楽あれやるか?」
「ああ、あれだな。いいぜやろーぜ。」
智と神楽が何か思いついたようだ。
「一体何を始める気だ?」
その様子を不安げにみている暦。他のメンバーも固唾を飲んだ。
「せ~の!!ジャンケンポイ!!」
いきなりジャンケンを始める智と神楽。結果は智の勝ち。すると智は大きく
杵を神楽の頭上目掛けて振り下ろす。
「おりゃあああああああ!!」
「甘い!!」
とっさに神楽は臼を頭上に上げる。間一髪の所で杵は餅をつくにとどまった。
「今すぐやめろ~~~~~~~~!!バカ達~~~~~!!」
「し、心臓に悪いですよぅ。」
「ダイナミックや。」
「・・・・・・・・・・・・」←驚きのあまり言葉のない榊
しかしそんな言葉に耳を貸さずに続行する智と神楽。
今度は神楽の勝ちで神楽は杵を真横に振った。
「もらったあああああああああ!!」
「おせーよ!!」
智も臼を真横に振って防御する。一応今回も餅をついている。
「お前等ぁぁぁぁ!!いい加減にしろ~~~~~~!!」
暦が石を拾って二人に向かって投げる。しかし、二人はあっさりとかわしその石は
何と近くにいた榊に当たってしまった。しかも眉間・・・・・
当たりどころが悪かったのか、榊はそのまま地面に倒れた。
「わ~榊さん、しっかりして下さい!!」
「シャレにならんで、あかんわよみちゃん。」
「わ、私もこんな事になるなんて思わなかったんだよ!!」
「おいおい榊ちゃん、大丈夫か?」
「榊ぃ!!しっかりしろぉ!!」
心配する一同。それに反して榊はすぐに起き上がった。
「あ、榊さんだいじょ・・・・ひっ!!」
ちよが驚いたのも無理はない。榊の目はいつも以上に座っていたのである。
「今、私に石当てたの誰だ!?」
ものすごく低い声で榊が言葉を発した。その迫力に言葉が出ない歩。
同じく言葉を発する事が出来ない智と神楽。
「さ、榊!!わ、悪い!!わざとじゃないんだ!!」
暦が必死に謝る。すると榊は暦の方に歩み寄る。さすがの暦もこれまで見せた
事のない表情に戸惑いを隠せなかった。じりじりと後ずさりする暦。
「ご、ごめん!!本当にそう思ってるよ。」
しかし榊はまるで聞き入れてる様子はない。とうとう暦は端に追い詰められて
しまった。そして榊は暦の肩をガシッと掴んだ。
「あ、あ、榊・・・」
「無闇に物投げちゃダメだ。とても危ないから。な?」
一転して榊の表情は穏やかになった。いつもの優しい表情に戻ってる。
「わ、分かったよ。」
「ならいい。」
そう言うと榊は笑みを浮かべた。その瞬間、暦は緊張の糸が切れてその場に
座り込んだ。
「弥生ちゃん天使みたいや・・・」
「私でもあんな事されたら怒りますのに・・・・」
「榊ちゃんごめん。あたし等のせいで・・・」
「ごめん榊。もうこんな事しないよ。」
さすがにこたえたのか智と神楽も榊に謝った。
「うん。みんな仲良くしなきゃダメ・・・・」
頭から血を流しながら榊はニッコリ微笑んだ。
「それもそうだけど、まずお前は病院行った方がいいぞ。」
座り込んだ姿勢のまま暦は榊に言った。ある冬の日の出来事だった。END
最終更新:2007年10月20日 17:51