ロックンロール・ネバー・ダイ 2

昨日智ちゃんがあんな事を言うたので、私は今日から
楽器の練習をする事になった。
私がやりたかったトライアングルが無かったので、音楽の
時間に使てるたて笛を使う事にした。
バンドと言えば笛やと私は思う。
いわゆる「リードリコーダー」や。
とは言え、何の曲を練習したらええんやろう…

よし、とりあえず何を始めるにも作戦会議や!
「歩ー、滝野さんから電話やでー」
おおっ、ナイスタイミングや!智ちゃんも何も考えてへん
わけでは無いみたいやな。
「はいー」

  *

「と、言うわけで君たち。今日は作戦会議をする事になった。」
智ちゃんは机の端に座ってしゃべり始めた。
バンドという事を意識してか、ちょっと露出度の高い服を着てる
セクシーや。あんな服持っとったんやな。
机の周りには智ちゃん、榊ちゃん、ちよちゃん、私の4人がいる。
やっぱりちよちゃんの部屋は広いな~

「智ちゃん、よみちゃんは?」
「あいつは風邪で寝込んでる。気合が足らんぞ気合が!」
気合か~私も気合を入れたらしっかりできるのやろうか…

「しょうが無いから今日はよみ抜きでやるぞ!」
智ちゃんはいつもからは考えられへんくらいやる気や。
「まず、何を決めるんですか?」
目の前にノートを広げたちよちゃんが尋ねてる。
「バンドでちよちゃんのポジションは書記やな…」
…あれ?ちよちゃんがすごく心配そうな顔でこっちを見てる…
「さて、何を決めようか?」
あかん、やっぱり智ちゃんは何も考えてへん。
ここは私がビシッと提案して、しっかりしてきた事を
皆に見せたろう!
「まず芸名から決めへん?」
どや?
「……はぁ?」
あれ…全員固まってしもた、何でやろ…
「バンド名の事ですよね?おおさかさん…」
「そう!それ!」
ちよちゃん、うまい事言うなぁ。
「バンド名かぁ、それは大事だなぁ。…うーん、何かこう、
私リーダーだし、私にちなんだ名前がいいんじゃないの?」
ええっ!?
「智ちゃんリーダーだったんですか?!」
ちよちゃんが目をくりくりさせて聞く。
「あったりまえだろー?言い出したのはあたしなんだから!」

「では皆さん、紙を配りますので希望の名前を書いてください!
いくつ書いてもいいですよ~」
みんなの前に紙とペンを並べられた。
ちよちゃんらしいかわいいペンや。キャップの上に猫が座ってる。
…智ちゃんは落書きを始めたし、榊ちゃんはペンを手にしたまま
止まってしもうた。みんな大丈夫かなぁ?
ちよちゃん一人に任せるのも不安やし、やっぱり頼れるのは自分って
事や。何でもやってポイント稼がなあかん。

「……"消しごむ"…"ふくらはぎ"…"へび使い座"……何だこりゃ?」
何だとは失礼やなぁ。頑張ってカッコいい名前考えたのに。
「え?かっこええやん、特に"へび使い座"とかミステリアスで…」
「却下!」
却下されてしもうた…
リーダーが言うんやからしゃあない…残念やけど諦めよう…
「じゃあ次は…榊ちゃん」
榊ちゃんは真っ赤な顔をして紙を差し出してる。
どんな恥ずかしい事書いたんやろう…
「榊ちゃんはっと…」
わくわく。
「…なんかこう、ファンシーな感じだね~。"三毛猫合唱団"とか」
うわ~合唱団て!ていうかバンドやし!
バンドは笛やのに!

「ほんなら智ちゃんはどんなん~?」
智ちゃんは自慢げに笑いながら紙を出した。
「ほぼこれで確定だと思うのだがね!ふーはーはーはー!」
紙を手にしたちよちゃんの顔がだんだん青ざめていく…
何や!そこにはどんな素敵な事が書いてあるんや!?
「……智ちゃんと…愉快な仲間たち…」
うわ!省略されとる~!
「どうだ!素晴らしい名前だろう!」
「………」
一気に静かになってしもうた。智ちゃんさすがやな。
「ちよちゃんのは…どうなんだ?」
榊ちゃんが聞く。
「えーと、私はあんまり自信無いんですけど~」
もうこうなったらちよちゃんの案だけが頼りや。頼むでちよちゃん。
これがあかんかったら"ふくらはぎ"しかあらへんのや…
「…"Rasbelly Heaven…?」
おおっ、かっこええやん!
「えへへ、可愛く格好よくしてみました。」
ちょっと照れ気味なちよちゃん。
「いいじゃないか…」
「えっ!私の案は?!」
智ちゃんはまだ自分の案を推そうとしてる。やばい!
ちよちゃんの付けた名前にしてしまおう、もう!
「これにしよう!」
ノリ的にも、もうちよちゃんの案しか無かった。
智ちゃんは最後まであの名前にしようとしとったけど…
私もほんまは、"ふくらはぎ"が良かってんけどなー…
まあええわ、それよりも楽器練習せなあかんな!
私は笛や!
とは言え、何の曲を練習したらええんやろう…

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最終更新:2007年10月21日 15:34