「ふぅ、疲れた~」
今日の授業を終え、職員室の自分のデスクに座ったとき、にゃも先生はそう言って、背伸びをした。そして、自分の頬を両手でなでた。
「なんだよ、体育教師がそんなに疲れるってか。もうオバハンだな」
隣の席のゆかり先生がそう呟いた。その言葉ににゃも先生は思わずカチンと来た。
「違うわよ。今日はずっとくわえていたから、あごがくたびれて、それで疲れたって言
ったのよ」
にゃも先生はそう言って頬からあごの骨の辺りを時計回りにグルグルと撫でて、マッサージをしていた。
「なっ、あんたずっとくわえてたって…。あんた、まさかフェ…」
「そうよ。今日はずっとフエ…」
にゃも先生がまだ話している途中なのに、ゆかり先生はにゃも先生の頭を出席簿で叩いた。
「いたーい。何すんのよー」
「あんた…。学校で何てことしてるのよ!しかも、私に内緒でフェ…」
今度はゆかり先生がまだ言い終えないうちに、頭を叩かれたことで少し怒り気味のにゃも先生が反論した。
「はぁ?あんた、何か勘違いしてない?私はただ、このフエをくわえていたから疲れたって言っただけなのよ」
にゃも先生はそう言って、今日の体育で使ったホイッスルを見せた。
「今日の体育でバレーの審判とかしてたから、ずっとこのフエをくわえていたの。これ
って、ずっとくわえているとあごとか結構疲れるのよ」
「なーんだ、そういうことか。そうだよなー。あんたがそんなことする訳ないとは思っ
てたけどね。男と縁がないし」
ゆかり先生はそう言って、ゆかり先生の肩に手を回した。
「うるさいなぁ。ところで、あんた何と勘違いしてたの?」
にゃも先生の質問に、ゆかり先生は一瞬言葉を失くした。
「へ?そんなのこのベリーキュートなゆかりちゃんの口から言えるわけないじゃん。そ
れより、今日は飲みに行こーぜー」
「今日『も』でしょ」
そう言ってにゃも先生はため息をついた。
本当にせっかちなんだから…。でも、あんたがいる限それもなかなかできそうにないかもね…。
にゃも先生はゆかり先生の顔を見つめて、今度はさっきより大きくため息をついた。
(おわり)
最終更新:2007年10月21日 19:01