―――みんなと会うの、久しぶりですね。元気にしてたかな?―――
ちよは何年ぶりかにやってきた、前に自分が住んでいた町を歩きながらそんなことを考えていた。
地面には雪がうっすらと積もっている
日本が冬休みのときにちょうどアメリカの大学も冬休みなので、しばらくあっていない日本の友達のところまで来たのだった。
ときどき届く手紙には、みんなの身の回りのことが事細かに書かれていた。ゆかりがいっていたとおり、
大学がばらばらになってもよく集まって遊んでいるようだ。
ことの起こりは約一ヶ月ほど前の、智からの電話だった。
『―――ねぇ、ちよちゃん?こっちの大学はあと少しで冬休みになるんだけど、そっちも冬休みになるかな?もしなるんだったら、
冬休みにちよちゃんちの別荘に行きたいなと思ったりしてね。どうかな?』
『あ、こっちも冬休みなんですよ!解りました、行きます!別荘はあそこじゃなくて、
他の別荘にしましょうか、今度の別荘はスキーも滑れるんですよ。
スキーを持っている人はスキーを持ってきてください。
もってない人は別荘にあるのを貸してあげますから』
『スキー!?わかった!みんなに伝えておく!ゆかりちゃんたちは呼ぶ!?』
『もちろん呼んでください、車はこちらで用意しますので。』
こんな風に、五分たらずでちよの日本にくるということ、
そしてちよのもう一つの別荘にいくということが決定した。
ちよは両親が住んでいる家の門の前に着いた。昔は自分も住んでいたが、今は両親しか住んでいない。
「おーい!ちよちゃーん!」
遠くから手を振っている人がいた。ムードメーカーの智だ。他の四人もいた。
ちよは五人の近くに駆け寄った。全員変わっていない。榊は相変わらず背が高く、
歩はやはり少しポケーッとしている。
「元気だった!?いやぁ声だけじゃあわからないね!大きくなったなった!」
自分より十センチほど背が低いちよの頭を、ともがなでながら言った。
他の四人も、ほほえましい顔をしている。
「あ、ちよちゃん。もうご両親にあいさつは?」
よみが思いだしたようにちよに尋ねた
「いや、してません。多分いませんよ、二人とも。
仕事が忙しいって言ってましたから」
「あっ!いた!ちーよちゃーん!」
遠くから二人の人影がこちらに向かってくる。ゆかりとみなもだ。
二人がちよの近くまで走ってくると、みなもが息を切らしながら謝った。
「ごめんねぇ遅れちゃって。ゆかりがいけないのよ、『新作のゲーム買うんだ!』って、
ずっとお店が開くの待ってるんだもん。挙句の果てに、結局今日は定休日・・・・・まぁいいわ、
積もる話は車の中でしましょうか、外は寒いしね」
ちよが門を開ける。中にはもう車が置いてあった。ワンボックスカーだ、とても大きい。
ゆかりが前列の右の席、運転席に座ろうとするのを、榊と歩、
そしてちよが急いで止めたのだった。
最終更新:2007年10月21日 19:20