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  • 作者 238
  • 投下スレ 3代目スレ
  • レス番 238
  • 備考 隣同士 ハイチュウ あ~ん

238 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2010/01/11(月) 01:40:54 ID:reL9dMT6
今日は待ちに待った修学旅行当日。僕たちFクラスは校門前に止まったバスに乗車する事になったのだが…。
「アキ!さあほら、ウチと一緒に座りましょ!」
「明久君!もちろん私の隣が良いですよね!」
「ははは、何で二人とも僕の両腕を凄まじい力でつかんでるのかなあ?
 痛い!痛い!痛い!そんなに強く引っ張ったら関節外れちゃう!」
結局僕たちはバスの最後尾に、進行方向右からムッツリーニ、美波、僕、姫路さん、秀吉
の順番で座ることとなった。僕は女子二人に挟まれる形となったわけだ。
「……うらやましい」
ムッツリーニ他Fクラス男子の視線が僕を突き刺す。しかし、何だろう。
両サイドから漂ってくるこのピリピリした空気。ちっとも嬉しくない。
「そう言えば、雄二はいったいどこに…」
「坂本ならさっき、無理やりAクラスのバスに乗せられてしまったぞい」
「何だって! Aクラスって確か、ヨーロッパ周遊8日間の旅だよね!?
 クソッ、うらやましい奴め…」
僕らなんか、近場の観光地にバスで向かうだけなのに、何たる格差社会!
「いや、そういう問題じゃないと思うのじゃが…」
確かに、あの霧島さんのことだから、雄二は飛行機の中で荷物扱いだろう。良い気味だ。

しかし、分かっていたこととは言え、バスの中に充満する排気ガスの臭いは凄まじい。
この臭いを嗅いだだけで気分が悪くなる…ってアレ? なんだか甘い香りが…
「ちょっと、アキ! 何ウチの髪の匂い嗅いでんのよ!」
「う、うわあ、ごめんなさい!」
「明久君…わ、私の匂いなら嗅いでも構いませんよ…」
この香り、美波と姫路さんの髪から漂ってくるシャンプーの香りか! 思わず嗅いでしまったではないか。

しかし、女子ってのはこんな良い香りがするもんなのか。
(……この匂い…朝シャンしてる…)
(しーっ!声が大きい!)
(明久の隣に座るからといってそこまでするかのう…)
(す、好きな人の隣なんだから当たり前です!)
両サイドから何やら小声が聞こえてきたが、バスのエンジン音がうるさくて聞き取れなかった。
いやあ、でも…何というか…その…こんな香りを嗅いだら、姫路さんや美波や秀吉が
お風呂で髪を洗ってるところを想像してしまうではないか! ああ…やばい…顔が火照ってきた…。
このままでは周りに怪しまれてしまう。落ち着け、僕! もっと別の想像をするんだ。
シャンプー→お風呂場→強化合宿・覗き見→ババアの裸
「おええええええええええ!!!」
「ど、どうしたんですか!明久君!」
「アキ!大丈夫!? ほら、袋!」
「何じゃ?乗り物酔いかのう?」
「はあ、はあ…大丈夫だよ…全ては僕の想像力が招いた事故なんだ、うん…」


239 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2010/01/11(月) 01:44:23 ID:reL9dMT6
落ち着け、僕! もっと普通の事を想像をするんだ。例えば今朝のこととか。
そういえば、今日も朝は何も食べてこなかったなあ…お腹すいた…
『グ~』
ああもう!なんでこんな時に鳴り出すんだよ、僕の腹! 腹の虫に文句言ってやろうか!
みんなこっち見て笑ってるじゃないか。ああ恥ずかしい。
「明久君、お腹すいてるんですか」
「う、うんまあね…そうだ、今日の夜旅館で食べようと思っていたお菓子が…」
そこまで言って気づいた。お菓子はトランクの中に入れてあったのだ。なんたる不覚!
「明久君、よかったら私のお菓子を…」
嫌な予感がする。
「も、もしかして…それって姫路さんの手作りとか…」
「いえ、最初は手作りクッキー作ろうと思ってたんですけど、旅行の準備とかで忙しくて…
 残念ながら市販のお菓子です」
よかった。なんとか命拾いした。
「はい、明久君、あ~ん」
「ちょっと待った、姫路さん! な、何を…」
「何って、ハイチュウヨーグルト味ですけど、お気に召しませんでしたか?」
「いや、そうじゃなくて! 何で姫路さんが僕に食べさせようとしてるの!」
「もう、わがままな子にはお菓子はあげませんよ!」
「いや、わがままとかそういう問題じゃ…」
「はい、明久君、あ~ん」
「う! あ、あ~ん…」
姫路さんがハイチュウを強引に押しこんできたもんだから、結局されるがまま僕はそれを食べる。
ああ、周囲の視線が…
「はい、明久君、あ~ん」
「ま、まだやるの!?」
「お腹すいてるんでしょ?それならどんどん食べていいですよ」

結局5、6個のハイチュウを口にほおばる事となったわけだが…何やら右側から禍々しいオーラが…
「アキ!私のお菓子も食べなさい!ほら!あーん!!」
「ちょっと待った、美波! な、何を…」
「何って、ポテトチップスコンソメ味に決まってるでしょ!」
「いや、そうじゃなくて!」
「ほら、食べなさい、あーん!」
「いや、僕まだハイチュウ食べてるから…」
「つべこべ言わずに食べなさい!」
ぐいぐい。美波が僕の口に強引にポテトチップスを5、6枚押し込んでくる。もう勘弁して…
「うおおおおお! 口の中でハイチュウとポテトチップスが混ざり合って凄まじい味があああ!!」
何とか気合いで飲み込んだが、何だが気分が悪くなってきた。
「み、美波…何か飲み物とかないかな?口の中が凄まじいことに…」
「な、何!? またバス酔い? 勘弁してよ」
いやいや、こうなった原因の大半はあなたにあるんですけど…
「明久君、よかったらこれをどうぞ」
そういって姫路さんが出してきたのは、水筒のカップに入ったお茶のようなもの。
「あ、ありがたくいただくよ」
一刻も早く口直しをしたかったから、僕はそれを急いで飲みほした。
「それ、乗り物酔いや胃もたれに効く成分が入ってるハーブティーですよ。
 昨日"私が"家で作ってみたんです。お味はどうですか?」
それを聞いた直後、僕は意識を失った。

(終)
最終更新:2010年01月12日 09:13