SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ内検索 / 「 スーパーロボット大戦DOGEZA ~終焉の土下座へ」で検索した結果
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スーパーロボット大戦DOGEZA ~終焉の土下座へ
スーパーロボット大戦DOGEZA ~終焉の土下座へ スーパーロボット大戦DOGEZA ~終焉の土下座へ PART2 Tails of DOGEZARIA スーパーロボット大戦DOGEZA ~終焉の土下座へ PART3 -
職人さん別 サマサさま
短編 ドラえもん のび太の新説桃太郎伝 <連載中> P2!~after 10 years~ 前編 後編 三年一組剣八先生! 東方聖誕祭 鉄(クロガネ)のラインバレル 異聞・道明寺誠の退屈と諦観 岸辺露伴は動かない ―殺戮の女王―(前篇) 岸辺露伴は動かない ―殺戮の女王―(後篇) 小ネタ・あのアニメソングをサンホラっぽくしてみた とある殺人鬼の物語(前篇) とある殺人鬼の物語(後篇) 魔法少女みやこ☆マギカ <完結!> 長編 ドラえもん のび太の超機神大戦 <完結!> 遊☆戯☆王 ~超古代決闘神話~ <完結!> 天体戦士サンレッド<連載中> スーパーロボット大戦DOGEZA ~終焉の土下座へ<連載中> -
完結した短編集
素晴らしい国(キノの旅)(名無しさま) ある昼休み (鬼平さま) 二重の極め (鬼平さま) 無題 43スレ201さま 戦争を愉しむ者 (銀杏丸さま) Will Meet Again (さいさま) 一寸先は (しぇきさま) クロノート (41さま) kazikili Bey (銀杏丸さま) 18禁スーパーロボット大戦H -ポケットの中の戦争-(名無しさま) 強くなるのは、なれるのは(ふら~りさま) 魔法少女リリカルなのは外伝 ~恋は永遠の魔法なの~(VSさま) (掛川宿の噂「作者はVSさまだって!?」- まことであったか!!) 傷跡の記憶(流花さま) ハンバーガーにライ麦を(涼宮ハルヒの正義作者さま) (しぇきさま?) 力の解放 (名無しさま) サナダムシさん復活祈願! →... -
スーパーロボット大戦DOGEZA ~終焉の土下座へ
我々の住むこの世界から、極めて近く、また限りなく遠い平行世界――― 地球は大ピンチである。 外宇宙からの侵略者・恐るべき地底勢力・人間同士の争い…もはや全ての終焉<アポカリュプシス>は 目前にまで迫っていた。 だが!しかし!そんな脅威に立ち向かう戦士達が、地球には存在していた! 強大なスーパーロボットで悪と闘う、正義の味方――― その名も<兜甲児と愉快な仲間達>略して<カブコー>である! …ちなみに、この部隊名の発案者である兜甲児は「まさか本当に採用されちまうとは思わなかった」と 漏らしていたという。 とにかく、彼らこそが地球に残された最後の希望なのだった。 さて、そんな<カブコー>の面々は現在、日本某所の基地に駐屯している。 そこでは、こんな光景が繰り広げられていた。 「うおぉぉぉぉ!カツゥゥゥッ!」 <カブコー>所属の戦艦ラー・カイラムの艦長ブライト・... -
長編SS
60kb以上の長編たちです。といっても管理人が「これは長げぇ」という印象を持っていたら短い作品でも紛れ込んだりしますがご容赦ください。 【職人さん別 Index】 完結した長編達 虹のかなた(ミドリさま) AnotherAttraction BC (NBさま) バーディーと導きの神~暴虐のガロウズ~(17さま) 戦闘神話(銀杏丸さま) 永遠の扉(スターダストさま) 聖少女風流記 ハイデッカさま シルバーソウルって英訳するとちょっと格好いい (一真さま) オーガが鳴く頃に(しぇきさま) フルメタル・ウルヴズ!(名無しさま) ヴィクティム・レッド(ハロイさま) シュガーハート&ヴァニラソウル (ハロイさま) その名はキャプテン・・・(邪神?さま) 脳噛ネウロは間違えな... -
スーパーロボット大戦DOGEZA ~終焉の土下座へ PART2
宇宙に浮かぶは、何よりも碧く美しき宝石―――地球。 今日も今日とて邪なる欲望を抱き、侵略者が攻めてくる。 それ往け、地球を守る戦士達―――その名も<兜甲児と愉快な仲間達>略してカブコー! 科学・オカルト・努力・根性・熱血・愛・勇気・覚醒・再動・銅鐸・グレンキャノン―――そして土下座。 あらゆる手を尽くして、侵略者共を全滅だ! 「おのれ、カブコーめ…!まあいい、今日の所は挨拶代わりだ。次こそは貴様らの最後だ、はっはっは!」 テンプレ通りのセリフを吐きつつ、実はボロボロにされて涙目で逃げ帰っていく敵。 カブコー、今回も大勝利であった。 そして、戦闘後のミーティングというか雑談。 「今日もノリノリでしたね、万丈さん。あの口上、いつ聴いてもシビれますよ」 「いや、そんな風に言われると気恥ずかしいね…しかし、ノリノリといえば宙に敵う奴はいないだろう。 完全に相手... -
スーパーロボット大戦DOGEZA ~終焉の土下座へ PART3
地球の為に―――そして、全宇宙の平和の為に日夜闘う正義の軍団<カブコー>。 そこに属する者達は、程度の差はあれ一癖も二癖もあるツワモノばかりだ。 ごく普通の地球人もいれば、親父によってサイボーグにされた奴も何人かいる。 超能力者もいれば、遺伝子操作された新人類というべき者もいる。 そして、ここにも一人、異彩を放つ男がいた。 食堂の片隅で、物憂げに頬杖をつく青年。 オレンジ色の髪をした、一見ごく普通のナイスガイな彼の名はミスト・レックス。 実は彼は、地球人ではない。 かつて、強大な敵によって滅ぼされた惑星アトリームの生き残り―――つまりは、異星人である。 紆余曲折を経て流れ着いたこの地で<カブコー>の面々と出会い、新たな故郷である地球を守るべく、 戦いに身を投じたミストではあるが、地球での暮らしは彼にとって理解し難いものがあった。 星を越えたカルチャー・ギャップ。... -
Tails of DOGEZARIA
―――此処は剣と魔法…そして土下座が全ての根源を成す幻想世界――― 創世の土下座三女神(ドゲガデス)ドゲリア・ドゲーネ・ドゲリスが産み出したとされる天地。 <DOGEZARIA(ドゲザリア)> 時は聖ドゲ歴1000年。 ドゲ・ザリー帝国の初代皇帝ドゲザーは直属の部下たる土下座四天王、そして支配階級たる土下貴族 達を率い、世界各国を相手取って土下座大戦(ワールド・ドゲ・ウォーズ)を引き起こした。 この一大戦争に勝利したドゲザーは、遂に土下座による世界制覇を成し遂げる。 土下座税(ドゲタクス)の導入による、貧困層の拡大。 横行する土下座軍(ドゲタリー・フォース)による被支配者への横暴。 土下貴族(ドゲ・ノーブル)は土下座によって強権を振るい、圧制を強いた。 政治家達は土下座主義(ドゲ・ポリシー)によって腐敗し、平和主義を説いた土下座教(ドゲ・チャーチ) は徹底... -
しけい荘大戦 第六話「幕開け」
米国大統領ジョージ・ボッシュ、来日。 政治にはまったく無縁なしけい荘にとっては、はっきりいってどうでもいいニュースで ある。──ただ一人を除いては。 戦闘時にも劣らぬ真剣さで新聞に目をやるゲバルに、シコルスキーが声をかける。 「熱心に読んでるな。俺なんて日付くらいしか読まんぜ」 「せめてテレビ欄、最低でも四コマ漫画くらいは読んでくれ」 「ところでどの記事を読んでるんだ?」 「これさ」 ボッシュ来日の記事に、きょとんとするシコルスキー。この記事とゲバルの関係性を瞬 時に推測しかねた。 「これがどうしたんだ?」 「日本にいる間、奴の護衛を俺が任されることになった。準備や下調べのため、今日から しばらく留守にすることになるが、よろしく頼む」 「へぇ~すごいじゃないか!」 「すごい? ……なにがだ?」 「護衛を任されたことがだよ。... -
P2!~after 10 years~ 52-1
―――そして、ダブルスの試合が終わった頃になって。 「いやあ、よかった!今病院から連絡があってな。眞白の怪我は大したことはなかった。脳挫傷と脊椎損傷、後はちょっと 全員の骨という骨が軒並み粉砕して身体中がありえない方向に折れ曲がって、更にそれが内臓や皮膚を突き破って、出血量 が3000ccを超えちゃっただけだとさ!」 蒔絵の報告を聞き、久瀬北の面々にほっとした笑顔が浮かぶ。この程度の怪我ならば、一週間もすれば完治するだろう。 ちなみにダブルスの山雀(やまがら)・梟宇(きよう)VS紅州青州(こうしゅう・せいしゅう)兄弟は、いちいち書く までもない普通の試合であり、普通に久瀬北が負けたので割愛させていただく。 まあ一応触りだけ書いておくと、グラウンドにクレーターができたり照明が吹っ飛んだり観客に5名の重軽傷者が出たり 山雀がフェンスにめり込んだり梟宇が観客席にめ... -
ドラえもん のび太の超機神大戦 第90話「最後の勝負・2」
第九十話「最後の勝負・2」 絵本が振り翳したメス。その矛先は―――自らの手首だった。血が面白いくらい勢いよく飛んだ。 「な・・・何やってるんですか、あなた!」 ペコが血相を変えて問い詰めると、絵本は自分で傷の手当をしつつ困ったような顔をして言った。 「だ、だから、精神を落ち着けようとリストカットを・・・こうすると、血が抜けてく感じがして、気分もスゥーっと楽に なるから・・・」 「・・・・・・」 嫌すぎる精神安定法だった。 「リ・・・リストカットで気分スカっと」 しかも笑えなすぎるジョークのおまけ付きだった。 「くっくっく・・・どうだ、園樹は。いい眼鏡の上に、中々面白い奴だろう?面白いなあ。本当に面白い」 狐面の男は、つまらなそうにそう言った。 「あなたは・・・なんでそんなに平然としてられるんですか」 キラは苛立ちを抑えきれない様子で狐面の男に問いかけた。 ... -
遊☆戯☆王 ~超古代決闘神話~ 第四十九話「ラスト・デュエル!(前篇)」
―――現世から遥か遠くに隔たる超空間。 「遂に」「終に」「目覚めてしまった」 「<黒き予言書>」「<終焉の魔獣>」「<歴史の支配者>」 其処では先刻、タナトスと矛を交えた詩女神六姉妹が、死神と人間の最後の闘いを見守っていた。 「最早、人間達の力では」「到底太刀打ちできない」「されど、タナトスも今は十全ではない」 「今なら、我々が加勢すれば」「冥王を斃す事も」「せこくね、それ?」 どこか白けたような末っ子の六女だったが、姉達はそれを黙殺した。 「では参りましょう」「これ以上タナトスに」「人間達を殺させるわけにはいかない」 「あの者達に」「力を貸して」「姉ちゃん達さあ。あたいはどーかと思うよ、そーいうの」 またしても混ぜっ返した六女に対し、残る五姉妹は流石に気分を害したようだ。 「―――ロクリア。貴柱(あなた)は何を言いたいのです」 最年長の姉・イオニアが代表して苦言を呈... -
『絶対、大丈夫』第四話 47-1
第四話<そして、外れていく日常・2> とある世界────日本、某市の小学校の裏山。 そこは普段ならば、子供たちの遊び場になっていたり、鳥や狸(決して、ドラえもんのことではない)などの住家となっている、のどかな場所だ。耳を澄ませば小鳥や小動物の鳴き声が、さまざまな所から聞こえる。 人間の手による地球環境の破壊が様々なところで騒がれている中、一切人の手がかかっていない珍しいところだ──── それも、普段、の話であるが。 今は、その普段の状態では─────ない。 雑草や小さな花などが生えていた地面の所々は抉られ、中の土を露出させている。太陽の光を少ししか通さないほど生い茂っていたはずの木々が、何十本も根こそぎ倒されている。まさに、目を覆いたくなるような惨状だった。 小鳥や小動物の鳴き声など、聞こえない。 代わりに聞こえるのは────まるで花火の音を近くで... -
しけい荘戦記 第三十三話「出撃」
時は満ちた。 しけい荘とコーポ海王を巻き込み、ホームレスまでもが介入した闇討ち事件。泣いても 笑っても今日が決着の日となる。 純・ゲバルとマホメド・アライJr。両者の決闘によって白黒がつく。 しけい荘203号室。ゲバルはいつも通りロッカーの中で立ったまま目覚めると、あく びをしながら戸を開いた。 トーストを平らげ、水だけで洗顔し、歯ブラシを手に取る。毛先が若干曲がっていたが、 ゲバルが歯ブラシを高速で振ると、あっという間に毛先が整った。鼻歌を交えて陽気に歯 を磨くゲバル。 歯磨きを済ませると、寝巻きから普段着へ。締めに愛用のバンダナを巻き、いざ出陣。 靴を履き、ドアを開け、階段を降り、アパートを出る。試合場となるグラウンドは徒歩 にして十分程度。リズミカルに歩を進めるゲバル。 彼は決してこのたびの決戦をあなどっているわけではな... -
THE DUSK 第七話 (1)
俺もお前も半生状態にされて落ちていくとこさ。馬鹿になる為に成長し、「何もするな」と教育される。 俺はドラッグが好きな訳じゃない。ドラッグが俺を好きなんだ。 第七話 『DOGVILLE』 放課後の銀成学園高校。生徒玄関からは一日の授業を終えた生徒達が次々に出てくる。 それら帰宅の途につく人の流れの中、校門前では柴田瑠架が携帯電話を片手に佇んでいた。 彼女の指が繰る携帯電話の液晶画面には―― 【芸能】永江衣玖、初の全米ツアー ジャイアンツスタジアムで8万人がフィーバー【キャーイクサーン】 【経済】株式会社湯谷がアメリカのロボット開発企業ウェイランド社を吸収合併 “ウェイランド湯谷”へ 【イベント】ビリー・ヘリントン来日 秋葉原ワンホビ9にゲスト出演 ――等の文字列が現れては消えていく。 外出先で暇な時に見... -
のび太と雲の王国50-1
「ドラえもーん! 財布の中身が50円しかないよー!」 「はい、バイバインー」 ドラえもんはのび太の50円玉にバイバインをふりかけた。50円玉は倍額の100円 玉になった。 「やっほー!」 のび太は大喜びでコンビニに行った。店長のオヤジがニコニコ笑っている。 「おじさーん! ムーゴーおくれー!」 ムーゴーと100円玉をレジ台に置いた。100円玉は倍額の200円玉になっていた。 オヤジの笑顔が悪魔の形相に変わった。 「こんなお金は使えませんアンド子供にムーゴーは売れませーん!」 のび太はオヤジの機銃掃射をかいくぐって、命からがら家に帰ってきた。 「でや!」 のび太の投げた200円玉はドラえもんの眉間を貫通した。ドラえもんは爆発した。 「なけなしの50円まで使えなくなったじゃないか! ドラえもんのバカ!」 「どれどれ」 ドラ... -
ドラえもん のび太の超機神大戦 94話中編
第九十四話「ラグナロク・中編」 彼らが飛ばされたのは、<終わった宇宙>だった。 かつてこの世界で勃発した、全銀河を巻き込んだ大戦乱―――その果てに待っていた結末。 全ての崩壊と、宇宙の終焉。 そんな、何もかもが無に帰した世界で蠢くものがあった。かつてこの宇宙に存在していた知的生命体からは<宇宙怪獣> と呼ばれ、恐れられた怪物たちだ。 彼らは本能のままに破壊し、蹂躙し、そして食い尽くし、もはや邪魔者がいなくなった宇宙を我が物顔で埋め尽くしていた。 その数は、まさに天文学的数字に昇るだろう。 ―――その中心に、バキスレイオスとグランゾン・Fは現れた。 「な・・・何?こいつら・・・」 「ふん・・・私に聞かれても知らないとしか言えませんが、友好的でないのは確かですね」 シュウの言うとおりだった。宇宙怪獣たちは一斉に襲い掛かってきたのだった。 単純明快。会話や意思疎通の余地などまるでない。ただただ... -
遊☆戯☆王 ~超古代決闘神話~ 第四十一話「冥府激震」
冥府の底のそのまた底―――其処は冥王の間。彼は一人、玉座に佇む。 銀の髪に、紫の瞳。携えしは一対の双剣。 かつて<紫眼の狼>と呼ばれた男―――エレフ。 その肉体はもはや冥王の器と化し、精神は闇深く眠りについた。 今の彼は冥王タナトス。それ以上でもそれ以下でもそれ以外の何物でもない。 彼はただ心静かに、座して待っている。その退屈など、彼には欠片ほどにも苦痛ではない。 彼は生まれ堕ちたその時から、ずっと待ち続けていたのだから。 何故、自分は存在しているのか。自分は、何をすべきなのか。 その答えを問い続け、待ち続けていたのだから。 そして今、彼はその問いに己なりの解を見出していた。 タナトスは顔を伏せ、一人呟く。 「母上(ミラ)…貴柱ガ命ヲ運ビ、仔等ニ残酷ナ運命ト痛ミヲ与ェルノナラバ―――我ハ其ノ命ヲ奪ィ続ケ、殺メル事 デ救ィ続ケヨゥ」 ... -
天体戦士サンレッド ショートショート集(サマサさま)
~~~天体戦士サンレッド・これまでのあらすじ~~~ ―――2010年、世界は未曾有の危機を迎えた! 世界を蹂躙する、悪の組織フロシャイム。迎え撃つ、正義の戦士サンレッド。 今、闘いは最終局面へ――― 迫りくる悪の化身。 仮初の平和は脆くも砕かれ、絶望が世界を包む。 「サンレッド…お遊びは終わった。ここからは、殺し合いの時間だ!」 「ふ…今までお前が俺達に勝ってこれたのは、俺達が真の力の一割も出していなかったからだと思い知りな!」 「レッド!とうとうお前をぶっ殺すよー!」 鋼鉄の神は大地を蹴り、全てを破壊する。 「クックック…ゆけい、ヴァンプレイオス!愚かな人間共に我らの力を示すのだ!」 その強大な力の前に、人類に逃げ場はない。 それに乗じて胎動を始める、更なる邪悪。 「フフ…サンレッドカ。面白イ男ジャナイカ、我ト炎ノ力デ勝負シヨウトハ... -
魔法少女みやこ☆マギカ 最終話「たった一つだけの」
最終話「たった一つだけの」 永井輝明は病室のベッドで、少々退屈していた。 「ヒマだ…何もやる事がないというのが、ここまで苦痛とは…」 「しょうがないでしょ。ゆっくり休まないといけないんだから」 見舞い客用の椅子に座って林檎の皮を剥きながら、都子はそう言う。 とはいえ、左腕と左足に重いギプスの着用を余儀なくされては、少々気が滅入るのも仕方のない事だろう。 全治一ヶ月。リハビリも考えると数ヶ月。 中々に、厳しい現実だった。 (それでも命が助かっただけ、ありがたいと感謝すべきだろうな) そう、輝明は思った。 ―――あの事件から、一週間が過ぎていた。 駆け付けた救急隊員に病院へと担ぎ込まれ、治療を受けて。 手術は成功したものの、輝明の意識はしばらく戻らなかった。 その間、都子は輝明の側を一切離れようとしなかった。 あまりにも思い詰めた様子の都子に、医者や看... -
天体戦士サンレッド ~血に染まる川崎!真紅の大決戦
いつものようにいつもの如く、神奈川県川崎市。 「―――この世界には<幻想郷>と呼ばれる、夢想と空想を具現化し、具象化した楽園が存在します」 道端を歩きながら語るのは、真っ赤な帽子に真っ赤なスーツ、日傘を差した赤ずくめの男――― 彼の名は望月ジロー。黒髪黒瞳の端正な顔立ちだが、口元には鋭い牙が覗く。 彼こそは望月コタロウの兄にして<銀刀>と恐れられる、既に百年以上の時を生きた力ある吸血鬼だ。 「へー」 気のない相槌を打ったのは赤いマスクだけど格好はいつものTシャツな我らのヒーロー・サンレッド。今日の文字は <東方赤太陽>である。彼はジローに呼び出され、むさ苦しくも男二人で歩いているのだ。 「其処は<神隠しの主犯><遊惰なる賢者>と称される伝説の大妖怪<八雲紫(やくも・ゆかり)>が創り上げし、 人間もそれ以外も、全てを受け入れる理想郷―――鬼に天狗に河童に妖精、果ては神々に至... -
過去編第007話 「傷だらけの状況続いても」 1-2
当事者 2 灰色で塗り固められた部屋が闇に沈んでいた。 元は何かの研究所だったらしい。ディスプレイのついた筐体や巨大なカプセルが無造作に並べられ、それらは部屋の隅 から差し込む青白い光の中で錆や罅割れを無残に晒している。使われなくなって久しいらしい。 天井から剥離したと思わしきコンクリートが点在する床には空のペットボトルやコンビニの袋、染みのついた割り箸なども 散乱しており、ここが若者たちからどんな扱いを受けているか雄弁に物語っている。 ちょっとした講堂ほどある部屋の隅に、奇妙な一団がいた。 見た限り彼らはとても人間とは思えない。もし肝試しと称し侵入してきた若者がいれば、あまりの異様さに声を失くし全速力 で踵を返して逃げるだろう。 奇妙な格好の鳥と。 1mほどの筒と。 鎖で繋がれた子猫がいた。 そしてまず、鳥と筒の間で何かが爆... -
『絶対、大丈夫』(白書さま)46-1
第三話<そして、外れていく日常> 「おい、のび太、野球やんねえか?」 と、野比のび太に言ったのは、この町一番の暴れん坊でガキ大将の、ジャイアンこと、剛 田武だった。 ちなみに、言われたのび太は、ドラえもんと共にジャイアンのほかに骨川スネ夫がいる空 地の前の道路を歩いていたところだった。嫌そうな顔をしながら、答える。 「やだよ。だって、もしそれで負けたりしたら、『のび太、お前のせいで負けたんだぞ』とか 言ってくるじゃないか。」 というのび太の言ってることは別に言い過ぎではではない。ジャイアンは友達を大切にする 情に厚い一面もないこともないが、その一方で自分の失敗を人のせいにするなどの、自 分勝手な一面もあるのだ。というか、その一面のほうが先ほど言った一面よりも強いだろ う。それだけははっきり言えた。 しかし、人というのは自分の欠点を言われると思わず逆上してしまう生き物だ。もちろん ジャイ... -
Shall we die(ガモンさま)
とある小さな村、その日は夏も盛りの頃で村の子供達も昆虫採集に出かけ、男達は畑を耕す。 この村の少年、三つの眼を持つ天津飯もそのような穏やかな村でのびのびと育っていた。 彼は、半年前に山の災害で父を亡くしていたが、寂しさを表に出さず、健気に生きる彼の姿を見て、 彼の母は少し涙を流す。 「よし、炒飯!行くぞー。」 天津飯はもうすぐ九歳になる弟と一緒に近所の畑に向かう。 「おー、ボウズども、ありがとな!」 父が亡くなってからは病弱の母を支える為、何かと世話になっているお隣の農家で働いている。 「しかし、天ちゃんもエライねえ。本当なら、遊びたい盛りだろうに。」 天津飯は今十七歳。本来ならば教育を受けて友達と遊ぶ年頃だが、家庭が家庭なのでそうもいかない。 炒飯もそんな兄を手伝いたくて自分から農家に志願した。 その日の仕事も終わり、採れたての胡瓜を貰って帰路に着こうとする。 「... -
しけい荘戦記 第二話「真剣勝負」
第二話「真剣勝負」 笑顔で自分を迎えるクラスメイト。手渡される刃渡り十五センチほどのナイフ。坂道を 転げ落ちるように状況は悪化していく。 「じゃあこれ持って、あのアパートに行って来い」 「で、でも……」 「そんでアパートの誰でもいいから、ナイフ突きつけて『俺と勝負しろ』っていってこい。 それだけでいいんだ、簡単だろ?」 いじめっ子のリーダー格は目で威圧しながら、一方的に命令を与えてきた。 「頑張れよ。応援してるぜ、鮎川」 「大丈夫だよ、殺されやしないって」 リーダーの後ろでは、同じくいじめっ子に属する二人組が無責任な励ましを飛ばしてい る。あくまで主犯ではないように振舞いいざという時の逃げ道を残しながら、なおかつい じめによる愉悦をとことんまで味わおうとしている。 「さ、行って来い」 「ちょ、ちょっと待ってよ……僕は……」... -
DRIFTERS VERSUS ... 第二話
猛暑と疲労と落胆に、流石の土方もそこへ腰を下ろさざるを得なかった。 与一はそれに倣い、呂布もまた異人娘を傍らへ下ろして胡坐を掻く。 彼らをここまで導いた口喧嘩の主であるビリーとウィリアムも、喧嘩に飽きたか疲れたか、それぞれ座り込み、 へたばっていた。 一方、木にもたれて座っていたメンゲレは新たに加わった四人を興味深げに眺めていた。 いや、眺めるというよりも“観察”に近い。四人を一人一人、代わる代わる。 やがて、立ち上がったメンゲレは一行の下に近づいてきた。 異人娘の近くにしゃがみ込み、長と見た土方に話し掛ける。もちろん、母国語であるドイツ語で。 「良かったら私が診よう(Werde ich sie untersuchen)」 土方は慌てた。ドイツ語は当たり前の事、英語すらもわからないのだ。箱館陸軍の頃はフランス軍人もいたが、 会話は日本語か通訳を介してのものだった。... -
項羽と劉邦 第3話 張良の猛攻
閨の屋根は高い。 なぜなら呂后の身長は、決まった数値を持たぬからだ。 場面に応じて映えるよう適宜変わるようになっている。 よって閨の天井は余裕を持って25mほどの高さだ。 そんな広い閨で劉邦は呂后と絡んでいる。絡みたくないのに絡んでいる。 ぶふうぶふうと吐かれる息には潮出版独特のインク臭がまじりやるせない。 しかしどうして潮出版のインクはああもクセがあるのか。 なぜ文庫についてるしおりのキャラは唇がツヤツヤしているのか。 知る良しもないが、ともかく劉邦は首は傾げた。 視界いっぱいをしめる呂后の肩。 脂肪でゆるみきったそこに、黒いまだらがゆらゆらと動いている。 すわ皮膚病かと嫌悪を露にしかけたが、そこは仮にも一国の王。 すぐさま別の物であると気付いた! 頭上25m。 白と薄紫の扇子が一握、開いた状態で蝶のようにふわりと舞っている。 ... -
AnotherAttractionBC57-1
「……良いんだぜ、オレは。無性に今暴れたい気分なんだ」 単騎でありながら、トレインは一睨みで候補生達を射竦めていた。 向こうの頼みは銃の一挺、しかし誰一人仲間や武器を頼りに出来ない。 「…武器を捨てなさい」 「撃てって言ってんだろ。このデカブツと一緒に殺してやるぜ」 トレインの目が鋭くなるのを止めて猫科猛獣の様に見開かれる。 これは怒りではない、瞼が視界を削るのを防ぐ為だ。つまりそれは、完全に戦闘状態に入った事を意味する。 リオンやアウトラウンド達がそれに気圧される中、しかしセフィリアも怪物も鉄面皮であり続ける。 「―――…一つ、言わせて貰うが」 怪物が、朗と響く声で緊迫に一石を投じる。 「俺達ははっきり言って、貴様らの喧嘩などに付き合い切れん。それほど暇な身体でもないのでな」 そう言ってゆっくりと、砲をトレインへと向ける。 同時に、彼の殺意... -
永遠の扉 第090話
「秋水先輩、空気ってどう読めばいいのかなあ?」 「君はいきなり何をいっているんだ?」 ゆらっと扉を開けてしょんぼり佇んでいる。 秋水の病室へやってきたまひろは正にそんな状態だった。 幽鬼のごとく部屋に入るなり、閉じたての扉の前で一歩も動かず秋水を眺めている。 グっと太眉の下がった困惑満面はもはや見慣れた感がある。何かといえばこの顔だ。.しかしどうであろうこの眉毛の明瞭 さは。古来「目は口ほどに物をいう」というが、まひろの場合「眉毛は目ほどに物をいう」のかも知れない。 (というか、そういう話の切り出し方は困る) 病室へ見舞いにくるなり「空気ってどう読めばいいのかなあ?」は如何なものか。質問それ自体がすでに空気を読めてお らぬ。ヴィクトリアがこの場にいれば「いきなりそういう質問をしなければいいのよ」と冷笑混じりに茶化すだろう。秋水はた だ... -
THE DUSK 第六話 (1)
俺は歩く悪夢。俺は破滅の武器庫。俺は登院厳重命令。俺は禁止政策物。俺は歩く天災。 ――俺は破壊者だ。 第六話 『GANGSTER NUMBER 1』 ――東京都 新宿区 某所 深夜。 眠らない街の一角。とあるレストラン。 優雅に流れているのはJ.S.バッハの『ゴルトベルク変奏曲』。 店内には欧州の風情を感じさせる絵画や彫刻が主張し過ぎない程度に配置され、それを照らす照明も 比較的シンプルなデザインのシャンデリアが発する大人しげな光であった。 主役である客達はレストランの雰囲気とBGMの調和を崩さぬよう、誰もが物静かな声で上品に語らっている。 ミシュラン・ガイドのお忍び調査員が店内を一目見たならば、感嘆とまではいかなくても「気が利いている」と 賛辞の呟きを洩らすかもしれない。 しかし、星の対象とはならないだろう。... -
第098話 (4-6)
鐶。 Dブレーンの果てより現れた暗斑帝國・ネプツガレ! 突如侵攻してきた彼らに人類は成す術なく追いつめられた! 唯一の希望は葦嶽アマツが父の命と引き換えに受け継いだ可塑型次元城砦……その名も爆燃砦ヴァクストゥーム! 父の仇を探し闘う彼は次々と各都市を奪還するが、ネプツガレ四棺原譚の1人、ルヴェリエの卑劣な策謀に嵌り絶対 絶命の危機に陥る。消えるアマツの意識。傷つき、動けなくなるヴァクストゥーム。 危機を救ったのは政府防備軍「瓜生」の道祖神ロボ小隊であった。 思わぬ邪魔に激昂したルヴェリエは専用機・十元弩リーベスクンマーの力で破願滅黯の大雨を降らせ洪水を起こす。 呑まれゆく街の中、道祖神ロボ小隊隊長、黒又山キシタ(28)は、直ちに部下たちに撤収を命令。 自らはいまだ動かぬヴァクストゥームを抱え飛び立った。 黄土色の濁り水が轟々と流れる大河川。その... -
項羽と劉邦 第2話 ナスと豆
というわけで劉邦たちは呂后の部屋へ向かった。 「うん? お待ちください、なんで私が駆り出されているのですか?」 韓信は首を傾げた。 「私は百万の兵を使えはしますが、武力はありませんよ。股くぐりですし」 その横で張良は、虫の群れで呂后の似顔絵を空中にペイント中。 「ふふふ漢王まあ見てくれよ。おれはまだボクサーになる夢をあきらめてない! だから右手 の指を折られてからは左パンチの威力をますように訓練した! 黄金の左パンチさ!」 喚きながら壁を殴っているのは蕭何(しょうか)だ。 「な、な? ひどいじゃろ! 愛蔵版三国志の価格設定並みに!」 「おお、桃園の誓い来た。やっぱニンテンドーDSの三国志は最高ですよね」 「聞けよ!」 韓信の手からDSがひったくられ、床へゴーした。 ヤフオクで馬鹿みたいに高騰している玩具もこうなって形無しである。 ヴ... -
永遠の扉 第033話
第033話 「斜陽の刻 其の伍」 一瞬、場にいた全ての者の動きが硬直した。 まず、L・X・E残党。 処理施設のタラップや水面に点在する彼らは、幹部たる逆向の負傷に 息を呑んだ。 いうまでもなくこの場で最も強いのは逆向だ。 だからこそ彼を旗印に寄宿舎襲撃をやろうとし、集結した。 だがその末に見た光景は彼の、偶然でない、力量的な必然による負傷。 ──逆向が敵わぬのなら戦っても死ぬだけではないか? 動揺は緩やかに残党どもの中に広がりつつある。 一方の管制室の中でも沈黙する者がいた。 動揺ではなくむしろ歓喜を以て沈黙を選んだコトは、開きかけた口を両 手でマスクのように覆ったコトから見て明らかだ。 (ぬぅぅぅ! 声を上げて実況したいっ!! なんというジレンマ! 声に 乗せて表現すべき事象状態が眼前にありながら実現できないもどかし... -
永遠の扉 第096話 (5)
「時間を元に戻す方法? ふふ。僕と武藤ソウヤがこの時系列から消えれば或いは」 . . 「小札零が死ねばもっと確実かもね」 「世界は戻るかも知れない。素晴らしき素晴らしき正史へと」 「えーと」 桜花は小札を見た。その美貌は大いに揺れている。戸惑いを隠しきれないようだ。 「お兄さんがいたの? 小札さん」 「……はい」 消え入りそうな声を漏らしたきり小札は俯いた。両目がシルクハットのつばに隠れたため表情は見えないが……しっとりとした 声音がいつも通り小札を雄弁にしていた。気落ちしているのは誰の目から見ても明らかだった。 「…………」 秋水は彼女と総角を覗く音楽隊全員めがけ視線を移した。どうやら彼らも初めて聞いたらしい。鐶は目を丸くし香美は静電 気を浴びたネコよろしく頭髪を逆立たせている。貴信が辛うじて黙っている... -
猿の手 53-1
黒。 眼に映るのは黒、黒、黒。 己も人も黒を身にまとう。 それが当然だと誰が決めたのだろう。誰も、何も疑問を抱かないのだろうか。 着なければいけないものを着て、来なければならないから来ているのか? 本当に彼女の事を、義妹の事を悼んでいる者が、この黒い集団の中に何人いるというのだ? それに声。そう、声だ。 『ここへ運び込まれた時には既に心肺停止状態でした。おそらく即死かと……。 あっ、あの、御遺体はご覧にならない方が……その、何というか……あまりにも損傷が 激しいので……――』 様々な声が人々の口から、または電波を介して発せられ、斗貴子の耳に捻じ込まれていく。 『運転手の居眠りが原因のようです。業務上過失致死の疑いで現行犯逮捕しました。 殺人罪? うーん、それはちょっとねえ……。まあ、今後の取調べによっては危険運転致死罪... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND (さいさま)45-7
――錬金戦団大英帝国支部 大戦士長執務室 防人は立ち尽くしていた。 自分一人が大戦士長の執務室に呼び出された事に。 いくら打ち解けて話が出来たとはいえ、目の前にいる人物は言わば“雲の上の人間”だ。 自分の所属している日本の戦団のトップである亜細亜方面大戦士長にも、防人はまだ会った事が無い。 また昨日あれだけの連帯感の無さをさらけ出しただけに、何とも言いようの無い緊張感が生まれる。 「何の御用でしょうか、ウィンストン大戦士長」 「別に用って用は無えよ。出発前に少し話でもしようかと思ってな。まあ、座れよ」 とても大幹部には見えないこのくだけた人物は、引っ切り無しに煙草の煙を吐きながら着座を勧める。 特に不機嫌そうな訳でもなく、初対面の時の気安さはそのままだ。 「はあ……。失礼します」 防人はおずおずとウィンストンと向かい合うようにソファに座る。 ウィンストンはくわえていた煙草を指に挟むと、... -
女か虎か(電車魚さま) 2:DEVIL & DEEP DARK OCEAN
とっさの身じろぎは間に合わなかった。強靭な顎が、サイの頭部を噛み砕いた。 頭蓋が砕けるめりっという音を聞いたとき、怪盗の体は振り捨てられて、ゴム鞠のように吹っ飛んで いた。ベテラン船員を模した体は貨物庫の壁に叩きつけられ、人体の構造を無視した形に歪んだ。 通信の向こうでアイが叫ぶ。 『サイ!』 折れた首が、皮と肉だけに支えられてだらんと垂れ下がった。 目は先ほどまでの光を失い、舌のちぎれた口からはどす黒い血が溢れる。穴の開いた頭からは血と 脳漿がこぼれ、床にしたたり汚い染みを作る。 跳躍とともに鮮やかなフックを放った虎は、その巨躯からは信じがたいほどの身軽さで着地した。 耳まで裂けた口からまず黄色い牙が覗き、続いて赤い歯茎が剥き出しになる。紫がかった舌まで晒して、 虎は高らかに咆哮した。忌まわしい檻から解き放たれ、自由を取り戻したことを... -
<Chronicle> 第0章
奇妙な男だった。 亜細亜の小さな島国に伝わる神なる獣、それを象った仮面を被る男。 道化の如き姿であるが、一世代前の仏蘭西貴族のようでもある。 己が口から吐き出されるのはすべて虚構であると嘯く男。 眼前にいる何者かへと語りかける男。 男の名は、《バロン》。バロン・ミュンヒハウゼン。 「――さて。 かくして一つの物語に幕が降ろされ、 かくして新たな物語の幕が開かれます。 我輩は望むでしょう。虚構と現実とが行き違う回転悲劇を。 さらに。歪んだ<歴史>の紡ぎだす、壮大な恐怖劇(グランギニョル)を」 男の声には笑いが含まれている。 対する何者かは、無言。 「騎士殿はご存知でしょうか。<黒の予言書>なる書物のことを。 全24巻からなる黒い表紙の古書。 有史以来の数多の記録が記され、その記述は未来に... -
しけい荘戦記 第十話「七人目」
古びたロッカーがぽつんと置かれていた。 突如として、しけい荘に出現したスチール製の直方体。正体や背景は一切不明。目撃者 もいない。分かることはただひとつ「何も分からない」ということだけ。 未知なる侵略者に対し、オリバを除く五人はとりあえず包囲することにした。しかし、 取り囲むだけでは謎は解けない。緊張が汗を増し、水分と体力が奪われる。 「マドロッコシイゼ、俺ガ拳(フィスト)デブッ壊シテヤル!」 「むやみに刺激を与えるのは止めた方がいい。爆発物が入っていればアパートごとドカン、 ですよ」 はやるスペックに、冷静に忠告する柳。たしかに中身が分からない以上、粗暴な接触は 得策ではない。これを瞬時に理解したのか、舌打ちしてスペックも引き下がる。 「では私が仕掛けてみよう」 ドリアンが髭を撃ち込む。が、ロッカーから反応はない。 「ふむ、やはり... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 47-2
――北アイルランド アーマー州ラーガン ズーロッパ・トレーディング・ファーム・ビル ラーガン市内の外れにある六階建てのビル。 ビルに掲げられた看板には『ZOOROPA Trading Firm』とある。 この中小輸入貿易会社ビルの六階、暗く長い廊下を一人の少女が歩いていた。 黒のタンクトップにモスグリーンのアーミーパンツ、手には自動小銃アーマライトAR‐18、 そして頭にはそれらとは不釣合いなフリル付きカチューシャとリボン。 ブリギット・マクラウドは自身の15年間の人生と、これまで歩んできた闘士としての道をボンヤリと振り返りながら、 意味も無く廊下を行き来している。 自分は人を撃ち殺し、刺し殺し、爆死させてきた。 これまでもそうだったし、これからもそうなのだろう。 ただ、近頃は何かがおかしい。 突然、莫大な活動資金を提供してきた“協力... -
修羅と鬼女の刻(ふら~り)46-7
師直は、かねて用意していた護良親王の動向調査書(尊氏を討つ為に兵を集めたり していた証拠)と、引きずってきた大和(親王が尊氏暗殺を企んだ件の証人)を揃えて 新政府に訴えた。武人気質の親王はもともと公家たちと仲が悪く、またそういう 気質だから言い訳などもせず尊氏暗殺命令を堂々と認めた為、親王の有罪が確定。 尊氏の弟、直義(ただよし)が治めている鎌倉へ流され幽閉されることになった。 だが、この件の実行犯である暗殺者は事件当夜から親王の前にすら姿を見せず、 何処かへと消えてしまったという。 「ま、あの小娘を逃がしたのは残念でしたが、首謀者をひっ捕らえることができたの ですから。とりあえず一件落着ですな、陸奥殿」 「……うん」 足利の屋敷。師直と大和が、いつも通り机に向かい合って事務仕事をしている。 「それはいいんだけどさ。最近、足利さん元気なくて」 「ほう」 「無理ない... -
「”代数学の浮かす” ~法衣の女・羸砲ヌヌ行の場合~」 5
遂に邂逅した武藤ソウヤと羸砲ヌヌ行。 彼らの目の前に現れたのは……”鎧”だった。 特定の1体を除いていえばヌヌ行がその姿を把握したのは戦闘終了後しばらく経ってからである。 戦闘はすぐ終わった。例の帯が支配する世界でじっくり観察しなければ敵がどういう姿かなど永遠に分からなかっただろう。 無数の裂け目から着地音もバラバラに降り立った彼らは。 鎧を着た執事。一言で形容すればそうだった。胸にブレス・プレート。両腕にはトーナメント・アーマー。兜はアーメット。 とは淹通(えんつう)なるヌヌ行が戦闘終了後ソウヤに披歴した知識だが……とにかく歪な姿だった。左右は非対称で 右肩からは用途不明のウィングが天めがけ高々と生えていた。手袋や爪先は唇のような赤。黒い葉脈の浮いた鎧のそこ かしこから覗く地肌らしき部分も赤。コントラスト。強烈な色彩を放っている。顔とき... -
しけい荘戦記 第四話「ドリアン対スペック」
二頭の雄が同じ雌に恋をした。 アダムに予備はいらぬ。ゆえに取り合いは必然であった。 スペックは宣言通りのラブレター攻勢。愛と性欲を全てぶち込んだ恋文を、一日百通の 勢いで送りまくる。ただし相手の住所を書いていない(知らない)ので、一通たりとも相 手に届くことはなかった。 対するドリアンは自慢の歌声で気を引く作戦を取る。蕎麦屋の近くで夜な夜なシャンソ ンを披露したが、近隣住民の通報を受けたオリバと警察によってあっけなく取り押さえら れた。 程度の低さはともかく、両者とも本気(リアル)であった。 何としても彼女が欲しい。たとえ掛け替えのない友人を失うことになったとしても。 そしてついに二人は決定的な対立を迎えることになる。 アパート近くの土手で、ドリアンとスペックは向かい合った。 「やはり我々はこうなる運命だったということだ... -
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊惰の宴~ 全選手入場!
太陽と入れ替わりに、月の光が静かに大地を照らす頃。 燦々と輝く照明が、幻想郷最大トーナメントの舞台である闘技場を明るく彩る。 「いやーしかし、大した盛り上がりだぜ。よくこれだけ集まったもんだ」 既に満員と化した客席の一角で、一人の少女が呆れとも感心とも取れる呟きを漏らす。 真っ黒いトンガリ帽子に、魔法使いが着るような古めかしい白黒の衣装。気の強そうな瞳が印象に残る少女だ。 <普通の魔法使い>霧雨魔理沙(きりさめ・まりさ)―――<楽園の素敵な巫女>博麗霊夢と共に数多くの異変を 解決してきた英傑であり、この幻想郷では知らぬ者はいない悪童である。 <彼女に物を貸したら死ぬまで戻らない>は幻想郷の常識だ。実にジャイアニズム溢れる少女である。 「これだけ大掛かりな催しも珍しいからね…ま、ヒマ人が多いってのもあるでしょうけど」 体調が芳しくないのか、時折小さく咳込みながら... -
女か虎か(電車魚さま) 15: BYE BYE BEAUTIFUL (2 > 2)
部屋を出たアイは立ち止まらなかった。あくまで音を立てずひそやかに、玄関へと続く細い廊下を 足早に歩いた。 もともとサイに付き従い、国から国へ街から街へ飛び歩いていた流浪の身だ。よって私物は皆無に等しい。 彼から下げ渡された品はすべて置いて去るつもりでいるから尚更だった。 「惨めだな。主人からの三行半とは」 耳に届いた低い呼びかけは微量の毒を孕んでいた。 行く手を阻むように壁に背を預けこちらを睥睨する長身に、アイはわずかに目を細めて足を止めた。 「早坂久宜」 朝日が昇ってだいぶ経つが、廊下には灯かり取りの窓もなく薄暗い。男を包んでわだかまる闇は、 外で輝く太陽など知ったことではないとでも言いたげに、サングラスの向こうの表情を読み取ることを 拒否している。 「聞いていらしたのですか」 「勘違いするな、聞こうと思って聞いたわけじゃない。恨... -
しけい荘戦記 第六話「護身開眼」
しけい荘から徒歩十分、『コーポ海王』には大家劉海王を始め、十一名の海王が暮らし ている。元は中国で高名を馳せたというオリバたちに負けず劣らずの格闘士(グラップラ ー)軍団である。 寂海王は彼らの中で唯一の日本人であり、コーポ海王に引っ越したと同時に近所に彼の 流派『空拳道』の道場を立ち上げた。 彼の理想は高い。空拳道という武術を通じて若者を心身ともに鍛え、日本という国自体 をより良い方向へと導こうとしている。 だからこそ彼は優れた人材を望んでいる。共に空拳道を発展させるために。そんな寂に とってしけい荘のメンバーは文字通り宝の山である。筋肉の権化オリバを筆頭に、オリン ピック選手を遥かに凌駕する肉体の持ち主が何人もおり、その上なぜか世の脚光を浴びる でもなく、平凡な生活を営んでいるのだから。 「私は必ず彼らを手に入れてみせるッ!」 ... -
しけい荘大戦 第二十七話「結」
爪を指でつまみ、左目から取り除く天内。失明は免れていたが、左部はほとんど闇に覆 われてしまっている。 「グゥ……ッ!」 天内が視線を戻すと、拘束から逃れたシコルスキーの姿がない。と、気づいた時にはす でに死角から攻め込まれていた。左頬を穿つ右フック。真横にダウンを喫する天内。 「こ、こんなことが……ッ!」 「さァ……決着をつけようぜ、天内」 タキシードを脱ぎ、勢いに任せて床に叩きつけようとするシコルスキー。が、直前でタ キシードがオリバからの借り物ということを思い出し、丁寧に折りたたむ。あとで返す時 に殴られてはたまらない。 「私が……敗けるハズがない……。地上を愛で満たすまで……」 満身創痍の両雄が向かい合う。あとは二人の間で、勝者と敗者を決するのみ。 天内悠は、生来争いを好まない性質だった。 少年時代。飼い犬同士の喧... -
星盗人 04
流星、空を切り裂いて──。 などという詩美性の欠片もなく、博麗霊夢の小さな身体は猛スピードで地面に正面衝突した。 「いたた……」 もうもうと立ち込める土埃の中から、腰をさすり立ちあがる霊夢。 見ると、着地点が綺麗な半球上に抉れている。それはまるで、隕石が降ってきた痕のように。 逆Vの字軌跡を描いた急上昇・急降下の終わりのころにはすっかり恐怖心が麻痺していたはずだが、 そのペンペン草一本も生えない円形を目の当たりにすると、さすがに背筋に嫌な汗が垂れる。 「これで『いたた……』で済むってのもアレな話ね。あんたの能力なの、文」 と訊きながら、隣で密着してる烏天狗の少女を押しのける。 「もちろんそうですよ、霊夢さん。この射命丸文の『風を操る程度の能力』で気圧差のクッションを作って霊夢さんを保護したのです。 もっと感謝してくれてもいいんですよ?」 ... -
ヴィクティム・レッド 61-1
──その日、キース・レッドは音の洪水の真っただ中にあった。 名前は知らないがとにかく有名そうな楽団が、名前は知らないがとにかく有名そうな曲を大音響で奏でている。 その楽団を指揮する初老の男性は明らかに巨匠然とした重厚な雰囲気を身にまとい、その楽団が生み出す旋律は明らかに高尚な趣を醸し出していた。 しかしクラシックどころか音楽そのものに興味のないレッドにとっては、その最高に贅沢な(だと思われる)演奏も単なるノイズでしかない。 それどころか、生演奏独特の、なんの調整も施されていない複雑怪奇な音波の反響は、レッドのARMS『グリフォン』の振動能力に干渉して彼に不快感を与えていた。 (……あー、うっせーっつーの。音が欲しけりゃCDでも鳴らしてろよ) 彼の頭上から降り注ぐのは、絢爛豪華を絵に描いたようなシャンデリアの放つ輝き。 カクテルグラスを盆に載せたウェイター... -
項羽と劉邦_第10話_「韓信の最期」
そして 背景 → (紅葉が散り) 八年の 背景 → (雪が降って) 月日が 背景 → (桜が咲いて) 流れた。 背景 → (青葉が茂っている) 紀元前196年。長安城中・未央宮内。 執戟郎(しつげきろう)、という役職がある。 今でいう警護兵であり、郎中とも呼ばれているそれが皆一様に戟を向けてくる様を、韓信は 所在なげに見つめていた。 「分かってるマメね? 韓信」 「ええまぁ。要約すれば八年前の戦いの後、垓下の戦いで項羽率いる楚軍を倒した私なんで すが、戦後の処遇に不満を持って謀反を起こしたという事ですよね。覚えてます」 執戟郎たちは神妙な視線で韓信を見ている。彼らを率いる柴武が合図を下し次第、韓信を殺 す手筈になっている。 今、その注視の的になって... - @wiki全体から「 スーパーロボット大戦DOGEZA ~終焉の土下座へ」で調べる