827 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/03/08(土) 06:02:55 ID:zaaVgVMh
お母さんは短い生涯だったけど、愛する夫がいて、娘がいて、将来の婿さんがいて、幸せだったと胸を張って言えます。
悔いがないかと言われればそれは嘘です。珠姫と一緒にしたかったこと、教えたかったこと、両手では数え切れません。
でもね珠姫、私は不安ではないの。
珠姫は一人じゃないから。お父さんがいて、ユージくんがいて、そして私が知らない珠姫の友達も貴方の側にきっと居るでしょう。
貴方は覚えてますか?お母さんが貴方の前で竹刀を振ったコトを。
剣の基本は中段の構え。これは水の位と呼ばれます。
澄んだ水のように貴方の心があるなら、きっと珠姫の周りに居る人達が珠姫を助け、育ててくれるでしょう。
そして上段の構え。私が得意とした構えです。これは火の位。
いずれ珠姫は珠姫だけの道を、心に火を携えて歩んでゆくでしょう。その時に、上段からの片手面を思い出して。
竹刀を握っているのは左手。でも右手も竹刀をそっと支えてて、そして振るときに強く押し出してくれる欠かせない手なの。
珠姫にも、珠姫が迷ったり、悩んだり、踏み出す一歩が怖いとき、そっと支え押してくれる生涯にたった一人の素敵なヒトがいるのです。
ユージくんとか、ユージくんとか、ユージくんとか、ユージくんとか。
だから私は安心して旅立つコトができます。珠姫は私の自慢の娘なのですから、自分の大切な人を傷つけたり見失ったりしないと信じています。
いつまでもいつまでもユージくんと仲良くしていてね
そしてユージくんが18歳の誕生日の日に私のお墓に二人でお参りに来てくれるととっても嬉しいです。



――椿より   最愛の娘・珠姫へ
最終更新:2008年04月25日 23:31