「今日は、鎌崎高校と練習試合かあ。タマちゃん、
彼らがどれだけ強くなったのか楽しみだと思わない?」
 練習試合にやってきた鎌崎高校の部員たちを見ながらユージがつぶやいた。
「うっす、おはよー」
 そんなユージに、鎌崎の男子が話しかけてくる。
「あ、たしか。キミは岩堀君……だよね」
「ああ、あんたはたしか……タマちゃんの彼氏だっけ?」
 岩堀は、素直に思っていたことを口にした。その途端、
「あはははははははははははは。彼氏だって、違うよ。ねえ、タマちゃん」
 ユージは大爆笑。腹を抑えながらヒーヒー笑ってタマのほうを振り向く。
「……」
「タマちゃん? あれ?」
 なぜか、タマはほおをぷっと膨らませて怒っていた。
「タマちゃーん。なんか怒ってる?」
「別に」

 その様子を遠くでみていた近本とキリノがため息をついた。
「あのさ、もしかしてあのユージって男子、女心がわかってないタイプ?」
「ん~、まあタマちゃんも自分のことがよくわかってないタイプなんだけどね~」
「おーい、近本~。なんか、こっちの空気なんとかしてくれよ~」
 凍った空気に耐えられなくなった岩堀が近本を呼ぶ。
呼ばれた少女は、なぜか耳たぶまで真っ赤にして軽く悪態をつきながら岩堀のほうに
駈けていった。
「あの子は、顔に出てわかりやすくてかわいいな~」

 頬を膨らませたまま、タマがキリノのところにやってきた。
「あ、タマちゃん。どうしたの?」
「……よくわかりません」
 フフッ、タマちゃんは恋愛に関しても子供みたいなんだよねえ、とキリノは思う。
もっと素直にユージくん、ユージくんとか言いながら抱きついてスリスリでもすれば
さすがのユージくんでも気づくのに、とキリノはコジローが帰ってきた日のことを
思い出しながら、そんなことを考えていた。
「おーい、キリノ。こっちきて手伝ってくれ~」
 コジローが、キリノを大声で呼ぶ。
「……でもないか」
 キリノは盛大にはふう、とため息をついた。

 勝ったら今日の合コンがどうのと騒いでいる鎌崎の女子を皆がらユージはふとつぶやく。
「しかし、うちって本当に恋愛沙汰とかなくて健全だよね、ダン君。
 いや、ダン君たちはラブラブだけどさ」
「おまえは、本気で言っているのか~?」
 ダンは完全に呆れていた。
最終更新:2008年07月21日 23:57