帰ってきた!? フラン(伊)とゴリラの大冒険!! 第6話『vs凛子』
フランとゴリラはとっても仲良し。
今日も一緒にお散歩します。
「今日は海辺をお散歩しましょう」
「ウホウホ」
フランとゴリラが海辺へ行くと、蛇部凛子が釣りをしていました。
「ごきげんよう!」
「ウホウホ」
「賑やかそ―ぜ!」
「ウホウホ」
だけど、おやおや? 蛇部の様子がおかしいです。
蛇部はカンヅメや長靴を釣り上げては、少し期待した目で釣果を眺めるのです。
そして、腹を立てては水平線の向こうへとやり投げしていました。
「どうしたのですか?」
「ウホウホ」
むっすりと頬を膨らませた蛇部は、新しく釣り上げたカンヅメを指して言いました。
「アタシのヤリ甲斐ある槍投げのコンビにアキカンが欲しくってさ」
「はいはい」
「ウホウホ」
「アキカンは海で釣れるって聞いて来たんだけど、釣れるのは普通のカンヅメじゃねーの」
どうやら蛇部は『槍人間の投槍(ピッチ・オブ・ヤリマン)』で槍男を射止めたい。
けれど槍男との間をとりなしてくれる相棒がいなくて困っているらしい。
「そうだったのですか……」
「ウホウホ」
すっかり釣りに飽きたのか、蛇部は竿を放り出してその場にごろりと不貞寝しました。
潮風に吹かれるジャージ姿の女子高生は、ハマヒルガオみたいに岸壁を彩っています。
「元気がありませんね」
「ウホウホ」
「そうです! 今こそ私達が元気づけるときですね!」
「ウホウホ!」
フランとゴリラは額を寄せてウンウンウンウンうなりました。
いったいどうすれば蛇部を元気づけられるのでしょうか。
「そうです! それでは本戦のとき、私のコロッセオで蛇部ちゃんを槍男のもとへ運んであげましょう!」
「ウホウホ」
「あるいは当たって砕けたときに、すぐさまこちらに連れ戻してあげますよ。そして何度もチャレンジです!」
「ウホウホ!」
フランチェスコは懐からコロッセオを取り出すと、ボール回しの要領でくるくると回してみせました。
突風が巻き起こり、海上は渦潮が空まで巻き上がりました。
「いーよそんなの。面と向かってアタックなんてアタシの柄でもないし」
つむじ風にあおられながら、蛇部は投げやりに言いました。
あらあら、残念。どうやらフランとゴリラの元気づけ作戦は失敗したみたい。
いえ、もう一度岸壁をよく見てみましょう。そんなこともないみたい。
神様が女の子達の友情を取り持ったのでしょうか。
さっきのつむじ風で海中から巻きあげられたヤリイカが蛇部のバケツに飛び込んだではないですか。
「おっ! これアタシの好きなヤツだ!」
「どれどれ――ヤリイカですか。そういえば春の岸壁、ヤリイカ釣りのシーズンですね」
「なんだお前、詳しそうだな。もしかして料理できんのか?」
「まかせてください! これでも料理は得意なんですよ!」
「ウホウホ!」
海で開いた急場のお寿司屋さんは、それでも新鮮なネタがとってもおいしい一品でした。
「ヤリイカのお寿司もういっちょう!」
「ウメェー! ウメェー! お前ホントやりやがったな!」
こうして蛇部とフランとゴリラは当初の問題解決を完全に忘れ去り、夜までどんちゃん騒ぎを楽しみましたとさ。
「今日もしっかり元気づけられましたね!」
「ウホウホ!」
「明日もお散歩しましょうね!」
「ウホウホ!」
「明日はどこに行こうかなぁ」
めでたしめでたし。
最終更新:2014年04月15日 23:46