鬼神軍の第十回WBR > 決勝編

決勝開始前夜、中原は黙々とトレーニングを行った後、記者のインタビューに応じた。
「今のお気持ちはいかがでしょうか?」
「まず、決勝に上がれたことは誇りに思います。しかし、それでうかれてはいられません。」
「おおかたの予想通り、シェゾ、サタン、岸辺といった優勝候補も予選を通過しましたが、それについて一言どうぞ」
「当然の結果でしょう。しかし、恐れていては上位には入れません。私は常に全力です。」

翌日、いよいよ第十回WBRは決勝ラウンドに突入した。
各予選組を勝ち抜いてきた12名の歴戦の勇士達による、最後の争いである。
中原も、その最後の争いに臨みに、魔理野のリングへと向かった。

しかし、またしても中原に試練の嵐が吹きつけた。決勝ラウンドで最初の登録は凡退に終わると、その次には痛い黒星を喫してしまったのである。
予選の最初のシーズンから抱かれていたファンの不信感は、次第に高まりつつあった。
その後も不調が続き、最初のシーズンでデ杯に出られたのは1度きりで、当然、無得点に終わった。
サタンが首位に立ち、ヴィルエッジ、ニセマリオと続いていた。

メディア各紙は、サタンの強さを賞賛するその裏で、中原に対しては酷評一色だった。
『サタン猛威再び』
『決勝S1 6名が無得点』
『中原無得点 優勝絶望』
優勝を目指すファイターにとって、決勝ラウンドでは1シーズンでも無得点はあってはならない。もし無得点となれば、優勝への望みは断たれたも同然である。
ファンは中原に失望し始めた。中原も自らの限界に気づき始めていた。

そのころ、鬼神軍本部のラウンジでは
「もうね、真北さんと中原さんは引退すべきだと思うよ」と、口にしたのはエイトだった。
「そうですね・・・」と、オスパーもそれに続く
「あの二人にはもう伸び代なんてないと思うよ」
「寂しいですね・・・後継のオリキャラも育ってないのに・・・まぁ海城さんが当分引き継ぐと思いますが。」
「海城さんねぇ・・・まぁいずれにしても彼らには身を引いてもらったほうがいいと思います。」
最近の鬼神軍は版権中心路線に移行しており、そのためオリキャラの育成には消極的であった。
海城守はその版権中心路線の中で育った数少ないオリキャラである。


2シーズン目が終了した。此処に来て『バトロイの王者』が驚異を見せつけた。デ杯で5度も勝ち、5連勝12勝で47点を獲得し、首位に躍り出た。サタンが2位で、13点差離れてニセマリオが3位、岸辺、エコDIO、ヴィルエッジまでが3位と9点差であった。
中原も、9勝するなどしたが、点数はこれだけのものしか入らなかった。優勝どころか、ベスト6に入ることも厳しくなった。また、このシーズンでも黒星を喫しただけでなく、第五回でも散々批判対象となったあの癖が再燃した。『三退』の連発である。
凡退するたびに、彼に野次や罵声が飛んだ。
「ヘタレー!」
「お前はおとなしく檻に入ってろーっ!」
中原は苦しみを堪え、それでもポジティブに戦おうとした。しかし、もはや彼の頭の中は絶望で埋め尽くされつつあった。


そして迎えた最終シーズン、中原はついにデ杯すら出場することができなかった。ファンの失意は頂点に達した。決勝ラウンドでの最終結果はわずか9点どまりだった。

終了後、ファンは記者に対して次のように話した。
「TK軍の言うかいない選手より点数が下とか、完全に弱者だろ」
「こんなヘタレがメイド長と付き合ってるのがおかしいよw」
「真北ともどもとっとと引退してくれ」
予選制導入以来、最悪の結果となった鬼神軍に、ファンは不満を述べ続けた。特に、永遠のライバルチームよりも下の結果となったことが一番の不満だった。

最終結果は、シェゾが最後の最後でまさかの無得点で失速、サタンも点数が伸びず、ニセマリオが逆転優勝を成し遂げた。ヴィルエッジがオリキャラ最高位の6位で、中原は10位、女性で唯一の決勝ラウンド進出者のクロ・ニャーは0点で最下位となった。

中原は、こっそりと姫路に帰っていった。

ENDE
最終更新:2011年06月19日 08:56
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