平盛24年の暮れのことだった。真北は星川と中原兄弟を誘い、焼肉を食べに行った。
「久しぶりだなぁ、みんな」と、真北
「ああ、久しぶりです」と、中原誠
4人は店内に入る。忘年会シーズンだけあって混んでいたが、あらかじめ予約しておいた4人はテーブルに座る。しばらくしてお冷やが出される。
「思えばあれから早いもんで2年だなぁ」
「ああ、アシュナード2世なら今シベリアでひいひい言うとるぞ」
「てか中原よ、お前も車掌になったんだな、播磨電鉄の」
「ああ、3ヶ月前にな」と、中原脩は写真を取り出す。播磨電鉄の紺色の制服姿である。
「さすがにこんなところじゃ播磨王の姿ではいられないよな」
「星川も車掌になったんだな」
「ああ、なったよ」
「んで、誠君は?」
「僕は鉄道とは無縁の会社員ですよ」
「ところで真北よ、あの女子3人はどうなったんだ?」と、中原は訊く
「ああ、相本はうちんとこで運転士見習やってて、高城は阪急で車掌やって、一関は近鉄で駅員やってるらしいぞ」
「それに竹取は」
「ああ、北の大地で新幹線のトンネル掘った後、駅員やってるよ」
「まるで鉄道員のバーゲンセールだな」と、星川
「それドレッドノートでも言わんかったか?」
一同、どっと笑う。
「さて、まず何にする」真北、テーブルの液晶パネルからメニューを選び、注文。
「俺ハラミ」
「じゃ俺レバー」
「俺豚トロ」
「でも塩タンから先だな。あと米飯も食えよ」
と、タッチパネルを押し終えて、注文完了。
「で、名古屋暮らしはどや?」と、真北
「最高だがや、今度来たら?」と、星川
「おお、そうするよ」
「で、誰と行くの?」
「多分、俺と、こいつ(中原脩)と、相本だな。」と、真北
「なるほど」
「てかなんで俺を誘う、相本さんだけで十分じゃないか」と、中原
「あーあ、でもパノラマカーはもういない」と、真北、名古屋近辺を走っていたパノラマカーはとっくにいない。
「でもかっこいい銀色の車両がバンバン走ってる。でも俺は嫌いやけど」と、星川
「ああ、特に5000系とかいう新車もどきがいるんだろ」と、中原脩
「うん、外見と車内はピッカピカの銀色、でも機器は特急車のお古、こんなのに乗務を任されるとへこむ。」と、星川
「じゃあ、今何が好きなんだ?」と、真北は訊く
「うーん、金魚鉢こと6800は廃車進行中だし、パノラマスーパーは全部成田エクスプレス擬きの2200になるし、それに広見線の末端と蒲郡線の廃止はほぼ濃厚だしよ」
「名鉄から真っ赤な電車が消えていくのか」
「しかし、かわいい女性スタッフも増えとるでよ」
「で、かわいいやつはおるのかね」と、中原脩
「さあ、それは来てからのお楽しみ」と、星川はにやり。
そして、時は流れ平盛25年4月、真北、中原、相本は名古屋に行った。このことは『真北の大冒険 外伝』を参照してほしい。
更に時が流れてその年の12月、島田家、真北は郵便受けを見る。
「何や、この封筒は」
真北は封筒を開ける。すると中から「名鉄電車2DAYフリーきっぷ」たるものが出て来た。
「まさか・・・」真北、封筒に付属していた手紙を読み上げる
島田真北様
この前はどうもありがとうございました。
今度の休み、この「名鉄電車2DAYフリーきっぷ」を使って完乗しにきて下さい。
ただし、星川君が司令出してます。
江藤小百合
「ほほう、ついに来たか」
そう、真北は4月に会った江藤に招かれることとなった。しかし、そこには新たな試練が待ち受けていようとは。
第5部完
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最終更新:2009年04月07日 21:05