※冬、某国、某村にて
「おい!行き倒れてるやつがいるぞ!」
男がそういった瞬間周りにいた人々が一斉に集まってきた。
「なんだこいつ?」
「見たことのない服だな?」
「なんだこの棒みたいなの?」
みんなが口々に言っている内にその行き倒れてる男が喋った。
「め…飯をく…れ」
場が一気に静まり返った。
「…お前何かやれよ」
「やだよこんなわけわからんやつになんかやるなんて」
そんなことを言ってるうちにどんどん集まっている人だかりが小さくなっていき最終的に行き倒れた男と一人の少女だけになった。
少女はおそるおそる近づきかごにある一つのパンを手にとった。
「あの…食べます?」
その瞬間男がばっと立ち上がって少女が持っていたパンを奪うようにとって口に入れた。
そして男が言った。
「…宿場教えてくれない?」
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「宿場…ですか?」
少女が首をかしげる。
「最悪宿場じゃなくてもテント張れる所でもいいんだ、知らないか?」
「宿場は無いんですよ…そうだ、私の所に泊まりませんか?」
「えっ!?いいの?食べ物も恵んで泊まる所も世話してくれるの?」
「え…えぇ、喜んで」
「やった!本当ありがとうな!」
「早速私の家にいきますか?」
男は首を縦に降った。
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「そういえばあなたの名前はなんですか?」
家に向かう途中少女が喋った。
「俺か?おれは黒焔(コクエン)、ちょっと聞いたことないだろ?」
「そうですね、あ、私の名前はリリーアといいます」
「リリーアか…いい名前だな」
「本当ですか?あ、ここが私の家です」
少女…リリーアの家は小さい山小屋みたいな家だった。
「父さんただいまー」
リリーアが父さんと言った男は暖炉の近くにあるロッキングチェアに座っていたヒゲもじゃな男だった。
「おかえりリリーア、おや、この人は?」
「黒焔って言うの、泊まる所がないから家に泊めていいよね?」
「そうか、ようこそ黒焔さん、狭い所だがゆっくりしていってください」
リリーアの父が黒焔に握手をした。
がっしりとした大きい手だった。
「さて私は薪割りをしようかね」
リリーアの父がロッキングチェアから立ち上がった。
「あ、俺がやります。
泊めてくれるんだったらこれぐらいは手伝わないといけませんとな」
「おや、やってくれるのかい?けど結構きついよ?」
「いやいや、これがあればすぐに終わりますよ」
黒焔は所持していた棒みたいなのをぽんぽん叩いた。
「それではやってもらうかな、ついてきなさい」
リリーアの父が外にでた。
黒焔もそれに続く。
リリーアの父が止まったところは割られていない薪が大量にあった。
「大丈夫かい?無理だったらやんなくてもいいからね」
「いや、大丈夫ですよ。
ちょっと危ないので下がって下さい」
リリーアの父が下がった瞬間黒焔は棒みたいなものを振り回した。
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「驚いたね数分で薪割りが終わるなんて思わなかったよ」
「いやいや、これぐらいのことなら誉めることじゃないですよ…寒っ!」
「おやおや、なら家に早くはいろうか」
リリーアの父が笑いながら家に入っていった。
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「あー寒かった~」
辺りはもう暗くなっていた。
リリーアが夕飯を作っている。
黒焔とリリーアの父は楽しく談話している。
「ははは、ここら辺は村一番寒い所だからなぁ」
「そういえば俺行き倒れる直前大きい館を見たんですが…あれってなんですか?」
リリーアの父が眉を潜めた。
「あれか…あれは吸血鬼がいる館だよ」
「えっ、吸血鬼ってあの?」
「そうだ、昔はここ一番の有名なひとだったんだがねぇ…どっかの馬鹿が吸血鬼は殺人鬼だっていう噂が広めてから今では討伐隊が作られる程に嫌われているんだ…悲しいよなぁ」
「…珍しいですね、普通のひとは妖怪を嫌うのですんですけどね」
「私は種族だけでは差別はせんよ」
「お父さん私教会のミサに行ってくるからご飯先に食べてよね」
「ああ、分かったよ」
リリーアは家を出た。
…このとき黒焔達は討伐隊が吸血鬼がいる館を攻め立てそこの住民を皆殺しにしたのは知るよしもなかった。
そしてその館の主…
レミリアが怒りをあらわにして村人を皆殺しにするために教会に行ったことも知るよしが無かった。
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「今日は月が紅いな…」
黒焔は独り言をいった。
〈後半に続く〉