銃声と男の叫び声が警察署の中から響いた。
「やばい! 警察は俺たちも殺す気だ!」
中から武装した警察が三人でてきた。その姿は警察というよりも軍人だという感じだ。
「おい! ゲスども! ゾンビになってしんじまえ!!」
警察はこの異常事態に狂っていた。銃を集まっていた人に向けている。
「死にぃにゅ……」
一人の警官が何かを言おうとした瞬間、警官の口が裂け中から長い舌がでてきた。
「ぬあんだ? ぬあんだー!!」
「まさか、あいつらのもってきたラーメンに!?」
体がどんどん変貌していく警官に二人の警官も戸惑いをかくせない。
「おい! いまのうちに逃げるぞ!」
高中は警官がとまどっているすきに逃げる事にした。しかし、二人の警官は高中達が逃げているにもかかわらずまるで無関心のようすで変貌している警官を見ていた。
「ジージー……今、町は危険な状態になっています。東地区に避難所を設置しました。みなさん、そこまですみやかに移動願います。」
「東だ! 東に逃げろ!!」
さっき集まっていた人達はばらばらに逃げ出す。高中にも二人の人が後をついて逃げている。
「ぎいやーーー!!」
さっきまで高中達を殺そうとしていた警官の叫び声が聞こえてきた。
「なんだありゃあ!?」
一人の警官はもう化け物になっていてさっきまで仲間であった二人を喰っている。高中は直感であの化け物をまじきもいと感じた。
「まじきめー!!」
高中は声にまでだしていた。その警官は他のゾンビとは違うきもさをもっていたのだ。下が長く、裂けた頭からは脳が剥きだしになっていた。
「ちょっと、ちょっといいですか!?」
「何!?」
いきなり話しかけられた高中は驚いてしまった。
「避難所にはいかないほうが良いですよ」
高中がその男を見る。男はまだ若い感じであるが、身のこなしからすると運動はあまり得意ではないであろうか。科学者の様な服装をしている。
「わけを聞こう」
高中は立ち止まって男の話を聞くことにした。科学者風の男は口元をにやりとさせる。
「東避難所……と言いましたかな? あれは嘘です。本当は東餌場なんですよ」
「どういう事だ!?」
興奮する高中とは変わって男は冷静だ。
「東避難所を餌場にしているうちに政府や金持ち、私たち科学者が逃げるという事です」
「まさか!? じゃあ避難所に行った奴はみんな死ぬじゃねえか!! それに……あんたなんでそんな事知ってるんだよ」
「私はアンブレラ薬局のアルバイトでしてね、関係者から話は聞いていたのですがいきなりの襲撃でみんなばらばらになってしまったのです。だからあなたと協力してこの町から脱出したいのですよ」
「……ちっ!」
高中は舌打ちをしてみせた。
「今はあんたを信じるしかなさそうだ。その脱出方法を教えてくれ」
高中の答えに科学者はまたにやりとした。癖なのだろうか。
「そういってくれると思ってましたよ。避難所……いや町からの脱出経路は西です。かなり遠いですが、行くしかないでしょう」
高中はそれ以外に案が見つからず男の言う事に従うことにした。
「あの、私も行ってよろしいでしょうか?」
高中と一緒に来た初老の男性が話しかけてきた。
「当たり前じゃないか、こんな時はみんなで協力しなくちゃいけないんだ。俺は高中、よろしく」
高中が自己紹介すると初老の男性は安心したような笑みを浮かべた。
「私は皇后崎陣といいます」
「こうがさき? 珍しい名前だな」
「ははは、よくいわれます。ではがんばりましょう」
高中はアンブレラのアルバイト、後の
自己紹介で川俣恭司と名乗った男。そして皇后崎と共に西へ向かうのだった。