「バカヤロー!」
椿新聞社内で怒鳴られている記者、山田進は首をすくめた。
「お前はどうしてゴシップ並の記事しか書けんのだ!」
怒鳴っている人物―山田の上司―は机を強く叩く。
「なんでだめなんすか?この記事は確かな証拠もあるんすよ?」
山田がボイスレコーダーを机におき再生した…が上司が拳でボイスレコーダーを叩きわった。
「仮に本当だとしても幻想郷など訳の解らん所の情報など持ってくるな!大体お前は…(以下山田に対しての愚痴等)」
山田は過去に何回も聞いたおなじような愚痴の半分を適当に聞き流していた。
「…ともかくお前は暫く俺が指示したもの以外のやつは記事にするな!
したらすぐに減給だからな!わかったらとっとと行け!叩っ切るぞ!」
山田は急いで椿新聞社から出ていった。
上司が怒ると日本刀を振り回す癖が有ることを知っているからだ。
※※※※※※※※
バー『佐原』の扉が開いた。
「いらっしゃい」
「あぁ」
ここの常連の山田はフラフラしながらカウンター席に座る。
「また上司に怒鳴られたのか?」
「あぁ、おかげでアイツの指示したもの以外に記事に出来なくなった」
「…幻想郷とかの記事でも書いたのか?」
無言でうなずく。
「あんなもの書いても誰も嘘だとしか思わないってのに良く書くよなアンタ
前はフリー…何とかの記事書いて怒鳴られてなかったっけ?」
「…俺が記事にしたいものを記事にして何が悪い」
「いや、あそこはこことは別世界だから証拠があっても意味無いって」
佐原は山田に水を渡す。
「あーあ、何も面白くねぇ!」
水をがぶ飲みして勢いよくカウンターに叩きつける。
「…ちょっと早いが酒飲むか?」
山田はうなずいた。
「何、飲む?」
「…ますたーすぱーく」
※※※※※※※※※
暫く上司についての愚痴を言っていた山田の携帯に一通のメールが入った。
「誰からだ?」
佐原が言う。
「…上司、『椿一家について調べろ』だってさ」
山田は既に顔が赤くなっていた。
「ん?椿一家って黒焔とかがいるあの?」
「ひっく…そうみたいだな…いや、なんでお前が知ってるんだ?」
ますたーすぱーくをグラスに移し歌えながら山田は首を傾げた
「いや、椿一家の一人がここの常連だからな、何回か家にも行ったしな」
「へぇー」
「椿一家って…やあねぇ、自分の家が記事になるのは」
隣から声がした。
山田は隣を見た。
「えーと、どちら様れすか?」
「ここの常連の雪椿です」
色白で白い服をきた女性が答える。
「あの、だれと話しているんですか?」
佐原が不思議そうにみている。
「いや、ここの常連の雪椿さんと話しているんれすが?」
「…え?」
佐原は氷ついたように固まった
「ここの常連って雪椿じゃないんれすか?」
「いや、雪椿さんって死んでいるんですが…というよりなんで雪椿さんの名前知っているんですか?」
今度は山田が氷ついた。
山田は恐る恐る雪椿の足を見た
…足が無かった。
「…!!」
山田は一気に酔いが醒めた
最終更新:2010年04月14日 07:13