このままフォードスラーに負かされてしまうのか。と、次の瞬間
「幻世『ザ・ワールド』!」
突然、時が止まり、無数のナイフが現れる。
「な、なんだど・・・」と、フォードスラー、時を止められ身動きできず。
ナイフはフォードスラーとその周辺に拡散するように飛んでいく。意表をつかれたフォードスラーはショットを止めてしまった。
「な、なぜ・・・?」と、フォードスラー、ナイフを十数本も喰らった。
「ふふふ・・・残念、そこは咲夜さんだ。」と、中原。そしてニヤリと笑い、いつの間にか中原の隣まで来た咲夜。
後方の2人は
「さては・・・あれが通常弾?」と、霖之助
「ってことは・・・あのスペルカードはフェイクだったんですね」と、文
一気に戦況逆転の中原
「悪い・・・」と、中原
「いや、別に」と、咲夜
フォードスラーはすぐさま立ち上がった。
「決定打、決めてもいいかな・・・?」と、中原
「ええ。」と、咲夜
中原は三歩前に出て、手裏剣を手にし、諸手を後ろへ差し伸べた。
「姫路大連弾!!!!」
豪快な投法で手裏剣を数十本投げる中原、その手裏剣は重く、しかも速いので、威力は「ザ・ワールド」の上を行くと思われてた。
「ぬわぁぁぁぁぁっ!!」と、手裏剣を喰らったフォードスラーは、そのまま倒れた。
すると中原はフォードスラーのところへ歩み寄る。
「なぜ、今回のような異変を起こした?」と、中原は問い詰める。
「はい・・・実はだ・・・私も東方を愛していたのだ・・・」と、フォードスラーは弱い声で述べ始める。
「ふむふむ」
「私の故郷デインでも、一時期東方がブームだった。しかし、かのアシュナードによってそのブームは弾圧された。私たちはいつかアシュナードの失脚を望んでいた。しかし、デインは戦争で敗れ、デインの国民は大いに失望した。そこで私はデイン軍の特殊機関の極秘資料を探し出し、見つけてしまった。幻想郷と外の世界を行き来できるようにする方法を。」
デイン帝国、それはかつて極東に存在した国。(詳しくは『真北の大冒険』を参照)
「それで、咲夜さんたちを、拉致したのかい?」
「ああ、そうだ。ただデインの東方ファンを喜ばせたいだけだった。戦後処理の不安を払拭したがために。」
「何をとち狂ってるの、アシュナードの王政が滅べば、普通にお前らの『嫁』が拝めただろうに」
「そうだったんだよ。でもさ、私は咲夜さんの料理が食べたかったし、チルノちゃんと遊びたかったし、霖之助さんのお店から何か買いたかったし、文さんの新聞も読みたかった。」
「私もわからんでもない、でもさ、無理やり外の世界に引きずりこむなんて常軌を逸してるぞ」
「幻想郷のみなさん・・・本当に申し訳ありません・・・」と、フォードスラーはついに気を失った。
いつの間にか日が変わり、真っ黒の広島の山奥。静けさの中、あの氷の妖精の声が蘇っていた。
「チ、チルノちゃんが復活したぁ!」と、霖之助
「これで・・・一件落着・・・ですよね?」と、中原
「でも・・・私たちはどうやって幻想郷に帰ればいいのかしら?」と、咲夜
「アッー!訊くの忘れてた・・・」と、中原
それから、とある小屋で一夜を明かした5人。彼らの前に、1人の超能力者が現れた。
「お困りのようですね。」と、赤い服の男が中原の前に現れた。
「オスパー、なぜそこに?」と、中原
「幻想郷のみなさんを、帰してみせます」と、オスパー
「本当に、できるのか?」と、中原
「はい」
と、オスパーは答えると、小屋の外にワープゾーンを展開した。その先には、あの、博麗神社の石段が見えている。
「これで、みんな帰れるんだ・・・」と、チルノ
「ええ。」と、咲夜
「短い間、本当にありがとうございました。」と、文
「またいつか、会えるといいな。」と、霖之助
別れの言葉が出る中、中原の目線は咲夜のほうへ向いていた。中原は、咲夜の瀟洒な姿に、惚れ込んでいた。
「ん?どうかしましたか?中原さん。」と、咲夜
「い、いやあ・・・ さ、さようなら・・・」と、中原
「さようなら、またどこかでお会いしましょう。」
二人はそっと握手を交わすと、咲夜は他の3人と一緒にワープゾーンの内部に下がる。そしてオスパーの合図によって、ワープゾーンは閉ざされ、中原は、幻想郷の4人と別れた。
中原は、一人姫路へと帰っていった。高速道路を走りながら、咲夜と再び会える機会を望みながら。
あれから今回の異変はどうなかったかというと、中原と真北以外の外の世界の人間の記憶からはなかったことにされた。
そして解放軍基地のあった広島の山林は、ごく普通の田舎の原風景に戻っていた。
それから、中原と咲夜が再会したのは、世界的なバトロイブームのころだった。
ENDE
最終更新:2010年04月20日 22:23