平山宅に着いた島田真北。
するとそこには平山勇男の父・松太郎が出迎えていた。
「はじめまして」
真北は松太郎に挨拶をする。
「こちらこそ」
松太郎も返事をする。
こうして3人は家に入る。
平山家には4人暮らしている。松太郎と勇男のほか、母・靖子と勇男の妹・由岐が住んでいる。寒冷地北海道特有の二重玄関扉。室内の温風器には煙突がついている。
夕食の支度ができたようだ。
「いただきます」
真北と平山家4人は一斉に手を合わせて言った。
今日のメニューは石狩鍋。松太郎がわざわざ真北の為に急遽作ったらしい。
「どや、今日の料理は最高か」
と松太郎は真北に訊く。
「本当に美味しいです」
と真北は答える。
「この家の石狩鍋は町内一やで」
と松太郎が誇らしげに言う。
夕食後、居間で5人はテレビを見ていた。すると北海道のローカルニュースでばんえい競馬の話題が出て来た。しかし、そのニュースとは・・・
「おい、島田、見ろ」
と勇男は言う
「何すか」
「高浜田が騎乗停止喰らった」
「うそっ!?」
「どうやら鞭の叩きすぎで」
すると松太郎も話に交じる。
「道理で一年目にして30勝オーバーなんてずるいと思ったで」
「やっぱり、ありえないよな」
すると松太郎は話を変える
「ところで、話変わるけど、ブラックアイヌ団って知ってるか」
松太郎は真北に訊く
「ブラックアイヌ団・・・何ですか?」
「その昔、北海道を恐怖のどん底に陥れた武装ギャング団さ」
「武装ギャング団!?まさかブラック団と同じ事を!?」
「そうさ、その昔、安保闘争だの学生闘争が盛んだったとき、北海道在住のとある左派が立ち上げた団体だった。最初は学生闘争に積極的に参加したが、後にメンバーの大半が豚箱送りにされてしまい、実質解散になってしまった。ところが、とあるイギリス人が捕鯨反対を訴え、日本にやってきて、たまたまそのブラックアイヌ団の残党と出会い、日本政府打倒を目指して手を組み、トップの座に招かれたのだ。この男こそが今現在、司令長と呼ばれているジェフ・アンダーソンというやつだ。」
「ジェフ・アンダーソン・・・司令長・・・」
「しばらくは北海道で活動を続けていたが、1995年に極東に位置するデイン帝国に新国王が在位すると、いつしか日本政府打倒という目標は変えられ、デインと手を組んで世界を支配するに変わってしまい、今はさらに北のアイススクウェア共和国に活動の場を移していったのさ」
「デイン帝国・・・そういや、聞いたことはある。」
「そうだ、ブラックアイヌ団が滅べば、デイン帝国はおとなしくなる。逆に、このままほっておくと、世界は大変なことになる。今後ブラックアイヌ団はさらに勢力を伸ばすだろう。今潰してしまえば問題ないのだが・・・」
と松太郎が言うと、真北は立ち上がり
「ならば、潰しに行ってきてもいい?」
「潰しに行くって・・・・どうするんだ」
「アイススクウェアに行ってブラックアイヌ団を滅ぼせばいいんだな」
「おい、やめとけ、いくらお前でも一筋縄ではいかんぞ」
「自身ならたっぷりあるさ、でもよ、今やらなければいつ誰がやるんだ?」
「わざわざそのためによその国に行くなんてとんでもないぞ」
「そんなぁ」
「ま、今は平和を楽しもうじゃないか」
というとブラックアイヌ団の話は落ち着き、それからも別の話で盛り上がったうちに、寝る時間を迎えた。
翌日
真北は荷物をまとめて平山宅を出ようとする。
「もう行くのか」
松太郎は訊く。
「はい、次行きたいところがあるので」
と真北は答える。すると勇男も現れて
「島田、早くロシアに行って強くなって戻ってくるんだぞ」
「必ず僕は強くなります、ではさようなら」
「気をつけて」
真北は平山家と別れを告げ、札幌駅へと向かった。
札幌からは稚内まで列車で、そこから航路で樺太はユジノサハリンスクに向かう。
果たして、旅の行方は・・・
続く
最終更新:2008年12月11日 22:35