朝のニュースでアイスシオンの銃乱射事件を目にした島田真北とペーギーの妻ペニー
実はその裏では、とんでもないことになりかけている。
アイススクウェア時間0900、モナーオカ近辺の住宅街
ここは名目上は住宅街、だがしかし、その住宅の地下にはなんとブラックアイヌ団の本拠地があった。そこには団長と司令長、そのほか団員が8000人ほど住んでいた。400棟あるうちの100棟が団員専用のアパートで、うち10棟には本棚や食器棚、壁掛けのカレンダーでカムフラージュされている本拠地への入り口がある。その他の住民はブラックアイヌ団が潜伏していることをほとんど知らない。
そのブラックアイヌ団本拠地は地下5階まである。10年前、北海道を追われてアイススクウェアに逃れたブラックアイヌ団が、未開拓の永久凍土をわざわざこっそり掘ってそこに本拠地用のシェルターを作り、その上に宅地を造ったのである。アイススクウェアの政府も未だその事実には気づいていないのである。
すると一人の団員が司令長室に入る。
「司令長様、アイスシオンでの例の作戦、無事成功しました。」と、団員は告げる。
「おお、よろしい」司令長であるジェフ・アンダーソンは返事する。
「さて、次の作戦は新国家建設ですな」この団員は副司令長のビル・バーターという者である。
「いよいよだ、神聖アイススクウェア帝国ができあがる日は近いぞ」
どうやら国家建設をもくろんでいるらしい。他国に承認されるかどうかは別として。
「では、作戦発動はいつなさいますか」ビルは訊く
「そうだな・・・・今晩の23時だ、そう伝えておけ」
「わかりました」
というとビルは司令長室を後にした。
1000,真北はペニーに案内されてモナーオカを観光しているところだった。
「奥さん、アイススクウェアって物価安いですか」真北は訊く
「あーあ、アイススクウェアの通貨はドルで、1ドルが80円ぐらいかしら」
「で、卵は10個入りでいくらですか」
「4.7ドルよ」
「結構高いですね」
「アイススクウェアは日本と比べて消費税が高いの。その分社会保障や福祉はバッチリよ。官僚の無駄遣いだってほとんどないわ。」
アイススクウェアはスウェーデン並みの福祉先進国。しかも官僚は優良な人ばかり。日本みたいに汚職がほとんどない。
「へぇ、それはいい国ですね。でも防衛費は」
「何言ってるの、この国相手に戦争するお馬鹿な国があるはずないわ」
アイススクウェアは寒い。そのため地理的に陸上への侵略は難しい。かつてヨーロッパで天下を取りかけていたナポレオンやナチスドイツがロシアで寒さに負けた、それくらい同じ、いやそれ以上の寒さをアイススクウェアが誇っているのだ。だからアイススクウェアの軍隊は規模が小さい。兵力は8万人、一応親米国なので米軍の基地が1つあり、アイススクウェア軍にもアメリカの兵器が配備されているので戦闘力はそれなりに高い。
「しかし・・・ひそかに国になろうとしている団体が・・・・」
「えっ!?その団体って!?」
「そうです、ブラックアイヌ団です」
「えーーっ!?そ、そんな!?あんたブラックアイヌ団の団員じゃないの!?」
「そんなとんでもない。ボゴダビッチさんが盗み聞きをしていたらしいんですよ」
「あらほんとに?」でもペニーは驚きを隠せない。
「はい、そうです。そして近々モナーオカは火の海になるでしょう。」
「火の海って・・・ちょっと!」ペニーは徐々にパニックになっていく
「ご安心下さい。僕がなんとかしますよ」
「なんとかするって、あんた一人で対処できる問題じゃないのよ!」
「まあ落ち着いてください。」
1200,真北はペニーを説得するため、ある場所へと連れて行った。どうやら雑居ビルらしい。そこにはアイススクウェア一のレベルを誇る成人空手道クラブがあるらしい。そこには150人の部員がいつも空手の練習をしているらしい。彼らはアイススクウェア軍の兵士よりも戦闘力が高いと言われている。今日はたまたま公開練習日だった。
「こんなところで何をするつもり」
「まあ落ち着いてください。今から僕が強いことを証明しますよ」
「でも相手はブラックアイヌ団よ」
「まあ落ち着いて」
すると真北はその空手道クラブの事務室に入ると、そこには空手道クラブの理事長がいた。真北は理事長に頼んで空手道クラブのメンバーと手合わせがしたいらしい。
すると理事長は言う。
「怪我をしても知らんぞ」
「はい、承知の通りです。」
真北は言うと、理事長と一緒に、道場の中へ入った。部員は練習をやめ、整列し、理事長は部員に告ぐ
「皆さん、突然で申し訳ないが今日は日本から強い人を連れてきた。」
すると真北は自己紹介をする。
「はい、日本からやってきた元自衛隊員の島田真北です。」
そしてコーチが言う
「今から諸君らにはこの島田という者と手合わせしてもらう。ルールは100人組み手に島田が挑む。全力を出しても良いぞ。とにかく島田を倒すんだ」
「はい!」と部員らは威勢の良い返事をする。
真北は道着に着替え、手合わせの準備をする。
「では始め!」とコーチが言うと、1人目が真北に襲いかかってきた。
しかし真北はあっさりと倒した。
2人目、3人目、4人目と、20人目まで真北にあっさりと倒された。21人目で少し苦しむも、22人目以降も軽く倒していった。
「すばらしい、さすがは日本人だ」コーチは真北の強さに驚きを隠せない。
そしてあっという間に50人倒した。ペニーと理事長もやはり真北の強さに言葉が出ない。
残る50人も真北の前に為す術なく敗れ、真北はついに国一番の空手の精鋭100人を倒した。
「まあ、見直したよ。あんたならブラックアイヌ団を倒せそうだわ」ペニーは真北をほめる。
「実をというと、この空手道クラブ、部員は全員軍人なんです」と理事長はペニーに言う。
「えっ!?そうなんですか!?」真北、驚く。
「はい、ここは軍直轄の空手道クラブです」
「そうだったんですか」
「本当にあなたは強いです。近くに師団が一つあってそこで特別に傭兵として雇ってもらいましょう。」
「本当ですか、ありがとうございます」
こうして、真北はアイススクウェア軍に一時入隊することとなった。
1600,ブラックアイヌ団本拠。そこにはアイススクウェアの地図を眺めるアンダーソンの姿があった。
「さて、我々の夢が現実になる日はまもなくだ、見てろよ、アイススクウェアの愚民ども!」
果たして、真北はブラックアイヌ団からアイススクウェアを救うことはできるのか
続く
最終更新:2008年12月14日 21:08