おいらの見る月夜 二人の進む道

 アマゾンから、抜け出し朧月夜はこれからどうしようか考えていた。このまま、この男といるのも悪くないが危険が多すぎる場所だ。どこか別の場所に移り住んだほうが良いだろう。
「なあ、良かったらさ。俺とこのアマゾンで暮らさないか?」
「断る!」
 間髪いれず、断っておいた。さっきの寄生虫に、あの川の中には動物をあっという間に食べつくす魚もいた。それだけじゃない、どうみても凶暴そうな四足歩行の動物にこの男もいる。
「だけどよ、あの太陽の奴らがきたらどうするんだ?」
「大丈夫じゃ。いっとくが、我は主よりも強いぞ」
「あはははははははは!」
 不敵に言ったつもりだったが、おいらに大爆笑されてしまった。何か悔しい。
「ぬう! 嘘じゃないんじゃ!」
「ひいひい、ひゃはははははははは!」
「もういいわ!」
 腹が立つのと、何か恥ずかしさに朧月夜は歩き出した。そんなことを言っても、もうこの男とはおさらば。会うこともないだろう。
「のう、おいらよ。さいごに礼は言っておこう。この町までこられたのも主のおかげじゃ。ありがとう」
「ん、ああ。そうか、本当に行くのか」
 踵を返し、また歩きだす。そして、その歩が止まる。
「どこに行けば良いかのぉ~」
 その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
最終更新:2008年12月15日 19:40
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