とりあえず、情報を集めるために本屋によった。芸者ガール。この
朧月夜と同じような格好をした女がたくさん載っている本を見つけた。
「おい、お前はこのジャポンの人間に似てるな」
「ぬ、確かに。この国は我の星とすこぶる似ている感じがするのう」
ぺらぺらと本をめくっていく。
「なあ、行ってみるか? 日本に」
にやりと笑う
おいら。
「行ってみたいが、どうやって」
「飛行機だよ、俺がファイトマネーで稼いでやる」
握りこぶしを作ってみせる。決まった。
「ファイトマネーとは、なんじゃ?」
「いいから、行くぞ!」
おいらは本屋を出て、止めておいたチャリにまたがる。
「ほら、後ろに乗れ。ちょっと遠いから飛ばすぜ。」
「あ、ああ。分かった」
朧月夜がおいらの上半身に腕を回す。
「うほ!」
「なんじゃ?」
「いや、なんでもない」
ちょうど前かがみになっていて良かったとおいらは胸を下ろし、ペダルをこいだ。
「おろ~! 速いの!」
「へへ、振り下ろされないように。しっかりと、しっかり! とつかまってな!」
「わ、分かった」
「うほ!」
朧月夜になんじゃ? といわれる前においらは全力でペダルをこいだ。特にそんなに急いでいるわけではない。ただ、彼女にちょっとかっこよいところを見せたかっただけだ。
暖かくて、新鮮な空気が顔や体に強く当たり、気持ちが良い。後ろに座っている朧月夜も楽しそうに笑っていた。
たどり着いた先は、格闘場。おいらはここでファイトマネーを稼いでたまに贅沢な食事をとったりしている。
「俺は負けたことがないんだ。だから、ここで何戦かしてすぐに金をためてやる。まあ、どうせだから一日に三回試合ができて尚且つ賞金がでるトーナメントに出場するか」
言った瞬間に、朧月夜の目がぎらりと輝いた。
「いい機会じゃ。我も出よう」
「な、何言ってるんだよ! この戦いはグローブをはめてばちばち殴りあうんだぞ! 無理だって」
「な、殴りあいかいの」
しゅんと朧月夜が落ち込んだのを見ておいらはほっとした。殴り合いじゃなきゃ勝てる自信があったのか?
「じゃ、登録してくるからな。観客席で見ててくれよ」
おいらは、受付に行き、名前を言った。
「おいらだ。出場に問題ないよな。今回はトーナメントにでてやる」
「はい、分かりました。面白くなります!」
すぐさまに、試合がどんどん組まれ、トーナメント表が張り出された。
「ぬう、主の試合は二試合目かの」
「だな、殺丸と
ニッキーの勝者が当たるみたいだ」
「ほう、片方は日本人かの」
「今じゃ、日本人の武者修行っていうのも珍しくない。ブラジルは柔術やシュートボクセ、で有名だからな」
何を言っているのかわからなかったようで、朧月夜は首をかしげている。
「なんでもいい。俺がばしっと優勝してくるから、まってるんだぞ!」
「ああ、分かった」
おいらは、朧月夜にチケットを渡し、控え室に入っていった。
最終更新:2008年12月16日 20:05