<空~紅魔館→魔法の森~>
黒焔にとって空を飛ぶのは始めての経験だった。
一応黒焔が元いた世界には飛行機があったが、一度も乗ったことがなかった。
「魔理沙、これ、危なくないか?」
「大丈夫、大丈夫。コイツは二人乗った位じゃ折れないんだぜ」
「いや、強度じゃなくてバランス的な意味で言ったんだが…まぁ、いいか」
黒焔はため息をついた。
「さて、とりあえず香霖堂に行かして貰うぜ荷物が結構重いしな」
(その体の何処にはいっているんだよ…)
黒焔がそんなことを思いながらふと後ろを見ていると何かがこちらに複数向かってきていた。
「おい、魔理沙。
なんか変なものが来ているぞ」
「えっ、マジで?」
黒焔はもう一度向かってきているなにかをみた。何か小さい人形だった
「あぁ、何か小さい人形みたいなものだな。
あっちの方が圧倒的に速いな」
「まずいぜ…。
1、2品位アリスの家でとっちゃったからな…
」
「お前、他の家にも盗みを働いているのか…」
「私は死ぬまで借りて…」
「そんなこと言ってる暇があるなら全速力で逃げた方がいいと思うぞ。
あっちがなんか弾幕撃ってきたし」
追いかけてきた人形はかなりの数の弾を発射していた。
魔理沙が言う。
「全速力で逃げるぜ!
振り落とされ無いようにしてくれ!」
魔理沙弾幕をかわしながらスピードを上げていく。
が、人形達もそれに負けずについてきた。
「これじゃ、きりがないぜ!」
一度落ちそうになった黒焔がいう。
「仕方ない。魔理沙、こっちに何かぶつける物をくれ。
あいつらにぶつけて落とす」
「…わかったぜ、多少勿体ないが仕方ないんだぜ」
魔理沙が投げやすいものをいくつか渡した。
「よし、魔理沙は弾幕かわすことに集中してくれ」
黒焔が体を反転させて一つの人形に狙いを定める。
「まずは…一体!」
人形に向かって思いっきり投げる。
見事に命中。
人形の一つが落ちていく。
「おおっ、凄いぜ!
この調子でどんどんやってくれ!」
黒焔は次々に人形を落としていく。残り一体。
「これで最後だ」
最後の人形にガラクタのひとつをぶつけた。
「よし、やったんだぜ…って、うわっ!」
人形にぶつけた瞬間。ものすごい爆音と共に人形の周りを中心になにかが爆発した。
黒焔がぶっ飛ばされそうになったがなんとか箒にしがみついて落ちるのを避けた。
黒焔が魔理沙にきいた。
「…お前一体どんな物を何処で盗んだんだ?」
「さぁ~、良くわかんないぜ。
少なくとも衝撃で爆発するんだったら紅魔館に激突したとき爆発して大惨事になるはずだぜ」
「ふぅん、なら人形に爆薬でも詰め込んだだろう。
まぁ、追っ手もいないみたいだから、ゆっくり行こうか。
」
魔理沙が笑いながらいう
「ああ、後少しで香霖堂につくからスピードを上げるぜ」
そういって魔理沙がスピードを上げた。
< 香霖堂>
魔理沙が言うには香霖堂は魔法の森の入り口にあるということだった。
確かに上空から見ていると霧がかかった森の端に香霖堂があった。
「よう、香霖。またガラクタを集めてきたぜ」
魔理沙が思い切ってドアを開けて入った。黒焔もそれに続いて入っていく。
そこにはメガネをした20代位の背格好の男がいて、キセルでタバコを吸っていた。
「よう、久しぶりだな。
…ん?なんだ魔理沙、俺に恋人の紹介でもするのか?」
魔理沙の頬が赤くなった。
「違うって!
コイツは単なる紅魔館の執事なんだぜ!」
「…俺を差し置いて、恋人云々とかの話をするのはやめてくれないか?」
メガネの男が笑いながら言う
「あぁ、済まないな。
俺は森近霖之介。
まぁ、魔理沙は香霖とか言っているがどちらで呼んでもかまわない。
…まぁお前のことはコイツで知っているんだがな」
霖之介は一つの紙を黒焔に見せる。
その紙の上のあたりには『文々。新聞』と書かれていた。
さっき門の近くにいた射命丸文とかいうやつが書いた新聞だ。
「まさか、約1ヶ月で美鈴と恋仲とは思わなかったけどな」
黒焔は氷のように固まった。
黒焔は霖之介から新聞を奪ってよく見てみた。
新聞には黒焔と美鈴がと会話している写真とその周りには長い文章で黒焔と美鈴と恋仲の疑いについて書いてあった。
「…あのガセ野郎!」
黒焔が新聞を引きちぎりながら叫んだ。
霖之介が驚いた顔しながら言った。
「あの新聞って他の新聞とか違って嘘記事が殆どないはずなんだがな…。
もしかして美鈴と恋仲というのは…」
「どうやら、嘘のようみたいだぜ」
黒焔が苛つきながら魔理沙に言った。
「とりあえず魔理沙。早くガラクタを渡してくれ。」
「ああ、分かったぜ」
魔理沙が霖之介と話をしている。ガラクタの交換条件についての交渉だろうか。
話の途中で霖之介がそのままつったていた黒焔に話しかけた。
「店の周りでも見てみたらどうだ?」
黒焔はそれにならって店の中をみることにした。
品数、種類が多く食料品や家電品、武器など沢山あった。
黒焔はとある武器に目がいった。
「…これは、日本刀か?」
それを手にとった。
「…!?」
日本刀から何か―言葉に言い表せないような感じ―が流れ込んできた。
(この刀…なんというかい気が合うとか…そんな感じがする)
魔理沙との話が終わったらしい霖之介が黒焔に話しかけた。
「ん、なんだ?この武器が欲しいのか?
これは珍しい品物でな。『疾風刀』とか言う名前で『風のような速さで切れる刀』だそうだ。
よかったら無料であげようか?」
「いいのか?」
「ああ、俺にとっちゃ無用の代物だし、何百年も売れてないからな。」
何百年という話はあえてつっこまなかった。
「わかった、有りがたく貰うことにする」
霖之介がこっそりと刀を持った黒焔に耳打ちする。
「本当はガラクタのなかにとてつもない宝がいくつかあったからな。
刀一つぐらい安い物だ」
「ん?何か言ったのか?」
魔理沙が霖之介に聞いてくる。
「いや、何でもない。
それより風邪とかひくなよ」
「わかっているんだぜ。
香霖も野党とかに気をつけるんだぜ」
霖之介が笑いながら言う
「こんな所にまでくる野党なんていないさ。
それじゃ、またガラクタが集まったら来てくれ」
香霖堂から出て黒焔が言う。
「魔理沙と霖之介って何か関係があるのか?」
「あぁ、ちょっとしたお兄さん的な感じだぜ」
「お兄さん…って家族とかは…」
魔理沙が真顔になって言う
「済まないが家族の話はしないでほしいんだぜ」
「…分かった」
どうやら何かはなしたくない事情があるらしい。黒焔がそれ以上聞かなかった。
「さて、一旦私の家に戻らさしてくれ。
材料になりそうなものもきっと私の家で見つかるはずなんだぜ」
<魔理沙の家>
魔理沙の家の中は、大量の本と、そこにちょこんとおいてあるフラスコや試験管(中で色鮮やかな液体が冷気と熱気をだしていた)があり、幼い頃に読んだ絵本に出てくる魔女の家にそっくりだった。
黒焔が言う。
「寝る所がないよな。どこで寝ているんだ?」
「普段は離れにある家を寝床にしているんだぜ。
一回ここで寝たらほこりで喉を痛めて、あれからここは寝床として使わないようにしているんだぜ」
「そうか。で、材料になる木材か何かは有るのか?」
「おう。たしか、物置の奥にあるはずだから取ってくるぜ」
魔理沙は部屋からでていった。
途中何かが崩れる音が3回位聞こえた後、魔理沙が自分の身長と同じぐらいの丸太のようなものを引きずって戻ってきた。
「…はぁ、土砂崩れが起こったんだぜ」
「それは、不幸なことで。
で、俺は今すぐ紅魔館に戻りたいのだが飛べるか?」
魔理沙は外を見た。周りは既に暗闇になっていた。
「いいや…ちょっと今は難しいんだぜ。
魔法の森が暗闇になった時は外に出るには危険でしかも最近妙な変態をが現れるせいであまり外に出たくないんだぜ」
「変態…?」
「そう、なんか褌一丁でうろついているらしくて私の友達がそれがトラウマになったらしいぜ」
「こんな所で褌一丁ね…、十分な変態だな」
そんな話をしていると突然窓が割れる音がした。
音がした方を見てみるとそこにはさっき話をいていたやつと同じ、褌一丁の姿の男だった。
「Hay!僕の肉体美を見にキタのかい?」
いきなり話しかけたので二人とも少し驚いたが顔見た瞬間二人とも即座に反応した。
「「霖之介じゃねーか!」」
霖之介(?)が驚いた顔をして、すぐに(何故か)勝ち誇った顔でいう。
「霖之介?ノンノン、僕はこーりん、幻想郷一の肉体美をもつ漢さ!」
どうやらよく似た他人らしい。
よく見ると筋肉の量が香霖堂の方の霖之介と比べ圧倒的にこっちの方が多い。
「人の家を破壊するんじゃねー!」
どうやらぶちギレた魔理沙がこーりんに襲いかかる。
「甘い!漢『紳士達の宴』!」
魔理沙の周りに色んな男(タキシード着ている仮面かぶった男やスク水着てるクマなど)が囲んだ。
「気持ち…悪いんだぜ…。」
魔理沙が目をまわす。
こーりんが笑いながらいう。
「こいつは僕が集めた紳士達さ!
女のお前には耐えられまい!
そしてお前も僕のスペルカードで精神をむしばめ!」
黒焔にも紳士がとりかこんだ。
「いや、俺男なんだが」
黒焔が冷静に近づいてこーりんの顔面を殴った。
「ひでぶっ!」
こーりんが某世紀末の断末魔を叫びながらどこかへ飛んでいった。
「あいつ…一体なんなんだ?」
黒焔がいう。
「まぁ、私が言った変態ならこれで暫くはこないはずだぜ。
で、これからどうする?
寝るのか?それとも窓を修理するのか?」
「…前者の方で」
黒焔は魔理沙に寝床の場所を聞いてそこに行った。
<紅魔館>
朝になった時、窓を少し補強してから魔理沙に紅魔館まで送ってもらった。
おかしい所がいくつかあった。
まず門にいるはずの美鈴がいなくなっており、紅魔館の屋根に何故か下着姿の咲夜がつるし上げられていた。
「なんだこの
カオスは…」
「あら、結構遅かったわね」
入り口前から
レミリアが待っていましたというようにそこにいた。
「お嬢様、わざわざ私を待っていたというのですか?」
つるし上げられていた咲夜を一旦無視して黒焔がきく。
「そうなるわね。
ということで黒焔、早速これをきて頂戴」
黒焔に渡されたのは結婚した男性がよく着るあれだった。
(まさか…)
「美鈴と付き合っていたなんておもってもいなかったわ。
私が許すからとっと結婚しなさい」
入り口からウェディングドレスを着(せられ)た美鈴がでてきた。
黒焔から何かがキレる音がした。
「…ふっざけんな!」
黒焔は暴れ始めた。
-K.Mが語るにはフランドール以上の暴れっぷりだったと言う。
<アリスの家>
「…というやつが紅魔館を無茶苦茶にしたんだぜ!」
魔理沙はアリスに黒焔が暴れた時の話をしていた。
「人間で魔法も使えないのに凄いことをしているわね…」
アリスは冷静に聞いている。
「ところでアリス。前に人形で私に向かって攻撃したことがあった?」
「いや、前の異変以来貴女に攻撃したことないわね。…どうしてそんなことを聞くの?」
「いや…前に黒焔を乗せて香霖堂に行ったらいきなり人形が攻撃してきたからてっきりアリスの家から盗った…」
魔理沙はあわてて口を閉じたが無意味な事だった。
「魔~理~沙~?」
「やべっ!逃げないと!」
魔理沙があわてて逃げるが、アリスがそれを追いかけた。
「魔理沙~!」
「ごめんなさい!」
この鬼ごっこは三日三晩続いたらしい…。
最終更新:2010年07月18日 22:10