デイン帝国とブラックアイヌ団の同盟締結によって、ますます不安になる世界情勢。
かれこれ3月31日。いよいよ真北による相本の特訓が始まっていた。
「さて、俺が手本を見せてやる。」
真北は1辺が1メートルの発泡スチロールの立方体を取り出し、日本刀でそれを地面に着く前にどれも長さ1センチ以内の大きさに切るというのである。
「せーのっ」
真北は立方体を鉛直に投げ上げる。
「ていやーっ!!」
スパッ、スパッ、スパッ・・・・
真北は投げ上げた立方体が頭と同じぐらいの高さまで降りてきた途端、すぐに刀を振り回し、立方体を細かく切っていった。
「どうだ、定規で測ってみるがいい」
相本は定規を出して、切られた発泡スチロールの片を何百個も測っていったが、1センチを上回るものはほぼ皆無だった。
「すごい」
「大体そのぐらいだ、俺の実力なら」
すると真北は剣を何本か持ってきた。一本は日本刀、もう一本はフェンシング用のエペ、そしてもう一本はRPGでよく勇者が使っていそうな剣だった。
「そんなに持ってきて、銃刀法にはひっかからないんですか」相本は訊く
「大丈夫さ、ちゃんと認可とってある。」
「なら、どれにしましょう」
「よし、君にはやっぱ勇者の剣が似合うぞ」
「ならこれにします」
相本はその勇者の剣を取った。見た目よりは軽く、平均的な女子中学生よりもやや小柄な相本でもぞうさなく扱えそうである。
「よし、試しに振ってみい」
真北がそう指図すると、相本は剣を振った。動きが軽かった。
「なかなかだなぁ、よし、早速だ」
すると真北はデイン帝国軍の兵士をかたどった人形を取り出し、相本に斬るように指図した。
「やぁーっ!!」
相本は叫びつつ人形に斬りかかる。
スパァーン!
人形は見事に真っ二つ。
「見事だ、これほど切れないゴムの塊をこれほど簡単に斬るとは」
真北、次の指示を出す。
「ならば次は立て続けに三体を1秒以内に斬れ」
相本は再び剣をかざし、デイン兵の人形三体を順番に斬りかかる。二体は切れたものの、一体で止まってしまう。
「やはり持続力がないか、無理ないさ」
「はい」
特訓を終えた後、真北は新聞でとある記事を見つけた。そう、北海道で活動している青年剣士団が滋賀県に遠征にくるのである。真北は楽しみにしていた、実は北海道に来たとき、平山から青年剣士団の話を聞いていたのである。青年剣士団は全道から140人の下は11歳から上は18歳までの青少年が入団しており、中でも団長が確かな腕を持っていると認めた5人が今回来るというのだ。
そしてその日がやってきた。非番の真北は大津駅の改札の前で青年剣士団が来るのを待っていた。すると白いジャージを着た5人の集団と黒いジャージの一人の中年男性が現れた。
するとその集団の一人も、真北の方を向いた。
「あの人かな」
「誰が」
「アイススクウェアでブラックアイヌ団を追っ払った強い男の人」
「ああ、島田さんね」
やがてその集団は改札を通り抜け、真北のほうにやってきた。
「島田真北さん・・・ですよね」一人の白いジャージの少年が真北に問いかける。
「そうですが、何か」真北はこっそり返事をする。
「やはりそうでしたか、これはどうも」
と、その少年は握手を求めると真北は軽く応じる。
「青年剣士団ですよね」真北は訊く
「はい、私は北海道青年剣士団の竹取瀬名と申します。よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いします」
「ああ、これはかの有名な島田真北さんですか」と、黒いジャージの指導者と思われる男も話しかけてくる。
「はい」と真北は返事する。
「お会いできて光栄です。よかったら今夜我々が泊まる宿舎に一緒に来ませんか」
「はい、よろこんで」
真北は青年剣士団の乗るマイクロバスに乗り込み、同行する。
「で、今回は何をしに滋賀へと来られましたか」真北は訊く
「滋賀県全体の成人クラブと手合わせしにきました」と、指導者の男は答える。
「へぇ」
果たして、その青年剣士団の腕前とは
続く
最終更新:2008年12月25日 19:34