鬼神軍の第十回WBR > 中原編

予選B組が開始した第十回WBR
中原脩のファイティングは決して順風満帆なものではなかった。
初登録でいきなりデ杯でハッタリックを喫し、続く2登録は凡退、そして4回目でようやくデ杯を制したが、会心なしで内容は悪く、最初のシーズンは5点どまりだった。
現時点での順位は4位、1人が棄権した上、3人が無得点だったためである。

首脳陣とメディアは、軒並み中原に厳しい評価を下した。
ジャパンスポーツ社は「ただ運が味方しただけ」、兵庫新聞は「ハッタリックでぶち壊し」、バトロイタイムズは「第五回のときの凡退癖が治っていない」と、それぞれコメントした。
鬼神監督も次のようにコメントした。
「これといった強豪もいないのに、この順位は少々納得がいかないし、その5点というのも所詮はまぐれで入ったものである。最初のハッタリックで調子を崩したのかと。」
このシーズンでも、騒音おばさんやDr.ドンなど、出場外の選手が台頭する一方で、予選B組からは3名の選手しかランクインしなかった。鬼神監督は、WBR出場選手の情勢にも苦言を呈した。

厳しい評価が出たのはメディアだけに留まらず、鬼神軍公式機関紙の「乱戦」でも出た。
「乱戦」では、毎大会シーズンごとに、各選手への個人評価をA、B、C、Fの4段階で行っている。無得点者は自動的にF評価が与えられ、それ以外は得点や戦況に応じて評価されていく。今シーズンの中原のように、得点があっても、それはまぐれだとみなされれば、Fがつく。ちなみにクロ・ニャーとニセマリオはA、トゲキッスはBという評価となった。


予選B組の2シーズン目が終了した。
中原脩は、3連勝10勝という成績を残すも、デ杯では何度も出場機会をつくるもことごとくV逸し、1勝に留まり、21点の加点となった。順位は、このシーズン無得点で終えたトゲキッスを抜くも、ウィヤ=クロアに抜かれ、4位のままである。
前シーズンに比べ、凡退率が激減したものの、今度はV逸の連続に苛まれた中原、ファンの間でも、彼のあの28連敗が頭をよぎる。

「乱戦」の評価は次のようになった。
クロ・ニャー:A
ウィヤ=クロア:A
ニセマリオ:B
中原脩:B
エコDIO:B
その他の選手:F

中原は、得点面でA評価に値するも、デ杯での勝率が悪いことでB評価となった。
メディア各紙のコメントもやや厳しめであった。「通常戦とデ杯の調子が釣り合っていない」「投打のかみ合いならぬ通常戦とデ杯のかみ合いが悪い」と、軒並みデ杯出場率とデ杯の勝率を気にした。しかも、相手はいずれも出場外の選手であったことも、中原の評価を下げた。

大津市内のとある公園では、御坂と平沢がブランコに腰をかけながら、話していた。
「ったく、なんなのあのオサムシは。よく凡退するときに限ってデ杯に勝つし、凡退しなくなった途端デ杯で勝てなくなるのよね。」と、御坂
「一体どうしたんだろう」と、平沢
「そもそもアイツはまだだめぽ菌に罹患しているのよ。あ、そう『だめぽ量保存の法則』なんて聞いたことあるわ。」
「『だめぽ量保存の法則』?質量保存の法則とかじゃなくて?」
「ええ、だめぽ菌の量が体内に保存される法則よ。いろいろあるけれど、だめぽ菌にも異なる種類があってね、変異してそれぞれの質量が変化してもだめぽ菌の総量は変わらないってことよ。たとえばオサムシの場合、凡退菌とV逸菌があるとしましょう。そうしたらわかるよね?」
「うん、最初は凡退菌が多数占めてたけど、V逸菌へと変異して・・・」
「そう、そのとおり。今やアイツの体はV逸菌に汚染されているのよ」
「でも・・・なんかかわいそう」
「何がかわいそうって、あんな某ドラクエのゴミクラスのヘタレってどうも嫌いなのよねー・・・」

残り1シーズン、中原は早速3連勝11勝を記録し、予選通過がみえてきた。
しかし、相変わらずデ杯では勝てていない、優勝への望みはあるのか?


予選B組が終了した。
クロ・ニャーが1位、中原はニセマリオと同率で2位、そして4位はエコDIOとなり、以上が予選通過となった。ウィヤ=クロアは惜しくも5位で、霧音軍はリーリィ以来3大会ぶりの予選通過はならなかった。一方で零斗は0点という結果に終わった。
全体としての出来は、決して良いとは言えなかった。特に、この予選B組内では、シーズン最多勝はいれずも出場外の選手であった。また、この組での全体の平均得点は32.7、これは第七回の予選制導入以来、過去最低である。また、予選通過者の平均点及び最低点も、それぞれ45、35と低水準である(ちなみに予選通過平均点は過去最低に並んでおり、予選通過最低点の過去最低記録は今大会A組が32で、2番目に低い。)。1名が棄権したこともあっての記録でもあるが、低い水準であった。
メディア各社及び「乱戦」は、各選手に対して厳しい評価を下すだけでなく、WBRという大会そのものの質の低下についても憂慮した。
『WBR優勝者は本当に世界一なのか?』(ジャパンスポーツ)
『それでも世界一を争う選手か?』(バトルロイヤル週間ニュース)
『WBRにも「足切り」が必要』(遊星スポーツ)
特に、一部の入学試験等で用いられている基準点制度、いわゆる「足切り」を導入すべきという声が多く上がった。上位に入っても、基準点を下回れば予選通過を認めない制度である。ちなみに第七回A組から今回のB組までの予選通過最低点の通算平均記録は41.9である。

「乱戦」での選手評価は以下のとおりである。
エコDIO:A
中原脩、クロ・ニャー:B
その他:F

中原は、予選通過の知らせを受けても、満足できなかった。予選ラウンドでは3連勝と11勝、そしてデ杯での優勝は2回という結果に、関の山を感じていた。それだけでなく、この3シーズン、Dr.ドン、Dr.ダン、OH君と、いずれも出場外の攻防強化の選手が通常戦15勝を成し遂げており、それによって、同じ攻防強化としての自信と誇りは殺がれたのである。それにデ杯での勝ち星落としが度重なったのである。
鬼神監督も「今大会は各選手とも出場外の選手に押されている。それでも世界一を争う立場だろうか。予選A組及びB組の通過者諸君、及びC組諸君には、出場者としての誇りをもって戦ってもらいたい。」と、大会委員長として、出場選手各位に異例となる激励の声明を出した。

一方、C組開始直前では、島田真北に対するインタビューが行われていた。
予選A組終了を前に、帰宅の途につく中原に対して、インタビューが行われた。
「今大会の目標は」と、記者は訊くと
「日本の皆様とバトロイ界を元気づかせることが楽しみです」
「警戒する選手は?」
「シェゾ、岸辺、ヴィルエッジの3名である」
「今回、モビラー軍が棄権しましたが、それについてどう思われますか?」
「誠に遺憾である」
「B組では、チームメイトの中原選手が予選を通過する見通しが立っていますが、それについて一言お願いします」
「元から彼の予選通過は可能性の高いことだから、何も思わない」
真北の挑戦が、今始まろうとしている。

続く
最終更新:2011年06月09日 09:02
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