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灰になるまで


東の国でアンディ・ブラウンが死んだんだって。誰かからそんな話を聞いた気がする。
空っぽのベッドから、ジョンはふらふらした頭を抑えながら起き上がる。今何時だっけ?ふと思う。
まだふらつく脚が、衣服が擦れる音を立て、床をぎしぎしと共鳴させる。
ジョンは床に転がった小瓶を見る。中身はドラッグ、すなわちLSDだ。昨日はミックと寝た事をふと思い出し苦笑いする。
ミックから薬を貰う代わりに、自分の体を売った。ドラッグを手に入れる為に、こんな売春婦じみた真似をしている自分。その自分のこの様はなんだ。本当は、薬を手に入れたらミックとオサラバするつもりだった。
なのに。なのに――ヤツは自分の体目当てなのは明らかだった。甘い言葉をまるでコップにミルクを注ぐみたいに囁いてきて、性欲の塊みたいに隅々まで犯された。
わざと積極的に奉仕してやると凄くいい、もっと根元まで舐めてくれ、だってさ。天下のローリングストーンズが全く笑っちまうよ。
今日はポールだったか。ほら、あいつは来た。表向きは曲づくりって名目で。シンだって俺がこんな事をしてるなんて知らないんだ。
「ジョン、居るかい?」
「ああ、そこに適当に座ってくれ」
ポールは、小さな袋を取り出した。マリファナだ。ジョンはニヤリと笑ってそれを取り出すと、ジョイントに巻いて火を付けた。
最初にジョンが吸って、次にポールが吸った。マリファナの効果は、吸ってすぐに現れた。
ある程度効果が効いてくるのが分かると、ポールはマリファナのジョイントを灰皿でもみ消し、ジョンの色づいた唇に噛むようなキスを与えた。
ポールの手が、ジョンの細い腰に回されてジョンが少しだけ荒い息を吐き出す。ポールの右手はジョンの背中や腰を弄るように徒に動き、左手は彼の衣服を脱がし始めた。
やがて長いキスが終わると、ポールは唇を離した。二人の間を銀糸が繋いでぷつりと消えた。
ポールの指がジョンの艶やかな唇をなぞる。
「ジョン・・綺麗だね」
「俺は女じゃねぇ」言いつつも、ジョンの雪よりも白いきめ細やかな頬はほのかに色づき、体温が上昇している。
ジョンはそのまま誘うようにポールをベッドに招き入れた。ジョンの上に覆いかぶさったポールが、少しだけ笑う。
「悪いやつ」
「君もね」
「ジョンと僕は共犯者だ。そうだろう?」
「なんだそれ」
「さぁね」
「さぁねってなんだよ」
もうおしゃべりは終わりだ、そう云う様に再びジョンの唇がポールによって塞がれる。
再びジョンから小さく快感を感じた時に出る特有の声が何度か出て、其の度にポールを興奮させる。
ポールは舌でジョンのうなじや首筋を舐め、そのまま敏感な部分に触れる。
ジョンが、シーツをぎゅっと握り締め、体を反らせる。ジョンの全身は赤くほのかに色づきポールのそれを欲しがっていることを示している。
ジョン、脚開いて?ポールが囁く。ジョンはこくりと頷いてゆっくりと脚を開く。
やがてジョンの少し濡れたそこにポールのものが入ってくるとジョンはますます快感で甘い声を上げる。
出たり、入ったりを繰り返すうちジョンは絶頂を感じた。
「出る・・・っ」ジョンは白濁した液を吐き出すと、ぱたりと横になった。ポールはジョンのそこからぬぷりと自身のそれを抜き取り、二人はキスをしながら呼吸を整えた。
ポールは、部屋を出る前に振り向き様にジョンを振り返る。あんたも僕も死ぬまで共犯者だよ。
ああ、一生付き合ってやるぜ。二人の目が、そう物語っていた。
一生、付き合ってやるさ。灰になるまで


               了

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最終更新:2009年04月23日 19:42