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意識 1/1



君が愛した 僕


 まさか再会するとは思わなかった。見覚えのある顔があった。ジョンだ。あれは、正真正銘のジョンなのだ。
数ヶ月前に別れ、彼は連絡も取り合わないで暮らしていた。お互いに、それぞれのパートナー――ジョンはヨーコと、ポールはジョージと。
ふと、触れ合う視線。ポールは自分からジョンのほうに歩み寄った。ジョンも気づいたようだ。彼は煙草を吸いながらゆっくりとこっちを向いている。
「ジョン・・元気?」
「ああ・・元気さ。お前は?」
「うん、元気だよ。ジョージがいてくれるし、手伝ってくれるんだ」
「ちょっと、話さないか?」
ジョンが近くのカフェを指差した。二人は店に入るとビートルズのメンバーだと分かり、サイン攻めにあった。
サインの山を掻き分けながら二人は一番奥の席に座った。コーヒーを注文した。注文してくる間、二人は押し黙ってなにも話さなかった。
ウェイトレスが、コーヒーを置いた。そしてポールにサインをねだった。ジョンがその光景をじっと見ている。先ほどのウェイトレスは顔を赤らめながらテーブルを離れていった。
「ポール・・悪かったな、俺のせいでお前を最後まで傷つけて」
「ジョン・・・僕こそ君の話を聞かないで責めて、汚い言葉で罵って悪かったと思う。でも、浮気してしまった理由は知りたい」

ポールははっきりといった。その目にはまっすぐな強い意志が見て取れた。全てから逃げない、そんな意思を宿した目でもあった。
「あれはほんの軽いノリだったんだ。人目見たときから好きだったのよ、なんて云われてそれが嬉しかったんだ。だからつい・・」ジョンは上手く云えないような、悪いことをして怒られた子供のように髪を掻いて視線を反らした。
ポールはその様子にくすくす笑った。ジョンの反省する姿に懐かしくて、笑いがこみ上げてきたのだ。ジョンはむっとした。そしてコーヒーを飲んだ。
「やっぱり、ジョンはジョンだね」その笑顔にジョンは全てを許して受け入れるような気がした。そして自分から話題を切り出した。
「その・・ジョージとはどうだ?あいつ、わがままでお前に迷惑かけてないか?」
「わがままっていうより、甘い物ばっかり作るしポールー、抱っこーしてーなんて子供みたいにくっついてくるんだ」

 ジョンはポールの薬指にきらりと輝く新しい指輪を見た。彼も再婚したのだ。少しだけ、胸の奥がちくりと痛んだ。
元妻の再婚した姿を見るのは辛かった。それでも、彼はなんとか理性を保とうとした。それでも今は、ポールはいまやジョージのものだと思うと辛いことに変わりは無かった。
ヨーコを愛していない訳ではない。でも――。ポールも同じような気持ちでジョンに訴えかけていた。二人の視線があった。
「ホテル・・行こうか」ポールが呟いた。
「え・・?」ジョンはそれがどういう意味か分かっていたので、少しだけ勇気が沸いたがした。
「俺と寝たいのか?あの時みたいに」
「うん・・」ポールは頬を赤らめて頷いた。

ふたりはカフェを出ると、近くのホテルに入った。ホテルと云っても、連れ込み宿のようなところではなくビジネスホテルのようなホテルだが。
二人はエレベーターに乗り込むと、ジョンはポールの頬を撫で、その唇に吸い付くようにキスを落とした。
しばし周囲の景色を忘れ、二人は静かに唾液を交換し合う。何度も何度も角度を変えて口付けし合えばポールの頬は既に赤く染まっていた。興奮したのだ。
ジョンは身体の中が暑かった。早く抱きたいのだ。部屋の中に入ると、二人はソファに座った。暫しの休憩なのだ。
ポールはおもむろに立ち上がった。そしてコートの汚れを払った。
「シャワー先に浴びてくるね」
「寝る前にシャワー浴びるはお前がいつも先だったな、懐かしい」ジョンは煙草を深く吸った。本当は今すぐこの場で抱きたかったのだが、我慢した。
だが既に彼のそれは勃起している。ポールはコートをソファの上に丁寧に掛けた。衣服はあちら側で脱ぐのだろう。そしてまもなくしてシャワーを浴びる音がホテルの一室に響いた。
一緒に風呂に入っていないのに、ジョンには彼のシャワーを浴びる姿が目に浮かんだ。見事な整ったプロポーションに、今にも吸い込まれそうな白い肌。
それらを想像するだけでジョンの一物は既に勃起し、白い樹液が下着の中で溢れていた。
「ジョン、お待たせ。次使っていいよ」ポールは、バスローブを羽織っていた。長めの襟足はやや濡れて雫が滴っている。
シャワーを浴びやや上気した頬はどこか艶めいた色気を放っていた。

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最終更新:2009年04月24日 17:04