イヤホン・ヘッドホン基本知識

イヤホン・ヘッドホン関連の基本知識

■イヤホン・ヘッドホンの呼称

一般的にイヤホンと呼ばれるものにもいくつかの呼称があります。

たとえば、イヤホンのことをヘッドホンという場合があります。その場合ヘッドホンはオーバーヘッドヘッドホンといわれて区別されます。

他に、イヤホンはインナーイヤーヘッドホンと呼ばれている場合もあります。

■密閉型と開放型 
ヘッドホンにはスピーカーユニットの背面が完全に閉鎖されたタイプと、メッシュなどの素材で背面が覆われたタイプがあります。 
開放型は音を遮蔽せず解放感がある代わりに、頭の周りで左右の音が混ざって聞こえてしまう為、ステレオ感が悪くなります。 

ゲームや、映画には方向が分かりやすく、迫力もあるので密閉型の方が向きます。 

【開放型】 
・メリット 
閉鎖感が少なく、広がり感のある音が出る、蒸れにくい 、聴き疲れしにくい
・デメリット 
音漏れが酷い、ステレオ感が悪い、低音が歪易くボワ付き易い 、外部の音が入りやすく遮音性が低い

【密閉型】 
・メリット 
音漏れが少ない、低音が歪みにくく、音圧が強い音が出せる 、ステレオ感がくっきり出る 
・デメリット 
閉鎖感がある、蒸れやすい 、外の音が全く聞こえなくなることがある、音がこもる

■インナーイヤー型とカナル型

イヤホンには大きく分けて耳穴に浅くひっかけるように装着するタイプのインナーイヤー型と外耳道に耳栓のように挿入するカナル型の2種類があります。

インナーイヤー型は昔から使われてきたタイプでカナル型は2000年ごろに現れ最近主流になっているタイプです。

ほとんどの高級イヤホンは騒音を遮断し高音質を再現するためにカナル型を採用しています。

【インナーイヤー型】

・メリット

着脱が容易、装着感がいい、比較的低価格のものが多い、携帯性が高い

・デメリット

基本的に音質が悪い、激しい動きで落ちやすい、開放型が多く音漏れしやすい、サイズが少し大きめ

【カナル型】

・メリット

遮音性が抜群、耳にあったイヤーピースがある、激しい動きに強い、高音質の商品も多くある、携帯性が高い

・デメリット

耳の中に入る装着感を嫌う場合がある、息や動きによりノイズが入ってしまう、外の音が聞こえない

 

最近は少し高めのカナル型イヤホンがはやっていて、製造会社も開発に力を入れています。

ほかにも、運動用の形状をもつ首の後ろに回すネックバンド型や耳かけ型があります。

■ドライバー

入力された電気信号に反応して振動し、音を発する部分のこと。心臓部。

ドライバーユニットと呼ばれる金属・磁石部分と、ダイヤフラムと呼ばれる
振動板によって構成されます。
大きさや素材、仕上げ方法によって音の響き、音質が異なります。
一般的には振動板が大きいほど音圧が上がります。

【ダイナミック型】
一般的な形式であり、ドライバーユニットから電気を通じて振動板が震え音を出します。
そのため、振動板が大きくなることにより音の表現力が上がるとされております。
パワフルな音を出しやすい反面、繊細な音使いを苦手とする傾向。

【バランスド・アーマチュア型】
元は補聴器で使われていた形式であるため、密閉性が高く小型化が出来、繊細な音造りが特徴。
音の分解度が高く高級モデルや、コンサート等の演奏時に自分の出している音を正確に
聴くためのモニターイヤホンに使われることも多い。
近年では低価モデルも普及。
近年では低域・中音域・高音域などそれぞれの音域のドライバーを一つに組み、
帯域を広くし全体的に余裕のある音楽再生を可能としている。

■ドライバーの口径 
ヘッドホンのドライバーは30mm~50mm、イヤホンのドライバーは9mm~15㎜が標準的です。
低音ほどより多くの空気を動かす必要があります。 
その場合、大きな面積で押し出す方が有利です。 
大口径ドライバーの場合、小さい動きでもより多くの空気を動かすことが可能なのでより良質な低音再生が可能です。 

■音の傾向

【ドンシャリ傾向】
高音と低音が強調されているもので「低音がドンドン、高音がシャリシャリ」を意味しています。その特性上ロックなどの音楽を聞くのに適しています。
【かまぼこ傾向】
「ドンシャリ」とは逆に低音と高音が弱めで中音域が際立っている傾向のものです。女性ボーカルの曲やクラシックなどに適しています。
【フラット傾向】
周波数特性が均一に近いものをさします。ヘッドホンに原音忠実性または原音再生を求めた場合、音源に忠実な「フラット」特性が理想と考えられます。

■解像度

映像用語が転じたもので、音を語る上での明確な定義はないのですが、大きく2つの意味で使われることがあります。
音の細やかさを表す場合と音の滑らかさを表す場合です。

1つはより細かく音を聞き分けることができる能力のことでモニター用途のヘッドホンなどでよく使われ、分解能とも呼ばれるものです。

もう1つは音の"ざらつき"や"粗さ"が少ない機種に対して使われる、特に"高域"やボーカルの"伸び"を語る上で使用されるものです。

■再生周波数帯域 
基本的に再生周波数帯域が広い方が性能が良いです。 
人間の聴力限界は16Hzから20kHzです。 ちなみにこの範囲を可聴域とよびます。

またCDの再生帯域は22kHzまでなので22kHz以上の再生表記のあるイヤホン、ヘッドホンの実力を発揮するにはそれ以上の音源が必要です。 
あくまでも可聴範囲内でのバランスが重要です。 
そのため、周波数特性の表記は購入時にそこまで重要視する必要はありません。 

■インピーダンス 
インピーダンスは振動板基部に巻かれたボイスコイルの太さ・全長によって決まります。 
ボイスコイルの線を細くするほど振動系を軽くできますが、導電性が下がる為、入力信号が劣化してしまいます。 
音量が取り易く、入力信号の鮮度も落とさない低インピーダンス系がお勧めです。 

【高インピーダンス系(100Ω~600Ω)】 
振動系が軽く、過渡特性を良くし易い 
その反面ボイスコイルの導電性が悪い為、入力信号が熱損失を起こし、低音の切れ・高音の抜けが悪く、暗く濁った音色になり易い 
導電率が悪いのでボリュームを上げても音量が取れない 
ボイスコイルの線材が細い為、断線しやすい などの弊害がある 

→アンプをかませることで本来の実力を発揮するようになる

【低インピーダンス系(16Ω~100Ω)】 
ボイスコイルの導電性が高く、入力信号の鮮度が削がれない為、低音の切れ・高音の抜けが良く鮮明な音色 
ボリュームを上げなくても音量が取れるため、ポータブル機器でも再生可能 
ボイスコイルの線材が太く、熱を持ちにくいので耐入力性能が高い 

→単体でかなりの実力を発揮する

■能率(感度、音圧レベル) 
1mWの音を入力した時にヘッドホンから発音する再生音の強さです。 
数値が大きいほど一定のボリュームで大きな音量を得ることができます。 
インピーダンスが低くても能率が悪いと音量が取れません。 
インピーダンスと合わせて音量が取れるかどうか判断しなければなりません。 
目安としてはインピーダンス50Ω未満で能率が100dB以上ないと、携帯機器で十分な音量が取れません 。


■最大入力 
最大入力とは、ヘッドホンに入力できる最大電力をmW単位で表したものです。 
ヘッドホンの音量を上げると電流がケーブルを伝って、ボイスコイルに流れます。 
ボイスコイルの抵抗値が高い高インピーダンス系の場合、ボイスコイルが過熱して振動板ごと燃焼してしまいます。 
低インピーダンスのヘッドホンの場合ボイスコイルの抵抗値が低い為、大電流を流しても過熱しにくくなっています。 
そのため低インピーダンス系の方が耐入力特性が高く、耐久性が高いと言えます。 
しかし、通常の使用では特に参考になる表記ではありません。 

■重量 
ヘッドホンの場合重要である重量です。 
長時間快適なリスニングを楽しむ為には絶対に確認すべきスペックです。 
重量が重いと、頭頂部の接触面が痛くなる、首や肩が凝ったり、最悪の場合脳への血流が悪くなり、気分が悪くなることがあります。 
300gを超える場合、容易に購入せず、まずは試着することをお勧めします。 

■プラグ(入力コネクター) 
3.5mm「ミニプラグ」と、6.3mm「標準プラグ」があります。 
携帯機器やパソコンに接続する場合、「ミニプラグ」でなければなりません。 
ミニプラグに標準プラグへの変換アダプターが付いたタイプと、標準プラグにミニプラグ変換アダプターが付いたタイプがあります。 
後者の場合変換プラグで携帯機器などに繋ぐことは可能ですが、接続部分が大きく嵩張ります。 
携帯機器への接続をメインに考えている場合、「接続方式 3.5mmミニプラグ」と書かれた製品を買いましょう。 
海外製の製品の場合、6.3mm標準プラグ+変換プラグが多いので注意が必要です。 

■エージング

新しいイヤホンに対して行う一定の音を流し続けることによる慣らし運転のこと。主にイヤホンに対して行われる。

音を出し続けることによってドライバーなどがほぐされいい音が出るようになるといわれているがその効果は解明されていない。

エージングを行うことに対しては賛否両論がある。

■リケーブル

イヤホンのケーブルを交換すること。

もともとリケーブルに対応しているイヤホン・ヘッドホンでないとすることはできない。

リケーブルによってケーブルの素材を変えることで音が大きく変わってくる。

■イヤーパッド

ヘッドホンを構成するパーツの一つで、主にヘッドホン本体と耳(あるいはその周辺)との間にあり相互の摩擦を緩和する役目を担うもの。肌に直接触れ、装着感に大きく影響を及ぼすために、レザーやウレタンを使用したもの、またベロア仕上げのものなど、様々なタイプが存在している。素材上、他のパーツに比べ劣化が激しいため、交換可能なモデルが多い。

■Bluetooth

通常のイヤホン・ヘッドホンは音楽ファイルの入ったプレイヤーと線でつなぎ音楽を聴くが、Bluetooth対応イヤホン・ヘッドホンはプレイヤーと無線で繋がれる。使用中に音が途切れることも多々ある。

Bluetoothが主流ですが、Wifiを使って無線接続をする商品も発売されている。

電波で音楽データを飛ばす過程でデータが失われ、基本的に音質はかなり劣化する。

よって、同じ値段のBluetooth対応商品と有線の商品だとほぼ100%有線の商品の音質が勝る。

充電をしなくてはならず、そのうえ電池が本体に入るので重い。(イヤホンはそこまででもない)

よってオーディオ目的の使用には適さず、家でコードで動きが制限されることが嫌な場合や外でコードが絡まるのが煩わしい場合など限られた用途に絞られてきます。

■ノイズキャンセリング(NC)

周囲の音を内蔵のマイクロフォンで収音し、これと逆位相の信号をオーディオ信号と混合して出力することによって、外部から侵入する環境音を軽減するものである。

再生音がノイズに邪魔されずクリアに聴こえる他、ノイズ消去機能だけを活かすことで単純に耳栓としても機能する。

その性質上、基本的に遮音のため密閉構造にする必要がある。

また、高音部のキャンセリングには弱く、通常とくらべ音質が少し落ち、値段が高くなってしまう。

ノイズキャンセリングじたいノイズを出すことで騒音を消去しているので、ノイズキャンセリングのノイズが気になってしまう人もいる。

■モニタリングヘッドホン

レコーディングスタジオやテレビ収録スタジオ、また音に関連する教育機関・研究機関で主に使用されるヘッドホン。

モニタリング用ということで再生音に味付けが少なく原音になるべく忠実である。

定位感が明瞭であり、大音圧の出力に対する耐久力を持っている。

ただし、良くも悪くも原音に忠実なので原音が悪いとひどい音になってしまう。

 

最終更新:2015年01月12日 02:27