孤島からの使者01


○喫茶Berry Fields
いつものようにくつろいでいる嗣永、夏焼、熊井
清水「いらっしゃい」
夏焼「清水くん、注文の前に…例の情報は?」
清水「はいこれ」
夏焼に書類を渡す清水
清水「モー商に関する情報は今はこれぐらいしか…」
夏焼「…僕も知ってるモノばかりだな」
清水「モー商は校舎も孤島にあるから簡単には分からなくて」
バン!
書類を机の上に叩きつけるように置く夏焼
夏焼「言い訳は聞きたくないな」
清水「ごめん…」
夏焼「清水くんも役立たずか…」
清水「・・・」
うつむく清水
嗣永「夏焼くん、いくら何でも言いすぎだよ…清水くんが役に立たないなら僕なんか…」
夏焼、嗣永の肩に腕を回し体を寄せる
夏焼「嗣永はボクのそばにいるだけで癒してくれるからいいんだよ…じゃあ、もっと癒してくれるかい?」
嗣永「いや、あの、そういう意味じゃなくて…」
顔を真っ赤にする嗣永
熊井「夏焼ぃ!」
夏焼「ごめんねw熊井くんwww」


孤島からの使者02


清水「で!?注文はいつものでいいね!」
バン!
伝票を机の上に叩きつけるように置く清水
清水「ごゆっっくりどうぞ!」
険しい顔をした清水を見て唖然とする3人
熊井「どうしたんだあいつ…ん?」
カウンターに怪しい男の影を見つける熊井
熊井「おい、お前矢島だろ?」
矢島「えっ!?あー熊井くんじゃないか!奇遇だなぁ♪えへへ…」
笑顔で3人のいるテーブルの席に着く矢島
熊井「来いとは言ってねぇぞ」
矢島「いいじゃないか…」
ムッとしている嗣永
夏焼「君が矢島くんか。『キュー学の生徒』がここに何のようだい?」
矢島「ここのお水がおいしくてね…よく通ってるんだ!」
嗣永(絶対ウソだ!熊井くんが目的のくせに!)
矢島「…ところでちぃ坊知らないかな?」
熊井「さぁ?」
夏焼「知らないね。ちぃ坊が誰かすら知らないのに。『キュー学』の生徒のこと?」矢島「徳永のことなんだけど?」
嗣永「知ってても教えません!」
矢島「あっ…そう…」


孤島からの使者03

○ショッピングモール

徳永「ぶぇっくしょい!」
菅谷「大丈夫?徳永くん」
徳永「マリマリが俺の自慢をしてるんだろ…しかし悪いね。デートの邪魔してるみたいで」
鈴木「いえいえ。大江さんの誕生日プレゼントを選ぶの楽しいですから」
徳永「女の子の欲しいモノって分かんないからさ。鈴木さんのセンスをお借りしたんだよね!」
菅谷「ボソ)女の子って言う歳じゃないだろ」
徳永「なんか言ったか?」
菅谷「う、ううん!なんでもない!(せっかく二人きりで映画観る約束だったのに)」

○本屋

マンガを物色している須藤
須藤「えーと…今月の新刊は…」
和田「あの…茉太先輩ですよね!?」
須藤「ん?」
須藤の前に色黒の好青年が立っている
須藤(だれだっけ?)
和田「俺です!先輩の道場にお世話になってた和田です!」
須藤「ハッ!)あっ!和田か!!!?」
和田「はい!ずっと探してたんスよ!」
須藤「そうかぁ!ホント久しぶりだな!」


孤島からの使者04


○ショッピングモール
アクセサリー屋で物色中の3人
鈴木「これなんてどうです?」
徳永「んー…いいかも!」
菅谷「・・・(ポリポリ)」
2人の横で掻きながらネックレスをじーっと眺める菅谷
菅谷(これ鈴木さんに似合いそうだなぁ)

鈴木の電話が鳴る
鈴木「もしもし?あっ先生…ホントですか!!?ありがとうございます!」
電話を切って呆然としている鈴木
菅谷「鈴木さん?どうしたの?」
鈴木「菅谷くん・・・」
目に涙をためて菅谷の胸に飛び込む鈴木
菅谷「えっ・・・!?」
徳永「ん?どうしたの?」
鈴木、菅谷の胸で肩を震わせて泣いている
何かを悟った菅谷、鈴木をギュッと抱きしめる
菅谷「そっか…おめでとう…」
徳永(なんか俺いちゃいけない空気だな…)


孤島からの使者05


○喫茶Berry Fields
場所を移し思い出話に花を咲かせていた須藤と和田
須藤「しかし…あの金髪で母親泣かせだったお前がなぁ」
和田「全部先輩のおかげです!」

離れた席にいる熊井、夏焼、嗣永、矢島
嗣永「あの人誰?」
熊井「さぁ…須藤の後輩ってところだろ」
矢島「うーん…2コ下の和田くんかな?」
夏焼「どうして知ってるんだい?『キュー学』のくせに」
矢島「君…夏焼…だっけ?」
夏焼「よびすけしないでくれる?『キュー学』なんだから」
矢島「…その『キュー学』に変なアクセントつけるのやめてくれるかな?」
矢島の注意を無視してケータイをいじり始める夏焼
矢島「…おな小なんだ。だからちぃ…徳永も覚えてるはず。特にあいつは…」

からんからーん

徳永「おぃーっす!」
店に入ってくる徳永


孤島からの使者06


矢島「よっ!ちぃ坊!」
徳永「おっ♪矢っくんじゃん!どーしたの?」
矢島「ちょっとね」
清水「いらっしゃい。あれ?菅谷くんと鈴木さんは?」
徳永「なんか絵がどうのこうのとか…鈴木泣いて喜んでたな…」
夏焼「どこ行ってたんだい?」
徳永「マリマリの誕生日プレゼントを買いにね♪」
カバンからリボンつきのラッピングをした細長い箱を出し、見せびらかす徳永
矢島「マリマリ?」
徳永「ああ、俺の彼女だよ!今度紹介する。」
矢島「へぇー。楽しみだなぁ…マリマリっていいニックネームだね!」

夏焼「マジかよ」
思わず地が出た夏焼

嗣永「ねぇねぇ徳永くん、あの人って知ってる?」
和田を指さす嗣永
徳永「ん?・・・あれ!?和田っぺじゃん!」
夏焼「和田っぺ…」
嗣永「センス悪っ…」
熊井「あいつのネーミングセンスつくづくだな…」


孤島からの使者07


徳永の声に気づいた和田
和田「えっ!?徳永!…さん」
急によそよそしくなる和田
徳永「なんだよぉ…そんなにいやな顔すんなよぉ。小中と一緒にいた仲じゃん!」
須藤「まぁお前とはロクな思い出がないだろうからな」
徳永「へいへい…どーせ俺は中学時代ロクな人間じゃなかったですよ」

夏焼「あの3人、微妙な関係みたいだね」
嗣永「徳永くんって…中学の頃すごい不良だったんだよね?」
矢島「うん。ちぃ坊は中学の頃…」
嗣永「あなたにはきいてません!」
矢島「…ごめん」
夏焼「中学時代は相当恐れられていたからね…同じ高校と聞いて
   少し楽しみだったけどあんな性格だったから拍子抜けしたよ」
熊井「転校した来たからよくわかんねぇ…(グイッ)清水ー!わりぃ!水くれ!」
嗣永矢島「僕も!んっ!?」
声がハモり微妙な空気になる2人
嗣永「フン!」
矢島「ごめん…」


孤島からの使者08


清水「はーい」
水差しを持って来て3人のコップに注ぐ清水
矢島「ありがとう。ここの水はホントにおいしいね!」
清水「ただの水なんだけどね。減量中なのは分かるけど…たまには何かオーダーしてね」
夏焼「清水くん、僕にも」
清水「自分で注いでくださーい」
水差しを置いてその場を離れる清水
夏焼「…」
嗣永「…ヨイショ」
水差しを持って夏焼のコップに注ぐ嗣永
夏焼「ありがとう嗣永。どっかの『役立たず』とは大違いだよ」
清水「(ピクッ)・・・」
思わず動きが止まってしまった清水
嗣永「い、いや僕そんなつもりで注いだんじゃ…」


孤島からの使者09


和田「あっそうだ…先輩!肉じゃがの作り方教えてもらえますか?」
徳永「にくじゃが?」
須藤「あの時のか?」
和田「はい」
~~2年前~~
須藤の道場の炊事場

怪我だらけの顔でふくれている和田
須藤「また家出したんだってな。おふくろさんから連絡あったぞ」
和田「余計なことしやがって」
須藤「それで自棄になってあんな大人数相手に喧嘩して…俺が助けなかったら今頃病院だぞ」
和田「…分かってるよ」
須藤「分かってるならもう手を出すな。おふくろが悲しむぞ。ほれ」
机の上に救急箱を置く須藤
和田「…先輩はなんで俺の母ちゃんのことばっか言うんですか?」
須藤「まぁ…うらやましいからだろうな」
和田「うらやましい?そんなバカな…邪魔なだけっすよ」
須藤「お前には…まだ分からんだろうな…泣いてくれる母親の存在が」
和田「・・・わかんないっすね」
苦笑いを浮かべる和田


孤島からの使者10


須藤「知ってると思うが、俺のおふくろは小さいときに病気で亡くなった…お前にこれ食わしてやる」
須藤、台所に向かい皿に盛り持ってくる
須藤「俺の作った肉じゃがだ…食ってみろ」
和田「はぁ…」
状況がつかめず迷いながら肉じゃがを口に運ぶ和田
和田「…うまっ!めちゃくちゃうまいっすよこれ!」
須藤「これを見てつくったんだ」
ボロボロのノートを見せる須藤
和田「それは…?」
須藤「お袋が病床で書いてくれたレシピだ。」
和田「すげぇ…」
ノートを手に取りペラペラめくっていく和田
須藤「お前はうまいと言ってくれたが…俺にとってはまだまだ…おふくろの味は越えられない」
和田「えっ!?…これよりうまいんすか!?」
須藤「ああ、直接教えてもらいたかったな…」


孤島からの使者11


肉じゃがを一気にたいらげてしまった和田
和田「おかわりもらえますか?…あとご飯もいいっすかね…?」
須藤「家出してぜんぜん食ってなかったんだろwどんどん食え!」
ご飯と肉じゃがのおかわりをもらうとガツガツ食べ始める和田
和田「うめぇ…(グスッ)…あれ?(グスッ)何で俺泣いてんだ?」
知らないうちに涙を流していた和田
須藤「さぁな…」
箸が止まる
和田「先輩…俺…おでっ!…ウウッ!」
言葉に詰まるほど号泣する和田
須藤「…家には『もうすぐ帰る』と伝えてある」
和田「あ…ありがどうございばず…」
~~~~~~~~~

和田「あれがあったから今のオレがあった気がするんです。母ちゃんに食べさせてあげたいなって」
須藤「なるほどな…」
徳永「そうそう、急に真面目になったんだよなお前」
須藤「お前もだろうが」


孤島からの使者12


清水「でも、僕も食べてみたいな…須藤くんの肉じゃが」
カウンター越しで須藤たちのやりとりを聴いていたマスターのたいせい
たいせい「ほう…肉じゃがか。オレにも教えて欲しいな。」
須藤「たいせいさんまで!」
たいせい「よし!ここの厨房を貸したる!須藤先生の料理教室や!」
須藤「そんな大げさな!」
たいせい「おいバイトー!」
清水「へいへーい!」
たいせい「これで肉じゃがの材料買ってこい!何を買うかはあの須藤先生に訊きや!」
清水「あいあーい!」
たいせいが指にはさみヒラヒラなびかせている諭吉を軽快なジャンプで取る清水
清水「で?で?で?何買えばいいの?」
メモ帳を取り出し材料を聞き出す清水
嗣永「あっ!買い物なら僕も手伝う!」
清水「さんきゅー!助かるよ!」


孤島からの使者13


○道中
スーパーに向かってる清水と嗣永
嗣永「清水くん…」
清水「なに?」
嗣永「なんか…ごめんね…怒ってるみたいだったから」
清水「別に嗣永に怒ってるわけじゃないからいいよ」
嗣永「ホントにごめんね…」
清水「謝らなくていいって…問題はあのバカ雅なんだから」
嗣永「ばかみやび…」

○喫茶Berry Fields
熊井「夏焼ぃ」
夏焼「なに?」
熊井「清水に『役立たず』は言い過ぎじゃないか?」
夏焼「事実を言っただけだよ」
熊井「お前のことだ。ハッパかけて今まで以上に調べさせるように仕向けたんだろうが…」
夏焼「ご自由に想像してくれたまえ」
熊井「清水は相当の負けず嫌いだからな…特に夏焼、お前に対してはかなりしつこい」
矢島「すごいなぁ!!熊井くんの観察眼!」
夏焼「…黙っててくれるかな?」
矢島「ごめん…」
熊井「つーかお前徳永に用事があったんだろ?」
矢島「あっ!そうだった。ちぃ坊!」
徳永「んあ?」
矢島「ちょっとちょっと!」
カウンターに移動する2人


孤島からの使者14


熊井「とにかくモー商は今までのようにはいかねぇ…清水や嗣永は退かせた方がいいと思うがな」
夏焼「安心したまえ。彼はただのダンスバカだ」
熊井「ダンスバカ…」

○道中

清水「とにかく…モー商についてもっともっと調べてやる!」
嗣永「手がかりでもあるの?」
清水「ちょっとね…危険だけど、あの役立たずなんて言われたからにはね」
嗣永「危険なの?気をつけてね…」
清水「ありがとう。」
スーパーに到着した2人
清水「じゃあ嗣永はこれとこれとこれ頼むね!」
メモに○をつけて渡す清水
嗣永「うんわかった。あれ?清水君はメモなくて大丈夫なの?」
清水「うん、頭に入れといたから」
嗣永「へぇ…」


孤島からの使者15


○喫茶Berry Fields
カウンターに座っている徳永と矢島
徳永「なんだよ深刻な顔して」
矢島「最近鬼座高の不良たちが通り魔に襲われてるって話聞いた?」
徳永「あーなんか急に刃物で切られてるんだっけ?」
頼んでおいたコーラを飲み始める徳永
矢島「うん、それがなんか分からないけど警察がくわしく調べようとしないんだよ」
徳永「ほぉ、そんで?」
矢島「いろんな縁でうちの梅田が中心になって犯人探しを始めたんだけど…」
徳永「うんうん」

矢島「…ちぃ坊が怪しいって言い始めてるんだ!」

徳永「ブシュ!!」
飲んでたコーラを矢島に向かって吹き出す徳永
徳永「ゲホッ!ゲホッ!何でオレが!?」
お手拭きで顔を拭きながら矢島
矢島「鬼座に恨みがありそうな人物って言ってた…なんかあったの?」
徳永「うーん…」
徳永、大江との一件を思い出す
徳永「あるっちゃあるんだけど…そこまで根に持ってないしなぁ」
矢島「そうなんだ…絶対やってないんだよね!?」
徳永「あたりまえだろ!!オレはマリマリと余計な喧嘩はしないって約束してんだから」
矢島「かっこいいねちぃ坊!じゃあ梅田にそう伝えるよ」
ケータイを取り出し梅田に電話する矢島
矢島「あれ?話し中だ…」


孤島からの使者16


○キュート学園某教室
ケータイで電話をしている梅田
梅田「親父、それどういう意味だ?」
梅田父《俺のところに来いと言うことだ》
梅田「おいおいあんたのところって海外だぞ!いくらなんでも急すぎだろ!」
梅田父《大丈夫だ。一週間猶予やる》
梅田「んなこと言われても」
梅田父《お前にはオレの仕事を継いでもらうからな!》
梅田「それはオヤジの勝手な」
梅田父《そろそろ会議だ。じゃあな(プツッ》
梅田「おいっ!…切りやがった…くそっ!」
しばらく考え込み子分に電話をかける梅田

梅田「おい!鬼座の通り魔の犯人まだ見つかんねーのか!?」


孤島からの使者17


○喫茶Berry Fields
何度梅田にかけてもつながらない矢島
矢島「おかしいなぁ…」
徳永「あとでいいじゃん!それよりもさ!お前もうすぐボクシングの大会だろ?」
矢島「ああ!」
徳永「楽しみにしてるよぉ!俺らと同い年で『天才』とか言われてる奴いんじゃん?そいつもボッコボコにして」
矢島「あー…そいつ行方不明なんだよ」
徳永「えっ!?そうなの?」
矢島「ああ、協会のリストとか見てもいないんだよなぁ…」

徳永「へぇー…モー商にいたりして」
矢島「まさかw案外あの通り魔もモー商かもね」
徳永「うわー!超リアルw」
2人「あははははは!」

○某所
田中「いくしっ!」
亀井「ひっくしょん!」
ほぼ同時のタイミングでくしゃみする
道重「あら?お二方ともお風邪?ウツさないでくださる?」


孤島からの使者18


部屋の壁には不良と思われる写真が隙間なく貼られている
そのうちの1枚にナイフを刺して印を付けた田中
田中「これで17人と…お前ら大丈夫か?あんま不良を始末しとらんけど」
亀井「田中っちがやりすぎなだけだよ。通り魔事件ってなってるし」
道重「私たちの行動は政府を通して警察は手出ししないことになるからいいけど」
亀井「ま、俺はまだやる気ないからちょっと遊んでくるー!」
道重「私もそろそろかわいいしもべを探さないと…」
部屋を出ていく亀井と道重
田中「フン!」

久住「亀井さん!」
吉川と北原を従えて呼び止める久住
亀井「久住か…例の話は断ったはずだけど?」
久住「どうしても君の力が必要なんだ。僕たち『天の川の会』に」
亀井「あのさ…俺は身分が上とか下とか、クーデターって言うの?興味ないんだよね」
久住「…この『世直し』にも興味がないんだね」
亀井「そういうこと♪今度誘うなら合コン誘ってよ!じゃーねー!」

去っていく亀井の背中を睨みつける久住


久住「…チッ」

孤島からの使者19


○喫茶Berry Fields

材料を買って帰ってきた嗣永清水
嗣永「ただいまー」
清水「はい、これが頼まれたものとお釣りです」
たいせい「ご苦労さん。では、よろしくお願いします先生」
須藤「ホントにやるのか…」
和田「お願いします先輩」
須藤「今日だけだからな…なんならお前たちも食ってけ」
厨房に入る須藤

清水「やった!今日の晩飯は佐紀が作ってるらしいからちょうどいいや!」
徳永「おいおいそれどういう意味だよ…ま、俺は帰るわ!」
嗣永「えー食べていかないんだ?」
徳永「今日はマリマリがご飯作ってくれるからさ♪じゃーねー!」
スキップ混じりで店を出ていく徳永

矢島「肉じゃが楽しみだね!熊井くん!」
熊井「別に…ってお前減量中じゃねえのかよ」
矢島「いっけね!忘れてた…えへへ」
夏焼「『キュー学』が考えてることは分からないね…」
熊井の横に座る嗣永
嗣永「肉じゃが楽しみだね!熊井くん!」
熊井「…まぁな」

矢島「・・・」


孤島からの使者20


○帰路
徳永「フンフフーン♪誕生日まであと3日…肌身離さず持っておこーっと♪」
プレゼントを眺めながらニヤニヤと帰る徳永

梅田「おい」

後ろから梅田が声をかける
徳永「ん?お前は…」
梅田「…最近鬼座の奴らに危害加えてる通り魔って…お前だよな?」
徳永「おいおいいきなり本題かよ」
梅田「答えろ!」
殴りかかってきた梅田
徳永「うわ!なんだよ!」
かわす徳永
梅田「お前が一番怪しいんだよ!」
徳永「ちょっ!待てって!俺はマジでやってないってば」
梅田「とぼけるな!」
徳永「ゴフッ!」
梅田のジャブが徳永の腹に入る
梅田「はやく言えよ…」
徳永「ゲホッ!やってねぇって言ってるだろ!!」
梅田「ハッwまだ言うか!」

徳永「マリマリと約束したんだ!無駄な喧嘩はしないってな!」
梅田「マリマリ?あのババアのことか?」
徳永「…あ゙ぁ!?」


孤島からの使者21


徳永「ババア…だと?」
梅田の言葉を聞いた徳永、一瞬で表情を変えて回し蹴りをするが梅田にかわされる
梅田「ほう…やる気になったか?早くナイフ出せよ!」
徳永「麻理子をババア呼ばわりする奴はゆるねぇ…それだけだ」
梅田「で?やんねぇのか?」
徳永「俺はやってねぇ。矢っくんにもそう伝えてあるはずだ」
梅田「…ハッ」
ドスッ!
梅田の膝打ちが徳永のわき腹に入る
徳永「ぐっ!」
膝から崩れて倒れる徳永
梅田「正直じゃねぇな」

徳永「…はぁ…はぁ…あと何発だ?」
梅田「は?」
徳永「あと何発お前から食らえば俺は無実になるんだよ…その分黙って全部受けてやる」

睨み会う二人
梅田「ちっ!!」
徳永の元から去ろうとする梅田
徳永「おい!」
足が止まる梅田
徳永「お前…なにそんなに焦ってんだよ」
梅田「…別に焦ってなんかねぇ」
去っていく梅田
徳永「ふぅ…さてと…あでっ!」
立ち上がろうとするが膝を食らったわき腹が痛み倒れる徳永
徳永「いってぇ…でも早くマリマリの元に行かないと」


孤島からの使者22


○喫茶Berry Fields

須藤「…これで完成です」
和田「わぁ…匂いも懐かしい!」
たいせい「なるほど…包丁さばきに調味料の使い方も見事やったな」
須藤「いえいえ…まだ素人ですよ」
皿に盛りながら照れる須藤。その皿を熊井たちの前に持って行く
須藤「ほい、食ってみろ」
清水「どれどれ…(パクッ)おいひぃ!」
夏焼「確かに美味しいね。料亭の一品料理に匹敵する味だよ」
嗣永「おいしい!熊井くんも食べなよ!」
熊井「あ、…ああ」
ためらいながらも口に持って行く熊井
熊井「・・・」
須藤「ど、どうだ?」
なぜか緊張している須藤
熊井「うん、うめぇ…うめぇな。おい焼きそばねぇか?」
須藤「お前にとって焼きそばは米か」

矢島(いい匂いだ…熊井くんもおいしいって言ってる…食べたい…でも…)
須藤「お前…食べないのか?」
熊井「こいつ今減量中」
清水「ボクシング部なんだよ」
嗣永「食べれないなら徳永くんと帰れば良かったのにぃ!」
夏焼「『キュー学の生徒』がここにいるのもおかしいのに」
矢島「ごめん…」


孤島からの使者23


○帰路
帰り途中の須藤と和田
和田「ホント、ありがとうございます…」
須藤「ところでおまえ…何で俺を探してた?」
和田「えっ?」
須藤「誰かに頼まれたのか?」
和田「…その逆です。先輩の親父さんからは探すなと言われました」
須藤「…どういうことだ?」
和田「実は親父さん、先日倒れたんです!」
須藤「なんだって!?」
和田「それで道場「須道館」をどうするかという話になって…」
須藤「後継者がいないからたたむのか?」
和田「いいえ、親父さんは弟子の中から後継者を指名しました…」
須藤「はっ!?誰だ!?」
和田「・・・・・・俺なんです。一番スジがあるって…」
須藤「何を考えてるんだあの野郎は…和田には早すぎるだろ」
和田「俺も同感です…しかも先輩を差し置いて後継者なんて…荷が重すぎます!」
須藤「…」
和田、立ち止まり土下座をする
和田「お願いします!帰ってきて道場を継いでください!」
須藤、一瞥するが和田を無視して歩いていく
和田「先輩!!!」
須藤「いくらお前の頼みでもそれは無理だ…じゃあな」
和田「そんな…」


孤島からの使者24


○別の帰路
矢島「はぁ…」
肩を落とし気味に帰る矢島
清水「矢島くん!」
清水が走って駆け寄ってくる
矢島「君は…どうしたの?」
清水「はぁ…はぁ…ごめん、雅や嗣永が君のことを責めてたから…謝ろうと思って」
矢島「そんなことのために…わざわざいいよ…」
清水「二人ともいろいろ事情があるからさ…気に入ったんでしょ?熊井くんのこと」
矢島「いっ!いや、そんなんじゃ」
清水「ごまかさなくていいよ。熊井くんはみんなから好かれてるから…おかしいことじゃないよ!」
矢島「そっか…みんなそうなんだ。えへへ…」
清水「あっ、僕はこっち行くから」
矢島「あれ?家はそっちなの?」
清水「ちょっと寄るところがあるんだ!またお水飲みに来てね!」
矢島「ありがとう!じゃあ熊井くんによろしく!」
元気よく走り去っていく矢島
清水、それを見送ると表情が堅くなり財布から取りだした名刺を見る
清水「ここでモー商の居場所を聞き出さなきゃ…」


孤島からの使者25


~~翌日~~
○教室
清水「梅田に襲われた!?」
徳永「あーもー大変だったよ!ほらっ!」

学ランと中に着たシャツをめくりあげて包帯だらけのわき腹を見せる徳永
菅谷「うわっ…大丈夫なの?」
徳永「マリマリに手当してもらったから大丈夫!裸になったついでに一発ヤれたし♪」
嗣永「イッパ…!」
徳永「どーしたー?顔が真っ赤になってるよ嗣永ちゃんw」
熊井が鞄を振り回し徳永にぶつけながら現れる
熊井「うーっす」
徳永「あでっ!」
嗣永「おはよう熊井くん!」
熊井「おぅ」
清水「徳永くん、やられた理由は通り魔の疑いをかけられたからなの?」
徳永「みたいだな。なんかあいつ焦ってたっつーか…なんか急いで犯人見つけたいみたいな感じだったな」
夏焼「キュー学にやられたのならやりかえさないとだね…」
いつの間にか徳永の背後にいた夏焼
徳永「うわっ!!!びっくりさせんなよ」
菅谷「……ところで須藤くんは?」
始業のチャイムが鳴るが須藤が席にいない


孤島からの使者26


校門を見た熊井
熊井「あいつの子分がまだ校門で待ってるな」
徳永「ってことはまだ来てないのか」
嗣永「風邪でもひいたのかな?」
清水「・・・(もしかして)」
須藤の席を見ながら複雑な顔をしている清水
夏焼「清水く~ん?」
清水「な、なに?」
夏焼「知ってること全部言っちゃおうか?」
清水「…実は前から知ってて須藤くんにもみんなにも言わなかったんだけどさ…」

○登校途中の河川敷

寝ころんで空をボーッと見ている須藤
須藤「・・・」
和田の声が頭の中をぐるぐる回っている

『親父さんが倒れたんです!』

『後継者は別の人を選びました』

『・・・俺です』

須藤「クソッ・・・(ドン!」
やり場のない怒りを地面にぶつける須藤


孤島からの使者27


○教室
徳永「うわーあの親父さんが倒れたんだ?」
嗣永「知ってるの?」
徳永「あーもー!悪いことしたら捕まえられてガーン!って」
清水「…多分そのことを昨日あの後輩さんから聞いたんじゃないかな?」
菅谷「じゃあ早く家に帰ってあげないと…」
徳永「いや、無理だな」
嗣永「なんでなんで?」
徳永「絶縁状態なんだよあの親子。何があったかは知らないけど、会えば必ず血が流れるなんて言われてた」
清水「お母さんのことはあんなに慕ってるのに…」

先生「おーい!もう授業始まってんだけど?」
徳永菅谷嗣永清水は立って輪になって話していた
横ですでに寝ている熊井

徳永「ごめん今大事な話してるから黙ってて!!」

夏焼「君たち…真面目に授業をうけたまえ」
ちゃっかり席についている夏焼

先生「そうだ。夏焼の言うとお…」
夏焼「せんせい?(ギロリ」
先生「…夏焼『さん』の言うとおりだぞ」

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最終更新:2011年03月05日 14:54