t02-201 名前:火曜日 :08/06/14 09:09:06 ID:MTj3DD44
********************

アキトは朝起きてまず最初に顔を洗ってからトイレにいく。
その後、手を洗ってもう一度顔を洗いうがいをして時々薄い髭を剃る。
外は爽やかな朝を演出するのにうってつけなほど、燦々とした太陽光が眩しかった。
冬に向かう準備を、太陽自ら放棄しているような空模様。

結局昨日はハルキに相談なんて出来るはずがなかった。
何事にもやる気が起きない、そんな気だるいさを感じながら台所へ向かう。

「おはよう」
「っ……おはよう」

ハルキはまるで何事もなったようにアキトに朝の挨拶をする。
父はもう出勤しており、家には二人だけだけなのが気まずさに拍車をかける。
もっとも、そう思っているのは一方だけだったが。

「なんだ今日は起きるのが遅い上に元気ないな。
勉強するのも結構だが、よく寝ないと昼間授業に集中できないぜ」

淹れたてのモーニングコーヒーと一緒に親切にも言って聞かせるが、
ここまででアキトはとみに感じるハルキの親切心が少々厭わしく思えてた。
何か一言でも言っておかなければ気がすまない、そんな気分だった。

「……………の……か?」
「えっ?」
「お前は、俺の母親か、って言ったんだ。……ん……コーヒーサンキュ」

アキトの皮肉にハルキは新聞を読む手を下げ、目を合わせる。
昨夜、件の『アキトも――』のあとに続いて語った父の話を思い出す。

『最初は、ハルキは母に似てアキトは私に似てるかと思ったが』

父の台詞は思ってもみなかったことを気付かされてしまった。
その上ハルキにおける、アキトの存在と並び立つコンプレックスをアキト自身が尚も抉る。
心拍数が上がり、眩暈と合わせて不快な汗が流れ始めた。
言った方はたった今のことなど忘れたように朝食を食べ始める。
皮肉であっても悪意など微細、いつも通り社交辞令のにしか過ぎない一言だ。

「ぅ……ぁく……」

ハルキはかたかたと震える手を隠すように、カップをソーサーに戻す。
予想もしないところからの一撃は、未然に防ぐことも不可能だった。
幼少の頃にトラウマとして残る綺麗な面影が脳裏に甦る。

「お、俺……先に行くわ」
「えっ、おい」

ハルキは脱兎のごとくこの場から逃げ出す。
顔を見られれば、何を言われるかわかりきっていた。

t02-202 名前:火曜日 :08/06/14 09:15:04 ID:MTj3DD44
********************

電車で揺られながらアキトは一連の出来事が、
何かしら兄の見えざる裏側に繋がってるように思えてならなかった。
もう一人のキーパーソンに聞いてみるのが一番だろう。
兄が変になり始めたのは、結衣のことを好きだと打ち明けてからだ。

アキトは兄のこととなると、結衣に対しても意外と冷静になれるものだと感じた。
空に浮遊するような恋愛感情とは違う、より所を踏みしめ地に足をつけた安定感ゆえだろう。

********************

ハルキは学園近くまで来ながらも、門をくぐることなく近くの大規模公園で時間を潰す。
時計の針が始業時刻を指しても、公園のベンチから立ち上がる気はなかった。
日も高くなると、母親と子供が陽気に誘われて遊びに出る。
ちらちらと保母さんが見えるあたり、どうやら近くの園児たちも集団で遊びに来ているみたいだった。
ハルキは地元でも有名な進学校の制服のおかげか、それなりに不審人物には見えない。
見た目で判断するなら、その姿は少し息抜きが必要な好青年だ。
母親、保母たちがあまり気にしないと子供らも同様に習い、
勝手気ままに遊び、はしゃぎ、ハルキの近くへも駆け出す。
その光景を気の抜けたように眺める。心を無にすればとても幸せな光景だった。

「あっ」

かけっこをしてた子供が勢いよく転ぶ。
うつ伏せになったままじっとしてる姿に、ハルキは落ち着かずそわそわしてしまう。
しまいには顔を上げて泣き出してしまった。それでも保護者らしき人は見えてこない。
仕方なしに近くに寄って子供の目線に屈み、頭を撫でながら土ぼこりを払う。
よしよしとあやしながらハンカチで涙を拭くころには、子供のほうも驚いてか泣き止んでいた。
いつの間にか泣いていた子供の仲間が周りに集まっている。

「ほらみんな心配してるよ」
「お、お兄ちゃん……ありがとう」
「おっ、ちゃんとお礼ができるなんてえらいえらい」
「そうね。でも学園サボって子守りはどうかしら、ハルキ君」

聞いただけで心臓を鷲掴みされる声に、
ハルキは驚きのあまりバランスを崩し、屈んだまま尻餅をついた。

「あた……」

今度は子供たちが心配そうな視線を注ぐ。
ハルキがいささか赤面しながら、なんでもないと仕草をしてアピールすると、
安心したように三三五五と遊びに散って行く。

t02-203 名前:火曜日 :08/06/14 09:17:56 ID:MTj3DD44
「うふふ、サボって何してるかと思ったら、
甲斐甲斐しく子供の世話して転んで、悪いけどとても良いものが見れたわ」
「悪いと思ってるなら見ないでください」

くすくすと乙女チックな笑いは、意外にも結衣に似合って可愛らしく見えた。
ハルキは恥ずかしがりながらもベンチまで戻って座りなおす。

「それより本当に何してるの、こんな所で」

結衣も隣に座って語りかけたが、ハルキの反応は鈍く、返答はおろか相槌も打たない。
きゃっきゃとはしゃぐ声の中、ハルキたちが座っているベンチだけが取り残されたように沈黙を保っていた。

「アキト君が心配して、私に頼み込んできたわよ。
生徒は基本的に昼休みでも外に出れないしね。
おそらくこの公園にいるって言ってたけど、本当に大当たりね」

アキトの名前を出せば反応するかと思ったが、特に感慨もなく黙ったままだった。
結衣としても連れ戻そうという気はなく、確認さえできれば良かったが、
このまま置いてきぼりにする気にはなれなかった。
特に話すこともなく、ハルキと一緒に周りの様子を眺める。
なるほど、平和で幸せな光景だ、とほとんどハルキと同様のことを思った。
時を待つのも良いが、話の糸口を探ろうとハルキの目線を自然と追っていく。
するとちょっと面白いことがわかった。

「ひょっとして、ハルキ君……ものすごく子供好き?」
「……もしかして……ロリコン、とか思ってませんか……」

このまま黙っていると誤解されかねないと思っての台詞だろうが、
何か発してくれただけでも、結衣にとっては我が意を得たり、であった。
少しずつ糸を手繰り寄せるように言葉を編んでいく。

「違うわよ。それなら遊んでる子供ばかり見てるでしょうけど、
ハルキ君は赤ん坊抱いてるお母さんとか、妊婦さんとかよく見てるもの」
「……」

結構な図星だったのだろうが、
そっと照れて赤くなる可愛らしさがあるとは思わなかった。
顔を覗くと、少々ふてくされた様に視線を在らぬ方へ逸らす。

「ふ~ん、ハルキ君は子供が欲しいのね」
「いや、その、それは……」
「それは?」
「……もう少し大人になってからでいいです。
しっかりと責任とれる立場になるまでは……」

子供が欲しいという点については否定しなかった。
むしろ条件が満たされるなら、肯定的に欲しいとも取れる言い草だった。
この年頃なら、セックスはとてもしたいだろうが、
子供が欲しいなんて思わないか、明確には気に留めないのが普通である。
前に感じた、焦がすような情念の中でもしっかりと避妊を心掛ける姿勢は、
関心ある故の正しい知識であり、何かしら彼のけじめにも思える。
無論避妊すること自体、環境を考えれば当然であるが、それ以上の何かが垣間見える。

t02-204 名前:火曜日 :08/06/14 09:20:07 ID:MTj3DD44
「ふふ、ハルキ君。それなら……」

結衣はそれが何か、深淵にあるだけに惹かれるものがあった。

「また……私と子作り……してみる?」

ハルキは呆然とした目で結衣を見つめる。
近くに人はいないとはいえ、公共の場で白昼堂々とこんなことを言われて、
他にどう反応ができるものか。

「私なら、相手に不足はないでしょ。それに責任取れなんて言わないわ。
……それでもハルキ君なら、取ろうとするのが目に見えるけどね」
「……先生は……アキトの気持ちをわかって言ってるんですか?」

いかに常識に囚われないとはいえ、これでは単に非常識の謗りをまぬがれない域だ。

「あらぁ? あはは、とてもよくわかってるわよ。
アキト君の気持ちも……ハルキ君の気持ちも……ね」
「それなら!」

激高しかけるハルキに対して、結衣は対照的に憂いの表情を見せる。
先ほどとがらりと変わった雰囲気に、昂ぶった気持ちも有無を言わさず沈静化していく。

「……とてもよくわかってるのよ。
ハルキ君は、本当は麗しの弟クンと私と付き合ってほしくない。
アキト君は、自身が私とお似合いとは思ってない、それどころかむしろ……」

耳をふさげば聞こえない。
今ならまだ間に合うとは思いつつ、途方もない重圧に動くことはできなかった。

「……お兄さんの方がとてもお似合いだと思ってる」

こんなところまで、わかって欲しくはなかった。

「け、けど、それは違う。あいつは自分に自信がないからそんな風に思ってるんだ。俺なんかよりよっぽど」
「本当にそうかしら。私とアキト君だとタイプが全然違うと思うけど」
「それでも先生なら余裕だろうし」

この答えに、結衣は思いっきり、と形容するに相応しい苦笑をする。

t02-205 名前:火曜日 :08/06/14 09:21:44 ID:MTj3DD44
「それは褒められてる気がしないわね」
「……俺は、このことについては、先生にお願いすることしかできない」

土曜日の夜から、ここまで事態が急展開するとは思わなかった。
ハルキにしてみれば、本当にあの時は少しばかりのイタズラと後押しだけだったのに。
しかも、上手くいくかと言えば、あえなく玉砕の懸念が強かった。
まさか教師の方から積極的に生徒との垣根を越えるなどと予想できるはずがない。

「何か変な会話だよね、これ。本心ではないはずなのに、真心がこもってる。
気持ちは少しはわかるけど……ね、全部はわからない。
まあでも、アキト君がお兄さんのこと心配になるのも、今のでよーくわかったわ。
もういいじゃない、このことは私とアキト君だけの問題にして放っておけば。
重い荷物背負ってるような悲愴な表情は、見ていて痛々しいだけ」
「それだと……」

それだとアキトと結衣では、絶対真っ当な道を歩んでいきそうもない。
ハルキは幸福な家庭を持つことが至上と思ってる、存外古風な概念の持ち主だ。
今までの自らの家庭ありようを見てのものであり、根の深いものだった。

「ん~とね、ハルキ君は私のこと嫌い?」
「へっ……好き嫌いの問題なら……嫌いではないですよ。ただ……」
「はい、そこまででいいわよ。まあ私に任せて気楽にしなさい」

誇張でもなく、アキトがいいように弄ばれる図しか思い浮かばなかった。
はたして進む道が正しいのか、神のみぞ知るところだ。

「今日は早めに自宅へ帰って、休んでなさい。顔色もあんまりよくないよ」
「はい……」

確かに最近よく眠れていない気がするハルキだった。
結衣はベンチから立ち上がり、そっと離れていく。
時間はお昼休みも終わる頃だった。

t02-206 名前:火曜日 :08/06/14 09:28:24 ID:MTj3DD44
********************

放課後になって、結衣は諸所の用事を済ませた後、将棋部へ向かう。
いくらか時間は過ぎており、夕焼けの眩しさに目を細める。
部室近くに来ても物音はしない。
結衣は常々、将棋にもっと会話をしたりぼやいたり愚痴を言っても良いと思っている。
プロの対局に倣っているのだろが、アマチュアではもっと盤上以外でも楽しむべきだと。
結衣の大原則とも言うべき思想信条には、まず楽しむことであった。
楽しむことを忘れ、勝負にこだわり過ぎるから、
負けたときにまるで相手は、特に結衣は女性だけに、世界の終わりみたいな顔をする。

戸を開けてみると、残っているのは対局が続いている部長のアキトと、相手の副部長だけだった。
二人の実力は拮抗しており、結衣の目から見ても充分な実力の持ち主。
クロックタイマーを置いていないところを見ると、制限時間無しで指しているようだった
いくらか呆れ気味になり、さっさと帰ろうかと思った結衣だったが、
昼前のハルキの顔を見た手前そういう訳にもいかなかった。

局面はもう終盤であり、あと十手もあれば終わるくらいだ。
どちらが勝つか、と結衣が考えると副部長の方に軍配を上げるが、あくまでも自分が指した場合である。
そして次手で副部長が指した所は、結衣が考えていた所と同じだった。

(もう受けは……、……、……無いよね)

どう受けても、最終的には詰みが免れず、受けずにこちらから攻めるしかないが相手の守りに余裕がある。
絶対絶命だったが、アキトは用意していた手を出す。
王手を指したのだから、相手は当然守らなくてはならない。
その後、何手か王手を絡めて駒のやり取りをすると、盤上にアキトを詰めるに必要な駒も取り払われる。
攻めつつ華麗に捌ききり、これには内心お上手だと結衣は思った。
ピンチを脱したアキトは勢いがあった。
この後するすると相手の囲いを崩してしっかりと詰める。

「すごいわね。あそこから逆転勝ちなんてなかなかお目にかかれないわ」
「いえ……それほどでも……」
「まさか、あそこからひっくり返されるとは思わなかったぞ。何が悪かったかな~」
「はいはい、検討したいでしょうけど、今日は遅いから帰りなさい」

二人とも礼をして駒と盤をしまい、帰り支度をする。
そうしてアキトは帰るふりをして、結衣のところへ戻る。
片付ける時に、さり気なくウインクをしてみせたのに何か兄についてあるはずだった。
もう一度部室の戸を開けると、案の定結衣が居た。

「まあ座って」
「はい、それで兄の様子はどうでした。それを聞かないと帰りづらいです」
「帰りづらいなら私の家に泊まればいいのに」
「さすがにそれはちょっと……」

結衣は何がさすがに、なのかつっこみたかったが、話が脇道にそれるので止めておく。
ここで昼前に公園でハルキと会い、どんな様子だったかアキトに話した。
さすがに会話の内容まで話すまではいかず、その時感じた印象を客観視してまとめる。

t02-207 名前:火曜日 :08/06/14 09:31:02 ID:MTj3DD44
「やっぱりアキト君の言ったとおり、ハルキ君は何か変ね。
だけど、ハルキ君自身が問題を抱えてる、て訳でもなさそうなのよね」
「そうなんですよ。本人のことじゃなくて、俺のことで変なんですよ。それがわからなくて」

結衣は考えてた質問をすることにした。
少しデリケートな内容なのはわかっていたが、悪癖ともいうべき興味があった。
人の心の奥底にあるものが見てみたい、というものだ。
それがどれだけ醜いか、美しいか、汚いか、澄んでいるか、
どんなものでも剥き出しの本性を見れる瞬間がとても大好きだった

「私はね、ハルキ君が、アキト君に深い恩か……負い目があると思うけど心当たりはある?」
「……あの、今更かもしれませんが……」

ここでアキトはもじもじとして、俯きながらもちらちらと目線を合わせる。

「俺……結衣先生が好きです。その……愛してるって意味で……大好きです!」
「うん、ありがとう。その気持ち、言葉、私は嬉しいよ」

さらりと結衣の方は言ってのけるが、アキトはさして気にしなかった。
二人の間柄にとって先ほど言ったとおり今更、であるのは確かだった。

「その、それでここからなんですが、兄も……結衣先生が好きで、
それを、その……俺、朝帰りなんてしてしまったから、逆に気を遣って、
無理矢理にでも、その……先生と俺をくっつけて……忘れようとしてるのではと……」

この答えに、結衣はとてつもなく、としか言い様がない苦笑をする。

「……それは絶対ないと思うわ」
「えぇっ、そうですか?」

ばっさりとアキトの意見を切って捨てる。

「実を言うと……ハルキにも同じようなことを言ったんですが、
先生と同じく、直ぐに否定されました。けど、自分自身でもわからない部分はあると思うんです。
今回に関しては、勘もあるけど……間違いないです。
単に本人も気付いてないだけなんですよ。
それに……俺は先生も、兄も幸せになってほしいです。
こ、こんなこと……言いたくないんですが……」

t02-208 名前:火曜日 :08/06/14 09:32:50 ID:MTj3DD44
目じりに涙を浮かべて、切に問いかける。

「俺だと……先生をホントに幸せにできないと思うから……、
思うから、兄にがんばって欲しいって思うんです。
兄なら絶対先生も幸せにできるから……」

この子は本当に自分のことを好いていると結衣は感じたが、立場の違い、
更に深刻な力量の不足が、人が持つ格の差がお互い暗黙の了解として立ちふさがっていた。
しがない平民が王女に恋をしてハッピーエンドになれるのはお伽噺の中だけ、そんなものだ。
可哀そうと思いつつも、アキト自らがその壁を破壊するとは思えない。

「うん……と……。アキト君はハルキ君のことが好き?」

アキトは質問の意味を図りかねたが、何よりも本当の気持ちを込めて頷く。

「アキト君は……ふふ、ちょっと普通とは違う私のことを愛してくれる?」

前の質問と気持ちは同じだった。
アキトにとって初めて恋焦がれた異性は彼女に他ならない。
そして今後、これ以上の人は現れない確信があった。

「うん。それならアキト君の言うこと信用してみようと思うの。
ハルキ君が私のこと好きだって言う気持ちをね」

アキトはその言葉を聞いて、悲しみながらも心が安らかに落ち着くのを感じた。
結衣なら、きっと兄を何とかしてくれる、
そして兄なら結衣を満足させることができる。
だが結衣はそんなアキトの心を知ってか、少し慌てる。

「あっ、誤解させてごめんなさい、最後まで聞いて。
ねっ、アキト君、私はとっても欲張りなの」
「はっ、はあ……」
「だからね、ものすごーく呆れるかもしれないけど……私の提案、聞いてくれるかな」

アキトは話を最後まで聞いた後、思わず涙を流した。
楽しさと喜び、感心、そして新たな理想の形に心を躍らせる。
一筋の光明はとても輝かしかった。

t02-209 名前:火曜日 :08/06/14 09:34:33 ID:MTj3DD44
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ハルキは内心おどおどしながら家で夕食の準備をする。
詮索を避け、動揺を抑えるためとはいえ、学園をサボったのはいくらなんでも怪し過ぎて変であった。
本来なら当番ではないため夕食の支度をする必要はないのだが、
何もしないでアキトを待つ訳にはいかなかった。
精神の平衡をを保つ手段として、アキトを懐柔する手段としてでもあった。
玄関から音が聞こえると、びくりと反応してしまう。
頭の中で何度もリハーサルした一声を出そうとする。

「おぉ、さすがは頼れる兄。遅くなった俺の代わりにありがとう」
「へっ……」

こんなことを言う奴だったか?
気を取り直して再起動をかける。

「い、いや。それより今日は遅かったな」
「うん、結衣先生と対局してたらこんな時間になったんだ。ごめんな」

とにかく話題を自分のことにしたくないハルキだったが、
知ってか知らずか詮索もせず、ごく普通に返す。

「今日のメニューはなに?」
「根菜のシチューにハンバーグのワインソース、かいわれサラダに納豆だ」
「かいわれ意外はオーケー」
「あれ? お前、かいわれ苦手だったか?」
「そうだよ」
「今になって初めて知った。まあいい機会だから黙って食え」
「お、鬼だ……。ハンストを申し出る、そんなものは口に入れない!」
「訂正、何を言ってもいいが残さず食え」
「悪魔だ……」

何となしに、いつも通りの会話のタイミングが掴めてくる。
昨日までとは違う、普通のありがたさが身にしみるひと時であった。
きっと何かしら、結衣との間に良い事があったのだろう、
一抹の寂しさもあったが、これで良いのだ。


夕食を終えた後に、アキトはハルキの部屋の扉をノックする。
放課後の結衣との話を終えて、強い決意を胸に秘めていた。

あの時、結衣はアキトの推測とは別に
『ハルキ君はアキト君に対して強い恩か、深い負い目があるはず』
と確信を込めながら重ねて述べた。
だが、やはりアキトに心当たりはまるでなかった。
どちらかと言えば、アキトの方こそがハルキに対して何かと恩義を感じていたことの方が多い。
何事も真面目で不器用な弟を、奔放だが器用で面倒見の良い兄は
時に親身に、時に突き放しながらも彼なりのやり方で引っ張る。
少なくとも普段は対等の立場であるため、
恩義など表に出さないが、アキトには兄の思いやりが充分に伝わっていた。

これから自分たちがしようとする行為は、
言うなれば兄を罠にはめようとしているのであり、もしかしたら裏切りなのかもしれない。
だが全て上手く行けば、このノックが兄に対する救いの音になる。
そして純粋に、楽しみで胸が弾む。
アキトは結衣に感化された部分も多分にあるよう思えたきた。

t02-210 名前:火曜日 :08/06/14 09:36:41 ID:MTj3DD44
「うん?」
「あぁ……ちょっと昨日できなかったご相談いいかな」

ハルキは一呼吸して、入ってよい旨を伝える。
しずしずと扉が開き、アキトが入ってベッドサイドにちょこんと座る。

「……夜中に悪いな」
「別に構わんよ。それでどうした」
「あぁ……うん。その、なんだ」

アキトはもじもじして、歯切れの悪い言葉を漏らすだけだった。
じれったい気分になるが、カウンセラーの本を読んだところによると、
相談の心得としてこういう時は急かしてはいけないとあった。
そして受けるときは冷静になること。

「まあ落ち着け。コーヒーでも持ってきてやろうか」
「いや。別にいらない」
「なんだ、自白剤でも混ぜてやろうかと思ったのに」
「ひでー」
「ははは」

ひとしきり笑った後、アキトも気分がほぐれたようだった。

「んん……と……。今度の金曜日なんだけど、また先生宿直当番なんだってさ。
それで、そろそろテストも近いしさ、勉強見てあげようかってお誘いがあったんだ」
「ふ、ふーん」

ハルキの内心は非常に複雑だった。
例えて言うなら、手塩にかけて育てた一人娘にものすごく悪い虫がついたあげく、すでに傷ものにされ、
でも娘は盲目的に愛を信じているが、こちらから見れば二人は幸せになれないのではないかと、
そんな気分だ。
だが結衣は、一応は、それなりに、かろうじて、なんとか、信頼できる。
世間一般の倫理観や道徳的な意味合いとは違った、
彼女なりの正義はそれを貫くだけの強さがあり、その内には清々しささえ伴っていた。

だから公園での結衣との会話の後、気持ちを整理するには時が足りなかったが、
そんな中でも結衣が言ったとおり、もう放っておけばいいのではないか、といった結論には達していた。
最終的にはアキトにとって、きっとほろ苦い経験になるだろうが、それもまた良いのだろう。
フォローするには、全てが終わった後でも遅くないはずだ。
だが感情が納得しない。
納得するには何かが足りないが、それが何かわからなかった。

そんな兄の気持ちなど、お構いなしに弟は話を続ける。

「だけどさ、ちょっと怖くてハルキも来て欲しいんだ」
「……は?」

保護者同伴ですか?
さすがにお前、その男らしさゼロはまずいと思うぞ。

t02-211 名前:火曜日 :08/06/14 09:39:02 ID:MTj3DD44
「それはダメダメだろう」
「あぁ、胸を張って言うことじゃないが、俺もそう思う!」
「……それもダメダメだろう」
「ああ! 胸を張って! 言うことじゃないが!!」
「わかった! 繰り返さんでいい」
「最初に繰り返したのはハルキだろ」
「俺は、それも、に変えたはずだが」
「細かいこと気にするなよ! 兄キ」

こいつなんかさっさと結衣に犯され、なぶりものにされればいいや。
一割程度本気でそう思ったハルキだった。

「でも、さすがに行く気は起こらんな」
「……ああ~、本当はこんなこと言いたくなかったんだけど」

アキトは頭をかきむしり、苛立ち、というより羞恥を見せ始める。

「俺さ、実はまだハルキが先生のこと、好きだって疑ってるんだ。
それで、密かにそれを確かめるために、一緒に来て欲しいって思ったんだ」
「お前ぶっちゃけすぎ……」

今のアキトは躁状態としか思えない明るい口調でぺらぺら話す。

「とにかく俺は俺の勘を信じる。
と言うか、結衣先生を見て好感を持たないはずがない!
たとえハルキといえど、例外はない!!」

こいつの頭は少しヤバイことになってる。
もしかして放課後にでも結衣先生とヤリ過ぎて変になったか。
二割程度本気でそう思ったハルキだった。

気を取り直して真面目に考える。
さすがにそこまで行かなくとも、何らかのブレーキのために付いて来て欲しいのかもしれない。
これから人生とって重要な時期でもあるのだし、
あんまり現を抜かして取り返しのつかないことになっても困るというもの。
アキト当人だってそこら辺はわかっているはずだ。
まあ結衣先生にいたっては、勉強に関しては妥協という言葉をまったく知らないから、
それほど心配はいらないと思うのだが。

ここまででお目付け役程度として、アキトの付き添いに行こうかと思い始めたハルキだった。

「わかったわかった。お前の戯言は置いておくとしてな。
まあ一応に考えておくよ」
「おぉ、ありがとう。前向きに考えてくれ」

ハルキはここで礼を言うのも変なものだと感じた。
おそらくは、本当の理由は己の推察と最初の言葉にあるのだろう、
微笑ましさに、にやつく表情を抑えられなかった。

********************

t02-212 名前:金曜日 :08/06/14 09:41:55 ID:MTj3DD44
********************

時は過ぎて金曜日の夜、結局ハルキはアキトと一緒に宿直室へ来るはめになった。
しかも半強制的にだ。
そもそも何でこんなことになったかと言えば――

********************

――木曜日・授業中

「はーい、今日は試験も近いですし、小テストを行います」

結衣の授業において、ブーイングなど出ない。
比較的真面目な校風とはいえ、新任にしてこの事実は明らかに脅威の表れだった。
プリントを列ごとに配る中、生徒は皆一様に緊張の面持ちであった。
ハルキはさっそく問題に取り掛かるが、一目見て思わず唸る。

(……? 難しいぞ)

とにかくやたらと難解である。
数式や方程式を知っていれば解けるレベルではないのは当然としても、
応用の連続と範囲の広さに、そもそもの問題の意味がわかるまで時間がかかる。
記憶が曖昧なものもあり、形のいびつなパズルのピースを無理矢理はめていく気分だった。
結局半分もできないうちに時間切れとなった。
プリントが後ろから回収されると、他人の回答を見て愕然とする。
正解かどうかは判別できないが、全部書き込まれている。

(俺はここまで……頭が悪かったか?)

最前列のハルキは教卓までプリントを持っていく。
なぜか結衣ににっこり微笑まれ、悪寒がざわめいた。
案の定予感は的中し、放課後結衣に呼び出された。

「ハルキ君、とってもと~ても言いにくいんだけど」

結衣の喜色満面の表情に、まるで説得力がわいてこない。

「今日の小テスト全然ダメ。
試験近いから、アキト君に言われてる秘密特訓に必ず出ること。いい?」
「……はい。……でもアキトと俺だけなんですか?」

ハルキは小声で他の人に聞こえないように質問する。

「そうよ」
「それってまずくないですか」
「それは?」
「とても私情が入ってると言うか、平等性に欠けてると言うか」
「そんなの当たり前。私が贔屓してる生徒だから」
「言い切りましたね……」

こうして金曜夜の特別補習に絶対参加することになった。

後でわかったことだが、わざわざハルキだけ問題用紙を難しいものに変えたそうだった。

t02-213 名前:金曜日 :08/06/14 09:47:29 ID:MTj3DD44
********************

そうした事情があってか、ハルキは先回より明らかに熱意があった。
結衣も普通に教師としての腕を振るってるため、教わるほうも真面目に取り組む。
生業だからと言ってしまえばそれまでだが、教える者として充分な才能を持ち合わせている。

「……でね、ここは……」
「ああそっか。なるほど。それならこっちも解ける」
「意外に、と言うよりもやっぱりと言った方が良いかしら、ハルキ君は物覚えがいいわね」
「いやはははは、それほどでもあるっす」
「謙遜しろよ……」

アキトが呆れ気味に呟くと、耳ざといハルキはにやにやと笑う。
いわゆる、からかうぞモードに入った顔だった。

「ほらほら結衣先生、アキトが褒めて欲しいってさ」
「な、なに言ってるんだよ」
「いや~、あんまり羨ましそうだったからな」
「ふふ、アキト君は~、いつも頑張ってるよね。
後でご褒美してあげるよ……また、ね」

結衣がアキトの頬を人差し指でつつくと赤面しながらうつむいてしまった。
ここにきて、素直に羨ましいと思ってしまったのはハルキの方だった。


「ねえ、そろそろ休憩する?」
「そうしましょう。さすがに疲れました」
「はい、おやつに甘いものあるわ」

ハルキは存外早いとは思いつつも、密度の濃い内容に疲れているのは同意せざるをえなかった。
結衣が台所に向かい冷蔵庫から、包みを取り出し切り分ける。
暫くして持ってきたのはカステラだった。

「はい、紅茶もね」
「わお、ありがとうございます」
「いただきま……す」

カステラを一切れ手に取り、硬直する。
なかなかに強いお酒の香りがした。
いわゆるブランデーケーキだろう。
ハルキは思案する。これは罠か?

t02-214 名前:金曜日 :08/06/14 09:50:40 ID:MTj3DD44
第一にアルコールを摂取すると、全部がそうと決まってるわけではないが、基本的に眠くなる。
つまり、ハルキを眠らせて結衣はアキトとイイコトをする。
規格外淫行教師結衣が考えることだ、あえて自分が眠るとなりで事をいたすのが楽しいのかもしれない。
だがアキトですら、ハルキの酒精に対する体質を知っているか微妙なところだ。
ならアキトをほろ酔いさせて、お持ち帰りしようとする魂胆だろうか。
こちらの方がわかりやすいし、エッセンス程度の小道具なんだろう。

そう結論付けたハルキは、躊躇することなくカステラを口に入れる。
少しでもアキトの食べる分を減らそうと思い、一人で半分超をたいらげた。
当然ハルキは酩酊する。

「んく、結構高い酒つかってませんか。美味しい……ですよ」

なぜか不可思議なことに、ハルキは二人の行く末を邪魔しようとすることばかり考えていた。
けれど、もし何も知らない人間が見れば、少しも不可思議ではない。
ごく単純でありふれた感情の産物だからだ。

「はいはい、お腹いっぱいなところで勉強するのも効率悪いから、ちょっとしたゲームをしましょうか」

結衣はトランプを取り出し、シャッフルを始める。

「さすがに将棋だと気軽に、っていかないしハルキ君はわからないだろうしね」
「何をするんですか?」
「そうね。お手軽で運と実力が適度なツーテンジャックにしましょう。
おまけとして張り合いがでるように、一位は賞品としてビリに質問する権利ね。
もちろんされた方は拒否権なし、誠意を持って答えてね」

いわゆる告白ゲームにハルキはげんなりした。
これは、いかにも結衣が好きそうな特典だ。
俄然負けるわけにはいかず、やる気を出さざるを得ないが、
如何せん手持ちのカードを覚える瞬発的な記憶力、駆け引きと読みは、
この面子の中では自信を持てと言う方が無理な話だった。
残るは運否天賦と、己の善行をかたに神頼みであった。
だが仮に自分が神様だったら結衣に肩入れするだろう。
言葉で表現しにくいが、結衣はそういう目に見えない寵愛を受けるタイプだった。

カードは配られゲームが始まる。
ここからが真の勉強の幕開けだった。

t02-215 名前:金曜日 :08/06/14 09:52:33 ID:MTj3DD44
最初はアキトが順調にトリックを獲得していく。
序盤も過ぎれば場と相手のカードを覚える技術、
カウンティングが出来るほうが有利になるが、三者ともほぼ完璧にこなしていた。
アルコールの影響が避けられないハルキだが、
場を支配する軽い緊張感のせいか気分が高揚する程度に抑えられていた。
終盤に差し掛かり、アキトのワントップだったが、
獲得してもマイナスになるカードにもかかわらず、
結衣が強引にトリックを決めると流れが傾いていった。
(やばい。これだと俺が最下位か)
とハルキが対策を練る暇もなくゲームは終了してしまった。

「はい、僅差で一位は私、それじゃあハルキ君に質問ね」
「うへぇ~……わかりました。お手柔らかに」

嫌な予感がするが、勝負に負けたい以上覚悟を決める。

「アキト君からお料理がとっても上手って聞いたけど本当なの?」
「えっ……。あぁはい、まあ得意ですね」

意外に普通な質問で驚く。
結衣ならきっとプライバシー保護そっちのけで、突っ込んだことまで聞いてくるかと思っていた。

「たとえばどんな物?」
「そりゃ色々で一概に言えないですけど、まあ和洋中一通り。
個人的に作ってて好きなのは中華ですね。何と言うか、一番料理してるって感があるから」
「ふーん、機会があったら食べてみたいな。ハルキ君の手料理」
「お安い御用ですね」
「はい、それじゃ次いくわよ」

結衣がカードをシャッフルして配る。
ゲームの流れは主に結衣が握る場面が多かった。
そして負けるのはハルキが多かった。
とはいえ、質問の内容は、
「最近読んだ本は? 好きな作家もいれば」
「スポーツは何かしてるの? 応援してるチームとかある?」
「そういえば聞いていなかったわ、普通に趣味とか何かな?」
「自分を動物にたとえると?」
「好きな芸能人は? ――ぷっ、それって単純に好みってこと?」
といったもので、ほろ酔い加減のハルキは揚々と答えていく。
普段はこういった自分のことをべらべら喋るのはあまり好きではなく控えるが、
ゲームということもあってか、それほど抵抗はなかった。
おそらく生を受けてからずっと一緒である、アキトすら知らないことも話したと思われる。
酒の影響もあったのかもしれない、
だが自己のことを嘘偽りなく、自分なりのこだわりや考えを加えて伝えるのはとても楽しく心地よかった。
次第に深く、静かに陶酔していく。

きっと相手が良いのだろう、
むしろ言いたい、伝えたい、知ってもらいたい。
器に入った意識の蓋が外れて流れ出していく。
自我が境目なく混じり溶け合う、無限に広がっていく感覚は本当にとても心地よかった。

t02-216 名前:金曜日 :08/06/14 09:54:07 ID:MTj3DD44
それぞれの思惑はよそにゲームは続く。

「それは、これで勝てる」
「……む? 俺が最下位か」

ハルキがトリックをお獲得して、これでゲームは終了になる。
一位が結衣で、最下位がアキトになった。
アキトは二位を軸に、たまにトップをとるスタイルで、
大きく崩れることはあまりなかった。

「アキト君に質問か。結構知ること知ってるからね。
そうね……アキト君から見たお兄さんの性格は?」
「うぇ~、間接的に俺が負けたのと同じ気分になる質問だな」

ハルキが小言を言うが、内心は口調とは裏腹に穏やかではなかった。
聞きたいような聞きたくないような。

「兄……ハルはねぇ……」

突然出た昔の愛称に、ハルキはどきりとする。

「名前とは違って秋、それも落ち葉舞い散る晩秋って感じかな。
明るくさばさばしてるけど、どこか寂しさをにおわせる」
「なんだよそりゃ」

いくらか自覚がある分、始末におえない。

「うん、男の子にとてもモテそうないい性格だよ。
料理は最高、世話焼きで甲斐甲斐しいしね。くっ……ははは~」
「うわぁ、お前覚えてろよ」
「いや、はは、俺はハルキにメロメロだよ」
「ば、馬鹿ヤロウゥ、死ね」

己の半身とも呼べる存在に真顔で言われて、ハルキは照れ隠しに悪態をつくのが精一杯だった。
普段ならいじられ役のアキトだが、ここぞとばかりの攻めに立場が逆転していた。

次のゲームも結衣が一位、最下位はハルキだった。

「そうね、今ハルキ君って誰かとお付き合いしてる?」

ハルキは前までとは違う質問内容に驚いたが、来るべくして来た感じもあった。
酩酊のまま、心は冷静に語り始める。
今なら言える、むしろ知って欲しかった。

「今は……誰とも付き合ってないよ」
「前は誰と、と聞くのはさすがに失礼ね」
「いえ、別に。けど名前は言うのはちょっと……」
「ふふん、ハルキは結構色んな女子と付き合ってるんだろ」

ここでアキトが口を挟んだ。

「……まあね」
「名前は言わなくていいけど何人?」
「質問するのはお前じゃないだろ」

アキトはぺろりと舌を出す。

「次のゲームは俺が勝つって」

t02-217 名前:金曜日 :08/06/14 09:55:53 ID:MTj3DD44
宣言したとおり、アキトが一位、最下位はまたしてもハルキだった。

「さっ、素直にゲロしてもらおうか」
「はいはい、お前の執着心にお兄さんは脱帽です。……四人ほどだよ」

アキトは驚きつつ呆ける。

「全然……気がつかなかった。始めはいつ頃?」
「うっ、……今の学校に進学してからだよ」
「てことは、約一年と半年で……四人かぁ……。ちょっと節操がなさ過ぎないか」
「悪いが説教なら間に合ってるぞ」
「いやいや、別にいいよ。それもまた人生だ。
ハルキは変なところで優しいから、断れなかったんだろ。ま、次いこう」

ハルキは安堵の心地と嬉しさに包まれる。
潔癖の気があるアキトには少なからず軽蔑されると思っていただけに、
理解を示す優しい態度が暖かかった。
罪は許され背負う物が減る、それは計り知れないほど大きな解放感があった。

結衣はハルキの表情が緩むのとは逆に、
これがゲームと称して聞きだせるぎりぎりの範囲に感じられた。
それでも予想したとおり、おぼろ気ながら見えるものの肝心の部分がわからない。
多数の女子との付き合いがアキトに対する負い目としても、
最初に行った結衣に対する仕返しが繋がらない。
兄弟愛をいささか超えるほど、アキトの幸福を願う理由としても足りない。

そう思いつつも、無理に問いただしハルキの反発や反感を買うのは論外であった。
少しずつ心を解きほぐし、ガードを緩めたところで仮面を一枚一枚取り払う。
微量なりに酒の力を借りたのも良かった。だがいつかは覚めるもの
今が一番無防備な時、詰めるなら今しかないだろう。
種や仕掛けがあっても、本人自らが告白で以て話すことに意義があるのだ。

結衣はアキトにさり気なく合図をした。
こんな時でも、こんな時だからこそ楽しかった。

カードは配られる。
三人の内、二人が結託して一人を勝たせないようにするのは難しくない。
そして結託した二人の内、一方を最下位にするのはもっと簡単だった。

t02-218 名前:金曜日 :08/06/14 09:57:26 ID:MTj3DD44
「トリック獲得!」
「あれれ、今回はカード運が悪いわ~」

アキトとハルキが競り合う形となり、結衣は最下位であった。
最後にアキトが追い抜き、一位になった。

「やった、これを楽しみにしてたんだ。俺が一位、先生がビリ」
「お手柔らかにね」

アキトは本当に嬉しかった。
これまでの計画はほとんど結衣が立てている。
そしてアキトは結衣の計画を全面的に信じている。

「先生にも聞きたかったんだ。今までどれくらいお付き合いがあったの」

この質問にハルキは苦笑する。
あまりに女心を知らない、デリカシーのない質問だった。
結衣なら笑って許してくれるだろうが、普通の女性なら嫌われること請け合いである。

「普通に交際するってことなら、一人だけよ」
「へ~、意外です」

アキトの反応とは逆に、ハルキにとっては意外でもなんでもなかった。
結衣は高嶺の花すぎるのだ。手を出すほうが難しい、手を出す前にあきらめる。

「でも、その、関係のあった人は、他にもいるんですよね」

一瞬アキトの口を塞ぎたい衝動にかられる。
無神経にもほどがある質問だった。

「ふふ、そうね……。知りたい?」
「勿論です」
「うんとね……四人」

意外に少ないように思えた。
あの激しさから思うに、もっと多いのかと。
それともアキトに対して配慮をした数字なのだろうか。

「一番最近だと……この学校の人」
「えっ」
「え~、誰ですか? 問題なければ教えて欲しいです」

これには俄然、ハルキも聞きたかった。
もしかしたらアキトのライバルになるのかもしれない。
今アキトの武器になるようなものは、将棋と将来性くらいなものだ。
もしもの時は、全力で対応しなければならない。

先の告白で、ハルキはアキトと結衣の邪魔しようなどとは毛ほどにも思わなくなった。
許してくれたアキトに報いるのは勿論、酔った勢いで崇拝すらしていた。

「問題ないと思うわ。……だってハルキ君だもの」
「…………えっ…………」
「へえぇぇ」

t02-219 名前:金曜日 :08/06/14 09:58:48 ID:MTj3DD44
――だってハルキ君だもの

結衣が言った言葉が頭の中に反響する。
理解を拒む頭が一瞬を永く引き伸ばす。
時間が熱せられた鉄から鋼板を作るように、巨大なローラーで押しつぶされる。

「い、いやそれは……」
「それは?」

結衣は冷静に問う。

「違う。違うんだ!」
「まあまあ、落ち着けって」

声を張り上げるハルキに対して、アキトは自然に、いつもと変わらないよう振る舞う。
あらかじめ聞かされていたことであり、何も問題はなかった。
自慢の兄が、自慢の女性と結ばれる。
嫉妬などするはずもなく、初めて知った時から喜ばしいと思っていた。

「なあハルキさあ。別に俺は怒ったりしないよ。
前から言っていただろ、ハルキの方がお似合いだって」

演技でもなく、率直な言葉だからこそハルキには響く。

「ハルキが幸せになってくれるなら、俺も嬉しいってことさ」
「俺は、俺こそアキトには……幸せにって……」
「勿論羨ましいけどさ、素直に祝福するよ」

それはハルキが言うべき台詞だった。

「それは……それは違う」

意識も遠く、うわ言のように呟いた。
アキトはそんな兄の様子を見ながら口を開く。今、本当に言いたい全てを。

「俺が再三言ってたけど、本当はハルキだって結衣先生のこと好きなんだろ?
こういうのは結構わかるって。血は争えないって言うし。
俺に気を遣って色々手を回してくれたんだろうけどさ、
どうも最近変なのは、自分押し殺して結局無理してたんじゃないのか。
そんなことされても嬉しくないだろ、ハルキだってさ。
昔から色々そういうことしてたの、何となくわかってるんだぜ。
正直言うと、ハルキの料理好きだって怪しいもんだと思ってる。
親が離婚してから、俺に美味いもの食べさせようと無理矢理上達した感じがあるし。
でもあえて今言うけど、感謝してるよ。飯は美味いし、それ以外も色々さ。
少ない家族の中、そこに居るってだけでも充分救われてるぜ。
もう一度言うけど、俺はハルキに感謝してるし、祝福するって。なっ、素直になって言いなよ」

t02-220 名前:金曜日 :08/06/14 10:00:15 ID:MTj3DD44
懸命な問い掛けにもハルキは応じることができない。
もともと行為に及んだ理由は、好意とは程遠い感情だった。

「違う。俺は……先生のことが好ましいと思うが、愛情めいたものはない。
だから、アキトに黙っていたことは謝るよ。ただ興味があったから……」

今になって気付く。
アキトが冗談のように言った、好きかどうか確かめたいとは本当のことだったのかと。

「ハルキは……いくらなんでも興味本位だけで、レイプまがいのことをする奴じゃないだろ……」
「っ!」

その一言だけでも、包み隠さず結衣から話が伝わっているのがわかった。
無性に涙が溢れそうになるも必死でこらえる。
アキトに嫌われるのはまだしも、軽蔑されるのは耐えられない。

だが耐えるしかないのだ、もうここまで来てしらを切るのは返ってまずい。
ターニングポイントは当に通過している。
ならば、せめてアキトには気持ちよく軽蔑してもらったほうが良い。
兄はろくでもない奴だと正義感を持ってもらえれば、
これから先の二人の手向けにもなるはずだから。

「それは……買いかぶりすぎだ。俺だって男だぜ。
本人を目の前に言うのもなんだけど、先生みたいな……」

結衣を責めるつもりはなく、逆に感謝して良いくらいだった。
お互い過剰に依存しあっていたのかもしれない。
ここまでされれば、お互いきっぱりと道を分かつことができるのだ。
薄々考えていたことだが、己が耐えられるか怖くて実行できないことだった。

「……すごい魅力的な身体を見てなにも思わないわけないだろ。
へへ、実際すごく良かったし、アキトだって……知ってるんだろ」

t02-221 名前:金曜日 :08/06/14 10:01:10 ID:MTj3DD44
この後ハルキは、どれだけ素晴らしかったか詳細に述べた。

大人とどこかあどけなさが共存する美貌、
さらさらの髪、ぱっちりとした目元に長いまつ毛。
背は高くモデル体系のくせに出るところはしっかり出てる、
ほど良く肉付きがあって、引き締まってるけどやせ過ぎてない。
胸の大きさは文句なしだ、それ以上に形が綺麗だから揉んだり吸い付きたくなる。

そして実際行為に及んだことまで話し出す。

とても魅力的だった胸に挟んでしごいてもらったこと。
あんまり気持ちよくて顔に射精したこと、
整った容貌を汚す背徳感が堪らなく淫猥だった。
白く濁った精液がべっとりと付いて垂れる姿にまた勃起したこと。
その後の性交についても包み隠さず、時に手振りも加えて話した。

ハルキは初めて酒に弱い体質に感謝する。
とてもじゃないが、酔っていなければ言えないことばかりだった。
自傷による自虐のための告白だったが、もっときついのはアキトだろうと同情する。
せめて結衣に対して、まったく気にしなくてよいのが不幸中の幸いだ。
ふとその結衣を見ると、笑顔のままこちらを見ていた。
自分の進む方向が間違っていないと、不思議に勇気付けられる笑みだった。

「今までのセックスがおままごとに思えるほど素晴らしかったんだ。
俺が求めて止まなかったのが、こんなところにあったんだって思ってしまったよ」

求めていた熱さ、灼熱に満たされたひとときだった。
いままで付き合ってきた女子たちともセックスしてきたけど、
比べ物にならないくらい結衣とのセックスは素晴らしかった、気持ちよかった。

ひとしきり喋った後、沈黙が降りる――

t02-222 名前:金曜日 :08/06/14 10:03:26 ID:MTj3DD44
――かと思ったが違った。

「な~んだ、俺の言ったとおりだったじゃん」
「……はぁ?」
「それって結局先生が好きだってことだろ」
「……え? ど、どこをどう聞いたらそうなるんだ。
お前は俺に幻滅して、軽蔑していいんだぞ」
「えっと、最初に怒らないし、祝福するって言ってなかったか?」

ハルキは頭を抱える。
今の話を聞いて、どうしてこうなるか理解できなかった。
将棋と勉強ばかりしすぎて、情操面でおかしくなったかと三割程度本気で思う。

「だ、だけど! 百歩譲ったとしても、レイプしたらいかんだろ!
好きとか興味があるとか、そんなので犯罪を犯してよい理由にならんだろ!」
「そうね、理由にならないわね」

意外な方向から救いの手が来た。
結衣からこの手のまともな反応が返ってくるとは思わなかった。
ハルキ君がするなら相手も嬉しいから良い、とか言いそうな人である。

「ほらそうだろ」
「だから、ハルキ君は、好きとか興味ということで、レイプしてよい理由にならない。
そういうことよね」
「……? は、はい。当然ですよ」

異様なプレッシャーに気おされながら答える。

「それなら、ハルキ君はどんな理由で、私と無理矢理しようとしたのかしら?
実際問題実行したのだし、ハルキ君がする理由、もっと言うと、して良い理由って何?」

ここにきて、ハルキは完全に絡め手で捕らえられたのを感じた。
ここから先は誰にも伝えず、墓に下まで持っていく領域だった。
もっとも墓穴を掘ったのは当人自身だったが、この歳で入るわけにはいかない。

「くっ……」
「答えたくないかしら。……アキト君を汚されたのが気に食わなかったのよね」
「そんな汚されただなんて……」

アキトが不満気に言葉を漏らす。

「ごめんねアキト君、私も清廉潔白とは言いがたい人間だしね。
一晩で関係を持ったように思われれば、ハルキ君がそう考えるのも無理もない話。
だけどそれが意趣返しまで思いつめるのは、どう考えても不自然だわ。
これがアキト君は女性、私が男性ならすごくわかりやすいけど、現実は逆。
逆鱗なんて人それぞれだけど……確認しておくけど、アキト君から見ても変よね」

アキトは肯定の意をとった。
真実ならば、そこまで兄から想われていたとは考えもしなかった。
なるほど、深い恩か負い目があると言うのも頷ける気がする。

「これをハルキ君がアキト君の母親代わりってことで見ると……」
「どうして皆……。俺をあんな奴と一緒にしないで……くれ」

突然涙声を上げたハルキにアキトは驚いた。
どこからどうやっても暖簾に体当たりするような、
言いたい奴に言わせておけを地で行く飄々とした性格であり、涙を見るなど初めてだろう。
兄は喜怒哀楽の内、怒と哀の感情が極端に欠けてる人間とすら思っていたくらいだった。

t02-223 名前:金曜日 :08/06/14 10:05:25 ID:MTj3DD44
「ごめんね。アキト君との話で、君には傷つく一言だって予想してたけど……。
そう見ると、それほど不自然じゃなくなるの」
「ハルキは……母が嫌いだったのか」

ハルキは涙を拭いて静かに頷いた。
今までアキトのために行ってきたことが、
よりにもよって母親と同一視されるのが悲しかった。
そして父が言ったとおり、確かに母と性格が似通っていたのも嫌だった。

「別に嫌うほど悪い人でもないだろ」

アキトが思うに、離婚したとはいえ憎まれる理由はないはずである。
そもそも兄が人を憎むなどと、負の面で執着的なこと自体違和感がある。

触発され思い出したが、離婚した折どちらに付いて行くか、
強硬に『二人とも』父に付くと主張したのはハルキだった気がする。

「俺には俺で、どうしても許せないことがあったんだ」

もう黙っていられなかった。
心の内に秘めるどろどろのマグマが沸き立ち、出口を求めてさまよう。
ハルキは深く溜め息を吐いた後、幼少の頃の盗み聞きした両親の会話の内容を話す。
あの後、子供ながらにアキトを守ると誓ったことも含めて。
生命と経済を秤にかけた重い内容に加え、
普段表に出ない両親の事情に今度こそ沈黙が落ちる。

「俺はまだいいさ……長男だから。けどあんなこと言われてアキトはどうなんだよって思ったんだ。
たかが数分数秒早く生まれただけでこんな差別、存在意義まで問われるなんて許せねえよ!」

アキトはここまで感情の起伏が激しいハルキを見るのがつらかった。
普段の素振りと乖離しすぎて、自分を見失ってるのがうかがい知れる。
何か言いたくもあったが、かける言葉が見つからない。
なぜならハルキがここまでひた隠しにしてきた事実、
それを知らされたショックなど、アキトにとってはハルキが思い悩むほどではなかった。
自分が生きて今ここにいることは、自分自身が一番よくわかっている。
今ここに自分がいると、声高らかに言えるのは兄のおかげもあるだろうが、
感謝するとでも言うのは明らかに違う気がする。
過去を振り返って心にも無い謝辞を述べるくらいなら、
先を見据えて――

「なんだ、ストレス知らない人間だと思ってたけど、違ったんだな」
「茶化すなよ」

アキトはハルキの手を取って語り始めた。
ちょっと変わった面白い光明があるのだから、過去に囚われずこの先の未来を見据えて欲しい。

t02-224 名前:金曜日 :08/06/14 10:07:00 ID:MTj3DD44
「まさか。真剣に憂うくらい、いつも明るくて適当で羨ましかったくらいだぜ。
だからさ、そんな昔のことでくよくよ悩んでないで、適当にうっちゃっておけばいいんだよ。
どうせ解決できるような事象でもなけりゃあ、過去に戻るわけにもいかない。
それなら忘れるか洗い流すのが一番だろ。
中国だと解決できない問題も無問題って言うって話しだし、それくらいのパワーを見習えよ」
「……いや、それは違うと思うぞ」
「うむ、俺もちょっと違うと思う。
だいたい草津の湯で直すタイプの病なんだから、そんなもんで良いってことを言いたかったんだ」
「……意味がわからん」
「そうか? 俺はいつもの兄キに習ってるつもりだから、すごくわかりやすいと思うぞ。
まあ俺は医者でもないけど、俺の手のぬくもりが温泉よりは良い薬なはず。
だから気色悪いのも我慢して、こうやって手を取り合ってるんだぜ。
ほらほら、俺はここにいるだろ。それ以上でもそれ以下でもないんだよ」

取った手をぶんぶん振ってアピールすると、ハルキは照れくさそうにそっと手を抜く。
あまりにも脳天気な気の遣いように馬鹿らしくなってしまった。
抜いた手が冷えると同時に、心も落ち着くのを感じた。

「わかってるよ……。
ただ、一方的に許されて安穏とする自分の立場が……アキトに対する負い目が強かったんだ。
ふう……。まっ、エサやったり世話してるうちに、色々積み重なったのもあるんだろうな」

ハルキは肩の力を抜いて、冗談を言いながら無理矢理気味にへらへらと笑う。
本当なら今こそ涙を流すべきなのだろうが、生憎それは両者とも望んでいなかった。

「うんうん、私感動してちょっと涙が出たよ」
「なんにせよ、色々と黙っていて……悪かったと今なら思う。
後は先生と上手くやって幸せにでも何でもなってくれ」

結衣とアキトは顔を見つめあう。
二人とも妙に照れくさそうに微笑む良い雰囲気だ。

「それはちょっと無理かな?」

出てきた結衣の台詞は、雰囲気からは正反対のものだった。
ハルキのこめかみの部分がぴくぴくと動く。

「……ここまで言わせておいて……大人なら責任の取り方って物がありますよねぇ」
「あらら~。私が本当に大人なら、きっぱり諦めなさいって言うわよ。
先生と生徒の立場、性格の違い、エッチだって……
いつか私はアキト君を、アキト君は私を遠ざけてしまうかも」
「……自重……できませんか?」

にっこり笑っているが、ハルキからは威圧感がひしひしと感じる。
あなたにとって一番重要なのは最後の理由だけで、
他のはハードルでも何でもないくせに、と声無き会話であった。
結衣は臆することなく、実に爽やかに目元を拭う。

「それにハルキ君を放っておけないわよ。アキト君抜きで君は君の幸せを見つけられるの?」
「そうそう、ハルキは俺と、俺たちと一緒にいるのが一番自然だって」
「おいおい……」

ハルキは先ほどまでの問答はなんだったんだろうかと考える。
真実を知ること、道を分かつことが目的でなかったのだろうか。
嬉しくもあるが、こうも引き止められるのは未練が尾を引きよろしくない。

t02-225 名前:金曜日 :08/06/14 10:10:37 ID:MTj3DD44
こんな時でもハルキは自分がアキトより大人だと思っているため、
心配を掛けられている立場だと気付かなかった。
こうまでしてハルキが隠しているものを白日の下に晒したのは、そもそもハルキ自身のためであり、
アキトも、結衣も、ハルキを救済することが真の目的なのだ。
結衣は救済とは別の目的も大いに含んでいるが、これはこの際どうでもよい。
この場合三方とも一両損をさせるどころか、得をするが結衣の目的だからだ。

「そんなに面倒見切れないぞ」

結衣はとても可笑しかった。いや、微笑ましかった。
ハルキの今の言葉はまさに願望なのが明らかにわかる。

「大丈夫よ。見れるわ」

あなたは迷える子羊、私は狼で牧師さんだから。

彼は幼少の頃から滅私奉弟が身に染み付いており、
もはや自分の幸福の追求を忘れていると言っても過言ではなかった。
そして彼が善人であればあるほど、それはとても悲しい事だった。
結衣の思想信条から見れば、言語道断の仕儀に当たる。

「だって私と、アキト君と、3Pすれば全てが丸く収まるから」
「……………え?」

明らかに場に似つかわしくない台詞が飛び出して、
ハルキは思考回路が瞬間的に凍結した。

「こんなところでかまととぶっても意味ないぜ」
「ふふ、ハルキ君。まさかアキト君を裏切ったりしないわよね」

ハルキは肩に手を置かれたかと思ったら、背中に二つの膨らみが押し付けられる。
暖かく柔らかいが、はっきりとした自己主張を持っていた。

「えっ、えぇ?!!」

t02-226 名前:金曜日 :08/06/14 10:11:35 ID:MTj3DD44
解凍した後沸騰する。
前門にアキト、後門には結衣。
アキトは傍観してるだけだが、背後から羽交い絞めにされて身動きは取れなかった。

「せ、せんせ! あっ……ああ、そんなところダメ……」
「可愛い声、女の子みたい」

ハルキは後ろから抱きつかれたまま、細く長い指で下唇をなぞられる。
もっとまずいのは、もう一方の手は股間をさわさわとまさぐられていることだった。
すでに硬く屹立したものが、ズボンの中で悶えていた。

「ダメだよ……俺はセンセイのことが……」
「もう、私の身体が欲しいくせに。この口がいけないのね。ん……ちゅ」

結衣は強引にハルキの顔を抑え、後ろに向けさせて接吻をする。
すぐさま唇に舌を割り入れ、顔を傾け横咥えに口腔全てを味わう。
無駄な抵抗を止めた歯が開いたら、踊る舌を絡めて唾液の交換と一緒に溜まったものを飲み下す。
貪るような激しい接吻だった。

「ん、ちゅ、んん……じゅるる……あっん、ちゅ、はあはあ」
「んん……ふふ、いい顔。ねっ、安心してハルキ君、私が惚れさせてあげるから。
そのかわり全部、あなたの全てをもらうわ、アキト君も一緒に。
だから二人で私の全てを受けとめてね」
「今ここで?」
「そっ、鉄は熱いうちにね」

唾液の橋が架かる中、ハルキは夢うつつのままもう一度唇を重ねる。
例えるならそれは、氷河が真夏の太陽によって溶け出す感じ。
内にわだかまる業も流れ、憑き物が落ちていくようだった。。

今更好きですだなんて、恥ずかしくてとても言えない。

t02-227 名前:金曜日 :08/06/14 10:13:21 ID:MTj3DD44
********************

ご丁寧にアキトは布団を敷いて、その上に結衣は押し倒された。
ハルキはブラウスの上、アクセントに結ばれてるリボンを解き、
ボタンとブラを外し、飛び出すように弾ける乳房を口いっぱいに含む。
口の中で硬くなる乳首に重点的に吸い付き、もう一方を円を描くように愛撫する。
アキトはアキトで、先ほどのキスに触発されて唇を重ねる。

「んん、ぷはぁ……先生……本当は、またこうしてできるとは思わなかったんだ」
「ん、アキト君たら」

アキトは大胆に手をタイトスカートの中に入れて、下着の上から割れ目のあたりを撫でた。
荒くなる結衣の呼吸に合わせて、湿り気も帯びていく。
胸の巧みな愛撫に加えて、稚拙ながら感じる下半身からの刺激に結衣は震える。

「はあはあ……。二人からなんて、初めて」
「もっともっと……んちゅ」
「スカート、外すよ」

結衣はこくりと首を縦に振る。
もどかしくベルトと留め金を外して、結衣が腰を浮かすのに合わせて下ろす。
うっすらと滲む純白の下着に目もくらむようだった。
白磁のような尻の丸みを撫で、さりげなく秘裂にそって擦る。

「はあ、はあ、もう濡れてる」
「ああぁ……もう脱がして。直にして欲しいの」

最後の砦に恐る恐る手をかける。
腰に当たる布を掴み、ゆっくりと引き下ろす。
薄い茂みの下はすでに濡れて光っていた。
アキトは堪らず秘所に直接口付けして、ヴァギナへと舌を挿入する。

「んん……そこ」
「アキト、もう少し上の部分も」

アキトはハルキに言われるまま、膣口の上も舐める。
ぷっくりと膨らんだ部分を見て、これがクリトリスかと気付いた。
そっと舌で突くと、反応があってか吐息と共に身体が震える。

「あぁ……ん、いいよ」
「ここ、感じるんだ。嬉しい」
「そ、敏感な部分だから優しくな」

ハルキはしつこいほど乳房を愛撫しながらも、徐々に全身へ舌を這わしていく。
脂ののった女体からかもし出される、魅惑のフェロモンに酔いしれる気分。
結衣はゆっくりと嬲られながら、溶けそうな情念に焙られる。
四本の手と二枚の舌だけでもこれほどなら、
更に身体を重ねたらと思うと押さえが利かなくなりそうだった。

「はあっ、ああぁ……もう……来て、ひと思いに」

散々に陰核と膣をほぐしていたアキトはハルキに目配せする。

「えっ、俺?」
「そっ、誰がどう見たってハルキ」
「い、いや……」

ここまでやっておきながら、ハルキは恥ずかしくて顔から火が出そうだった。
もどかしげに身体を揺らす結衣はハルキに抱きつく。

t02-228 名前:金曜日 :08/06/14 10:15:29 ID:MTj3DD44
「ふふ、どっちだっていいけど、確かに今日はハルキ君だよねぇ。
アキト君、ほら協力して」
「アイアイサー」
「ええぇぇ……ちょっ、おま……んん」

逆にハルキを組み敷いて、手際よく服を脱がしていく。
アキトまで率先して協力されては、大人しくするしかなかった。

「ハルキ君はMだもんね。犯されるのが好きだから」
「やっ……あぁ。そんな……」

結衣は露わになった男根を握りながら、息を吹きかける。
びくびくと刺激に跳ねるが、竿を下から亀頭先まで舐めると一層硬く反応する。
こんな立派なモノを見せられて、もう我慢も限界だった。
自分を愛し、受け止めてくれる二人。
もうこれから先、きっと我慢する必要なんてなくなる。
そう思うと頭の中で何かが弾け飛ぶのを感じた。

「ああぁ……これよ、これが欲しかったの……」
「はあはあ、結衣……」

結衣は後ろ向きになって、天を仰ぐ怒張へ腰を落とす。
ずぶずぶと沈みこむのとは反対に、駆け上がる充足感に震える。
全部収まったら腰をひねって、その大きさを奥まで感じとっていた。
湧き上がる甘い刺激が結合部を満たす。

「ほら、ほらほら、ハルキ君のでいっぱい」
「うわぁ、エッチです」

結衣は両手をついて腰を上下させるが、
負けじとハルキも下から突き上げるため、全身が踊るように跳ねる。
力強い動きに合わせて乳房も扇情的なダンスを演出した。
ハルキは背面から上に乗る結衣の首にかぶりつき、重力と合わせて膣を貫き存分に責めたてる。

「はあはあ……んぁあ、ああぁ」
「先生、ほら上の口でさ……」
「んん、ちゅっ、ん、ん、はあぁぁ……もうすごい」

結衣は突きつけられたアキトの肉棒も手と口で愛撫した。
後ろからたっぷりとした膨らみを持ち上げられ、突起をこりこりと摘まみながら、
下半身は密着する臀部に肉棒が女性器へと擦り込まれる。
性器の内、熱く熟れる内部は愛液をしとどに絡ませながら貪る。
先端が奥まで到達するたび、性感帯が女の悦びを伝えた。

「はあぁ、ん、じゅるる、あはぁ、硬いのいっぱい奥までごりごりって来るの!」
「はあはあ、先生、ハルキのいいんだ」
「うん、いいよ、すごく。まだくるよぉ」

t02-229 名前:金曜日 :08/06/14 10:17:13 ID:MTj3DD44
ハルキは悶える結衣を激しく責める。
多少動きが制限される体位であっても遠慮なんてしない。
気を抜くとすぐにでも射精してしまいそうな快楽の中、
精を求めんと膣の蠕動に合わせるよう一心不乱に突き上げる。

「あふ、く、もう……もたないかも」
「ん、んん、来て、ハルキ君の全部もらうよ。
身体の奥が熱くて疼くの。そこに、はあはあ……そこに欲しい!」

ハルキは結衣の腰を押さえて膣奥を小刻みに前後させる。
下腹部に感じる疼きを刺激され、結衣は堪らずむせび泣く。
ひくひくと痙攣して、軽く絶頂に達してしまっていた。

「ひゃん……もうそんなにして……やぁダメだけど……いいよ。
そこっそこに……出して。中で出して、熱い精液をどっくんて浴びせて欲しいの」
「先生、もう気持ちよすぎて堪らないって表情だね」
「はあはあ、はあ、結衣が感じてくれて……俺も嬉しい。俺もそろそろ……限界」

結衣が腰を落とすと、ハルキもまた突き上げる。
怒張が何度も肉襞を摩擦し、勢いをもって貫く。
背筋を走り抜ける快楽に、女性器は悦びの涙を流して奉仕する。
生殖を催促する甘美な奉仕の連続に、ハルキは最奥まで挿入して射精した。
陰嚢から込みあがり、尿道を駆け抜ける快感に咆哮する。

「ぐっ、ああぁぁぁ! はあ、はああ」
「ああぁ、私もイク、イっちゃう! 中出しされながら……」

結衣は膣内射精を受けながら腰を打ちうけられる激しさに容易く屈する。
落ちるところを狙い済ましたように、牡の器官はこれでもかと精をはきかける。
そのまま直に白熱した体液は膣粘膜にかかり、更にその奥へ下腹部を満たす。

「やあぁ……すごくたくさん……出てる」
「俺……はあはあっ、一週間近く何もしてないからね……」

そのまま結衣は後ろに倒れ、ハルキの上に仰向けになる。
女性器との交合を堪能し、たっぷりと精を注ぎ込んだ男根は役目を終え、
体勢の変化と共にずるりと抜ける。
結衣は背後にいるハルキの肩の上に頭を乗せ、横にある顔とキスをして余韻を楽しんだ。

「すごい、先生のココからハルキの精液が溢れてる」

アキトは倒れこんだ二人を下半身側から見渡して、一点に視線を集中した。
ひくつく割れ目からは栓が抜けたように、粘液がとろとろと垂れる。
尻を伝い、シーツに染みが広がっていた。

「やぁ……見ないで」

結衣は脚を閉じようとするが、ハルキは手で抱え隠すのを許さない。

t02-230 名前:金曜日 :08/06/14 10:19:05 ID:MTj3DD44
「ダメだよ。しっかり見てもらわなきゃ。中出しされたってさ」
「見えるよ。今度は俺の番だね」
「あっ、もう、くる。さっき出されたのに、もう硬いのがくるの!」

結衣はハルキによって脚を抱きすくめられたまま、次にアキトの怒張によって犯される。
いっぱいに広がる性器からの充足感に、熱い溜め息を吐き出す。
一人をいかせたら、次にもう一人いかせる、
結衣の肉体の奥底、下腹部からくる熱い疼きは久々に満足な時を迎えられそうだった。
貫かれながら後ろからは舌と指が愛撫で応援を送る、二人の愛を感じながらそう思った。

「いいよ、アキト君のオチンチン感じる。結衣の子宮までずんずんくるぅ!」

ハルキは結衣のくびれた腰に腕をまわして押さえ、
秘所を貫く衝撃が吸収されることなく、ぬらつく器官へ伝わる。
その間も片手は美乳を弄ぶように、上向く突起を摘まんではひっぱる。
不規則に蠢く内部に、きゅうきゅうと搾るのを合わせ官能の溜め息が漏れた。

「くうぅっ、前よりキツイ気がする」
「はあはあ、さっきイったばかりだから、ああぁ!
今度はぁアキト君のチンポで犯られてる! 深いところ当たる!!」
「だけどもう中はどろどろ。ほら溢れてきた」

結合部の隙間から白くあわ立ち、膣内で留まる精液がかき出されていく。
ハルキの精を迎え入れた膣を容易く奥まで突き上げ、
次は自分の番を主張するように何度も抉りこんだ。
びくびくと蠕動し、締め付ける肉襞に抗い、さらに激しく腰を前後させる。
精を吸い上げようとする女性器の歓喜に対して、射精感が急激に増す。

「いくぅ! ああぁあ!!いってるのに、いかされてる!!
きてぇ、アキト君の精液を、結衣の中に出してぇぇ!!」
「はあはあ、一緒に」
「一緒、そう欲しいよ、ああん!
出したらぁ子宮の中で、ハルキ君のと混るの。どろどろに」

双子とはいえ、別々の個体から受ける性行為。
双方とも結衣に快楽をもたらすには充分であり、
さらにそれ以上のものへと徐々に昇華させる。

膣が生き物のように動き、苦しそうに渇望の締め付けを行使する。
義務を果たすのに対し、権利を要求する牝の嘆きだった。

「はあぁ、すごい……気持ちいい。もう……イク、このまま……」

アキトも彼女の願いを聞き入れ、存分に欲望の奔流を注ぎ込む。
鈴口から弾け、勢いよく走り抜ける快感により深い交合を目指し、
脚を大きく開かせ膣奥まで捻り込み余すところなく射精する。
結衣は意識して感覚を結合部へ向け、待ち望んだものを詳細まで感じ取っていた。

「はうぅ、アキト君が中に出してるの、感じるよ……」

膣内で大きく脈動するとともに、子宮口へとこつこつノックして先端から熱く太い一閃を浴びせる。
肉体にある真っ白なキャンパスを、新たな遺伝子が塗り込められる。

「く、うっ、まだ……出る」
「はあん! まだ硬いさきっぽから、ビュクビュクって出てるよ」
「どう、アキトのザーメンの味は」
「いいわ、すごくいいよ。アキト君も、ハルキ君も最高!
量も勢いも。愛を感じるの。きっとどろどろでとっても濃いのよ」

t02-231 名前:金曜日 :08/06/14 10:21:35 ID:MTj3DD44
胎内を満たす精液を嬉々として悦び、断続的に続くたびに白い尻を震わせた。
アキトが腰を引くとき、結衣は自ら恥丘を開いて膣内を見せる。
白濁とした液は肉棒にもまとわりつき、抜いた先にある肉壷まで糸を垂らしていた。
結衣はとろとろと股に流れる粘液をすくって口に運ぶ。
指先を舌でねぶり、吟味するように唇を閉じる。

「ん……精子もすごく元気そう。結衣を……ふふ、受精させようと頑張ってるのね」
「はあはあ、それ、すごくエロいですよ」

時を置かずして、二人の男とのセックスに中出しされる背徳感にも深い陶酔を覚える。
そして腰の辺りには、後ろで抱きかかえるハルキの硬いものを感じていた。
アキトが腰を引けば、一息つく暇もなく横倒しからうつ伏せにされる。
腰を高く抱えられ、後ろから貫かれるとわかった時に、声にならない声を上げた。
予想は現実となった今、事後承諾に変わられる。

「っ! ぁん! あぁ!!」
「今度は、どうです」
「んあぁ、これ! あっ……もう、おかしくなるの。
逞しいオチンチン、ハメっぱなしで、ああん、
お、奥までぐっ、てあたっちゃうのが気持ちいいよ!」

亀頭が膣のざらりとする腹側を擦り、更には角度を付けて深々と突き刺さる。
結衣は感じるポイントをじっくりと責められ、四つんばいのまま進んで下半身を掲げる。
荒々しい余韻もそのままに、丁寧で巧みな動きに翻弄された。

「結衣にはもっと感じて欲しいんだ」
「ん、はあぁ……そう、あっ、あんっ!」

兄との性交で蕩ける結衣の表情を見て、アキトのものも自然といきり立つ。
引き締まっていながら適度に肉付きがあり、
女性特有の柔らかさに加えて瑞々しい弾力が生殖行為とともに揺れてはじける。
汁のつまったはち切れんばかりの果実を二人で独占していた。

「はあはあ。ごめん、我慢できないんだ」
「はあん、いいよ。舐めてあげる」

アキトは結衣の目の前に腰を突き出し、舐めて欲しいと催促する。
ハルキは弟のサディスト気味な行為に苦笑するが、結衣は一に二もなく口に咥える。
唾液が絡む舌なめずり、ぐちゅりと粘液がはじける音を交互に鳴らす。
上と下の口を完全にふさがれながら、ともに男性器をねっとりとした粘液を絡めてしごく。

「あぁ、すごく締まるよ、先生のココ。アキの咥えるとさ、きゅぅっってきつきつになって気持ちいいんだ」
「んふぅ、ちゅるる、あっはぁ、アキト君も、ハルキ君も、すごいよ」
「ん……先生もハルもいきそうな顔してる。見てるこっちが恥ずかしいぜ」
「オマンコ、勝手に締まるよぉ。大好きだか離れたくないの!」

冷静に観察できる分、アキトは揶揄できる立場にあった。
気にしてる余裕も無いハルキが、もう一押しとばかりに膣奥まで抽挿を繰り返すたび、
結衣は勢いのあまり咥えた肉棒が喉元まで当たる。
全身が連動するように走りぬく刺激が、それぞれの性感帯へ作用する。
怒張をしごかれる肉襞の責めに、過剰なまでの締め付けが加わる。
きつい摩擦の快楽に、溢れ出る愛液が潤滑を遠慮なく加速させた。
腰にあたる臀部の感触に合わせて、亀頭が膣を押し広げ先端が子宮口までぶつかる。

「ん、ちゅっ、じゅる、ん、はあん、イク、いいよ。ああぁ我慢しないでぶちまけて!
膣内で出して、熱い精液でぇ結衣の子宮をいっぱいにして!!」
「はあぁっ、気持ちいいよ。だけど我慢して、溜めてから出す。
イって、結衣がイってから、んん、溜めた分出してあげる。はあはあ、その方がたくさん」

t02-232 名前:金曜日 :08/06/14 10:26:59 ID:MTj3DD44
結衣はがくがくと首を縦に振る。

「ああん、それでもいい、いいよ。はあぁもう、赤ちゃんできるのぉ。
何度もイかされて、二人のとびきりの精液、出しされて!」

肉打つ音の感覚も次第に短く、高くなっていった。
膣粘膜に震えに弄ばれながらも、持たないことを覚り腰を掴んで引き寄せる。
長いストロークで入り口から最奥まで勢いよく腰を前後させる。
後ろから犯す体位の征服欲も加わり、
怒張は鉄柱のように硬直し、媚粘膜を容赦なく蹂躙する。
結衣が積極的に白い尻をなすり付けると、
ハルキは片手で乳房を愛撫しながら膣口をなぞり、クリトリスと乳首を同時に摘みあげる。

「ん……あああぁあぁ! すごいよそれ、オマンコいっぱいんでぇ、乳首もクリもイクよぉ!!」

たまらず肉棒を口から放し、嬌声を発しながら大柄な女体が悶え鳴く。
ぎちぎちと搾り取る圧力に晒されながら、
何度か最奥まで割り入れるような挿入の後、欲望の堰を解放した。
ねっとりと絡みつくように、子宮まで蕩かすような子種を浴びせる。

「くぅぅぅあぁ! はあ! 結衣の中で……出す。膣内射精だ」
「やああ、オマンコの……中に出てる、溢れるくらいすごいの。
こんなに濃いの、何度も……ん絶対妊娠するよぉ」
「はあ、はあ、今日のうちにきっと受精させてあげるさ」
「うん……させてよぉ。アキト君とハルキ君で……種付けして」

膣内でびくびくとはねながら熱い生命のエキスが注入され、
結衣は性交中すでに幾度となく達しながらも、幸福感に果てる。
腰を抱える手で結合部上の陰核を刺激され、熱い吐息と共に肉襞は震えながら締め付けて吸い取る。
甘美な誘いに便乗して幾度となく性器の結合を深め、一滴も残らず実を結ぶために移しかえた。

「はああぁ、んあもう……こんなの初めて。
こんなにたくさん……初めて。それにまだかたいね……」

依然硬度を保ったまま、じっくりと舐るような動きに口から涎をたらし喘ぐ。

「まだできるけど……」
「ハールー」
「わかってるって、先生も、っさ」
「あん、抜いちゃうの」
「次は」
「あん、アキト君……もう待ちきれないのね」

結衣はアキトの上に乗って天を向く肉棒に自らを穿つ。
互いに腰を浮かせ、結衣は身を躍らせた。
美しい豊満なバストが揺れるたびに、牡の劣情を煽り立てる。

「先生もアキトのが欲しかったんだろ」
「ああぁ……あは、そうよ、これが欲しかったの。
ぺろぺろ舐めながら、次はこれって思ってたわ」

圧し掛かられながら何度も腰をぶつけ合う。
肉打つ音に混じって、ぐちゅぐちゅと溢れ出る精液と愛液が快楽に拍車をかける。
どろどろに入り混じった膣に、はっきりと境目がわかる硬く熱い男根によって貫かれていた。
子種を求めて発情する肉体は、生殖器を擦り合わせ、入り口との接吻に悦びの蜜を垂らす。

「あはぁん、腰、止まらない!
私、エッチだから……我慢できなくて生徒を犯してるわ!」
「はあはあ、先生、先生、俺、エッチで淫乱な先生が大好きです」

t02-233 名前:金曜日 :08/06/14 10:29:41 ID:MTj3DD44
ハルキが後ろから抱きすくめ、胸を揉み首に舌を這わせる。
ぞくぞくと身悶えする女体に制御が利かない。

「それならハルさ、ここ、」
「や、そんなところ……」

アキトは尻を押さえつけ、尻肉を掴んで左右に開く。
結合した生殖器の後ろの窄まりを指で円を描くようになぞった。

「あっ……んん……そんなところ……」

指を一本ずぶずぶと入れていくが、圧力はあるとはいえ思ったより抵抗が薄かった。

「あふぁ……お尻に……いいよ、もうなんでもして欲しいよぉ。全部の穴使って」
「大丈夫? ほらハルキ、ここ」
「お前は本当にサドだなぁ」

ハルキは苦笑を込めるが、結衣も乗り気なら悪い気はしなかった。
尻肉を掴み、奥に潜む窄まりへと侵入する。
きつい抵抗も最初のうちだけか、結衣が力を抜いてるのがわかると奥まで入った。

「二人の、薄いお肉挟んで、両方ごりごりって、かっ、感じる!」
「はあはあ、でも締め付け……きつい」

それでも腰の動きは止むことなく、歓喜に溢れる淫らな二孔を何度も貫く。
どちらも異物を排除するきつさではなく、迎え入れる暖かみがあるため、
交互に悦び、楽しみ、媚肉は歓待に満ち溢れていた。

「あはぁ、前はアキト君、後ろはハルキ君で挟まれてる」
「まだ、まだいけるよね。もっと……」

アキトは結衣のくびれた腰に腕をまわし、激しく突き上げる。

「ぅひん、あは、激しい!」

ハルキは加速するアキトのサディストぶりに苦笑する。
だが二人の意向に沿って、自分も尻孔を穿ち、後ろから結衣の上半身を抱きかかえる。
快楽にのたうつ女体を押さえつけながら、そっと耳朶を舐めた。
何度激しいオーガズムを迎えても、三人の交わりは止まるところを知らない。

「あっ、あっ!」
「ほら、アキトもういきそうだよ」
「あん、あっ、わかるぅ。
すっごい熱いオチンチンがびくびくしながらぁ結衣のオマンコ突いてる!」
「今度はアキトが中に出すよ。
愛してるから、たっぷりとね、もう真っ白でどろどろのやつ、結衣のために」
「結衣のために……はああ、嬉しい。ここに……ん、あ、ああ、頂戴」

ハルキが上から体重かけると、アキトも跳ね返す勢いで腰を上下させる。
膣奥まで容赦ない狼藉に晒されながら、じっくりと嬲る後ろの孔の肉棒が深い。
きつく気持ちの良い締め付けに、男性側にも余裕が消える。

「あう、くぅん、もうダメ……」
「まだ……まだだから」
「もう、結衣は欲しいの……。あぁ、二人の熱いザーメンが感じたい」

t02-234 名前:金曜日 :08/06/14 10:32:08 ID:MTj3DD44
重力に従って内より流れる体液が、性交のたびにかき出される。
ぐちゅぐちゅと粘液の攪拌する音に、肉の音と男女の喘ぎが混ざる。

「あん、せっかくもらったのに、落ちてくる」
「はあはあ、また、新鮮な精液。先生のためにあげるよ」
「ん、きゃ、嬉しい。遠慮なんてしないんだから、注いでちょうだい。
ああぁ! オマンコに白くてこってりした液、一番奥に出して!」

溢れ出る粘液も気にせず、更には肉襞に塗りこめるようにして男根を往復させる。
あらぶる若い牡の激しい行為に、結衣は全てを委ねる。
ハルキは結衣の上半身を抱え、振るえる美乳を捕らえて、
揉みしだき、乳首をこねながら奥まで腰を突き入れた。

「っ! あっ!! はあっ! 私……おかしくなりそう……」
「んん……でも、これぐらいがいいんですよね」

そのまま耳たぶを甘噛みして囁く。
汗で濡れて光る肢体が悶え、零れる涎が乳の上に落ちる。

「ん、ぃいいよ……すごくて、最高な感じ……もうイクの。
二人のオチンチンに犯されてイっちゃう!」
「はあっはあっ、俺らも……くっ、そろそろ」
「きてきて! 身体の奥から欲しいの! あっああぁ!!」

感極まった女性器の内で、責めたてる怒張も全てを解放した。
子宮口から打ち込まれる迸り、粘度に比例して密度ある精液に想いの熱さが感じられた。
全てが真っ白に染まる中、ほぼ同時にハルキも射精する。
結衣の身体を起こして、乳房を揉みながら、その豊かさに喜び勇む。
両方の孔でびくびくと脈打つごとに熱い精が注がれる。

「ああ……アキト君も、ハルキ君も……すごい、出てる……」

陶然とした表情で、牡の絶頂の証を体内で受けとめる。
良く馴らされた肉体を手懐けるべく、ハルキは腸内へと存在を知らしめ、
アキトは子宮深くへと射精でもって誇示する。
白濁としたマグマの噴流を感じるたび、牝の本能が括約筋をわななかせた。
結衣は二人に挟まれ拘束されたまま、結合した下半身が揺れ動き絶頂の余韻を味わう。

「や、まだ抜かないで。このままぎゅってして」
「はいはい」
「ん……結衣先生……もう俺たちから離れられない?」
「うん、とっても良かった……。もう私の方が二人から離れられないかも」
「俺も」

ハルキとアキトは目を合わせてうなずく。

「俺も、結衣のこと愛してるよ」
「世界で一番エッチで最高な先生にね!」

********************

t02-235 名前:エピローグ :08/06/14 10:35:38 ID:MTj3DD44
――四年後・冬

********************

アキトは赤道近くのリゾート地へ束の間のバカンスへと来ていた。
日本ではなかなかお目にかかれない澄んだマリンブルーが美しく、カラフルな色彩に溢れていた。
勿論ハルキも結衣も一緒だが、そこにもう一人増えている。

********************

アキト達が三年に昇級して梅雨のころ、結衣が妊娠してることがわかった。
ここで三人で話し合ったのだが、
ハルキに言わせると、知らされたアキトの慌てぶりが最高に笑えたとのことだった。

「やった、嬉しいよ。本当に何て言ったらいいのかわからないですけど、すごく嬉しい」
これがハルキの第一声。
「……ええっと……マジですか」
これがアキトの第一声。

「こんなところで冗談は言わないわよ、アキちゃん」
「そ、それは……まずくないですか……」
「はあ? 何がまずいんだ」

アキトは結衣とハルキを交互に見る。

「だ、だって俺たち結婚してないし」
「……日本は重婚はできないぞ……。ちなみに一妻多夫だな、この場合。
それだと世界で許されてるところは、確かほとんど無いぞ。
おっと肝心なことを忘れていたが、俺たち十八歳未満だから、そもそもあと数ヶ月は無理」

アキトは暢気に解説するハルキを別人のような目で見る。

「ま、まだ学生の身なのに……」
「……とりあえず、お前が覚悟無しで臨んでいたことがよーくわかった。
まっ、アキの心配してることはだいたいわかってるって。
それを話し合うために今ここに居るのだから、まず落ち着け。
そして喜べ、結衣に俺たちの子供ができたんだ。これほど嬉しいことはないぜ」

当事者である結衣は、さも可笑しいとばかりに笑っていた。
アキトは今までの自分の慌てぶりと発言に恥ずかしくなる。

「あ……。わかった。慌ててしまってごめん。……うん嬉しいです先生」

いまだに三人きりでもアキトは結衣を先生と呼ぶ。
ちなみに結衣は二人をアキちゃんにハル君と呼ぶ。
結衣の意向による強制だったため、兄弟間でも昔の愛称に戻ってしまった。

「ありがとうね、アキちゃん」
「よし、大丈夫。俺は卒業したら就職するよ」

アキトの発言を聞いて、結衣とハルキは苦笑する。
ここまで完全に予想通りの反応だったからだ。

t02-236 名前:エピローグ :08/06/14 10:37:48 ID:MTj3DD44
「阿呆。アキは死ぬほど勉強して、一番いいところに進学すること。
そもそも即就職なんて、親父も教師連中も絶対反対するしな」
「そうよ。アキちゃんは絶対進学するべきね」
「ほら、幸いここに最高の家庭教師がいるしな。いいか、改めて言うぞ」

アキトは真剣なハルキの表情に身構える。

「その前に聞いておかないとダメよ」
「えっ、なにを?」

結衣はハルキが何かを言うのを止めた。
曲がりなりにも教師としての視点が結衣には存在する。
きっとハルキには、アキトが近すぎて見えていない。

「アキちゃんの将来の夢とか希望」
「あ、ああ。思いつかなかった。そうだよな……すまん、一方的に押し付けるところだった」
「俺の夢……?」
「そう、アキの将来何に成りたいとか希望だ。
そうだよ、これは尊重しおかないとな。悪い、思いつかなかった」

今ひとつ話の流れが掴めないまま、アキトは思案する。
いきなり言われた所為もあるかもしれないが、思いつかなかった。

「昔パイロットになりたいとか言ってなかったか?」
「ぶっ、よくそんな昔のこと覚えてるな。別に今はなりたいとか思わない」

正直なところ、特に思いつかないアキトだった。
強いて言うなら、こういう所でビシっと決められる男になりたい、
と愚にもつかないことを思ってしまった。

「あえて言うと恥ずかしいけど、特に思いつかない」
「本当にか? 別に遠慮しなくていいんだぞ」
「遠慮? いや遠慮なんかしてないが……。
あんまりあくせく働くのは嫌かな、くらいだぞ。
何日も家に帰れなかったりするのは御免こうむりたいからなぁ。
でもとにかく、俺は先生と……子供のために働ければ何でもいいくらいだ」

自分の夢がなにかと聞かれたとき、
それはまさに今この時、これまでの経緯、そしてこれからの未来を思い浮かべた。
夢のような、と陳腐な言葉で終わらせたくないくらい、今は幸福を実感できる。
だから夢は、と聞かれてもピンとこない。
希望は、と聞かれてもこの幸せが続くこと。

t02-237 名前:エピローグ :08/06/14 10:39:47 ID:MTj3DD44
「よし、それじゃあもう一度言うが、
アキトは進学すること。必死こいて勉強しろよ。
それでお前が思うベストの所へ就職すること」
「わかった。がんばる」

アキトはハルキ、そして結衣の期待に応えられるよう胸に刻む。

「うむ、こういうのは目標があると張り合いがあるだろ。
で、次は結衣だけど……ちょっと心苦しいけど、出産と当面の育児の費用はなんとか……」
「ふふ、ハル君こそ遠慮しないで聞いて欲しいな」
「ああ、うん……ごめん。でもどうしても結衣には負担をかけてしまうから……」
「でもね、私もあんまりお金は持ってないの」
「えぇ、そうなの」

曰く、結衣は由緒ある実家の堅苦しさに耐え切れず、
進学より見合いを進められたのを機に、自分の勝手にすると宣言した後、出奔。
その時縁を切ったのだが、手切れ金としていくらかまとまったお金を貰った程度とのこと。
ハルキとアキトは、いかにも結衣らしいと関心と同時に呆れもした。

「ええっと、だから実家に挨拶とかは不要よ」
「ああ、そういうのは思いつかなかったな……」
「でも私は行ったほうが良いかしら?」

ハルキとアキトは思案するが、答えは一つだった。

「止めておこう。親父は倒れるかも」
「あはは……そうだね。俺もそう思う。ことが落ち着いたらでいいね」
「そうそう、俺は今からでもバイトでもするか」
「そういえば、ハルは将来どうするんだ」

ハルキは前もって考えていたが、誰にも言っていなかった。
決めかねていたのではなく、時が満ちてからの方がより良い決意になると思ってのことだった。

「俺は……専門学校に行って、調理師免許を取ってシェフになるよ。
専門学校ならバイトくらい余裕でできるだろうし、丁度いいな。
ま、二年程先に社会人になって頑張るから、アキも頑張れよ」
「ハル……、わかった。俺は俺で出来ることをするよ」

アキトはハルキの心配りに感謝し、決意を受け継ぐ。
兄がいなければ事態に対処できないダメな自分を思い知るも、嫌気をさす暇などないのだ。

「結衣も少しの間我慢して欲しい。
特に卒業するまはで色々寂しいし、つらい思いもするかと思うけど……」
「大丈夫よ。アキちゃんにはみっちりしごいてあげるしね」
「あははは……。お手柔らかにお願いします」

t02-238 名前:エピローグ :08/06/14 10:42:07 ID:MTj3DD44
こうしてハルキは調理師になり、講師の太鼓判の下レストランでの勤めに収まる。
もともと人受けする容姿に要領の良さに加えて、実際の腕も即一流のもの、
現場で二年程もまれた今は、立派になくてはならないシェフ補佐役を務めるまでに至った。
ゆくゆくは店を任されるのも、やもすれば遠い話ではないかもしれない。
コミュニケーションの巧みさ、人脈形成と人や統べる才にも恵まれているからこそだ。
アキトは見事に押しも押されぬ名門へ合格、上京する。
人材確保を進める昨今の事情もあってか、
Uターンで地元の企業の面接を受ければ、もはや引く手あまただった。
結局地銀を選び就職内定をもらい、今はこうして春を前にひと時の余暇を楽しんでいた。

結衣は教職を退職することにした。
未婚という所為もあるが、下手すればハルキたちに多大な迷惑がかかる。
このころハルキは学生の本分もそこそこにバイトに励む。
進学校的な校則によりバイトは禁止されていたが、
職場での出来事が話題としてもよくのぼり、結構楽しかったそうだった。
結衣のところへは、ハルキは手料理や身の回りの世話、金銭の工面の用事で、
アキトは勉強を教えてもらいに、気分転換に将棋の相手などでまめに通う。
いくら強い人だろうが、この大事な時期に寂しさを感じさせたくない一心だった。
この時結衣は結衣で、密かに深くほだされていた。
こうして無事結衣は出産、育児となり、ハルキは卒業進学と同時に結衣と同棲する。
上京したアキトも、盆や正月などは結衣とハルキへと会いに帰るのだった。
そうして時は過ぎて今に至る。

********************


「やっと……帰ってきてくれたな」
「ハルぅ、お前感動しすぎ。この一年は卒論やら就職活動で帰れなくてすまなかったな。
もうこれからは本当に家族一緒だぜ」
「くぅぅ……これで……結衣に……」
「ど、どうしたんだ?」

ハルキの不穏な雰囲気にたじろぐ。
結衣との間に何かあっては一大事である。

「その……夜は……結衣に……」
「わかった、もう言わなくていいぞ。全部心得た。
……色々……くくっ、つらかったん……だな。ぷっ、はははははは」

きっと毎晩責められっぱなしだったのだろう。
ハルキはどちらかと言えばM属性だが、それを開花させたのは間違いなく結衣のおかげだった。
常々不本意らしいことを口にもするが、結局のところ本人は楽しんでるのだ。
少なくともその場面になれば、であるが。
おそらく事後で自己嫌悪めいたものを感じるのが、不本意の原因と思っている。
つまり大したことではない。

「はあい。おまたせ」

少し間延びした独特のイントネーションに振り向く。
子供を連れての登場だったが、まず結衣に目がゆくのは避けられない。

「ぱぱ~」
「水着、どう……かな」

t02-239 名前:エピローグ :08/06/14 10:45:23 ID:MTj3DD44
頬を少し赤らめてしまうのは、なにも暑さの所為だけではない。
結衣は少し身を捩じらせて、反応をうかがうように屈む。
自然と見える胸の谷間の深さに、男なら視線が向いてしまうだろう。
女性である事を誇示するように、張りのある乳房をわずかに押さえつける布地に、
股間へと覆い隠す申し訳程度の逆三角形を吊り上げ、腰に食い込む紐と結び目。
そこからすらりと伸びる脚線美も、しぼられたウエストも見事としか言いようがなかった。
引き締まっていながら出るところは見事なもので、
むっちりと肉付きの良さが匂い立つような色香をかもす、
男の理想を具現化しつつも健全な健康美に溢れていた。

「いやぁ、これは……」
「……いい、すごくいい」

大胆な水着姿に男のほうが羞恥を感じ、お互いの顔と結衣を交互に見合う。
四年前を思い出すうぶな仕草に、結衣はくすりと笑顔を見せた。

「あらぁ~、いつもはこれよりエッチな姿見てるくせに」

背が高いからこそ、裸に近い装いは素材を引き立たせ、珊瑚礁に囲まれた南海に映える。

「そうだけど……そうかもしれないけど……」
「グッドとしか言いようがないね!」
「ハル……なんか反応が親父っぽい……」

結衣はもう二十代後半で出産経験もあるが、見てくれはようやく成人式に出るほどの若さだった。
そもそもストレスを溜めないお得な性格もあるが、
泳ぐのが大好きでスポーツジムに通う適度な運動に、
夫ハルキは家事育児に非常に協力的で、
食生活にも気を遣いながらも時々本職による美味も味わえ、
更には夫婦仲は最高でその果てに夜の生活は絶好調とくれば、
もはやアンチエイジングの見本として一冊の本になりそうなくらいだった。

一通りの反応に満足してか、結衣は子供を抱きかかる。

「はい、アキお父さんですよ~。あいさつ」
「ん、あい……おとーさ」
「はい、お久しぶり。ってホント一年ぶりだけど覚えてるかな、優希」

むしろ、髪型は多少違えど同じ顔の父が二人いて、混乱しないだろうか心配だった。
指を向けると、小さい手で握ってくる暖かさが心地よかった。
なんとなくだが、受け入れられたようで嬉しさを覚える。

t02-240 名前:エピローグ :08/06/14 10:47:27 ID:MTj3DD44
「はい、抱いてみて」
「う、うん」

優希が泣いたりしないか不安だった。

「もっと堂々とね。親が安心しないと子供も不安がるものよ」
「わかったよ」

精神を落ち着かせ、優希を抱きかかえる。
思ったよりも重い。

「うんうん、成長したね」
「そりゃ一年も経てばな。まあアキが軟弱なだけかもしれないぞ」

確かに結衣は平気で持ち上げていた。
ずっと机に向かっていた所為か、少し運動不足の気があるのは確かだった。

「ぼくがアキお父さんだよ。これからよろしくね」
「ぁう、ぁあい」
「うん、ありがとう」

わが娘ながらなんて可愛いのだろうか。
自分は世界一幸せだと実感できる瞬間だった。

*************************

穏やかな潮風の中、日本と違って湿度が低く爽やかで、日光浴には適しているだろう。

「はい、お願い」
「うん、了解」

アキトの相槌は短いが、ためらいは長い。
ビーチパラソルの下、うつ伏せに寝転がる結衣から手渡されたのはサンオイル。
ハルキは優希と一緒に少しはなれたところで、波と戯れながら砂遊びに興じてる。
これはつまり、久しぶりだから二人きりになれと気を遣ってくれたのだろうか。
気持ちはありがたいが、素直に受け取れないのはサンオイルのため。
結衣がビキニの胸の部分の紐を解いたのはサンオイルのため。
視線を感じて振り返ると、にやにや笑っているハルキが見えたのはサンオイルのため。
胸の鼓動が高鳴るのは、サンオイルのため。
きゃっきゃとはしゃぐ優希の声に、そちらへ逃げたい気分だった。

「どうしたのアキちゃん」
「この年でちゃん付けは勘弁して……」
「ふふ、言われたくなかったら、堂々と塗りなさいよ」

ごもっともだが、ものすごく抵抗がある。
約一年ぶりに見る結衣の素肌は、きめ細やかで張りがあり白く美しい。
南半球の日差しにうっすらと汗ばむ姿は神々しいオーラが漂っていた。
アキトは忙しさに長いこと禁欲的な日々が続いていたため、
純朴な性格と相反する獣じみた欲望との葛藤に悩まされていた。

「もしもーし」
「……はっ、いかん。意識が……」
「今のは本当……なのね」

t02-241 名前:エピローグ :08/06/14 10:49:03 ID:MTj3DD44
ようやく油に切れた機械のごとく、ぎこちない動きで結衣の肌に触れる。
修行僧のごとく無心にサンオイルを塗りつけるが、心中は穏やかではない。
TPOなどそっちのけな息子が、海水浴パンツの中で暴れていた。

「はあぁ……あぁ……はあ」
「アキちゃんは、なんで塗ってるだけなのに甘い声出してるのかな」

遠くでハルキの笑い声が聞こえるが、構っていられない。
脚から始め太腿が終わると、
今度は水着が食い込む白桃のようなお尻を両手でマッサージしながら塗りこむ。

「くぅぅ、ああぁ……」
「あん、もう、だ・い・た・ん!」

ハルキの笑い声が一段と大きくなった気がする。
前に笑ってしまった仕返しだろうが構っていられない。
哀れな息子が悲鳴を上げていたが、
TPOも空気も読めない奴は黙って涙を流してればいいのだ。

「はあ、はあ、はあ、ゆ、結衣ぃぃ!」
「はいはい、そこまでだ」
「あうち」

アキトは側頭部をどつかれ、横に倒れる。
器用に優希を抱きかかえての蹴りはハルキのもの。

「はっ、俺は何をしようとしてたんだ」
「自分を見失いすぎだ」
「えーん、これからが面白そうだったのに」

衆人観衆もなんのその、変態プレイの道に走られたら困る。
行為はエスカレートすると聞いたことがあるから、
芽は早めに摘み取るに越したことはない。警察のご厄介だけはやめて欲しい。

結衣は小指をおしゃぶりしながら、お預けを食らった子犬のようにしゅんとする。

「はいはい、それじゃあ優希に塗ってもらいましょう」

自然分解のサンオイルだから、子供の肌に触れても大丈夫だろう。
アキトが模範として行うと、優希も掌に付いた油を物珍しげに見た後、母の肌に撫で付ける

「きゃはぁ……優希の手、くすぐったいよぉ」

身悶える結衣はやっぱりエッチだったが、とても幸せそうだった。

t02-242 名前:エピローグ :08/06/14 10:51:19 ID:MTj3DD44
****************************

ホテルでのディナーの後、アキトはベランダから日の落ちた海辺を眺める。
昼とは違う漆黒の水が波とともに押し寄せ、潮騒の音が夜の静けさに一層深くする。
見るとぽつりぽつりカップルが出歩いてる。
薄暗い明かりの下でも愛を語らうには充分であり、好都合でもある。
悪さしてる奴が居ないか眺めていると、ドアからノックの音が聞こえた。

「開いているよ」
「あら、無用心ね」
「こんなところで物取りもないって」

治安の良い観光地ということもあるが、田舎感覚が残っていた。
結衣もベランダに出て、アキトと並んで夜風に当たる。
ほのかに香るシャンプーと甘い体臭に酩酊感がかもしだされていた。

「優希は?」
「大丈夫よ、隣ですやすやお休み」
「う、うん」

アキトは我知らず意気込むが、どうにも身体が硬直して動かない。
結衣は夜風に流れる髪をかき上げる姿が美しく、良い雰囲気を壊すようで気が引けていた。
くすりと笑う仕草は教職を勤めていた頃と変わりがない。
むしろ生気に満ち溢れ、より魅力的に見える。

「ねっ」
「うん?」

結衣はアキトの手を取って、自分の肩に回す。
逆に気を遣わせたようで、いつまでたってもお子様な自分に反省する。
せめてもの気持ちに引き寄せてくっつく。
結衣はベランダの柵に身体を預けて、自分より背が低く思えるが、
アキトは前より少しだけ身長が伸びただけで結衣ほぼと同じ高さだ。

「うん……」

アキトは結衣の頬に手を触れ、こちらに向かせてキスをする。

「ん……ハル君は?」
「お買い物、もうそろそろ来るよ。それまでちょっと……」

アキトは結衣の腰に手を回し、大胆に抱き寄せる。
直立すると同じ位置にある唇に引き寄せられていく。

t02-243 名前:エピローグ :08/06/14 10:52:47 ID:MTj3DD44
「んん……」
「ただいま。遅くなって悪い。身振り手振りでも何とかなったけど、時間がかかった」

突如ハルキのご帰還である。
ノックもなしの闖入にアキトは慌てて離れようとするが、
結衣ががっちりと首と頭を押さえ、不可能であった。
女性ながらこの力強さは、アキトが単に非力という助けもある。

「ぶっ、んんん……ぅん」
「ちゅ……んん」

二人の様子を見ても特に気にしないハルキは、
頼まれていたミネラルウォーターを結衣に手渡す。

「ぷはぁ……ハ、ハルキ遅かったな!」
「ああ、間に合ってよかったよ」

何がと問いたいが、怖くて聞けなかった。
結衣はボトルを呷ってまたキスをする。

「んん……ちゅる……飲んでね」
「んん……んぐ……ぅん」

口に溜めた水を口移しで無理矢理飲ませる。
流れてくる液体は体温でぬるくなり独特の甘さがあった。

「部屋にもどろ。もう我慢できないよ……」

結衣の言葉に全面的に同意する。
いつまでも変わらない彼女に安心があった。

t02-244 名前:エピローグ :08/06/14 10:54:13 ID:MTj3DD44
**************************

「ふっふ~」

結衣は不敵な笑いを見せて、荷物カバンをあさる。
取り出すのはハンディタイプのビデオカメラだった。
これは優希の成長記録のためと購入した最新型だ。
瞬間的にハルキとアキト両人とも嫌な予感がした。

「ねっ、今度はしっかり作るところから撮ろうよ」
「「今のは冗談……」」
「ではないわよ」

ハモりの質問も、はっきりと結衣には否定されてしまった。

「ねっねっ、だって今日は二人目作るんだし、
そうすると自然一人は手持ち無沙汰になるでしょ」
「そういう問題ですか……」
「わかった……なら最初はアキトからだな……」

どの道、結衣の意向に逆らえないとふんでの生け贄だった。
された方は堪ったものじゃないが。

「兄たる俺がしっかり撮ってやる。安心して特攻してこい!」
「お、俺を売ったな」
「勿論だ……いやいや、そもそもアキトの祝いの意味も込めてだぞ」
「本音がさらりと出るあたりがハルらしね……」

さすがに失言と悟ってか、覆水盆の返す速技だ。
だが読みが甘いかった。二人がもめれば被害は必ず双方に向かう。

「はい、お願い」

結衣はハルキにカメラを手渡す。
気前よく受け取り、設定をあわせて操作する。

「おう、任せておけ」
「でもよく考えたら最初くらい、二人一緒でもいいよね」
「ぅえっ」

結衣はキャミソール姿に下はパンティ一枚になって、二人の目の前で屈む。
止める暇もなく、アキトのベルトを外してズボンを下ろす。
跳ね上がる男性器に、なんだかんだ言っても期待はあったのが窺える。

「すごぉい、昼間からこんなだったんだ」
「い、いや……」
「ほらぁ、ハル君もね」
「あわわ」

ハルキもあえなく脱がされ、アキトと並んで手でしごかれる。
文字通り弱みを握られ、逃げることもかなわない。
結衣は掌で増す硬さ、熱さに口づけする。
舌先でちろちろと愛撫すると、いちいち反応する可愛らしさに溢れていた。

「ふふ、二人ともおっきい。ん……ちゅる…じゅん、ん」
「はあ、はあ……気持ちいい……もっと咥えて……」

t02-245 名前:エピローグ :08/06/14 10:56:15 ID:MTj3DD44
アキトは久しぶりの口腔性交にため息を漏らす。
舌と粘膜を絡め、亀頭から竿まで唇によってぬるりとした圧力が加わる。
ハルキはその様子を律儀に撮影するが、
自身も手でしごかれ、カメラ越しに見る淫猥さに昂ぶる。

「んっ、んっ、じゅるる、ちゅ、んっ」
「あぁ、すごくエッチだよ」

結衣は顔を前後させて喉奥まで咥えて愛撫する。
欲望が溜まりに溜まっていた分、達するのも時間の問題だった。
我慢の限界だったアキトは結衣の顔を押えて、自ら腰を動かす。
強制的なフェラに、今度は結衣が責められる。

「んん、うんん」
「はあはあ、もう出る。このまま口に出すよ!」

口をすぼめて吸い出されるように、アキトはあえなく果てる。
肉竿の中を走りぬける快感に放出する悦び。
久々に味わう射精の気持ち良さが延々と続く。
結衣の口の中に吐き出される精液は、量も濃度も最高のものだ。

「ん……ちゅる、りゅる」
「飲まないで最後まで溜めて……。まだまだイクよ。ほら全部、中に残ってるのも」
「じゅるる……ぅんん……」

結衣は尿道に残る残滓まで舐め取る。
ほぼ固形に凝固した精液が、鈴口から溢れ出して口腔を汚す。

「いいよ。抜くからこぼさないでね」
「んん……」
「ほら、いい顔」

結衣は唇の端から僅かに垂らすものの、全て口の中に収めたまま微笑む。
アキトが顎に手をかけ開けるよう催促すると、見せ付けるよう顔を上向きに唇を開いた。
そこは予想通り、白濁とした粘液が一面を満たし青臭い匂いが広がる。
綺麗なものを汚す背徳感に脳髄が甘く痺れた。もっと浅ましく汚れて欲しい。

「どうせならハルのと一緒に飲んでよ」
「うわぉ、お前というやつは……」

アキトの相変わらずのサドっぷりにハルキは少々引く。
だがここは習うべきと割り切り、自ら口元に男根を突きつける。
結衣は手で握りながら前後に擦り、舌先で鈴口から裏筋を丹念に刺激する。

「あぁぁ、くぅ……いいよ、もっと強くして……」

長い指に囚われながら急所を的確に責められ、思わずうめく。
しまいにハルキも持たず、白い放物線を描きびしゃりと顔から鼻筋、口にかけて放出する。
まぶたや鼻先から、匂い立つようなどろりとしたザーメンによって汚され、
口腔内は真珠を溶かしたようなパールホワイトの海だった。
丹念に舐め取り出る物がなくなったのを見て、結衣は口を閉じて両者の混ざり合う精液を嚥下する。
ごくりと音と共に、いく度も喉が動くのが見えた。

t02-246 名前:エピローグ :08/06/14 10:57:55 ID:MTj3DD44
「ん……すごい量だよ……。上手くごっくんできなくて」
「美味しかった?」
「うん、とっても。濃くて……こんなのが今度は」

言い終わる間も無く、ベッドに押し倒される。
上半身担当がアキトなら、下半身担当はハルキといった具合に、
蜜に誘われるまま一つの花に群がる。

「あん、汚いよ……うんん」

アキトは静止も聞かずキスをする。
自分たちが出したものなど気にせず、口中まで侵入して歯茎をくすぐる。
生臭い匂いも気になるどころか、返って興奮する材料だった。
その下では下着の上から秘所をなぞり、太腿の付け根に舌を這わす。
二人に組み敷かれながら身動きもままならない結衣は、僅かながらに身を捩じらせて喘ぐ。
薄布の下に手を入れられた時には、最後の一枚もなくなり後は全てをさらけだす。
これからの先の期待と止むことを知らない快楽に身を震わせる。

「はむ……ん、んん、またここから母乳が出るんだね」

アキトは乳房をすくい上げて揉みながら、頂点の突起をほお張る。
朱鷺色の蕾みは膨らみ、硬くしこっている。
今かと今かと赤子みたく吸いつき、猫のように舌で跳ね上げて舐める。

「ふぅんん、そんなこと……まだ出ないよ」
「遠い未来の話でもないってこと」
「そう、俺たちが……今から仕込んであげる」
「うん……お願い」

じゅくじゅくと愛液に溢れる秘裂を指で割り開き、その量を確かめる。
寂しげに濡れて光る陰核も口に含み、膣口は二本の指で抜き差して一緒に愛でる。
しかしされる方は愛でるなどと生ぬるいものではない。
指を鉤に曲げGスポットを擦ってはクリトリスも舌の洗礼を受け、
結衣は刺激にのたうち、更にはアキトから執拗な乳責めにもあっている。

「はあぁぅ! やっ、それ、すごい」
「もうエッチで濡れ濡れ、ここにもうすぐお望みのものが来るって期待だね」
「ダメぇ……いきなりそんなの……ああぁ、んぁあ!!」

軽く絶頂に果てる結衣は、長い四肢を使って二人を抱きしめる。
大柄ではちきれんばかりの女体にしがみ付かれるのは、それだけで気持ちよい。

「はうぅ、はあっ、はあぁ……」
「イっちゃった?」

結衣はだらしなく呆けたまま、恥ずかしげに首を縦にふる。
下はシーツに染みを作るほど蜜液を垂らし、それだけで股間の一物は奮い立ってしまう。

「ふぅ、俺が先でいいんだよね」
「勿論、立派に撮ってやるよ」
「……意外に乗り気だね……。まあ毒を喰らわば、ってね」

t02-247 名前:エピローグ :08/06/14 10:59:43 ID:MTj3DD44
白い尻の下にタオルを敷き詰めて股間を高めに掲げさせた後、
アキトは結衣の太腿を抱え、男根を割れ目に擦りつけた。
結衣は背が高いが、こうして寝転んで折りたたむようにすると小さく見える。
脚が長いためだろうが、この入り口へと誘われる姿に目も眩みそうだった。
これ以上ないほど勃起した男根を膣口へとあてがい腰を前に進める。

「はああぁ、あん……入ってくる」

女性器はみちみちと開かれ、男性器との結合を深める。
根元まで埋め込まれると、そこはもう子宮への突き当たりに阻まれる。

「あっ、あふぅ。はあぁ……おっきいの……」
「どんな感じか、しっかり言わないとね」

カメラを意識して感想を催促する。
どうせ皿まで食べるなら、とことん利用して辱めたい。
実は結構乗り気であった。

「はらぁ、アキお父さんのオチンチンが結衣のオマンコの奥まで入ってるよ。
この後たくさん気持ちよくなって……膣内射精して赤ちゃんの素をもらうの。
それをハルお父さんと交互に、何度もたくさんね……」

結衣は羞恥で赤面しながら、カメラに向かって未来の子供に語りかける。
アキトはその間もゆっくりと腰をグラインドさせて、感触を馴染ませていった。

「ふふ、二人分必要だなんて、結衣はエッチだなぁ」
「やぁん、そんな。私、背が高いしその分いっぱい必要なの」

至極ごもっとものようで、そうでもないような理屈だ。

「じゃあもっとおねだりして」

相変わらず弟のベッドヤクザっぷりに兄は心配になる。
そんな思いをよそに、結衣は顔を伏せて小声で呟いた。

「ん? ほらぁ、もっと大きな声でさ」

言いながら促すように膣奥まで擦り上げる。
潤いを増す粘膜に相手の興奮がわかった。

「はうん! オマンコいっぱいごしごしして!
ハル君とアキちゃんの二人のチンポでぇ結衣をめちゃめちゃにして!
はあはあ、そうよそこ! そこに、白くてねばねばした精液が欲しいの。
子宮の奥までいっぱい愛して欲しいよ。そうしてくれたら、結衣はきっと孕むの。
だからお願いなの、いっぱい注いで二人の子供を結衣にください」
「よくできました。それじゃあ……」

t02-248 名前:エピローグ :08/06/14 11:01:45 ID:MTj3DD44
腰を上げてぎりぎりまで引き抜き、体重をこめて勢いよく挿入した。
剛直が子宮を揺さぶり、膣壁が喰らいついて摩擦による快楽を堪能する。
肉を打ち合わさる音は、牡の純粋な欲求によってどんどん早くなっていく。

「はぁああぁ、これ、これが欲しかったの」
「結衣のエッチなお肉が、アキのチンポを美味しそうに食べてるよ」
「美味しいくて、ぎゅってしちゃうよぉ。
もっともっと奥まで犯して! 一番深いところまで味わいたいの」

胎内から湧き上がる切ない疼きに支配され、結衣は恥ずかしげもなく答える。
結合部から撮影され意識が向かう中、限界まで張ったエラが容赦なく抉っていく。
一突き毎に感じるポイントを満遍なく刺激され、最奥の性感帯と衝突する。
子宮口との接吻は子種を求める女体にとって劇薬のように全身を侵す。
最後のとどめを、慈悲を欲しいあまり、生殖行為を牡に求め、高まっていた。

「ダメぇ、もう来て。奥ぅ、切なくて、欲しいよぉ」

切れ切れに叫ぶ結衣に、
アキトは時折緩急をつけて、一際良い声で啼く部分を突き、擦る。
同時に乳房へと手を伸ばし、快感で肉体に従属を強いる。

「んぁ。やあぁ……イク。はあはあっ、もうイっちゃう!!」
「いいよ、このまま何度も……イかせるから」

許しを得たのを境に意識を保つ糸を手放して、
ひたすらに膣を行き来する怒張が高みへ押し上げる。
肉体は敏感に震えながら、すでに結衣は焦点を結ばぬ目で陶酔の表情を晒して喘ぐ。
焦らされた分、身体は敏感になり容易く昇りつめる。

「こんなの……もう…はっ、ああぁ、あああぁん!!」
「ん、ん……」

結衣が達すると筋肉がひきつり、執拗に膣壁が沈んだ男根に絡みつく。
気を抜くと今にも出てしまうが、アキトは我慢してこらえた。
四肢を張り詰めながら仰け反り、徐々に弛緩して女体の柔らかさを戻していく。

「はあっ、はあぁぁ……まだ……。ハル!」
「え?」

突然呼ばれて驚く声を出す。
だがアキトの目だけで意図を察っすることができる兄だった。

「あはは……。それじゃあ」
「おう」

結衣は意図がわからず、そのまま息を整えてるとアキトは抜いてしまった。

「まだ、終わってないよぉ」
「わかってるよ。ねっ……うん……ちゅ」

アキトは結衣の髪を指に絡めながらキスをする。
結衣も首に腕をまわし舌の感触を楽しんでいると、突如訪れる下半身から充足感にわななく。

「んん! ちゅるる……ん、んあぁ!!」
「もっとエッチな顔を見せてよ」

t02-249 名前:エピローグ :08/06/14 11:04:39 ID:MTj3DD44
アキトはハルキからカメラを受け取った。
熱い剛直によって、噴き上げるような快感に襲われてる表情を余すところなく撮る。
事実結衣はすでに絶頂へといかされた肉体を、再び高みに昇っていく。
硬さや形状、長さが違うわけではないが、それでも違う新たな快楽が掘り起こされる。
膣肉の急所に突かれながらも、柔らかに揉み解される感触。

「あっ、んあぁ! 何か違う、違うよぉ……はあっ、やあぁ!
すごく、あん! くるの。はあぁ……」

頬や首筋、太腿から尻とソフトに手を這わせ、蜜壷ではこれまで培った要所要所を捉えていく。
結衣は身体が溶けてなくなりそうな浮遊感に、神経だけが鋭敏に肉の悦びを拾い上げた。
アキトとの時とはまた違った愉悦に蕩ける表情を両手で隠すが、
ハルキは結衣の両手首を取り、顔の横に磔刑のごとく押さえつける。
すると今度は腰の動きを制限しようと、両脚をハルキの胴に絡めた。
ハルキにはやっとわかったのだが、結衣は本当に撮られるのが恥ずかしいらしい。
自分から言い出したことだから、プレイの一種かと思ったが微妙に違う。
だけどこんないい表情をされて隠すのはもったいない。

「結衣、ダメダメ。もっと気持ちよくなってもらわないと」
「はあっ、はあっ、ねぇ、もうダメだから……にお願い……」
「うん」

ハルキは尻を抱え、これで最後とばかりに腰を叩きつけると、
豊満で形のよい美乳がふるふると揺れ動きながら牡を誘惑する。
今度は逃すまいと締め付ける膣にも増して、勢いよく怒張を子宮口まで挿入した。
少しでも受精する可能性を高めようと、何度も肉の隘路をならすように往復する
悦楽を糧に精巣の内で子種を溜め、着々と準備を進める。

「どう? もうすぐイクよ!」

嬉しい言葉に結衣は夢中で抱きしめる。
自然とハルキの顔が乳房にうずくまり、甘い体臭を吸い込みながら何度も突き入れた。
汗に濡れた肢体が一層艶かしく光っていた。

「きて! 結衣の一番大事なところに出して!
中で出してえ! 受精するの、赤ちゃんつくるよぉ!!」
「くぅ、ふぁっ、出る! ぅくうぅ、ああぁぁ!!」

結衣はハルキの腰に長い脚を巻きつけて離さない。
急速に増す射精感に密着する肌が最後の抵抗を崩した。
陰嚢で生成された精子が前立腺液と合わさり出口を求めて噴き上げ、
結衣は胎内に塊のごとき精液を一身に受け止めた。
ようやく待ち望んだ熱き子種に、一気に限界を超え絶頂へと導かれる。
射精中にも膣を貪るように犯され、全身を揺さぶられながら牡の洗礼を受ける。

「ああぁ、今ハルお父さんが射精してるよぉ……。すごいたくさん、中に出てる。
はぅっ、止まらないで、頑張ってる。孕ませようってとっても」
「はあっ、はあっ、吸い上げてくるよ」

ぴんと背筋を駆け抜ける快感が結合部からもたらされる。
精液をより多く貰わんとする肉襞の蠢きが、止む事のない射精へとつながる。
押し出そうとしたり引き込もうとする、女の内側の気まぐれに弄ばれてもいたが、
ハルキは腰を押さえて寄せ、がしがしと打ちつけながら生殖行為を重ねる。
一滴も無駄にしない、有無を言わせぬ強烈な衝動だった。

「ふっ、はあはあぁぁ……どう?」
「はあぁぁ……最高だったよ。ちゅっ」

ハルキは結衣と掌を合わせ、キスをして頬擦りする。

t02-250 名前:エピローグ :08/06/14 11:09:54 ID:MTj3DD44
「やっともらえたの……たくさん」
「でも、もっと必要だろうからね」

名残惜しい気もあったが、これ以上お膳立てしてくれたまま待たせるのは忍びない。
結衣は結合部を虚ろに眺め、再び迎い入れる一物をじっと見つめる。

「もっとください……」

同じ姿勢のまま、再度の挿入だった。
違うのは最初から射精へ向けての律動であり、
勢いのまま腰を前後させ粘液の泡立つ音を鳴らしていく。

「すごくいいよ。待ってる間も興奮してたから、もうイキそうだよ」
「はあん! は、激しいよぉ。すごく……あっ……んんぁああ!」
「はあはあ、あんなの見せられたら……」

始めとは違うぬめりと締まりに陶酔しながら、抽挿を繰り返す。
アキトは結衣と兄との生殖を目の前にして、激しい獣性の襲われていた。

「ん、ん、はあはあ……あっ! 奥までぇ……ぶつかってる。
オチンチンが奥まで、きゃ、んあ! 赤ちゃんの入り口に当たってる!」

結衣は息も絶え絶えに忘我の域で叫ぶ。
突かれる毎に身体は反応し、女性器は収縮をしながら男根を慰撫する。
一連から続く絶え間ない性行為と、膣内に出された多量の精によって完全に発情していた。
全身を桜色に染め、時折痙攣するオーガズム手前の状態だ。

「最高だよ。この奥の……ぐちゃぐちゃになってるところに……出したい!」

ぬちゅぬちょと奥にある精液溜まりを押し込み、もっとここに注ぎたい欲望に支配される。
神聖な箇所だからこそ何度も注ぎ、塗りこみ、溢れさせ征服したい。
この器を満たせばきっと新たな生命が宿るのだ。
結衣は脚を大きくひろげられ、割れ目が左右に引っ張られる。
ぐいぐいともぐり込む肉棒が反り返り、普段とは違う部位に擦れながら蹂躙する。
膣や子宮から届く合図に、下腹部が熱く灼けそうだった。
きっと身体が受精を待ち望み、準備を進めているのだと。

「ふぁ、ああぁ、いくよ!」
「はあんっ! すごっ……いい。このまま一番深いところに!
もっともっとぉ……いっぱい赤ちゃんのもと注いで!!」
「ふふ、中出しをおねだりだなんて、本当にいやらしいんだから。
はあはあぁ、ハルにもされたのに、もっと欲しいの?」
「欲しいの……アキちゃんの精液もぉ……結衣にください。
子宮にハル君のとぉ、アキちゃんの精子を仲良く一緒にね」
「いいよいいよ。ほらぁ、カメラ向かってエッチで淫乱でごめんなさいって言って」
「はあっ、はあっ……二人のオチンチンでイクよぉ。
今度はアキお父さんに中出しされて孕む、妊娠するエッチで淫乱な結衣でごめんなさい。
でも、二人じゃないと満足できない身体にされちゃったから。
私、二人のこと大好きだから、愛してるから二人の子供が欲しいの」

牡の支配欲と生殖本能を刺激するやりとりが、愛欲の火に油を注ぐ。

「結衣、愛してるよ。綺麗で可愛くて、エッチで淫乱なところも……」
「あぅ! はあぁん、嬉しいよ。
ねっ、エッチで淫乱だけど、二人でたくさんしつけて欲しいの」
「はあっ、はあぅ!! で、出る!」

腰と尻がぶつかり悶え狂う女体への最後の一撃に、胎内へ白濁とした粘液が打ち抜いた。
脈動に合わせ、締め付ける媚肉に誘われるまま、膣奥へ何度も挿入する。

t02-251 名前:エピローグ :08/06/14 11:11:55 ID:MTj3DD44
「んっ、あぁ!! 奥ぅ、はあん!!
熱いの……どくんどくんって入ってくる」
「うあぁ……本当に吸い取ってくる」

女性器と深い結合のまま射精する快感に酔いしれる。
子宮口に亀頭を押し込み、鈴口から無数の精子を含む体液を放つ。
肉竿の内から底知れぬ量が走りぬけ、迸っていき、
最愛の女性へと遺伝子情報を存分に書きつける。
きっと胎内ではハルキとの協同で事にあたってるだろう。
全てを出し切った後もしばらく抱き合い、ようやく結衣から離れる

「んん、ふぁぅ……溢れちゃう……」
「自分でも、ちょっと恥ずかしいくらい出たね……」

愛液と精液の混ざった粘液が秘洞から漏れて垂れ落ちる。
二人の男性から間をおかず中出しされた痕跡とも言うべきか、
子宮に入りきらなかった分が膣の収縮によって溢れてしまった。
まるで己の分身がやんちゃをしてるようで、いささか恥ずかしい気分にさせられる。

「気分はどう。あっ、隠さないで脚開いて」

おずおずと結衣は秘部を隠していた脚をずらす。
あまりのいやらしい光景に眩暈がしそうだった。

「あん……ほら見て……。ハルお父さんと、アキお父さんの精液……。
二人でたくさん結衣の中に出したから、外にこぼれたの。
ねっ、これであなたのお父さんは二人いるって証拠になるかな」

今も意外なほど恥ずかしがりながらも秘部を隠さずにいる。
だいたい快楽の追求に貪欲な結衣が、脚で動きを制限したあたりから何か引っかかる。
ハルキはここで、もしかしてカメラで撮る行為が結衣による配慮によるもののような気がした。
アキトと目を合わすと、同じことを思っているのがわかった。

生まれてくる子供が、父親が二人いる特異な状況の証拠だろうか。
確かに多感な年頃になれば色々あるだろうが、このビデオを見せるわけにもいくまい。
もしかしたら三人で集まるのが一年ぶりだったため、不安だったのかもしれない。
結衣は結衣なりに、自分に対して自信を持っているが、
それが翻ればアキトが一年間帰省しなかった不安にもなりうるだろう。
揉め事にならないよう交通整理の意味合いでビデオカメラでも持たせたのか。
考えれば考えるほど謎だが、単に羞恥プレイを楽しみたかったのが真実のような気もする。

まあこんな風にぐたぐた推測するのも、結衣に言わせれば無粋の極みだろう。
もしかしたら子供が成長した時、万が一、億が一にこのビデオが役に立つのかもしれない。
一年ぶりだから、一人一人愛を確かめたかったのかもしれない。
羞恥プレイをして、より深い趣向を求めたのかもしれない。
ただ一緒に暮らしてみての実感だが、結衣が考えることは信用してよい。
視点、着想、行動が奇抜なものもあり、真意がわからないことが多いが。

色々考えたすえ、ハルキはカメラの電源を切る。

t02-252 名前:エピローグ :08/06/14 11:13:43 ID:MTj3DD44
「もう止めるの?」
「まさか、たださ」

ハルキはアキトとアイコンタクトをする。
この先はお前が言え、ということだった。
推測が少しでも当たっていれば、次の台詞はアキトが言ったほうが良い。

「次は一緒にしたほうが、結衣も嬉しいだろうからね」

結衣ははにかみながら頷いた。

アキトは結衣を抱きしめ横に転がる。
うなじから鎖骨を舌でくすぐり、手は秘裂へとのばす。
くりくりと陰核を擦ると陰唇からはときどき液を飛ばす。

「何か結衣が射精してるみたい」
「あん……やっ……はあはあ」

ハルキは片足を抱え、アキトの愛撫をやり易くしながら足を舐める。
尻から始まって大腿、足へと至るラインは芸術的で、妄執を抱かずにはおれない妖しさがある。
足首から裏まで執拗に奉仕すると、思いがけない箇所からの責めに弱いのか身を震わせて喘ぐ。

「ハル、もう入れちゃいなよ。ほら……」

アキトは二本の指で陰唇を開いてみせる。
言うまでもなく、とろとろと愛液にまみれて男を待ちわびていた。

「結衣からもおねだりして」
「はい、ん……ここ、いやらしく開いてる所お口に入れてください。まだ……まだ足りないの」

横臥のまま片足を担ぎ、息づく秘所へ再び硬く屹立したものを挿入する。
尻を撫でながら前進して、亀頭から肉襞を割り込んでいった。
狂おしいほどの快楽に、より肉棒はいきりたち女を責める役目を果たさんとする。
即座に腰を打ちつけ、引き戻しては挿入を始める。
おっぱいこそ至上と思っているハルキにとって、
二つ重なるたわわな乳房が己の動き一つによって揺れ動く姿は実に最高だった。
豊満な胸は妊娠適齢の表れ、だからこそ惹かれる、孕ませたい。

「やぁっ、あっ、ん! はあはあ、二人に抱かれてる。
アキちゃんにぎゅってされながら、ハル君とセックス気持ちいいよ!」

アキトの舌は下がっていき、胸へと到達する。
揺れるのをあえて邪魔するよう、乳首に吸い付いて離れない。
乳房全体は縦横に揺れながらも、頂点だけは引っ張られ位置を変えなかった。

「はあん!! おっぱい、乳首が……やぁ、ん!」
「ん……ちゅるる」

下半身はセックスに興じながら、上半身も動揺の激しさでの快楽。
容赦など無用なことは二人ともわかっている。
このまま何度でも犯し、交わり、嬲りつくさなければならない。

「はあっはあ、締まる、気持ちいいよ結衣、結衣!
また奥にいっぱい出してあげる。二人目、妊娠して!!」

t02-253 名前:エピローグ :08/06/14 11:17:25 ID:MTj3DD44
ハルキは自然と前のめりに体重を掛けた。
高々と掲げられる片足はときどき張りつめ、
可愛らしさに腰を律動させながら足の指の股に舌を這わせる。
思いがけない愛撫に背筋を反らせて喘ぐ結衣の喉を、今度はアキトがぬらぬらと唾液の跡を付ける。

「はああぁ、んん、もう、もうダメ! そこっ、そこぉ!
いいよ、そのまま全部中に出して! 奥で!!」

密着して身体を押さえつけられながら、もう一方で怒張は膣奥までねじ込み、掻き回す。
結衣は総掛かりでくらう快楽による折檻に、恍惚のまま嬌声をあげる。
アキトがそっと結合部の上、肉芽にも手を加えると、
もはや意味をなす言葉も吐けなかった。
ひたすらに喘ぎ悶え狂い、色欲に彩られた肢体はますます艶めく。

「あふ、ああっ! ん、んん!! ら、めぇ、そこ……あっ……。
ひゃっ!! イキっぱなしで……変になっちゃうよ」
「はあっ、すごすぎるよ。くぁ、あっ! 出る!!」
「あああぁぁ!! はあぁ! 結衣も、イっちゃう!!」

行為そのものを込めてケダモノのように咆哮を放つ。
肉の割れ目を貫き、緋色の空間へと白い濁流が押し寄せた。
直に喰らう濃厚な汁は格別である。

「はあ、んあぁ!! ……出てる……。わかるくらい……たくさん来る。
ぐちょぐちょのオマンコ……もっとどろどろに精液がいっぱい」

子種がそのまま煮えたぎる肉炉へと十重二十重にも注がれる。
深く深く膣内射精をして確実に子宮内へ種を植え付ける。
逃すまいときゅうきゅうに接する肉路は、
入りきらない分を結合部の隙間から溢れ出させた。

「はあはあっ。ん……はあ……漏れちゃう……」
「ふうぅ……。すごく良かったよ」

結衣は絶頂に意識を彷徨わせ、目が霞む中、
歓喜をあげる生殖器の饗宴だけははっきりと感じとっていた。
官能の嵐が全身を駆け巡る交わりの最果て、
下腹部が熱く満たされ、子孫を残そうとする本能が安息に包まれる心地よさ。
まだ本格的に始まってから三度目だと言うのに、これほどの域に到達するのが信じられなかった。
そして双子の方はいくらか余裕すら漂っていた。

t02-254 名前:エピローグ :08/06/14 11:19:19 ID:MTj3DD44
いくらか体力に自信があっても、相手は四年前とは違い完全に成人している。
そして一年前とも、ひと月前とも違う。環境の変化が彼らを真に成人たらしめている。
それこそアキトが学生の頃は、自分の快楽の追及で精一杯だったが今は違う。
一子目とは違い、結衣が自分の、自分たちの子供を身籠り、
そしてなによりも養う心構えでセックスする。
その愛情と喜びは恩返しに代えて、お互いの快楽への果てしない原動力となった。

ハルキにしても、金銭面でいくらか苦労をした前回とは事情がまったく違う。
家族としてアキトが加わった以上、憂慮すべきことなど何一つない。
愛しさと嬉しさ、そこに性欲、最高の相手をして混じりけのない欲求が昇華される。
そこに世俗の事情など、わずらわしい要素を排除することが可能だった。
束縛など無用、不安もなく、ひたすら純粋に子作りを求めるハルキは強い。


息を切らしながら、結衣はうつ伏せに転がされる。
抵抗など無意味。
腰を掴まれて結衣は思う、また来るのだと。

妖艶に微笑み、自ら尻を高く掲げ左右に振る。
脚を肩幅程度に開けば、膣口からは一筋粘性のある白い液体が落ちた。
恥知らずな牝犬の振る舞いに、アキトは我慢できず挿入する。

「くぅ……好きだ、こんないやらしい所も大好き!!」
「はあぁん! 私も!! あっ、オマンコに……こんなにいっぱい逞しいの!」

始めから全開のピッチに結衣は目を潤ませて悦ぶ。
自分の限界がどこにあるのかわからない。どこまでも行ける、行きたい。
格好からして獣のごとき交わりだったが、前からは優しくあやすように髪を撫でられる。

「あっ、くぅん、ハル君もぉ……。ん、ちゅ」

結衣はそのままハルキの股間に顔をうずめ、舌と口で持って男根を慈しむ。
見ようによっては、犬がご飯を食べる仕草みたいでひどく倒錯的だった。
ハルキの手は耳たぶを擦り、長い髪が邪魔にならないようかき上げる。
全身が性感帯と化してる今、そんな優しさも堪らなく沁みる。

「ああぁ! ん、ん、ちゅ、むちゅ、じゅるる、はふ、れろ……ん、はあはあ」
「はぁ、はあ。お、おい……大丈夫?」

ハルキが何を心配してるのか、結衣にはわからなかった。
後背位で貫かれなが、涙を流しながら舌を突き出し、
在らぬ所を見る双眸のまま盛んに嬌声をあげる。
傍目から見れば壊れてしまったのではないかと思っても不思議ではない。

「まだよ、まだ……もう少しなの。はああ!!」
「俺も……はあ、はあ、もう少しで……」
「ふふ、ハル君もこんなにしてさ……。はっ、あん! あはぁ!」

t02-255 名前:エピローグ :08/06/14 11:23:46 ID:MTj3DD44
強がりの台詞だっただろうが、アキトの動きによってかき消される。
当然口技の奉仕も断たれる。
ハルキにしてみれば別に構わないが、結衣の方が不満だった。
だがラストへ向けての激しい律動が邪魔をする、
子宮口まで打ちつけられる剛直が全身をも貫いていた。
尻に食い込む指が熱い。膣から子宮、皮膚や内臓や脳も繁殖へのエネルギーを生み出す。
溢れ出るものが内股をとめどなく伝って落ちる。

「あああん! あぁ、はあ……ね、ハル君も、来て。お口で」

結衣は喜びのあまり神様にでも感謝したいくらいだが、まずは二人への返礼が先だった。

「あ、あぁ……ん……」
「ふうう……あっ、それいい」

内心心配になるも、開けっ放しなままの蠱惑的な唇へと差し込む。
桃色に上気した表情は壮絶なほど淫らで猥褻、男を獰猛な生き物へと変えずにはいられない。
アキトは結衣の両腕を引っ張る。
弓なりに上半身を持ち上げて、肉棒で甘美な源泉を掘り、抉りつける。
結衣も奥深い結合を求めて腰を突き出し、尻からの衝撃に合わせてねっとりと舌を絡めた。
根元まで侵入した二人の一物を、熱く濡れた媚肉が丹念に奉仕する。
滑らかな肌に一層汗が浮かぶ。

「結衣……はあはあ、口も気持ちいい……」
「はあっ、はあっ、ハルも……自分から動けさ」
「あぁ……はあぅ!」

すぼまる頬を眺めながら、ハルキも腰を前後させる。
ちょっと罪悪感があるが、結衣もこの方が楽なはずだ。

「ん! じゅる、はぁん……ん、ん! ちゅ」

奉仕しているのは結衣だったが、実際は奉仕されているのかもしれない。
女神のごとき造形美を極めた肉体に強い精神、
そして内に秘める果てしない性欲が二人の男によって解放されていた。
上下の口を塞ぐ怒張がそこかしこに刺激する。
肉体は勿論、精神から本能に至るまで。

「くぁ! ふあぁ、きゅうきゅうに締めつけてくる。もう……」
「俺はもうちょっと」
「な、ならさ……」

アキトはペースを落として、ハルキはペースを上げる。
もう意図はわかっていた。

結衣は片手を自由にされ、肉棒をしごくのに用いる。
美味しそうに頬張る中、その頬をそっと濡らすのは快楽によって流す感涙だった。
情熱的な口腔性交によってハルキも熱い吐息を漏らす。
睾丸もころころとくすぐられると、否応無しに屹立し先走りが滲み出る。

「ん、ちゅ、ちゅる、はふぅ、んん、ちゅぱ……じゅるる。ん、ここも……」
「はあ、はあ、もういいよ。ありがとう」

t02-256 名前:エピローグ :08/06/14 11:26:25 ID:MTj3DD44
限界の一歩手前で止める。ここからが本番だ。
アキトはぐりぐりと膣の腹側は擦りつける。
突如襲う甘く刺激的な責めに、結衣は感じすぎて崩れ落ちた。
もう一度両腕を引っ張り、ハルキが口を犯しやすいよう上半身を持ち上げる。

「ふんぅ、ん、ちゅ、あふ! ひゃ……んん!」

口を肉棒によって塞がれ、声を出すことも許されないまま愉悦の時を迎えていた。
逆に下は粘液質に肉の打ち合う音を奏で、
時折結合部から液を飛ばして自由に快楽を表し謳歌していた。

「いくよ。ここから……最後まで一緒に」

アキトは腰の括れを掴み、激しい抽挿を繰り返す。
結衣は前のハルキにすがり付き、掲げた尻から貫かれる衝撃を余すところなく味わう。
性器への刺激は官能的で苛烈を極めた。

「ああん!! あっ、ふぁ、んあぁ!!」」

湧き上がる強烈な快感に、堪らず結衣は男根から口を離し叫ぶ。

「あふん! ああん! はあはあ……もう、ホントに、らっ、はあ、らめぇ……」
「結衣。いいから、たっぷりアキを感じなよ」
「やあん、ハル君のザーメンも、はあはあ、一緒にもらうのぉ……」
「それなら……」

ハルキは結衣の目の前で自らしごく。
結衣はその様子を嬉しそうに眺めた後、目を閉じて舌をだらしなく垂らし、
背後から挑みかかる濃厚なセックスに集中する。

「あああ! はふぁ! もう……こんなの……あん!
……こ、壊れちゃう。気持ち良すぎておかしくなるよ!
オチンチン、奥までごつんごつんって当たって、あん! ほら、はああぁ!!」

嗜虐心をそそる悲鳴、男心をくすぐる甘い囀りを奏でる
まるで行き止まるのが不本意とばかりに最奥をぐりぐりと抉られる快感がすさまじかった。
牝を妊娠させようと意気盛んに入り口をこじ開ける。
抵抗など無意味だ。むしろとっくに最初から白旗を振っているが、降伏を許してくれない。
丁寧に手入れされた身体をなすがままに蹂躙される。

「イク……。はああ、くぅぁ! 出すよ、結衣の中にね!!」
「俺も、綺麗なお顔に出してあげる」
「あん、はあっ!! んん、出して! 結衣の中も、外も精液でどろどろにして!!」

ハルキは結衣の眉間から鼻先へと射精する。
セックスに蕩ける淫らな美貌へと、天罰を下すべくどろりと浴びせかけた。
結衣は舌を伸ばして、滴り落ちる粘液まで受け取る。
汚された被虐の快楽に、次は膣内で膨れ上がる怒張を感じた。

「あっ、ああぁ! はあん!! 入ってくる」

熱いものが下腹部を駆け上がるのを感じ、絶頂に達する。。
溢れかえろうがお構いなしに、新たに遺伝子の塊をぶつける。
何事にも代えがたい膣内射精の快楽に、
アキトも腰を奮い立たせ脈動と共に連続して精を放つ。
子宮へと直撃する太い一閃に肉襞がわななき、より牡から貪ろうと蠢いた。

t02-257 名前:エピローグ :08/06/14 11:34:53 ID:MTj3DD44
「ん! んん! くぅぅ、これは……最高だよ」
「こんなにいっぱい……嬉し……んん……赤ちゃんできるの……」

最高のエクスタシーの中、小刻みに震えながら中出しをする。
余韻を味わいながらも、まだ漏れるのを許さないと依然屹立する男根で出口を塞いでいた。
僅かに結合部から滲み出るものの、きっと下腹部は精液をいっぱいに詰め込まれている。

「ふぅ……ん……」

性器から子宮まで、いまだ充足感に沸き立つ。
暫く受精の感触を楽しむように目を細めた後、結衣は糸が切れたように崩れ落ちた。

「お、おい……結衣、結衣」
「……ん? あれ? 寝てるみたい……だね」

微かに規則正しい呼吸音が聞こえる。
二人の愛を感じながら夢に落ちていた。

「それにしても、すごく満足そうな顔」
「ふう、これなら当分安心だろう」

せめてもの報いに、顔と身体を拭う。
結衣はこれ以上ないほど幸せそうな表情を浮かべ、安らかに眠っていた。



とはいえ、翌日からさっそく浜辺でも誘惑され、
当分どころか束の間の安心だったそうである。
ハルキは本当にアキトが帰ってきて良かったと思い知らされた。
一人で身が持つわけがなかった。

t02-258 名前:エピローグ :08/06/14 11:40:29 ID:MTj3DD44
**************************

春を迎え、そろそろ桜も散りはじめる頃。

ハルキは朝起きて周りを見る。
時計の針は、いささか寝坊したことを示していた。
そもそも職業柄夜遅くに帰ることが多い。
顔を洗ってテーブルに出ると、エプロン姿で結衣が振り返る。

「おはよう。今日はお寝坊さんね」
「ふぁ、おはよう、優希も」
「ぱぱ~」

今日も優希は愛らしく、思わず頬にキスの一つをする。
優希はハルキをパパと呼び、アキトをお父さんと呼ぶ。
間違えず呼ぶところを見ると、意外にもすでに区別がついているようだった。

ふとアキトはもう居ないことに気付く。

「あれ、アキはもう出かけたの?」
「そうよ、月末だからって早出していったわ」
「ふーん、まあ大変なんだろうな」

バイトをしていた頃からの実感だが、何事もお金に関わることは難しいことが多い。
その大本たる銀行にいたっては、何をいわんやであろう。

「ふふ」
「ん?」
「アキちゃんが心配?」
「それは勿論。今日午前は用事ないから見に行きたいけど、さすがに迷惑だろうからな~」

これには結衣が大笑いした。
アキトが社会人になっても、万事がこの調子であった。
スーツや靴を選ぶときも同行しては色々見立ても行った。
それくらいなら充分仲が良いですませられるが、
今度は結衣とハルキの行きつけの美容院にも紹介がてら一緒に付いていこうとしたくらいだ。
しかもアキトは特に気にしないため実際付いていき、
美容師にあれこれ自慢話をして弟煩悩ぶりを知らしめてきた。

t02-259 名前:エピローグ :08/06/14 11:42:06 ID:MTj3DD44
「まあでも大丈夫だろう」
「そうね。私はもう少しアキちゃんを信頼してあげてもいいと思うな~」
「いやぁ、つい癖でなあ……。頭ではわかっているけどね」

結衣が鍋に火をかけて味噌汁を温めなおす中、ハルキは後ろからそっと寄り添う。
軽く接吻しながら、エプロンの下に手を入れてお腹を撫でる。
調理場での水仕事もあってか、手は少し硬く荒れてるがその分暖かい。

先月は残念ながら普通に生理が来てしまったが、今回は順調に遅れているそうだった。

「う……ん、くすぐったいよ」
「もうそろそろ産婦人科に行ってみる」
「ふふ、もう少し待ってから。ぬか喜びしたくないしね」
「うん、そうだな」

軽く抱きしめた後、もう一度接吻をする。
テーブルに戻り、優希を膝の上に乗せながらハルキは思いをはせる。

苦節と言うには幸福が多く楽しさに満ちていたが、
これまでの道のりはけして平坦ではなかった。
もし自分一人だけなら、こう安々と家族計画を立てることも難しかったであろう。
仮に子供が欲しいとなっても経済的理由いかんでは無理なのだ。
奇しくもまったく両親と同じ理由が、実感を伴って降りかかってくる。
当時はたがだかそんな理由と切って捨てたが、
――認めたくないが、やはりそれは誤りだったのだろう。

バイトをしていた頃からの実感だが、何事もお金に関わることは難儀である。
前に行った、優希も含めて四人での記念旅行も金銭面では心もとなく、
結衣に家庭教師でのアルバイトを足しにしないと時期をずらすかしなければならなかった。
時期的にも休暇予定においても、それは何としても避けたかったのだ。
バイト自体は当人にとって昔とった杵柄であり、楽しいそうであったのが不幸中の幸いだったが。

今は経済的制約は、無論際限はあれど、ほとんどないと言っても過言ではなかった。
充分な収入と言うにはどちらもまだまだ半人前ではあるが、
それでも二人居るという状況は、つい先月までとは大きく違う。
この制約からの解放こそが、ハルキにとって長年の呪縛、トラウマからの解放であった。

「優希、きっともう少しで弟か妹がくるよ」

優希の髪を手櫛で優しく梳る。
言葉の意味がわからないと思われ、バナナを食べながらきょとんとする。
もしもあの夜、両親の会話がこんな内容だったら、きっと今と違う人生を歩んでいたはず。
どちらが幸せだったか知る由もないが、今となっては比較する必要もない。
ハルキはこれ以上考えられないほど幸せだった。


終わり

最終更新:2009年07月19日 18:27