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場所





その夢の中で私は老人だった。


たっぷりと蓄えた髭を剃ったばかりで
口元に違和感を覚えながら
散歩の途中、道路の縁石に腰掛けていた。



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田舎の道路。
腰を下ろした縁石の端、
縁石にピタリと寄り添うように
タンポポが咲いていた。


つい、髭のない顎に手を当ててしまう事に気付き
一人苦笑していると、子供達の声が聞こえた。


男の子二人、女の子二人。


昼下がりの暗い空。
子供達は何か楽しそうに会話している様子だった。


私は目を細めて見ていた。


男の子が言った。
「あっちへ行こう。いい場所知ってるんだ。」
もう一人の男の子が言った。
「俺も知ってる!行こう。」
女の子2人は顔を見合わせている。
片方が笑って言った。
「いいよ、行こう」


最後の一人の女の子は
愕然とした様子で黙っていた。


子供達は道路と崖を遮断している
コンクリートの壁の前に集まっていた。


最初に言い始めた男の子が言った。
「○○も行くっしょ?」
それは、返事をしなかった女の子の名前だったが
今の私は覚えていない。


女の子は返事をせず
信じられない、という顔で壁と友達を見ていた。
「…どうやって行くの?」


皆は笑って言った。
「フツーに行けばいいんだよ!」


そう言って、男の子は
コンクリートの壁の中へ消えた。



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もう一人、女の子も壁に消えた。
「待って」
女の子が言うが、
相手に聞こえているのかどうかわからない。


3人目も壁に向って歩き出すと
女の子は
「待って。」
そう言って壁と残った男の子を見た。


「何だよ、行こう?」


「だって…」


「早く」
男の子は歩んだ。


「置いて行かないで。」


男の子はニコニコしていた。
「行こう」
そう言って壁に消えた。


女の子は泣き出した。


「置いて行かないで!!どうして?」
「だって、壁じゃないの…どうやって行くの?」
「私には行けないよ」


泣き声の混じった声だった。
「置いていかないで」



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老人の私は何か思ったような気がするが
覚えていない。


目覚めた頭の中に
女の子の残響がこびりついていた。




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最終更新:2007年05月03日 05:40