1話「赤の国」

ここは赤の国

国民50000人ほどの小さな国

そして物語は国内唯一の高校から始まる



教頭「えっと、新任なら知らないかもしれないが、剣闘というスポーツがあってね、さっきの騒動はそれだよ」

先生「剣闘・・・ですか、剣道みたいなものですか?」

教頭「そうだね、剣で顔と急所以外を叩く競技なんだが、危ないから審判資格を持った審判なしでは行えないんだ」

教頭「しかし、さっきの生徒たちは無断だったからな、おそらく競技資格のはく奪になるだろう」

先生「へぇ、でもそんな競技初めて知りました」

教頭「うちの国の護衛隊の隊長になるためには15歳の時に一度だけ受けられる試験を通らないといけないのは知っているかい?」

先生「まぁ、それは全小学生の憧れですし」

教頭「その試験を競技にしたのが剣闘、君のクラスに中学時代にU-20の大会で三年間国内1位になった子がいるし、知っておくといい」

先生「へぇ・・・」





1-B教室


先生「こんにちは、えっと、宮永陽斗くん?」

陽斗「えぇっと・・・新しい先生だっけ?」


先生「そうそう、もう今は剣闘やってないの?」

陽斗「あぁ・・・隊長になるには15歳試験しかなかったんで・・・もういいんすよ」

先生「でも、護衛隊に入るだけなら実力さえあれば・・・」

陽斗「天王山会議に出席するのが、俺の夢なんで」

先生「へぇ・・・天王山会議・・・近隣5ヶ国の首脳陣で行う会議だよね・・・どうして?」

陽斗「まぁなんでもいいじゃないっすか、今は側近として行くために絶賛勉強中なんで」

?「よう宮永、ちょっといいか」

陽斗「須崎・・・なんか用?」

須崎「知ってるかもしれんが、俺は今年U-20の剣闘大会で優勝した、しかし、お前が出場していないからだとよく言われる」

陽斗「へぇ」

須崎「そこで、俺と勝負しろ、そして俺が二十歳以下で最強だということを証明する‼‼」

陽斗「へぇ・・・でも俺は興味ねえんだ、わりぃな」

須崎「いいのかい?赤南中学の三強と言われたお前が、俺ごときに舐められっぱなしで」

陽斗「よく知ってるな」

須崎「有名だったからな、お前以外の二人は試験に受かって今や護衛隊の隊長見習いだろ、そいつらの為にも俺には勝っとかないとまずいんじゃないのか?」

陽斗「っち・・・食い下がるなぁ・・・いいぜ、このままじゃ勉強に集中できねえし」

須崎「よし、明日の放課後道場に防具と竹刀持って来い、レンタルだから負けたって言い訳されてもつまらねえからな」

陽斗「わかったわかった、審判連れてきとけよ」





翌日、道場


須崎「逃げずに来たな、お前の情報は全部頭に入ってるぜ」

陽斗「さっさとやろうぜ、時間がもったいない」



生徒「二十歳以下最強の須崎洋介と10ヶ月のブランクがある元最強中学生宮永陽斗か・・・どうなんだろうな」

生徒「噂じゃ竹刀自体握ってないらしいし、さすがに厳しいんじゃねえのかな?」

先生「ねぇ、私この競技詳しくないの、教えてくれる?」

生徒「あ、はい・・・竹刀を相手に当てるんですけど、その深さによって点数があるんです」

先生「じゃあ、軽く当てるのとしっかり切り込むのとで点数が違うのね」

生徒「そうっす、で、その勝負を五回して総合点で勝負するんです、蹴りもパンチも何でもありの総合格闘技みたいな感じですかね」

先生「へぇ、結構危ないのね」

生徒「元々護衛隊の隊長入団試験を模したものなんで、危険っちゃ危険っすよね」

先生「でも、あの二人は強いんでしょう?」

生徒「そうっすよ、須崎は王道っていいますかね、4点のちょい大技を狙ってくスタイルなんです、あ、始まりますね」



審判「では第一試合、始め‼‼」

ダッ


須崎「っち」

ガッ


陽斗「ふぅ」

審判「宮永一点」



先生「一点?」

生徒「あれが宮永陽斗の戦法っす、五試合全部1点とって勝つんすよ」

先生「全部‼‼?」

生徒「えぇ、彼は中学時代、取られても三点止まり・・・負けなしだったんですよ」

先生「そんなに強かったのに・・・なんで・・・」

生徒「さぁ・・・」



審判「四試合目、宮永1点」

須崎「っち・・・分かってても全然追いつかねえ」

陽斗「よし、最終試合だ」

審判「第五試合、始め」

須崎「おおおお‼‼」

ガッ


須崎「えっ・・・」

審判「須崎5点、勝者須崎‼‼」

陽斗「ふぅ・・・あざっした」

須崎「っしゃ‼‼‼‼」

陽斗「負けか・・・じゃあ俺は勉強あるんで帰るわ」



生徒「マジかよ・・・」

生徒「宮永が5点取られたことなんてあったか?」

生徒「公式戦じゃなかったはずだけどな」

先生「やっぱりブランクがあったからかなぁ」

生徒「よく粘ったと思いますよ」





道場の外


審判「ちょっといいか?」

陽斗「・・・はい?」

審判「最後、わざと負けたな」

陽斗「そんなわけないじゃないっすか」

審判「いや、最終試合は明らかに動きが違った、なぜあんなことを?」

陽斗「あんた何者?さっきから帯刀してるし」

審判「護衛隊の一般兵だ、休暇もらっててな、従弟の試合の審判しに来たんだ」

陽斗「一般兵・・・じゃああんた二十歳試験受かったんだな」

審判「まぁね、それで」

ピピピピピピ


審判「あ、ちょっと失礼」

?「テメェ電話くらいさっさと出やがれ‼‼‼‼緊急招集だ‼‼‼‼」


審判「おっつ・・・じゃあな少年」

バッ


陽斗「なんなんだよ・・・」

ワアアアアアアアアアアア


陽斗「お・・・なんだよ騒がしいな」

生徒「お、宮永‼‼ダチ来てるぞ」

陽斗「・・・お、夏輝‼‼亜希‼‼」

夏輝「よう、一年ぶりだな」


亜希「・・・久しぶり」


陽斗「お前らなんでこんなとこにいるんだよ、護衛隊暇なのか?」

夏輝「任務だよ、その前にまぁ人探し中なんだけどさ」

審判「司馬くん‼‼緋村さん‼‼ごめんごめん」

陽斗「あれ、さっきの審判じゃん」

夏輝「副隊長激おこですよ、行きましょ」

亜希「ハァ・・・じゃあね陽斗」

陽斗「おう」

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最終更新:2017年07月06日 12:39