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青い空。
青い海。
それを臨むように、最後の戦いが行われた島の端に、土が盛られている。
その土の上に、中程から折れた銀色の剣が突き立てられていた。
一人の少女が、その突き立てられた剣――墓標を眺めている。
やがて彼女は振り返った。
褐色の肌に白い服装、緑色の短髪に赤い眼をした、少し人間離れした容姿を持つ少女。
その彼女の瞳に、一つの風景が映った。
マスタールームのある建物と、そのゲートの横にある壁を背に座る、一人の男の姿が。
ゆっくりと、噛み締めるように少女はその地を歩いた。やがて彼女は男の前に立つと、重々しくその口を開く。

「久しいな、ロックマン・ミラージュ」

男は顔を上げないまま、言葉を紡いだ。

「待っていた、マザー・セラ。すまない、本来ならちゃんと挨拶をしたいのだが…正直もう、身体が動きそうにないんだ」

「ああ、それも承知している。もう少し待て、もうすぐ救助が来る」

そこまで言って、彼女は気付いた。目の前に座っている男の、眼の焦点が合っていないことに。

「御主、眼が…」

「…命があっただけで、十分だ。それに…生きる意思も、与えてもらった」

そう語る男の言葉に、彼女は溜め息をついた。

「治療の後でいいが…話してもらえぬだろうか。恐らくこの件について、一番詳しい情報を持っているのは御主だろう」

彼女の言葉に男は顔を上げ、言葉を紡ぐ。

「いや…今から話す。そして、憶えていてほしい…この戦いで犠牲になった者達が、どんな想いで戦っていたのかを」

「…ああ」

男の言葉に、彼女は決意と覚悟を秘めた眼で頷いた。
男は彼女の相槌を聞くと、続けて口を開く。

「…だが、その前に一つ、聞かせてほしい事がある。多分貴方にとっては奇妙な質問になるだろうが…どうか正直に答えてほしい」

「分かった。それで、聞きたい事とは…?」

そう言いながら彼女はその場に片膝をつき、男の言葉の続きを待った。

「今、俺が見につけているスカーフなんだが…何色に見える?」

男の紡いだ質問は確かに奇妙で、彼女はしばし戸惑った。
だがやがて彼女は意を決し、答える。

「血に汚れてはいるが…綺麗な、純白だ」

その答えを聞くと。

男は、静かに微笑んだ。





そして、クロウ・エリュシオンの人生は続く。



最終更新:2015年03月15日 22:22