「これで、一人」
椅子に座ったノアは、そう呟いた。
そこは、以前ノアがクロウとゼゼに一度だけ見せた部屋。
すなわち、広大な空間に巨大な電子頭脳が鎮座する部屋だった。
そして、その電子頭脳の前に小さな棺桶が置かれている。
蓋は無く、中にはクロウとゼゼが見た、髪の長い少年―『イデア』が横たわっていた。
その横で、華奢な木製の椅子に座り、ノアはいた。
彼は、静かに俯き、両手で顔を覆った。
「フ、フフ…フフフフ……」
だがやがて、その口の端が吊り上がる。
「ア゛ッハッハッハッハッハ!!」
遂には顔を上げ、堪えきれなくなった様に笑い出した。
止めようとしても止まらぬかのように、彼は笑い続ける。
「ククッ、クククククク…ハハハハハハハハハハ!!」
再び堪えるような笑いに変わったかと思えば、やはり笑いは止まらない。
「ハッハッハッハッハッハッハハハハハハハハハハ!!!!」
遂には椅子から立ち上がり、彼は笑い続けた。
そうしてやっと笑い終えたところで、彼は片手を持ち上げた。
その手が、見る間に手術用の白手袋に似たアーマーに包まれていく。
そして次の瞬間、彼はその手を棺桶の中へ突き入れた。
『イデア』と呼ばれた古き神々の心臓に、ノアの貫手が深々と突き刺さる。
次第に、『イデア』の身体の全てが灰と化していく。
遂に棺桶の中には、ただの灰の山が残されるのみとなった。
突き入れた腕を持ち上げると、その手に血は付いていない。
「これで、全て整った」
ノアは電子頭脳へと視線を向けた。
かつて、己に全てを与えた、この地下深くの城の主に。
「さあ…戻るぞ」
「悪徳の栄える都――アークへ!!」
「The garden of delusion」完――しかし全ての終わりは、まだ遠い――
最終更新:2012年01月21日 23:59