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1つ目

新西暦952年のことだった。
日本は、「子だくさん政策」を推進し、人口の増加に努めていた。
子供を一定数作ると労働しなくても一定の生活を保障するという無茶なことをしたものだから、働く人がいなくなってしまった。

そんな中で2つの大企業によって新しい労働力「ロイド」が開発された。

ロイドはあっという間に発展し、広く利用されることになった。

そんなロイドたちが労働の場で活躍する中、一人就職活動に励む若者がいた。

これはそんな彼の身の回りで起きたことのお話である。


新西暦1012年の夏。
僕は、大学の夏休みを使って就職活動に励んでいた。

申し遅れたが、僕の名前は「豊春 浩二」。
国籍は日本であり、生まれも育ちも日本である。
ちなみに歳は23で、今年大学を卒業することになっている。
1年余分に歳を食っているのは、決して堕落していたわけではない。
大学2年の春に運悪く車に撥ね飛ばされるという事故にあった。
かなりのケガでリハビリうんぬんで単位が足りなくなったしまったからだ。

そんな痛々しい思い出はおいておくとして、僕は今就職活動に励んでいる。
しかし、ロイドの普及によって、人間の募集などほとんどない。

それもそのはず、人間様は「子だくさん政策」の条件を満たしてしまえば働かなくていいから労働の募集はホントに少ない。

短期契約の募集はあっても、正社員の募集がホントに少ない。
これは、ホントにどうしたものか………。

「う~ん………。」

電車に揺られながら、僕は就職情報誌に目を通す。
しかし、ほとんど短期契約の内容ばかりだ。

時刻は午後4時、学校を終えた生徒が駅からどんどんと乗ってくる。
電車の座席は、あっという間に空きがなくなり、杖を突いたお年寄りが一人手すりにつかまっている。

「あ、よかったらこの席どうぞ」

僕はただ、なんとなくで席を譲った。

「あらあら、ありがとう。どうも、すみませんね。」

お辞儀をしながら座席につくおばあさん。

そして、次の駅で僕は電車を降りた。

ホームから出口へ向かって歩いていこうとすると僕は、誰かに呼び止められた。

「あ~、待ちんしゃいや。そこのあんちゃん!そこの雑誌持っちょる、水色のポロシャツのあんちゃん!」

どことなくなまりのあるしゃべり。そして彼が言う「雑誌を持った水色のポロシャツのあんちゃん」とはたぶん、僕のこと。

「はぁ?僕ですか?」

僕が振り向くと、青い作務衣を来た幼い顔の人が立っていた。

「いや~、さっきの電車で見ちょったよ?最近の若い子にも席を譲る子がおったんじゃの~!」

勝手に話を始める青い作務衣の人。
ってか、この人は僕の身長よりも低い。

僕の身長は173くらいだが、10センチは低い。
まぁ、そんなことはどうでもいいか。

「はぁ……?と、とりあえず、僕、行く所がありますんで。」

僕は再び出口へと足を向ける。
一瞬、手が滑って就職情報の雑誌を足元に落としてしまう。

「ん~?就職情報???」

僕よりも先に雑誌を拾い上げる青い作務衣の人。

「ほぅ、あんちゃん仕事ば探しよるんか!」

いや、仕事探してなかったらこんなの読まないよ……。
僕はそう思いつつも、黙って差し出された雑誌を受け取る。

「もしよけりゃ、うちんとこさくっかや?」

歩き出そうとした僕の足が止まる。

「え?」

再び、僕は青い作務衣の人に視線を向ける。

「イヤか?とりあえず、話でも聞かんとや?」

一応、話だけは聞いておいてもよさそうだ。

「あ、じゃあ、お話だけでもお伺いしていいですか?えーと……。」

そういや、この人どんな人なんだろ。
今更、思う僕もアレだな………。

「こーいう、もんさね。」

手渡された名刺を見る。

「クリストフェルノ社……、特別執務部……、専務取締役……、華香音 紫水?」

クリストフェルノ社………。

「ク、クリストフェルノ社!?」

僕は、思わず大声をあげる。

「びっくりするやない………。とりあえず、喫茶店でも行かんね。」

ふとしたことで声をかけてきた小さい人。
その人はなんと、世界に名を轟かせているクリストフェルノ社の専務だった。
僕は、その人に声をかけられて、うちに来ないかと言われてる。

うん、夢かな?

僕はそんなことを考えつつ、紫水さんと一緒に喫茶店へと足を運んだ。
最終更新:2012年01月23日 20:55
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