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紫水のクリスマス

紫水のクリスマス

12月のある寒い日。
月末に近いこともあり、紫水周囲も非常にあわただしい。

  「ふぅ、もう23日か……。人間界の時間は短くて困るな。」

紫水たちの世界の時間は長い。
だから24時間などあっという間に過ぎ去ってしまう。

  「限られた時間が短いほど、その時間は美しいのかな?
   そんなの人によるか……。」

そんなことを言いながら、紫水は部下から送られてきた報告書に目を通す。
紫水が今いる場所。
それは50階建ての高層ビル、45階にある執務室だ。
ビルにはクリストフェルノ社という看板のイルミネーションが目立っている。
そこはマーガレットの義妹であるミルフレットと紫水が設立した総合商社である。
紫水は専務取締役という立場にあり、重要な案件を処理している。

  「んー……、これは難しいな?」

次々と報告書の内容に目を通し、対策を講じていく。
紫水の部下達は有能なもの揃いとはいえ、万能ではない。
有能故に様々な難しい問題を背負い込んでくる場合もある。
その結果、紫水の元には報告書の山が築かれるのだ。
中にはユーモラスな報告書もあり、漫画形式で書いてくる者もいる。
さらには要点を簡潔にまとめ、紫水が読みやすいように工夫する者もいる。
しかし、悪辣な字で書いてくる者もいる。

  「うへぇ、こりゃあ読みにくいな……。」

なんだかんだと職務をこなしているうちに日付は24日の夜になっていた。
紫水が職務に没頭すれば、1日ずっと書類とにらめっこはザラである。
一息入れようと紫水は執務室のドアを開け外に出る。

  「ん?なんだこれ?」

執務室のドアノブに吊り下げられた真っ白の紙袋。
中に何かが入っている。

  「なんだろう?」

紫水はその紙袋を手に取る。
中には蒼いマフラーと手紙が入っていた。

  【 紫水へ メリークリスマス 】

名前が書かれていない手紙。
しかし、紫水には誰の贈り物かわかっていた。
マフラーにはある人物が愛用する香水の匂いがしていたのだ。

  「やれやれ、よくやるよ……。」

そう、それはマーガレットからの贈り物だった。
編み方にこだわったマフラー。
そして香水の匂い。
察するに手編みのマフラーであろう。

  「お返し……、考えておこうかな。」

紫水はマフラーを首に巻き、窓から夜景を眺める。
ビルのフルミネーションに雪がちらつく。
そんな寒い冬の夜だった。
最終更新:2012年11月08日 19:10
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