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3話

神界では、審議の末に「神界人複製計画」が議会で承認された。

承認から半年が過ぎた頃、ようやく施設などの設備が整った。

紫蓮はセインの命令で、今回の指導を行うマーガレットを迎えに出ることになった。

彼女が住んでいる町は紫蓮が暮らしている「セントラルシティ」より数千キロは離れている「プロフェスシティ」。

神界人たちの主な移動手段は「飛行紋章」や「飛翔結晶」という魔術を使うことだ。

それを使えば数千キロの移動もあっという間に移動できる。

だが、長距離に及ぶとなれば体力の消耗が激しい。

それに加え、この方法では荷物は少量しか運ぶことができない。

どのように迎えにいこうかと紫蓮は執務室で頭を悩ませていた。

  「ん~、どうしたものか………。」

そんな途方にくれている時にフラットベルが執務室へとやってきた。

どうやら仕事の後処理に訪れたらしい。

この執務室は、神界での役人が使う大広間だ。

広さは300平方メートルと広く、ついたてでいくつかのスペースに区切られている。
(一般的な畳でおよそ200畳)

フラットベルは、頭を抱えている紫蓮が目に入ったのか、心配そうな顔で紫蓮に声をかける。

  「頭なんか抱えて、どうかしたんですか?また何か問題でもありましたか?」

  「いやぁ、それがですね………。」

紫蓮は自分がマーガレットをどのように迎えにいくかで悩んでいることをフラットベルに打ち明けた。

  「なるほど、では私も同行しましょうか?飛翔絨毯を用意して、往復を私と紫蓮さんで操縦すれば容易いでしょう?」

飛翔絨毯とは、いわゆる「空とぶジュータン」というヤツだ。

絨毯に飛翔するための魔力を伝達させて飛行する技術であるが、神界人のほとんどが練習さえすれば飛行できるためこの手段を使うものは少ない。

仮に使うとすれば、荷物の運搬や大人数の移動の際に使用されている。

  「なるほど、その手がありましたか。」

  「しかし、万が一に備えて転移魔法が使える絨毯にしないとまずいですね。
  何かあると困りますし………。私の持っている絨毯では転移魔法は………。」

転移魔法、いわゆるテレポートというものだ。

転移魔法を使用する場合は、一般的に使われている絨毯では魔力伝達が悪いため、より精製された物が必要となる。

つまり、ある程度高級品ーなものが必要ということだ。

  「では、私の家にセイン様からいただいた絨毯があるのでそれを使いましょう。」

  「それなら申し分ないですね。でも、いいんですか?それは、紫蓮さんが恩賞としていただいたものでは?」

やや心配そうにフラットベルが言う。

  「大事な公務に使うならセイン様も怒らないでしょう。そういう時だけ変な気をきかせるなって怒られますよ。」

  「それは、言えてますね。」

ようやく悩みが解決したとあって、紫蓮も安堵の表情を浮かべる。

  「よし、じゃあ僕はこれから絨毯を探してきます。ところで明日はどうしましょうか?」

フラットベルは腕を組んで考える。

  「そうですね、明日の正午にセントラルパークの時計塔前で待っています。」

  「わかりました正午ですね。それでは明日。」

紫蓮は、自宅へと戻り明日の準備をすることにした。

  「さてと、明日は忙しくなりそうですし今のうちに雑務を済ませておきましょう。」

フラットベルも明日に備えて、残っている仕事を全て終わらせることにした。
心なしか、フラットベルの表情は嬉しそうだった。

紫蓮は、自宅に戻る前に執務室から出て何故か資料室に立ち寄っていた。

  「えーと、プロフェスシティは………と。」

明日向かう予定のプロフェスシティまでの地図を調べていたのだ。
ぺらぺと紫蓮はページをめくっていく。

  「あ、あったプロフェスシティ。ここから約3700キロか………。
  ちょっと時間がかかりそうだな。なんとかなるかな?」

紫蓮は地図を借りていくことにし、手続きを済ませると自宅へと向かった。
最終更新:2011年05月08日 18:56
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