電子回路 > 高周波増幅器に表示される利得について

増幅器に表示される「20dB」の意味


市販品の高周波増幅器には、例えば図1のような表示があると思います。


図1:増幅器の表示

図1から、
  • 左側の端子が入力、右側の端子が出力
  • 入力インピーダンスと出力インピーダンスは50Ω
  • 入力と出力の位相は逆相の関係にある
  • プラスマイナスの電源を必要とする
  • 利得が20dBである
ということが読み取れます。

ここで最後の項目は、50Ωの負荷を接続した場合を前提としています。




図2のように入力電圧をv_{in}、出力側の電圧源をv_{out}、負荷に伝わる電圧をv_{out}'とすると、利得はv_{in}に対するv_{out}'の比のことになります。つまり、
\text{gain} \equiv 20\log _{10}| \frac{v_{out}'}{v_{in}}|=20となります。



図2:増幅器の等価回路(50Ω負荷を接続した場合)


負荷に伝わる電圧は出力インピーダンスと負荷インピーダンスの比で決まるので、負荷インピーダンスが50Ωではない場合、利得は20dBではなくなるということになります。


一方、入力電圧v_{in}に対する出力側の電圧源v_{out}の比は負荷によらず一定になると思います。この場合の利得をA[dB]とすると、v_{out} = 2v_{out}'なので、
 A[dB] \equiv 20\log_{10}|\frac{v_{out}}{v_{in}}| = 20\log_{10}|\frac{v_{out}'}{v_{in}}|+20\log_{10}2 \approx 20+6
と、Aは表示値20dBよりも6dBだけ大きいことが分かります。
最終更新:2008年08月05日 19:33
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