ラブコメってこうですか、わかりません…
壬生屋は目を見開いた。
気が付いたら自分が他人の、いや正確には知り合いなのだが…まあ
親しいともいいがたい男の腕の中にいた。
いやたしか、自分は買い物にいこうとしていたはずだ。
たとえ誕生日とはいえ世間的には普通の日、たいして期待もせずにいた。
そんなことより、やっぱり最近お肉が高くて困ります。なんて思っていたはず、なのだが。
気が付いたら目の前には、見覚えのある男。しかも抱きとめられている。
「!?」
かあっと顔に血が上るのがわかった。
「て、転校生!」
破廉恥です、不届きです、こんな不逞の輩みたいなマネ、神罰と仏罰がくだって、
などといろいろおもうところはあったのだが、結局ほっぺたをつねるだけにした。
つい、癖というかいつも誰かにやっているように。
ぎゅーっと思いきりつねると意外によく伸びる…いつもの人ではこうはいかない。
やはり年と思いかけてはっとする。なんで、こんなときにあの人のことなんて、
トリップする思考に歯止めをかけて壬生屋は現世に復帰、思考を再開する。
問題は一体何でこんなことになっているか。転校生の顔と周囲を見てみる。
驚いているのは自分だけではないらしい。
とりあえず現状を解説しつつ、状況を聞こうと口を開く。
「まあ、なんというかクラスメイトでした。なんですか貴方は」
しかし、帰ってきたのはなんともいえない返事だった。
「誕生日おめでとう」
しかも、一人だけではなく周囲にいる人間が全員声をかけてくれた。
そういえば、本人に知らせずにこっそりやる「さぷらいずぱーてぃー」というのが
あるのだと、誰かが言っていた気がします。
みんなの祝う声にまぎれて「また歳をとったな」というありがたいようなありがたくないような
声が聞こえたが聞こえないフリをした。思いっきり知り合いの声に似てた気がしたが
頑として無視する。
女性は年齢を忘れて生きるものです、と誰かがいっていた気がします。というか言ったヤツ表へ出ろ。
あと、ついでに呪われろ芝村(not舞)と、いろいろ言いたい気持ちはあったが、
なかなか声にならない。
いや、人をいきなり呼び出しておいて、と怒ってみようとおもったが、それも声にならなかった。
さっきまでは誰にも祝ってもらえないのだろうなと思っていた誕生日を思わぬ形で祝われてしまったせいだろう。
ただ、顔を赤くして「ありがとうございます」と言うだけだ。
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ラブ部分だとこんな感じ?
「あー、一応私の連れ合いなんで、勘弁してあげてもらえますか?」
ほほえましい一言に思わず顔がほころぶ。つられるようにして妹人も微笑んだ。
なつかしいような、あの戦いの中で「いい女」を探していた転校生は
ようやくその「いい女」を見つけ出したのだろう。
どんなにきれいでも、かわいくても、強くても、自由でも、絶対に手に入らない
そんなものを見つけた微笑みだった。
最終更新:2008年05月12日 21:21